パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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前半・絶好調、後半・大失速
始まって1時間を過ぎたあたりでは、「こりゃ面白い」と思った。
しかし後半は、その興味深い状況設定を生かすことなく、ドタバタ劇となる大失速。
致命的なのは、過激に走りすぎて、観客が心情的に、思わず主人公に「肩入れ」してしまうという“共犯関係”を利用できていないことだ。
もっと真面目な“社会派”映画を期待したが、あざといほどの“サスペンス & コメディ”で、“社会派”のフリをしたエンタメにすぎなかった。
“映画館”で観る必要のないタイプの作品だと思う。自宅で十分だ。
非の打ち所のない
非の打ち所のない、って言葉初めて使うけど、ほんと非の打ち所のない作品。ポン・ジュノ、段違いに凄い。今までの作品も、他の映画も色々好きだけど、こんな完璧な映画は近年なかったんじゃないか…と思える作品。匂いや水や地形などの使い方、邸宅と低所得層の街などの美術、撮影、そして役者…どれも凄い。エンターテイメントとして抜群に面白い。階級についてこんな風に語れるのも凄い。とにかく凄かった…
現代韓国虫ケラの歌
2020年一発目、と決めていたので先行上映へ。
まあつまらぬわけはないな。上映前にネタバレ厳禁アナウンスをポユジュノか言うので余計期待が高まるが、まあ飽きさせず徹底的に押しまくる。今の日本映画でこんな雨は見たことない。黒澤明「天国と地獄」感と、ブニュエル感溢れる密室劇。エンターテインメントと社会風刺がびしっと決まった虫ケラの歌。こういう映画がたくさん観れますように。
やっぱり映画っていいよね
何を言ってもネタバレになるので何も言えないけど、直接的な説明や主張じゃないものから伝わる感情やメッセージ、映画ならではだなと改めて思う。
ともあれさっさと映画館へ
私の中で最上の映画体験は「映画館から出たら世の中の見え方が一変する」という類いのもので、この映画にはそれがあった。(よりにもよってこれを「貧乏人お断り」みたいなムード漂う日比谷ミッドタウンで観たというのがまた…)
あと、今年わりと考えた「映画は観た後の感想しか言えない問題」が今回もあって。
観てる間は笑えるセリフとかかっこいい画とかいっぱいあってテンション上がってたんだけど、最後まで観た今はどうしても「わーい楽しかったー!」みたいな気持ちにはなれないっていう。
主人公家族がほんといいんだよなー。なんか妙に仲良くて。もちろん「万引き家族」感もあるけど、私は「お嬢さん」の女中になった貧しい女の子を思い出した。
あと息子がめっちゃかわいい。親父に敬語使ってるのもかわいい。韓国の男の子の見た目、(一重切れ長中性的)ほんとすき。
パラサイトとか万引き家族に賞を与えて悦に入りながら金持ち生活を謳歌してるであろう人たちのことを考えるともやもやするが、こういう社会の歪みに光を当てた作品が評価されることで少しでも実社会が良くなる可能性があるなら意義があるんだろうな…とも思ったり。うーん
ともあれ、映画として最高に面白くてかつ社会問題を考えるきっかけになるのは間違いないので、ネタバレが蔓延する前にさっさと映画館へ!
