スウィング・キッズのレビュー・感想・評価
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純粋に何かに情熱を注げることが最も難しくて尊い
ともすれば歴史やイデオロギーの深刻な側面に陥りがちなストーリーをあくまでタップの音色に満ちたリズミカルなドラマに仕立て上げた手腕に感服する。捕虜収容所内はいわば世界の縮図だ。複雑で重々しい関係性が交錯し、あらゆる個性が仲間の視線によって縛られる中、メインとなる5人の男女だけはタップダンスを通じて別の世界を見つめる。それは彼らにしか見ることができない唯一無二の景色だ。
その純粋で脆弱で非暴力的な存在、そして彼らのステージこそが、力強いメッセージとなって響いていく巧さ。周防作品や矢口作品でもよく見られる「リアルに習得された技」が卓越した映像の強度となって胸を打つ。スウィングすることで足元の困難や壁を軽妙に飛び越えつつも、彼らは腹の底から「自分は自分でありたい」と叫び続けていたのかもしれない。混沌とした世界では純粋に情熱を注ぐことがもっとも難しくて、尊い。その意味について考えさせられる力作だ。
大国のイデオロギーに翻弄された人々
朝鮮戦争の事を韓国人達にきくと、大国の冷戦の代理戦争だったと言う。
米ソという大国のイデオロギーと世界の覇権争いのせいで、アジアの同じ民族が殺し合い分断された。
そんなことがなければ、友達で隣人同士だっただろう人同士が、アカだ、米帝の犬だ、と憎しみあい殺しあう。
実際この巨済収容所は存在し捕虜同士のバトルや殺戮事件がおきたそうだ。
映画では、民主主義の自由をアカに教えてやり米のダンスを踊らせるのを記者や世界に見せるという米のプロパガンダにより、米で差別されてる黒人兵の指導で捕虜のタップダンスチームをつくらされる。
指導が米の黒人、ダンスチームのメンバーが、中国人、朝鮮戦争で北から逃げてきたら間違われて捕まった北朝鮮の市民、パンパンと悪口いわれた女性で日帝支配時代に満州にいた朝鮮人(のちの朝鮮族といわれた)、北朝鮮の兵士。
朝鮮は2つに分断されたと言われるが、実際はまだある。
韓国と北朝鮮。日本の統治時代に満州にいた朝鮮人が中国北部に取り残され現在は中国北部に住む中国市民で朝鮮族と言われる人達。韓国で朝鮮族は今は差別されてる。
言葉が通じなかったり人種も違う、思想も違う同士がダンスで会話していく。タップダンスはお互いのかけあいによる会話みたいなダンスだと思うけど。
戦争や冷戦がなければ、朝鮮の隣人で、友達でダンス仲間だっただろうに。
それはアメリカ人も同じだ。
アメリカの白人による黒人差別やアジア人差別もひどい。
イエローモンキーと呼ばれ人間扱いされないアジア人差別の様子や、家族を養うためにアメリカ兵の情婦になろうとしてる朝鮮人女性。日本の敗戦後の米の占領時代とかぶる。
戦争で家族と引き裂かれて泣く北の人達の苦しみもかわいそう。
戦争やイデオロギーや思想統制や表現の自由を奪われ、ダンスや音楽を奪われても、それでもダンスや音楽から離れられない。
爆発しそうな自分の感情をダンスにぶつける。
ダンスや音楽は戦争もイデオロギーも超える。
戦争で殺伐とした人達に人間の心を取り戻してくれる。
ダンスや音楽がもともと好きな朝鮮半島の人達には、ダンスと音楽は切っても切り離せない文化だ。
だが結局冷戦のイデオロギーのせいで悲劇が…。
米の有名ダンサー、KPOPアイドルでEXOのD.O.のダンスがうまいのはうなずけるが(KPOPとダンスは違うけど)、演技派のオ・ジョンセがダンス踊ってたのにびっくりした。
映画の構成やストーリー、少しセピア色で50年代のレトロなムードの映像、何度もあるダンスシーン、戦争やイデオロギーで翻弄されるそれぞれの人生、史実をもとにした捕虜収容所内で殺戮シーン。
監督は、なぜ同じ民族同士が憎しい殺しあうようになったのか、韓国人は反共思想を教育され、最近北をアカと悪口言う韓国人が増えたので、同じ人間同士考えてほしいとこの映画を作ったそうだ。
非常によい作品だった。
ぜひ見てほしい
ダンスをする彼らの真剣な眼差しに目を奪われる
前半は、個人的にはあまりハマらなかった。
シリアスな軍事映画、ヒューマンドラマとして観ればいいのか?音楽とダンスを楽しむミュージカル映画なのか?
