「格差社会映画の集大成!」パラサイト 半地下の家族 showさんの映画レビュー(感想・評価)
格差社会映画の集大成!
各映画祭で作品賞を受賞しまくって、アメリカのアカデミー賞にもノミネートされるかも?っと話題になっている韓国映画をTOHOシネマズ渋谷で鑑賞。
お客さんは、30代以上の夫婦・カップルが中心でしたが、中には20代前半のカップルがいたり、女性グループなどもいて、満員御礼。
この作品の知名度の高さ、期待度の高さが伺えました。
本作はカンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞したことで有名ですが、昨年の受賞作は日本映画の「万引き家族」。
「格差社会」というテーマが2年連続で受賞したこと、また、世界各国で同様のテーマが映画化されていることなど、
歪な資本主義経済に対しての、国を超えた憂いを感じます。
また、日本映画で昨年公開された「天気の子」も格差問題を扱った作品でしたが、
【半地下】【異常気象】など本作との接点が多く、偶然とは言え「今」を表現する手法の一致性に驚きました。
そんな中でも、本作はそれら「格差社会映画」を韓国流に表現した【最終形態】といってもいいのではないでしょうか。
本作の最大の魅力は、「貧富の格差」という社会派なテーマを痛烈に描きながらも、エンターテイメントとしてしっかり面白おかしく観せている点。
その手腕は「さすがポンジュノ監督!」といったところです。
まず、開始早々、屋敷に寄生するまでのテンポが素晴らしい。
無駄なシークエンスを入れずに、最小限のセリフとシーンで構成する手際の良さ。
その中にも、さまざまな伏線をちりばめ、全て回収していく構成力!
また、どんどん寄生が加速し、中盤以降の物語の根本が揺らぐ事柄が発覚してからの一寸先は読めない展開は、まさに最高の映画体験!!
終始胸の鼓動が冷めやまず、心拍数が加速していきます。
また、本作で特筆すべきは、観客に絶対に嗅がせることのできない「臭い」を、見事に表現した点です。
映画館で嗅げるはずのない「臭い」が、まさにその場で臭ってきます。
「うわあ、この臭いだよなあ!!」と、たとえ鼻をつまんでも視覚から入ってきます。
本作は日本版のタイトルも秀逸でした。
原題は「パラサイト」のみですが、邦題に「半地下の家族」という副題がついています。
これをつけたことによって、韓国映画のリテラシーが低い観客にとっても格段に見やすくなっているかと思います。
冒頭から現れる【半地下】。
主人公たちは、どんなにもがいても、どんなに境遇が変化しても、【半地下】に居ざるを得ない状況となってしまう、不憫さ。
決して【半地下】からは上がってこられない現実。
ファイナルカットは、それを色濃く示しています。
そういった意味で、今回の邦題は主題を比喩的に表現した素晴らしい邦題かと思います。
(日本版のポスターデザインは、酷いものですが。。。)
自分を含めハリウッド映画を中心に観ている方にとって、韓国映画は普段あまり見慣れないかと思いますが、
確実にぶったまげる映画ですので、ぜひ観て欲しい一作です。