キーパー ある兵士の奇跡のレビュー・感想・評価
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少し脚色強めの実話に基づいたヒューマンドラマ
実在の人物バート・トラウトマンを基に作られたストーリー。ドイツ軍出身の彼は、終戦後に戦時中の敵国であった英国のサッカーチームでゴールキーパーとしてプレーすることになる。
終戦間もない英国でドイツ人が選手として参加する、それだけで話の流れは容易に予測できる。
サッカーを観戦する人の中には当然、戦地に赴いた者、戦争で家族を失った者がいる。そのような人たちから向けられる敵意の描写が凄まじかった。
もちろん映画にするにあたっての誇張や脚色はあるだろうけど、この映画をきっかけに実在した人物であるバート・トラウトマンに興味を持ったり、大戦後の英独関係に興味を持ったりと観る人に何かしらのきっかけを与えてくれる映画だと思う。
敵国でキーパーとしてプレーし、英国民に受け入れられるまでの前半パートよりも後半のトラウトマンの内面に着目したパートの方が私は気に入った。
後半パートは実話にどれほど基づいているのか分からないけど、戦争に兵士として参加した一人の人間の苦悩や後悔が鮮明に表現されていて、スポーツものとして観ていたら、突如としてヒューマンドラマに変わったような印象だった。
自分に忠実にあれ!
この映画を見たいと思った理由は、負の遺産であり第二次大戦の侵略者、それに、ユダヤ人たちに対する卑劣な差別や殺害などの結果。ドイツの軍人に対する連合軍側の差別を映画で見たかった。当時の様子をなんらかの形で観てみたかった。ユダヤ人差別はかなり多くの映画になっているし、あちらこちらに、ホロコストの負の遺産を残すために、記念碑が建てられていて、自ずと、共鳴する。
果たして、ヒットラー政権崩壊後、ドイツの人々、軍人はどう生きていったんだろう。自分の存在を隠していきてきたのだろうか? 差別の影響も並大抵じゃないだろうし。Bert Trautmann (David Kross) _がなぜ英国マンチェスターのフットボールのチームに入れたのかも不思議だし。数多くの疑問があったし実在の人物なので、鑑賞動機も高まった。
1944年バートのドイツ軍が、ライン川の近くのクレーヴェ(Kleve )という所で、捕虜になり、北東イギリスのランカスターのLancashire Camp で捕虜生活をしているところから始まる。
好きなシーンは:
1)マーガレット。マーガレットはバートに興味をもっても、敵だったということで、苦しむ。敵を好きになってはいけないがマーガレットは心が動く。二人の心の中が理解できるので、一番美しいシーンだと思う。
2)1949年、バートはマンチェスターに出かけて、契約する記者会見がある。これが、興味深い、まるで裁判やヒヤリングのように記者は、バートの過去に対して質問を投げかける。彼は志願してナチスに入ったと調べが。でも、自分が何をするか、軍にはいったことでどうなるかもなににも知らなかったと。洗脳されていたわけだから、理解できる。軍に入るか、入らないかの選択肢がなく、自分がフロントラインで戦い始めたときはもう遅すぎた。フットボールのゴールキーパーとしての質問はなし。 これだけ、避難責めの質問にコミッショナーたちはストップをかけるが、バートはそれを振り払って、彼にとっての真実を話す。この姿勢に感動した。マスコミの前で、そのままの自分でいるという強い信念をもっている。自分の過去はどんなことがあっても変えられないから、自分の過去が捌かれようとも透明にする。それで、あとで信頼を獲得できるから。
嘘というのはどこかで辻褄が合わなくなるし、自分に卑怯になりたくないんじゃないか?
そして、帰り道、疑いを持ち始めた伴侶マーガレットに。自分を信じてもらうには今の自分しかないんだ。いま、自分に忠実に生きていたらと。そのあと、ゴーリーがアイロンクロス(Iron Cross )にいたと、新聞にも載る。自分の生き方が問われる映画。後で、YouTubeのBert Trautmann Storyをみたけど、彼の生き方についての情報が少なかった。でも一言、自分を救って、教育してくれた、イギリスに感謝すると。
3)マーガレットが、ユダヤ人の多いマンチェスターでバートのプレイを反対している人々に言った言葉『ドイツのやったことは絶対に忘れてはならない。でも、許せないという意味じゃない。バート軍隊に四年いたけど、それを否定していない。ひとりでいたわけじゃない。このすべて起きたことは彼だけの責任にできない。私は彼のことを軍人として知らない。人間としてしか知らない。』ユダヤ人のラビがこれに耳を傾ける。力強いシーンだ。
バート・トラウトマンは1949-1964年マンチェスターシティーFCのゴールキーパーをして、両国の架け橋となった。彼は退職後海外のチームの指導に当たったらしい。二人はすでに離婚していて、マーガレットは千九百八十年になくなった。バートは二千十三年になくなった。二人には息子が二人いると。バートは女性に人気があったらしくマーガレットの前に、女性がいてその女性との間に女の子フリーダができ、バートは二人をおいて去ったらしい。四十二年後に、フリーダが母親をバートにあわせたと。YouTubeのBert Trautmann Storyから。映画では、必要ない部分や不名誉な部分を省いているかもしれない。
蛇足
ドイツの俳優デビッドクロスのフットボールの動きがいいと思ったら、2004-2006年まで、プロバスケットボールクラブに所属していたと書いてあった。
マイルドな感動作
オンライン試写会で鑑賞。
イギリスの捕虜となった元ナチス兵トラウトマン。収容所でサッカーをしている姿が地元チーム監督の目に留まり、キーパーとしてスカウトされる。その後、名門クラブに入るが、ドイツ人という理由で誹謗中傷を受けることになる…
当時のドイツに対する嫌悪感というのが伝わってきて、逆境に打ち勝ち、国民的英雄になるまでの過程に感動は感じたが、全体的にマイルドに感じた。
収容所でも、サッカーをしている時も、もっとひどいことをされていたんだろうなと思った。それと奥さんもドイツ人と結婚したイギリス人として謂れのない中傷を受けていたのだろうなぁ、もう少しそこら辺をしっかりと描くことで、感動が増すのではないかと思った。
トラウトマンただ1人にナチスの罪を問わせるかのようなイギリス人たちの反応に対し、奥さんの憎むのではなく許すべきという発言。今作で伝えたいテーマの一つだと思った。今にも当てはまるし、難しいけどそうしないと次に進めないよなと思った。
憎むより許すこと
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