どちらともとれないし、リアリティもイマイチだし、急に踊り出すし、ダンスは万国共通!みたいなメッセージ性も安直に思えるし、キャラクターもみなコテコテな印象を受けて、あまり好きになれなかった。
けど、後半、クリスマスコンサートに向けて…の怒涛の展開にはアッと言わされた。
真剣に練習やダンスに取り組んできたキャラクター達、必死に生きてきたキャラクター達の、精一杯のパフォーマンスに心奪われた。
この人たちのことを、私は思っていた以上に好きになっていたようで、最後の展開にはかなり感情を揺さぶられた。
独特なB級感があるのは、シリアスな舞台設定とダンスといい2つのギャップが激しいから?かな
戦時の最中に駆け抜けた時間
戦時下の捕虜収容所でのダンスチームの物語。
のっけからミュージカル感が一杯なタップの作品。
寄せ集めのようなチームが段々と形付いてくるのは、見ていて楽しいものです。
見どころはやはりタップなのですが、人々の力強さもこの作品の見どころでしょう。
収容所内という閉鎖的な場所であるものの、皆生き生きと輝いて見えるんですね。
それとミュージカルらしい流れるようなカメラワークが見事でした。
でも舞台は朝鮮戦争。これは戦争映画でもあるんですよね。
その闇を観客にも突き刺してくるようでした。
それでもラストの二人でのタップ、エンドロールの入り方、流れる「フリーバーズ」、みな晴らしかったです。
戦時の最中に駆け抜けた時間、それをこれ以上無いくらいに描き切っていました。
踊り狂って、やがて哀しき
2018年(韓国)
ドラマティックな悲劇の後に流れるセピア色のエンドロール。
D.O.もジャクソンもスウィング・キッズのメンバーも。
みんな幸せそう・・・
韓国人にとって朝鮮戦争の悲劇は今もなお、
現在進行形なのか?
1951年。巨済島捕虜収容所の新任所長(これがアメリカ人の将校・・・
ここで韓国人でない私も、むかっとする・・・日本人をしつこくバッシングする
韓国人・・・実は長くアメリカ人に好き勝手にされてたのではないか?)
(怒る相手がいつも違うだろう?と、思う)
それはさておき、所長は収容所のイメージアップのために戦争捕虜によるダンスチーム結成を計画する。
ブロードウェイのタップダンサーだった黒人士官ジャクソンをリーダーに、
女一人に男四人のチーム名は「スウィング・キッズ」
ジャクソンとギス(D.O)のダンス合戦が目を見張る。
凄すぎるよ、おふたりさん。
ビックバンドがビートルズナンバーを演奏して、なかなか楽しく盛り上がる前半。
後半のそしてラストが悲しすぎる。
宴の後にしても酷すぎる。
アメリカ人よ!
タップダンサーの脚を撃ったりしますかね!!
映画だけど、怒った!!怒り狂ったよ!!
韓国人が捻くれてるのも、多少は理解できた映画でした。
戦争に翻弄された。
朝鮮戦争下の捕虜収容施設内の話
アメリカ軍の所長は、話題作りで、元タップダンサーの
黒人兵士と捕虜でダンスチームを作らせようとする。
なにかと問題あるロギス、中国の曲芸師、別れた奥さんを探す民間人。4か国語を話すヤン。なかなかユニークなチームだ。しかし、いろんな思惑に翻弄される。
ヤンを演じたパクヘスが、小柄で可愛らしい。
なんか、ハッピーエンドにならない現実が苦しいね。
実在の捕虜収容所なのかぁ
魂ゆさぶり系
思想が違くても、相手が憎くても、祖国の英雄と呼ばれても、そうでありたいと思っても、強く心惹かれるものを見てしまったら?
この話はフィクションだけど、こういうことって実際あるんだと思う。
主演俳優の目の演技すごい迫力だった。
韓国のアイドルってなんでこんなに演技うまいの。
最初はめっちゃ笑った。
適当な通訳やオーディション最高!
途中から胸が締め付けられる。
最後はそうなるのか…。
タップが上達して、ダンスバトルしたり誘ったり、踊ってる瞬間は心が解放される見せ方、すごく高揚した気持ちになる。
北野武「座頭市」のラストシーンの幸福感を思い出した。タップやりたーい!ってなる。
こういう映画は大好き。
でも終わり方が現実的すぎるので3.5。
テーマ的にハッピーエンドは無理だよね。
リズムたっぷり
タイトルなし(ネタバレ)
最近映画観てもレビューサボってたのですが久しぶりに投稿します。
音楽とダンスに魅了され心を繋げていく人たちの輝きと
対比して
戦争の重くどこまでも残酷な様が苦しい
ギスがアメリカに反発しながらも音楽とダンスに心を奪われる演出がとても良かった
難点をあげるなら
ダンスにcgぽさがあるところ。特にギスのコサックダンス
ラストに向けて通訳が必要なとこなど曖昧になってるとこかな
ダンスという武器
国も人種も思想も違えど何か人間が繋がる方法はある!
音楽とタップダンスに高揚感を覚え思わず手拍子もしたくなる・・・しかし残酷な現実。どういう終わり方をするのだろうと後半想像しなからみていたが・・
さすが韓国映画単純には終わらせないのだ。
クソイデオロギー
作品の構成が見事!
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