パラサイト 半地下の家族のレビュー・感想・評価
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【”半地下の匂い” 格差をテーマにしながらコメディ、サスペンス、ヒューマン要素を絶妙にブレンドした秀逸な社会派エンタメ作品。ポン・ジュノ監督、どれだけの才能を秘めているのだろうか。】
韓国では、北朝鮮の攻撃に備えて”半地下”が多いのは、知っていた。
が、そこから今作の洗練されたアイディアを出し、見事な作品に仕上げたポン・ジュノ監督には、脱帽である。
ジメジメ感が画面からも漂ってくる”半地下”に住む、キム一家。家長はギテク(ソン・ガンホ)だが、妻チャンスク(チャン・ヘジン)には頭も腕力も負けている。
長男ギウ(チェ・ウシク)長女ギジョン(パク・ソダム)も愛想は無いが、家族4人で内職しながら仲良く暮らしている。
が、ギウがパク社長一家の娘の家庭教師を引き受けるところから、キム一家の驚異的な知力、体力を駆使した、パク社長一家への寄生が始まる・・。
[今作の印象的な、暗喩、隠喩に富んだ映像、台詞の数々]
・半地下と地上の優雅な豪邸とのギャップ。
・シンプルで覚束ない”イングリッシュ”の台詞への入れ方・・。(絶妙)
・豪邸の大きな窓から映し出される、全面芝生の庭の風景。晴であったり、豪雨であったり・・。
・北朝鮮のあの大仰な女性アナウンサーをまねる妻チャンスクの姿。私の脳内”爆笑”であるが、大丈夫か? ”親北ギャグ”って・・。
・半地下で暮らす、ギテクの”金持ちなのにいい人たちだ・・”妻チャンスクの返す言葉の”金持ちだから、いい人なのよ・・”
・ボーイスカウトで覚えたモールス信号・・。点滅する階段の照明・・。
・”計画”と”無計画”について話すギテクと、前半、後半の物語の構成。
始まって直ぐに映画に一気に引き込まれるが、後半の更に予想を遥かに超えていく展開と可笑しみのあるスリリングなシーンの数々・・。
・息子の誕生日パーティの華やかさからの驚くべき展開・・・。
もう、圧倒的である。感服である、ポン・ジュノ監督・・。
<ラストの、長男ギウ(チェ・ウシク)の未來への決意にも聞こえた台詞と、暗闇から浮かび上がる”幻のような”映像は暫く忘れられそうにない・・。>
<2020年1月10日 劇場にて鑑賞>
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ー2020年1月30日 追記ー
今作鑑賞後、公開館がどんどん”増殖”しているようで、(実に喜ばしい)
地元のシネコンの大スクリーンで鑑賞する。
”前半の台詞の後半での回収の仕方”と
この映画の大きな魅力であると思われる、幾何学的な構図の美しさ(背景の二階からの階段を下りてくる人物と手前の広大なリビング、庭のショットなど・・)
と、それに合わせた音楽とのシンクロ度合を再び観たく、レイトショーにて鑑賞。
矢張り、ハイレベルな作品は再鑑賞に耐えうるどころか、更に面白みを増す事を確認して、大満足で帰宅した。
<2020年1月29日 劇場にて再鑑賞>
裏社会と貧富の差
「貧富の差」としては世界どの国にもあてはまるテーマ。
ただココでは韓国特有の裏もテーマに捉えてる
家に飾ってあるメダル
PC使いの巧みさ
キムギウ(長男)が兵役に行く前と後に2回ずつ大学受験(計4回)しても受からない
金がモノを言い、能力は無視されてるって言う…
韓国社会の裏を露わに皮肉ってるかと思われます。
計画を失敗しない方法は計画をしない事
最後につながるメタファーも好きです
そして、ラストのシーン
人間は突さに取った行動が本性かと思わせるくらいの衝撃
「何故?」じゃなくて、「やっぱりな〜」です
財力や権力を持つ者への低層者の本音
政府はどう捉えるのだろう〜
おそらく何とも思わないでしょうね
とても面白かったです
2020/02/10追記
2度目の鑑賞@KBCシネマ
補助席出す程の超満員
アカデミー賞作品賞受賞🎉おめでとうございます🎉
アジア圏からの初受賞は嬉しい限りです👏🏻✨
オスカー獲得した後、ユナイテッドシネマやTジョイでも次々と公開し出したってゆうね(笑)
至福
「殺人の追憶」で韓国映画にハマって早10年以上。
ポン・ジュノ作品のソン・ガンホを映画館で観れて
幸せ。そして面白いからこの上ない幸せでした。
半地下に住む下層の人たちが金持ちの家に侵入して行く
と言う情報は得てたので、
初めの展開は分かるけど、そこからがもう次に何が起こるか予想が出来ず、
何が起こるんだ?まさか?予想と違った!