5億星つけたい
『グエムル』は、在韓米軍が下水に流した薬品により誕生した怪物と家族で戦う物語でした。
今回の『パラサイト』は家族で格差社会と戦う物語です。今回の敵も怪物と同じくらい厄介です。家族は「プラン」を立てて上流階級の家族に順調に侵入していきます。しかし、思わず聞いてしまった社長の匂い発言。 自分では完璧に演じきっていると思っていたのに、匂いという内面から発せられる自分ではどうしようもできないものによって「プラン」が破綻していくシーンは悲しく絶望的な気分になります。そのあと父親は、「プラン」を立てることを放棄する、ある種の敗北宣言をします。しかし、そこからのラストに息子から父への手紙で「プラン」を語るところにかすかな希望を感じました。
『パラサイト』は、格差社会を扱っているといっても堅苦しさはなく、格差社会という主題の面白さのほかに、勝手に家に上がり込んでるのがばれるかもという単純に娯楽映画としての面白さもあると思いました。『母なる証明』で、母親が息子の友達の家に侵入したときもそうでしたが、ポン・ジュノ監督はこういうハラハラドキドキを撮るのがうまいです。
家の造形が適度に死角があって、隠れている主人公家族と、それを知らずに行動する裕福な家族のそれぞれの様子が、観客には手に取るように分かりハラハラさせられます。こういう映像が撮れるのはやはりさすがだと思います。
最後に蛇足ですが、裕福な家族の末っ子の男の子の存在が一番怖いです。姉に言わせれば奇抜な行動も演じているだけ。そして地下の男のモールス信号も読み取っていたのになにもしない。彼はなんだったのだろう。
恐らく、一回観ただけでは分かってないことも多々あると思うので、また映画館に行きたくなりました。
家庭教師のミタ園
監督自ら頭を下げてネタバレ禁止のお願いをしてくる映画というのを生まれて初めて見た気がする。本作のおかげで、2年連続アジア人監督作品がパルムドール受賞という快挙となったわけであるが、是枝裕和の『万引き家族』とボン・ジュノの本作では、観客への信頼度という点でかなりの温度差があるような気がする。
2作品とも国家にある意味見捨てられた棄民家族を主人公にしているのだが、ボン・ジュノによる本作は(『万引き家族』と比べると)、メタファー一つとってもストレートでわかりやすくかなりコマーシャルなブラック・コメディに仕上がっているからだ。しかも韓国格差社会の歪みは、ボン・ジュノがもはや観客を信じられないほどに大きく広がっているに違いない、そんな印象を受ける冒頭の一コマであった。
道端で立ちションする酔っぱらいが丸見えの薄汚い半地下部屋で暮らす4人家族。父親キテク(ソン・ガンホ)は失業中、息子ギウと娘ギジョンは貧乏で学校にも通えず、家族全員で出前ピザ屋の箱組立アルバイトでかろうじて生計をたてている。友人の紹介である裕福なIT会社社長宅令嬢ダへの家庭教師にまんまとおさまることができたギウは、ある〈計画〉を立てるのだが…
著名な建築家が建てた、広い芝生の庭がある山の手の豪邸が舞台となって展開するストーリーは、いつも以上にボン・ジュノが吐きまくった毒気に満ちている。絵に描いたような豪勢な暮らしをする社長家族と、ゴミ溜め同様の半地下部屋で便所コオロギと暮らす家族の格差が半端ではないのだ。今まで一線を越えることなかった富裕層へのルサンチマンが爆発するまでに至った経緯に、正当性を与えるシナリオともいえるだろう。
北朝鮮が発射するミサイルに備えて豪邸内部に作られたシェルター。北のニュース・アナウンサーをコケにしたかと思えば、社長の息子が立てたインディアン風テント(米軍基地?)の回りでパーティを楽しむ富裕層たち。珍客(在日?)のせいで家族の正体がバレそうになった時、さらにある災難が降りかかり踏んだりけったりの半地下家族は、現韓国政権同様の〈無計画〉路線を選択するのである。
「人を殺そうが、国を売ろうが関係ない」と息子に語るキテク。わかりやすい政治的メタファーを散りばめ、そんなアナーキズムを臭わせる演出をしながら、ボン・ジュノは貧乏人がけっして富裕層にはなれない決定的な“違い”を観客に突きつけるのである。もしかしたらこのまま富裕層(日本!?)に寄生・同化することができるのでは、という甘い希望が無惨にも断ち切られた時、韓国人の心にくすぶり続けている“恨”の炎がメラメラと燃え上がるのである。
「考えさせられるエンタテインメント」の最高峰
2019年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得し、各種賞レースを席巻した作品。アメリカでの外国映画興収ベスト10入り確実の勢いである。
本作がなぜそれほどまでに支持されるのかといえば、「格差問題」を極上のエンタテインメント作品に仕上げたことだろう。同じくカンヌのパルムドールを獲得した「わたしは、ダニエル・ブレイク」も「万引き家族」も社会問題を扱ってはいるが、前者は極めてストレートに、後者は極めて繊細なトーンで描いている。「パラサイト」はエンタメ作品として最高の仕上がりを見せながら、鑑賞後に深く考えさせられるという意味で、鑑賞者の層を押し広げた感がある。
「半地下」の家で暮らす貧困層家族。この「半地下」という設定が後々、じわじわと効いてくる。
あるきっかけから、富豪家族に入り込むことを計画した家族の物語は、前半は痛快である。2人の子どもたちはとにかく頭の回転が速く、計画はびっくりする程呆気なく、華麗に進む。父も母も巧みにそこに加担していく。
それが後半、雪崩れ込むように次々と巻き起こる事態。貧困、借金、秘密、計画という名の悪知恵。そして富裕層の無邪気さ、冷酷さ、無意識の差別。描き方はあくまでエンタテインメントなのだが、どんどんと、突き放したような冷酷さを帯びつつ、感情が爆発する物語。阿鼻叫喚なのにクール。そして一筋の希望。
