劇場公開日 2019年12月13日

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「観るべき作品なのに好きになれない映画〜」家族を想うとき 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5観るべき作品なのに好きになれない映画〜

2019年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

誰も不幸なろうとは思っていない。
真面目に働いてなんとか幸せになろうとしているのに
なぜこんなことになるのだ!!

一番きついのは、この話は作り物では無く
実際に同じ状況の人たちから集めた
真実の実態の集積であること、
そして、日本でも同じことが起こっていること、
それが果てしもなく怖い!

ああ、それと宅配はできるだけ一回で受け取れる様に
受け取る方も配慮しろよ!!

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

ケン・ローチ監督の今の経済社会システムへの怒りが

前作、前々作からも伝わってきていた。
本人が悪いのではなく今の経済社会システム自体が

弱者を救済することを全く計算に入れていないということ。

それはよく解る。


もちろんシステムの問題が一番なのだけど、

映画の冒頭、お父さんは色んな仕事を転々としてきた経歴を話す。
そんなに色々やってきたのなら
何か他に続けられなかったのだろうか?
仕事を辞めた理由を、ガミガミ言われて嫌になったとか
奥さんの仕事に不可欠な車を売って
自分の仕事のための車を買ったり、
私には焦り過ぎて周りが見えてない人に思えてしまう。

そこを云々する映画ではない事は
重々承知の上で、
やっぱり、
このお父さんは最後まで好きになれない

と感じるのは私だけなのかな?
前作も前々作も、経済社会システムの被害者である主人公自体に
どうもいまいち共感しきれなかった〜

鑑賞後、少し経ってから監督のラジオインビューとか
「ザ・ビッグイシュー」に掲載された文章を観ると
人間にはいろんな面があるから
主人公を無条件にいい人には描かないとのこと。
確かにあまり主人公を良い人にしてしまうと、映画そのものが
あまりにも絵空事になって本当の恐ろしいことが伝わらない〜

でも、痛い!!痛すぎる!!

複雑だな〜
今の世界を変えるために観るべき映画なのに

好きになれない映画って〜〜

で、一般ピーポーがこんな痛い思いを堪えて
良い映画だとこの映画を讃えているのに
こんな歪んだ資本主義システムに胡座をかいて
ぼろ儲けしている搾取している側の資本家が
おそらく一人もまとものこの映画を
観ていないであろうことが一番、腹が立って、
資本家たちを蹴り倒してしまいたい衝動にかられる。

お父さん、行かないで!と子供達が言う。
子供達は
一緒にいてくれるお父さんが好きだったんだね〜
子供達が本質までは歪んでいない事が唯一の救い。

@お勧めの鑑賞方法は?
映画館で観た方が、まだ切り替えができるかも〜
自宅とかで観ちゃうと人生が殺伐としてしまいそう〜

星のナターシャ
近大さんのコメント
2020年10月23日

コメントありがとうございます。

見ていて胸に突き刺さる作品でしたね。色んな意味で、自分を重ね合わせてしまうかのようでした。
監督のケン・ローチも私たちもこの苦しい世界の一員だからこそ、より響くんでしょう。
本当に仰る通り、我々の上であぐらをかいてふんぞり反っている輩に見せてやりたいですね。どう思うか…。

星のナターシャさんのレビューも魅力的で、自分もよくよく拝見しちゃいます(^^)

近大