の連続でとても楽しめた。
ポンジュノは観客の「面白い」を分かってる気がして、
手の平で心地よく転がったと言う感覚です。
前の家政婦が怖い顔でインターホンの前で立ってるのも
ソン・ガンホが一瞬キレるのも、
まさか急にここからホラーになる?
いや、サスペンスか?
と揺さぶられました。
シリアスとコメディのバランスもとても好みだった。
監督はもちろん狙っての事だけど、
登場人物達は必死だから余計に面白い。
金持ちと貧乏人の対比も上手く
特に大雨と雨が上がった後のギャップは
観てて苦しくなるほど丁寧に演出されてて
行き届いてたし、
金持ちも決して悪い人じゃないけど、
その気遣いが、その余裕が、その仕草が
自分を惨めにするんだ。
と言うのが伝わって来て苦しかった。
匂いがトリガーになるのも説得力が凄くあった。
匂いで、生き物として君と僕とは違うんだよ
と言われてるような無意識の差別は
映画だがら実際臭わないけどリアリティがありました。
何かアトラクションを体験した。
今そんな気持ちで感想を描いてます。
2020年発映画館、良い体験でした。
賞を取るほどの映画なの???
山水景石
貼付いてくるその凶器は、自分の死を暗示しているかのような啓示だったのだろう。「責任を取る」という台詞に、伏線回収が成されているのは韓国映画としての矜持か、それとも『カンヌ』流の作家性の“臭い”の攪拌なのか・・・。それ以外は、とにかく“オトボケ”色満載の作品である。その煙に巻く展開は、観客の好みがハッキリと分断される問題作でもある。かなりの寓話性が伴うプロットなので、このフィクションを如何にリアリティに映像化できるかに監督の力量が試されるのであろうが、ポン・ジュノ監督、または俳優達のレベルの高さが“問題作”としての引き上げをたらしめたと強く感じた。
但し、後半の唐突な展開による第二幕の畳み方が、少々拙速気味なのが感じられてしまったのが寂しい。勿論、スリルとサスペンス感は充分演出されているのは体験できたが、クライマックスの激しさと、その顛末及び、ラストの兄貴の妄想?シークエンスを見せつけての現在時間に引き戻すオチは、“計画”と“無計画”というテーマ性故とはいえ、一筋縄ではいかない観客への忖度ゼロ度の宣言をぶつけられたようで、そこに何処まで監督の意図を汲み取ることが出来るか、リテラシー力のリトマス試験紙的作品なのかも知れない。文学性、作家性のみで構築されている今作に於いて、単純に経済格差、貧富の問題を引合いに出すのは簡単である。実は別の“地底人”が住んでいたなんていうオカルト色も驚愕した。唯、その大掛かりな仕掛けをしなければいけない程の訴えが、前述した“格差社会“へのアンチテーゼ、そしてルサンチマンへと結びつけるだけだとしたら疑問であり、もっとそれ以外の何かを”隠しテーマ“として訴えている筈である。それがどのようなものであるのか、頭脳が覚束ない自分では解明できる訳もなく、解釈の難しい今作の真意を、その都度考え続ける事になるであろう。それこそが狙いなのかも知れないのに…。
死んだ人、生き残った人、それぞれの境目にヒントが隠されていると睨んでいるのだが、ハテサテ…韓国の大学入試並の難易ということだけはハッキリ理解出来た。
PS.何故だか、翌日からずっと今作品の事ばかり気になり出し始める。何故、妹のみが犠牲になったのか、何故あの洪水の翌日も又、性懲りもなく金持ちの家に仕えたのか、兄がモールス信号を偶然発見した時期には、もう警察は尾行していなかったのか、そして最後の演出である、金持ちになって父親を救出するあの荘厳な場面を所謂”妄想オチ”としたのか、緻密で複雑且つ数多の伏線回収の施しにより、観た直後よりもこうして数日経った時に不意に脳裏をかすめてしまう今作品の底力に改めて驚愕するので、点数を上方修正することとする。