「計画を立てても失敗するのだから無計画がよい」「金持ちなのに優しいのではなく、金持ちだから優しい」どんどん突いてくることば。特に「計画」は本作にとって特別なことばだ。計画を立ててもどうやっても報われない人びとがいる。「計画=希望」のない社会をどう生きるのか。この作品なりの答えは提示されているけれど、多分この先もっと考えなければいけないテーマだろう。
そして「上流階級」が見せる無邪気で無意識な差別。「臭い」で表現されるそれ。「上流階級」だけの世界形成。台風のときにホームレスの方々が避難所に受け入れてもらえなかった、というニュースをふと思い出した。根源は同じところにあり、多分私自身にも潜んでいる。
エンタメとしても、伏線を回収したり放置しておいたりの選択が上手く効いていると感じる。普通は回収しきれないのはどうかなとは思うのだが、「パラサイト」ではそれが余韻を生んでいるように思えた。
演者たちも大変ウィットが効いており、最高の布陣だなという感じがする。「ソン・ガンホに外れなし」という勝手自分伝説の確信は深まった...。
期待度上げすぎ
カンヌでパルムドール獲得とか、上映前に監督とキャストから"ネタバレしないでね"とのお願い映像などで期待上げすぎか、面白かったものの想定内の展開。
前振りで、そこまでどんでん返しが…と、期待しすぎましたが、ストーリーのトリックより、構成の妙に拍手したい。序盤は半地下で暮らす親子4人の軽妙なコメディ。中盤は、その家族が金持ちの家に出入りするまでのコンゲーム的な展開。さて、終盤は…!?
全体を通して格差社会の問題を下敷きに、家族、詐欺、スリラーなどの様々な要素を詰め込んだ物語が語られる。それらが無理なく綺麗に構成されているところがすごい。ただ、それぞれが斬新かというとそうでもなく、深いかと言われるとそれほど掘り下げているわけでもない。同じく貧困を扱った「万引き家族」のほうが、納得感あったかな。
前情報無くて観たら、また違った感想になったかもしれない。良い映画であることは確か。
格差社会
格差とは何なのか、深く考えさせられた。
何が「格差社会」という言葉を生んだのか考えると、それは、収入が高く良い生活をしている人間がそうではない人間を下に見て、「格差社会」という言葉を生んだのではないかとこの映画を見ていて思った。
この家族は格差を突きつけられた事に怒ったのではないと思う。良い生活をしている人間の、自分達は上なんだという思い込み、勘違いに対して怒った。
収入や生活の質などが人としての価値をも決めつける、そんな風潮を「格差社会」という言葉は生んでしまう。そんな世の中はダメだ。
ネタバレ要素って、何のこと?
シックスセンスなら「実は◯◯が◯◯だったんだよ!」と観客の前提条件がブッ壊れてしまう鳥肌ものの驚きがあったけど、この映画はそういうんじゃないよね。
ネタバレと言えるほどネタが強くないからかな?
なのでネタバレ禁止映画としてマーケティングしてるのはハードルあげてるだけで逆効果かなと思う。無い方がもっと楽しめた。
なぜならこの映画はシンプルにイカれた内容で形容しがたい凄みのあるものだったから。
染み付いたニオイ
図々しく、狡賢く、逞しく、生きてきた。
黒光りしてカサカサと動きまわる家族の、数奇な運命。
世界中に蔓延る格差、慢性的な貧困、無意識下の見下し、様々なイヤなモノゴトが詰まっている。
しかし、その切り取り方は非常にユニークでトリッキー。
とんでもないことが起きて感情が振り回されるのに、鑑賞後は不思議な爽やかさすら感じる映画だった。
地上でもない、地下でもない、「半地下」の住宅環境、その概念を冒頭でガツンと植え付けられる。
あんなところにトイレあるの、嫌だなあ。
あんなところが窓として在るの、嫌だなあ。
見ているだけで息が詰まるような環境。
それでもまだ良い方なのかもしれない、なんて思うのも嫌なんだけども。
ストーリーは予想以上にエンタメ的。
スタイリッシュなクライムムービーのような描き方で、キャラもコテコテ。
テンポ良くアクセントばっちり効かせ、時にコミカルに、時にスリリングに。
もちろん問題提起はしているんだろうけど、「社会問題を社会問題として真面目に示した」というよりも、社会そのものを皮肉った視線や、どんな生活をしている人も可愛がっているような姿勢を感じた。
しかし、その中にあるたしかな重さにはだいぶやられた。
外ヅラを塗り固めて豪邸家族のあらゆる隙間に入り込み食べカスを拾うキム一家。
最初はそれを小気味良くニヤニヤしながら観ていたけれど、どこかにシワが寄っているようでだんだん不安に感じてくる。
そして計画外の衝撃。
予想外も予想外。寄生も寄生。
絶対的格差を目の前にして、狂うしかなかった人の姿にただただ圧倒されるしかなかった。
染みついたニオイは取れない。
計画をすれば失敗する。
無計画ならどうなってもなんでもいい。
しかし締め方の巧さよ。こんなのもう痺れるしかないわ。全部全部回収していく、丁寧で心地良い構成。
部外者からしたらもう複雑怪奇極まりない。その中に入れた面白さ、深刻さ。
人間ってほんとどうしようもないくらいイヤでイヤで、愛おしいよね。
別にキム一家に自分を重ねることはしなかったけれど、私自身が今を生きることに必死になっている時期なので、彼らの生命力を感じてなんだか元気になってきた。
年末年始って大好きだし。
こちら、桃とジャージャーラーメンとでかいソーセージが食べたくなっている、どうぞ。
こちら、パク家父の声が好きです、どうぞ。
まぁまぁかなぁ?
