「も…もったいね〜…」見えない目撃者 My映画帖さんの映画レビュー(感想・評価)
も…もったいね〜…
こんなもったいない映画は久しぶりに観た。
スゴい面白い。
目が見えない主人公の生活の機微から少し生意気だが頼りになる少年、シブいおっさん刑事たちのカッコよさ。
徐々に明らかになる犯人像。つけ止めるまでの過程も丁寧だった。
キャラクターも話も映像もよく出来てる。
ホントにハラハラドキドキで言うことなし!
と言いたいところだが、後半の脚本のガバさが酷い…。
特に田口トモロヲ演じる刑事が犯人を突き止めた辺りから(超盛り上がるクライマックスじゃねぇか…)今まで優秀だったハズの誰も彼もが「そうはならんやろ!」という行動のオンパレード。いくら時間が無いとはいえ犯人の家に単身乗り込む刑事。銃声が聞こえてソコに行こうとする少年、それを止めずに自分も行こうとする主人公。到着の遅い応援。そうはならんやろ!
こういうのはリアリティが大事じゃないか…。犯人に追われてる時も不自然に人少なかったし…。
ここまでスゴい面白かっただけにとても残念。ホントにもったいない。いくらなんでも話が粗すぎて前半の良さだけでは乗り切れないレベルだった。
ただやはり前半、というより本編の3/4はホントに面白い。加えて犯人のディテールがとても良く、その点も気に入っている。名作「セブン」のような儀式殺人かと思いきやただの快楽殺人者で、警官になったのも死体が見たいから。なんだかとってもリアルで良い。
映像も中々攻めてて、しっかりグロくなっている。邦画ではあまり見かけないレベルだった。
粗こそあれど非常に惜しい、挑戦的で好感が持てる作品だった。日本もどんどんこういった作品を作っていってほしい。
と思ったらこの作品、韓国原作だった。ホントすごいあの国は。「パラサイト」も面白かったし、アカデミー賞すら取ってるし、「愛の不時着」も大ヒットしてるし。日本も韓国も映像ではハリウッドに敵うわけはないと思うが、脚本ならまだまだ勝負の余地があるハズだ。