「貧困のたくましさ。そして金持ちの残酷さ。」パラサイト 半地下の家族 ペケポンさんの映画レビュー(感想・評価)
貧困のたくましさ。そして金持ちの残酷さ。
主人公の家族が全員最初無職だったことにまず驚いた。食費を稼ぐために巧みな言葉遣いで職を見つけようとする主人公(長男)の頭の良さにものすごく感心した。そして、ひょんなことから主人公の友人がパワーのありそうな天然石(風水的に仕事運が良くなる)を主人公の家族にプレゼントしに来たとともに友人がアルバイトで行っている上層家庭の英語の家庭教師の代行というもう一つのプレゼントを主人公に渡しに来た。そこからは主人公の頭の回転の速さで上層家庭の奥さんの心をつかみ自分の家族を他人とだまし次々に上層家庭に寄生していく。主人公の家族は、貧乏というだけで皆才能が豊かであり頭の回転がとてつもなく速い。あと、天然石を置いて仕事運がよくなったのを示唆する描写はとても東洋的で面白かった。
ラストシーンは、金持ちの残酷さ、貧乏人をごみのように見る視線などが描写されており主人公の父親(貧乏人)が怒るのも仕方ないと思う。使うときは使うだけ使って用がなくなったら汚物のようにポイッ!なんかリアルだった。結局は貧乏人のことを自分らと同じ人間だなんて思っていないんだな…。そういうものが伝わってきた。
この映画を通して、どんな環境に置かれていても冷静に対処し生き延びるたくましい半地下に住む人々(貧乏人)。
すぐに何でも信じて疑うことを知らない自分たちが世界の中心と考えている地上に住む人々(金持ち)。社会的な立場だけではなく住む場所、物理的な立場(半地下と地上)で対比されているのにも監督の卓越したセンスを感じました!!!ぜひ、一回は見てほしい作品です。