映画素人です
そこそこ面白く観ましたが、
前評判が高かったので期待しすぎ
だったかな。
先行公開の朝イチ9:10から行くほど
でも無かったです。
auマンデーで安く観れると思ったら
逆に特別料金やし〜。
素人の感想ですが、格調高いサスペンス・ホラーかな。「シャイニング」みたいな。
ネタバレをかなり気にされていましたが、
私が凡人過ぎるのか、こんな感じに展開して
いくのかなっと思った通りに進みます。
ああっここでひと騒動起こって、最後は
多分あそこに居るな。っていやいやあれだけ
ネタバレを心配してるんだから私ごとき
凡人の想像通りいくかいなぁ〜。
ありゃ、想像通りやん!
半地下の家族って日本向けのタイトルが
不気味な想像を働かせてる。
タイトルだけなら5点満点。
これなら同じポン監督の「殺人の追憶」や
ナ監督の「コクソン」の方が良かった。
とは言うものの最後まで緊張感を持って
観賞できましたので3.95ぐらいです。
まぁ、面白いですが通常公開の出来れば
auマンデーとか映画の日とかの、割引き料金
を使って行くのがおすすめです。
ペットセメタリーに期待しょ。
2,30年前にもみた気が…
韓国に巣食う行き過ぎた格差社会への皮肉
半地下に住む青年が、親友の家庭教師の不在がきっかけで金持ちの英語教師の代理を務めることになる。
金持ちの馬鹿さを皮肉っているのだろうが、韓国は過当なお受験大国。お金のかけ方も半端ではない。そんな一学生に家庭教師を任せるなんて、リアリティはいかほどだろうか。
それ以降の展開は、独創的で複雑怪奇なストーリー設定だ。
万引き家族のテイストに似てるという人もいるが、どちらかというとUsに似ている。
パラサイトでなけば夢も希望も持てない韓国社会の現状に、行き過ぎた資本主義を感じるが、それ以上に受験に失敗したら夢も希望もなく終わるという価値観に、刹那的すぎる韓国の闇が浮き彫りになっている。
パルムドール
家族物に弱い?
去年は万引き家族、なかなか考えさせられた。
今回は韓国の文化なので半地下とか地下に住むってのがピンとこなかった。
内容が前半はコメディのようで後半にかけて衝撃的な展開となる。元家政婦が家にきてから家族が帰ってくるシーンはかなりの緊迫感でハラハラさせられた。
ネタバレ厳禁!なんてかなり期待していってしまったばかりにハードルをあげすぎて見てしまったので終わってみればまあまあ面白かったなーくらいでした。
気になったのは運転手のお父さん、横見ながら運転しすぎてて、よそ見運転しまくりでどうなの?って思ったら金持ち親父に前見て!ってしっかり言われてました。
騙されやすい金持ち、よそ見、そんな細かい突っ込みされるの想定済みな監督の人間描写は素晴らしいとは思う。
そして匂い。
自分もおじさんになったので匂いを気にして生きなければいけないと身に染みました。
追記
ジョーカーを抑えてアカデミー作品賞とは本当にすごいと思いました。文化の違いはあれど、一度見たら頭に内容がこびりついて今でもシーンごとに強烈に印象に残ってます。
受賞も納得と言うことで、、
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