PS2.芥川龍之介著『蜘蛛の糸』を思い出して、今作のモヤモヤ感の一端は解消されたように思えた。今作の割り切れない最大のキモは、正に”弱者同士の醜い争い”に尽きる。この問題に”芯を喰った”概念の映像化が、今迄のどの映画作品よりもより鮮明且つ押し出しの強大さによって観客に揺さぶりを掛けているのであろう。本来ならば弱い者同士、連帯するのが清々しい。しかし現実は、圧倒的に覆すことが不可能である経済格差によって、人権そのものが停まる寸前のコマのように芯がブレてしまっている現代である。そして生存競争の対象は”施しを受ける神”ではなく、隣にいる同じ弱者なのだ。そのさもしさは、人間の本質として蓋をしてしまっておきたい”恥”なのである。パンドラの箱を開けた今作のアカデミー作品賞受賞を祈らざるにはいられない。
くせありすぎな家族。
評判通りの傑作
面白いというには複雑すぎる
あーどうしてこの監督はコメディをとってくれないのかな、と思うほどコメディ的な面白さもいっぱい。でも貧富の差というほど単純ではない抜け出ることのできない泥沼の世界と、こちらも決まりきった豊かな生活の人々の心の動きがうまく描かれていて、かなり苦しい。
考えてみれば、最もお金のある人の家に住み込みで働くのは最もお金に不自由している人たちとも言えて、私などは普段決して垣間見ることのない二つの極端な世界が接点を持っていることに人生の憐れがある。
3つの家族、は共に少しの思いやりと をもっていればこの惨事はなかったところがなんとも皮肉。軽蔑しているものに興奮を覚える下卑た人間、匂いへの嫌悪感、ずる賢さには頭は回っても大きな図の書けない矮小な人間、外国かぶれ、誰もが少しは思い当たる人間のちょっとした嫌さがほんとに上手に描かれていて、物凄く複雑。
アカデミー賞?取るかも😃
どの国も問題多い
紹介から会社社長の家庭教師へ入り込み、前に働く人たちを解雇させて家族を職へと結びつける様は面白くて、家族の頭の回転の良さに驚いた。
しかし、やはり金持ちと金のない人との差が激しく、表面的には優しくしているが、結局は見下している。
金持ちの匂いと半地下の匂いはかなり違うらしい。
最後は定番の貧乏人たちの殺し合い。
親父は腹の立つ金持ちを殺し、家政婦夫婦が暮らしていた、完全地下へもぐる。
ずっと暮らして行くことになり、半地下から本当の地下へ。
パルムドール
こんな風に映画を作れたらいいのに
とても楽しめました。観ている途中、ふと「ジョーカー」を思い出しました。坂のシーンが印象的だったからかもしれないけど・・・
ただ、どちらも世の不条理だったり、計画通り人生ってまわらないよねってところを描いている部分はリンクしてるのかも。
アメリカの今が「ジョーカー」だったら、韓国の今は「パラサイト」なのかもしれませんね。
そうしたら日本はどうなんだろう?キラキラした観客に押し付けるような、こびるような、そんな作品作ってるばあいじゃあないんじゃないかなー。
ま、需要あるから作ってるんだろうけど。
こんな風に映画を作れたら、きっと、良いだろうなあ。
最近なにかの映画の本で、ワンカットの中に、どれだけ情報を入れられるか、みたいなことを書いてあったので、そういう視点に立って見たりするんだけど、いっこうによくわからんというのが正直なところなのです。
でも、例えば今作品の半地下から見える通りの風景だったり、豪邸の庭でパーティーやってるのを2階の部屋から撮ってて、カメラがパンするとキスしてる2人とか、そういうことなんだろうなあ、と独りごちていました。
こういう色々よく考えられて撮られている映画って、そういう視点で見るのも面白いものですね。
この映画観て周りの人がどんな感想を持つのか、そういうのを話すのが楽しみになる映画でした。
持てる者と持たざる者と…
『周囲には多少なりとも匂いに気を配ろうと思った』
