「自分が世間とズレているのかな」パラサイト 半地下の家族 Flagmanさんの映画レビュー(感想・評価)
自分が世間とズレているのかな
今話題の作品。
公開されてしばらく経ち劇場も小さいスクリーンに移っていたが、アカデミー賞の影響などの理由もあり一番大きいスクリーンになっていたのでラッキーだった。
しかし、鑑賞するモードが違っていた。
話題の作品と言う事もあり期待値はほぼマックス。
しかもあまり情報を入れていなかった為にバイオレンス映画だと勝手に思って鑑賞してしまった。
要はシリアスな映画モードで観てしまったのがいけなかった。
始まってみればコメディ調でありながら少し緩めの雰囲気
映画では聴き慣れない韓国語が行き交い、字幕も本当にそれ言ってるの?と疑ってしまいそうな変な言い回し。冒頭からその世界観に入るまで少し時間がかかってしまった。
ストーリーは中盤までやや単調で正直どこかで観たことある設定。
金持ち家族に寄生するまでのプロセスが淡々と流れます。
中盤あたりからかなり長めの中だるみを経てどうラストに持っていくか?
賞を取る程の作品です。期待は高まる。
が
そこからは前半よりも雑で単調な作りだった。
後一捻りあるかと思えば想像の範囲内。
正直がっかりしました。
映画はどう言うジャンルであれ、終わった後に何か印象に残る物があるのですが、この作品を観終わった後に残ったのは『不快感』だけだった。
胸糞ではない。
単に不快感。
それと自業自得じゃん。と。
一体何を伝えたかったのか。
格差社会の闇?人間の醜さ怖さ?
映画をエンタメとして考えるのであれば、金持ち家族を地下に閉じ込め自分達が金持ちに成り済ますとか、地下に旦那を住まわせてた前任者の家政婦も実は運転手もろとも家族で自分達と同じことをしていたりとか、もう少し突き抜けたラストにして欲しかった。
全てが中途半端に感じた。
ラストの息子のセリフもゾッとするほど自己中心的なセリフ。
今回の事件に対する葛藤や反省の色もなくただ夢を語る。
頭が狂ってるのか?そう思わせているのか、それが普通なのかそれが分からない。
少なくとも倫理観のある人間はそんな発言
しないであろう。
そんなセリフをラストに言われるもんだからこの映画をどう観たら正解なのか本当に分からなくなってしまった。
全体的に3階層の家族で構成された作品だがトップの金持ちとの攻防はほぼ無く、ラストに何の罪もなく殺されるだけ。
地下の家族との攻防戦は良かったが、とにかく間抜けに見える。
韓国映画独特のドタバタ劇だが、3階層を用意するならばもう少し魅せることが出来たんじゃないかと思う。
突っ込みどころがわんさかあるのだが、1番感じたのはキャラクター設定の無駄さ。
金持ち家族の男の子のキャラは飛び抜けて無駄だと感じた。
モールス信号が読める。そして読んだ。
で???それで終わり。
アクションを起こさないならそれは無駄な設定でしかないと思う。
他にも目についたが、作品自体が劣等感の塊の様だった。
差別的意味ではないが韓国人は白人コンプレックスが強いと言うイメージが昔からあった。(もちろん主観的なイメージ)
なぜ金持ち家族はケビンやジェシカと言うニックネームを付けるのか。
社長夫人はなぜ時々英語を挟むのか
シカゴの大学だったりアメリカを意識させるところあたりしたが、まさにソレだなと感じる。
劣等感や妬み嫉みなど強く感じる作品だが表上それをモロには出さず裏に隠してある。
その演出が不快で兎に角気持ちが悪い。
去年の『ジョーカー』も少し似た部分があるがあちらはセンセーショナルに描き貫き観た物を共感させ心を動かす素晴らしい作りだったが、正直今作にはそれがなかった為隠されたメッセージ性も曖昧な中途半端さが残る作りだった。
中途半端な上に共感という物が皆無の為観た後の感想に困る。
と言いつつも世間の評価は絶賛でありもちろんアカデミー賞で4部門制覇。
自分が少数派だと言うことは充分理解しつつも、世界から素晴らしいと言われるこの作品の良さを見出せなかったのが悔しい。
なので、もう一度観てみたいとも思った。
散々言いましたが、我らが邦画はこのレベルに遠く及んでいないのも事実。
悲しい事ですがエンターテインメントとしての実力は韓国がアジアトップだと素直に感じました。