「猫サムライとスノードーム」アヴリルと奇妙な世界 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
猫サムライとスノードーム
アニメそのものの印象はどことなく日本の昔のコミックを思い出させる風貌だったり、細かな手描き感溢れる温かさには懐かしさが漂ってくる。背景画にしても、中心地以外はモノトーンで暗く、エッフェル塔ですら煤だらけの煙突みたいに感じてしまう。キャラは太い輪郭で、母アネットも娘アヴリルも可愛くない・・・ただ、恋をしてからは違和感もなくなる。
そんな絵的なものよりも独創性豊かなストーリーが面白い。普仏戦争がなくなったことにより大きく歴史が変わり、トカゲ軍団によってアインシュタインやパスツールをはじめとする優秀な科学者が失踪し、世の中は産業革命も起こらず蒸気機関に頼っているのだ。電気すら発明されていなかったが、トカゲ帝国には科学者が集められていたので電気はあった。平和的利用じゃなかったけど・・・
メインとなるのは不死身になる秘薬の研究で、アヴリルの曽祖父ギュスタープから始まっていた。ナポレオン三世が戦争のための最強兵士を作るために研究させていたのだが、あっけなく研究所が爆発し、歴史は変わった!という設定だ。その時逃げ出した2匹のトカゲが地下に帝国を作り上げていたのだ。
祖父ポップスことプロスベールと父ポール母アネットにより完成していた血清はスノードームに混入され、それが1941年にひょんなことから飼い猫ダーウィンを蘇らせ(たと思われた)、祖父の代から追い続けていた警部(降格)や利用されていたジュリウスをも巻き込んで大騒動となってしまう。
個人的にはほぼダーウィンが主人公に思えた!結局、不死身の効果を得られたのは彼一匹だけ。壮大な科学者家族の喋れる飼い猫だったけど、彼が全てを見てきたのだ。奇想天外なストーリーと、宇宙を旅した猫。終わってみると、かなり寂しかったに違いない猫の気持ちも想像できるし、猫目線で描いても面白い作品になったに違いない。科学の発展の逆をいく面白さも彼の功績なのだろう・・・コティヤールが声優だったことを知っていればアヴリルも可愛く見えたのかもなぁ。