ご贔屓の監督最新作。前半はブラックコメディの様なテイストだが、両極化する格差と加速する金権・拝金主義、見棄てられ孤立化する核家族、経歴詐称・身元不明失踪者、大雨による自然災害等、現代が抱える社会問題が盛り込まれており、中盤以降一挙にストーリーが加速すると不穏な空気を残した儘、突如幕を閉じる。全体としては監督のキャリア初期の佳作『ほえる犬は噛まない('00)』に似た印象で、過不足感が無い反面、物語的に着地点を模索していた様な後味も残る。随所に監督独自のセンスフルでアーティスティックな画面が窺え、一筋縄ではいかない珍作と云えよう。65/100点。
・この物語のそもそものきっかけを作ったパク・ソジュンの“ミニョク”から託された盆石が重要なアイテムっぽく意味有り気に描かれていたが、何を意味する物だったのか、或いは何かの象徴だったのか今一つ判らなかった。恐らく作中内での扱われ方が中途半端に思えたからであろう。
・チャン・ヘジンの“キム・チョンスク”が元ハンマー投げのメダリストの設定だったが、“キム・キテク”役のソン・ガンホが水没する我家から大切な私物をピックアップする際、手にしてたメダルがそれであると思われる、そう云えば、ペ・ドゥナが演じた『グエムル -漢江の怪物-('06)』に登場する“パク”家の長女“ナムジュ”はアーチェリーの選手であり、矢が重要なアイテムを担っていた。
・道路以外はほぼ全てと云う大規模なオープンセットにて撮影は行われ、登場する“ナムグン・ヒョンジャ”なる建築家は架空だが、この豪邸は映画の為に一から建てられた。尚、撮影は77日間に亘り、総製作費は約130〜150億ウォン(11.8憶~13.6憶円)だと云われている。'19年6月24日に公開されたインドネシアでは、'19年7月28日の時点で、50万人以上の観客動員となり、韓国映画として過去最大となる興行収入を記録した。
・パク・ソダム演じる“キム・ギジョン”が偽造するチェ・ウシクの“キム・ギウ”の入学証明書等、大学関連の書類は監督の出身校である延世大学を基にしているらしい。亦、“キム”家が水没するシーンでは大量の泥パックを使い、水を濁らせ汚水に仕立てたと云う。
・豪邸の新しい所有者がドイツ人だとされているが、冷蔵庫に附けらているマグネットは、ベルンの旗、スイスの旗、カペル(ルツェルン)橋、ユングフラウ山名とスイスに由縁する物ばかりである。
・監督によると、本作の構想は『オクジャ/okja('17)』の準備をしていた'15年頃からあったらしいが、乗り気になれず遅れたと云う。その後、一念発起しハン・ジノンと共に約三箇月半でスクリプトを書き上げたらしい。尚、エンドクレジットで流れる「A Glass of Soju」と云うナンバーも監督の手によるもので、唄うのは“キム・ギウ”を演じたチェ・ウシクである。
・脚本を書き乍ら監督がイメージしたのは、“キム・キテク”に過去四度(『殺人の追憶('03)』、『グエムル -漢江の怪物-('06)』、『スノーピアサー('13)』、『オクジャ/okja('17)』)使ったソン・ガンホと“キム・ギウ”には同じく『オクジャ/okja』で一緒だったチェ・ウシクを最初にキャスティングしており、この二名のみ所謂“当て書”である。“パク・ヨンキョ”のチョ・ヨジョンは『情愛中毒('14)』の演技が監督のお眼鏡に叶い実現した。
・某サイトに載ってた評が本作を端的に語ってたので以下、引用──
> 或る瞬間から映画のジャンルが変わった。歴代級におもしろい映画。
> ポン・ジュノというジャンルだ。
> ホラー映画でもないのに、どうしてこんなに心臓がドキドキする?
> 不快で残忍な映画だった。
> 時間が経つ程、心苦しくなっていく。
> 家族悲喜劇の様に見えても、子供連れで見るのはお薦めしない。
> サイダーみたいにスッキリ爽快なのを期待してたけど、焼酎を三杯注がれた気分だった。一杯目は楽しく、二杯目はめまいがして、三杯目はとっても苦いネ。
> 映画と云っても、私には殆どドキュメンタリーに思えた。この映画を観てスタンディングオベーション出来るなんて、私は胸を押し潰されて、暫く立ち上がる事が出来無かった。
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