北の果ての小さな村で
劇場公開日:2019年7月27日
解説
北極圏に位置する島国グリーンランドを舞台に、人口80人の村の小学校に赴任したデンマーク人教師が村の人びととの交流の中で成長していく姿を描いたフランス映画。グリーンランド東部にある、80人の小さな村チニツキラーク。子どもたちにデンマーク語を教えるため、デンマークから28歳の青年教師アンダースが村の小学校に赴任した。アンダースは自分探しのために、家業である農業の継がずにこの村での生活を選択した。しかし、言語や習慣の違いからろくに授業はできず、村人との考え方の違いから孤立気味に。想像を上回る過酷な自然もあり、彼は自身の考えが甘かったことを痛感する。そんなある日、狩猟のために学校を休んだ児童を叱責する目的で児童の家を訪問したアンダースは、少年の祖父母からさまざまなことを教わることとなる。
2018年製作/94分/G/フランス
原題:Une annee polaire
配給:ザジフィルムズ
スタッフ・キャスト
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2021年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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デンマーク人の青年アンダースはグリーンランドの極寒のイヌエットが暮らす村にデンマーク語の教師として赴任する。子供たちはまるで言うことを聞かないし村人も素っ気ない。
グリーンランドはデンマークの旧植民地だから先住民のイヌエットにしてみればデンマーク人の教師は目障りな存在、そんなアンダースが教え子を通じ村人の生き方に次第に理解を深めてゆく過程を綴ったドキュフィクション映画。
監督のサミュエル・コラルデさんは元はテレビのドキュメント畑の人、フランス東部の雪深い山村に育ったこともありオーロラの幻想的な雪国グリーンランドに関心が高かったそうだ、旅行中に映画の舞台となったチニツキラーク村を気に入り映画の構想を練っている時に知り合った教師が退職し新任の教師が赴任する話を聴きつけた、それが本作のアンダース先生ご本人、村人にも協力を依頼し映画化にのってもらったわけである。終盤の探検旅行以外はほぼ実話ベース、脚本はあるもののほぼ当人登場のドキュメンタリーだからドキュフィクション映画なのです。
イヌエットはモンゴロイドで日本人とも共通の遺伝子を持つと言われているだけあって昔の日本の田舎の子のようで親近感が湧いてしまう。探検家の植村直己さんも北極探検前にグリーンランドで犬ぞりや狩猟の訓練を積んでいたそうだ。
郷に入れば郷に従えという現実もあるのだろう、映画の終盤で教師を諦めて村人に同化してしまったかのように見えて残念に思えたのだが決してあきらめてはおらず、圧しつけ教育ではなく寄り添うことで教師としての自覚を得たようで何故かほっとした。
どういう生き方が良いかなど軽々に決められるものではないがいつまでも自然に頼った狩猟生活というのもリスクが高い、幸いレアメタルなど地下資源は豊富な国、可能性、選択肢を広げる意味で教育は全ての子らに必要ということだけは言えましょう。
個人的には観ているだけで寒くなるし観光としてもとても無理、子供が銃口をやたら人に向けるのに大人は注意しないところや犬の親子が軒下で凍えている様はちょっと頂けなかった、子連れの熊は狩らないデリカシーがあるのならもう少し気配りが欲しい気もする。
2020年7月11日
Androidアプリから投稿
ないが嫌いになれない映画
グリーンランドの景色のための鑑賞もありかと
ドキュメンタリーではない映画の中に組み込まれる壮大な自然はむしろ貴重な気がする
2020年3月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
グリーンランドの壮大な自然環境で生きるイヌイットの人達を理解しようとしたら、主人公は彼らから自然に受け入れられました。授業を大人しく聞くとか学校を休まないとかそれはあくまで自分が正しいと思っているだけ。自分の価値観を押し付けているうちは、恐らく人から受け入れられることはないのだなと思いました。これは、私自身にも日本という国にも言えることです。
今作を鑑賞してグリーンランドに初めて行ってみたいと思いました。。私は寒い所が嫌いなのですが、そんなのも忘れるくらいに、フィルムから氷の神々しさを感じました。イヌイットって、日本人と同じモンゴロイドなんですよね。普段映画をあまり鑑賞しない旅好きの方も楽しめる作品です。
2019年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
トランプはグリーンランドを買いたかったらしいが、グリーンランドのフレデリクセン首相が「馬鹿げている」と一蹴した。などと、この映画が日本で公開されているときのニュースだ。多分、この映画をトランプが観たら、絶対に買う気は失せるだろう。
人口5万人の島国。かつてはデンマークの植民地だったことから、主人公アンダースも自分の生きがいを見つけるために丁度いいと判断したに違いない。農場を継ぐのが嫌だからと、ニート寸前のアンダースだったのだ。しかし、デンマーク語を教えることですら難しく、住民たちにも嫌われてるんじゃないかと疎外感を味わうのですが、やがて8歳の少年の家を訪問してから徐々に住民の気持ちがわかってくる。
アザラシを食う、一角鯨を獲りたい、シロクマに会いたい。シロクマの毛皮を運ぶシーンもあったし、撃ち殺したという話もあった。地球温暖化のために生息地域が狭められ、絶滅危惧種にも指定されたシロクマ。白クマ黒クマ白クマクマである。
そうしてイヌイットの狩猟に参加したアンダース。極寒の地の厳しさを学び、ようやく心が通い合った一瞬でもあった。犬ぞりの犬も大変だし、吹雪の中の撮影だって大変だ。もしかしたら、ドキュメンタリー映画だったの?とも感じるのですが、ちゃんと脚本はあるようだし、大自然を生かした心地よいドラマなのでした・・・