ジョナサン ふたつの顔の男 : 特集
【「サーチ」「ギルティ」「メメント」━━次の《設定秀逸スリラー》は本作】
[1つの体に2つの心]×[12時間で人格転換]=脳を刺激する“新しさ”!
“トガッた映画好き”の次の1本!【あの“エッジー”映画館の支配人も推薦】
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クリストファー・ノーラン監督の名を一躍知らしめた「メメント」、100%モニター画面で構成された「search サーチ」、“音だけ”の捜査劇「THE GUILTY ギルティ」――トガッた映画好きを心酔させる「設定秀逸スリラー」に今、新たな1本が名乗りを上げた。1つの体に2つの人格が共存する青年を描いたアイデア作「ジョナサン ふたつの顔の男」(6月21日公開)。12時間で人格がスイッチする彼が巻き込まれた“事件”、その果てに待つ衝撃の“運命”とは? きっと、あなたも翻ろうされる――。
「ギルティ」に震え、「サーチ」に感化されてきた人の“次”は本作━━
映画ファンが求めているのは、この「独自性」と「斬新性」!
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見る者の予想を超える“展開”、思わず先が気になってしまう“新しさ”、ツイストの利いた“設定”……。映画ファンであればあるほど、「独自性」と「斬新性」が光る「脳を刺激する映画」を常に求めているもの。見ているこちらを試すような挑戦的な作品こそが、鑑賞欲を満たしてくれるのだ。「ジョナサン ふたつの顔の男」は、そんなワガママな観客の知的好奇心にしっかりと“刺さる”1本。決して大スケールの作品ではないが、細部まで行き届いた世界観や雰囲気づくりを堪能できる「ニクい」映画だ。
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《映像》:デザイン性あふれるガジェットと均整のとれた構図が、刺さる
ファーストルックからもう、「分かってる」シーンの連続。無機質な空間や、ひんやりとした空気感、イノベーティブな家具やガジェットが醸し出す「リアルなフィクション」のにおい……。この落ち着いた、だがどこか不穏な雰囲気は、「search サーチ」や「THE GUILTY ギルティ」好きには堪らないはず。
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《設定》:12時間で人格が切り替わる“脳タイマー”が、秀逸
本作の最大の特長といえるのが、12時間で人格が切り替わるという独自の設定。それを可能にしているのが、本作オリジナルの「脳タイマー」だ。このガジェットを用いて、主人公のジョナサンはもう一人の人格であるジョンと「1日を半分に分ける」共同生活を送っていたのだが……。
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《物語》:もう1人の自分の“不審な行動”が、サスペンス感をあおる
見た目は自分、中身は別人――。「もう1人の人格が目覚めているときは、何が起こっているのか知りようがない」という設定が緊迫感をあおり、ジョンの奇妙な行動が、先の読めないサスペンスフルな筋運びの構築に一役買っている。自分自身すら、信用できない……。同じ体を共有する2人が、行きつく先は?
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《俳優》:「ベイビー・ドライバー」A・エルゴートが、一人二役で新境地開拓
このような物語を成立させるのに最重要なピースは、間違いなく俳優だろう。完全に別の人間を巧みに演じ分けられなければ、説得力は半減してしまう。「ベイビー・ドライバー」でブレイクし、スピルバーグ監督による「ウエスト・サイド物語」、「ブルックリン」のジョン・クローリー監督の新作で早くもオスカー候補との呼び声も高い「The Goldfinch(原題)」と話題作が多数控えるアンセル・エルゴートは、まさに最適な逸材。内向的なジョナサンと活発なジョンを見事に演じ切り、物語に対する没入感を極限まで高めてくれる。
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【想像を巡らせろ】「12時間で人格交代」……“2つの顔”を持つと、どうなる?
《自分の中の別人》は味方? 親友? それとも……得体のしれない“何か”!?
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「2つの人格が、1つの体を共有している」「だがお互いに意思疎通は図れない」というのは、どういう“感覚”なのか? いわゆる「二重人格もの」とは一味違うこの設定を「日常に当てはめると、こうなる」という形で描写している部分が、本作が「オンリーワン」であるゆえん。「もし自分が同じ“体質”になったら……」と想像しながら物語を追うことが出来るため、全編を通して観客が置いてけぼりになったり、興味をそがれてしまうことがないのだ。気づいたときには“マインドハック”されている――。
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1日をぴったり12時間で区切っているジョナサンとジョンの生活は、細かくルールが定められている。自分たちのことは他人に知られてはならない、ゆえに恋人を作ってはならない、1日(12時間)の終わりには“活動報告”を録画し、引き継ぎを行う……。
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趣味も性格も違う“完全に別人”であるため、食事も服も、携帯電話もベッドも全て別々。ジョナサンとジョンの「日常」は、驚きの連続だ!
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特殊な環境のなか、互いに支え合って今日まで生きてきたジョンとジョナサン。2人は「家族」として固いきずなで結ばれていた。だが、ある“事件”を発端に、ジョンが暴走。連絡が取れなくなったばかりか、自暴自棄になり、ジョナサンの生活にまで悪影響を及ぼしていく。そして、遂にジョンは「禁断の行動」に出ようとし……。壮絶なラストシーンに、あなたは何を思う? 劇場で確かめてほしい!
エッジの利いた映画館の“代表格”新宿シネマカリテの支配人もレコメンド!
質感・設定・物語━━本作が「私たち映画ファンの映画」である《理由》とは?
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エッジーな作品を次々と上映し、ミニシアター界の雄として広く知られる新宿シネマカリテ。国内外のトガッた映画を上映する特集企画「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション」を毎年開催し、東京のカルチャーの発信地としても強い影響力を持つシネマカリテを引っ張るのが、支配人の松岡宏起氏だ。世界の映画に精通した「一流の目利き」である松岡氏が見た、本作ならではの魅力とは?
ただの二重人格ものだと思って見ると、良い意味で裏切られる!武蔵野興業株式会社 興行部 シネマカリテ番組編成補佐 松岡宏起 二重人格ものは数あれど、脳にタイマーが埋め込まれ、12時間ごとに人格が入れ替わる。という設定は意外になかったのではないだろうか? 昼に生きる内向的なジョナサンと、夜に生きるアクティブなジョン。シンプルながら鋭い着眼点の設定と、正反対な二人。そこに一人の女性が絡み、徐々に完ぺきだったはずの生活が破綻していく。スリラーの性質を持ちながら、本質的には1人の青年の葛藤、恋愛、そして成長を描くあたりに監督のビル・オリバーの手腕が光る。難しい一人二役をしっかり演じ分けたアンセル・エルゴートももちろん素晴らしく、ただの二重人格ものだと思って見ると良い意味で裏切られることになると思います。
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