罪の声のレビュー・感想・評価
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懸命にあの頃を思い出して
昭和末期の日本社会を震撼させたグリコ森永事件をベースに製られた本作
小栗旬・星野源等のキャスト陣の好演により、事件の全容が再現され、そして、浮かび上がる警察組織やマスコミ、更には日本社会そのものの問題点を指摘し、凄く見応えがあるし、考えさせられる事が沢山あって、個人的には本作の構成等に、何一つ減点ポイントを見つけ出す事はできませんでした
この事件に関わり、人生を狂わされた全ての人々の姿に、終盤には思わず泣き出しそうになりました
子供達を悪用したオトナ達もまた、時代に翻弄されたりして大変つらい人生を送っていた
しかし、だからと言って、このような凶悪な犯罪を犯していいという事にならない
日本社会の問題点を少し浮き彫りにするこの事件とほぼ同時期に発生した3億円事件やその約10年後に発生したオウム真理教の事件等を顧み、自分はどう思っていたのかを思い出していた
グリコ森永事件が発生した頃の私は小学生になったばかりで、まだ社会の右も左も分からず、オトナ達が大騒ぎするのが理解できなかった
90年代に入り、中学生になって、社会のイロハのイのほんの少し分かるようになった頃から、テレビではこの事件の検証番組が盛んに放送されるようになり、ようやくこれが大変な事件である事を自覚しました
しかし、沢山の検証番組が放送されたが、この事件も3億円事件もオウム事件も結局、犯罪者達の異常性ばかり強調されて、彼らがなぜこのような事件を犯すに至ったのか等、日本社会の病気の根っこを掘り出すような議論を見聞きする事はあまりなかったな
オウム事件の時は麻原彰晃達の異常さ、凶暴さ・教団と戦った人々、事件の被害者達のつらさをクローズアップする報道ばかりが目立ち、教団がなぜ若者達を信者にしていき、大きくなっていったのかを見出す議論はあまりなかったし、3億円事件やグリコ森永事件もさほど議論が深まる事はなかっただろうな~
何しろ、程なくして、あのバブルが始まり、世の中は浮かれムードが始まったのだ
だから結局、同じような性格の事件が繰り返し起きてしまう
そんな日本社会の問題提起となるグリコ森永事件が発生して30年余りが過ぎ、忘れ去れつつあったのを本作が、また思い出させてくれた事に、深く感謝を申し上げなければならない!
できれば、本作をもう一度映画館で観たいのだが、仕事が忙しい等の事情もあってそれはもう叶いそうにないが、ブルーレイ等がリリースされたら必ず買って、この事件を忘れてしまわないために何度もチェックしたい、しなければならないと思います!
大変、いたたまれませんでした
重厚な作りに飲み込まれた。
子どもたちの今
原作を読んでとても良い作品であったため、映画も鑑賞。
映画だけあって、物語がテンポ良く進んで行く為、内容が薄くなっているのではないかと心配したが、鑑賞後、杞憂だったのがわかった。
後半、聡一郎の姿を見たとき壮絶な人生だったことがありありと感じられた。
ラスト、聡一郎と母親が望の声の入った音声データを聞きながら抱き合うシーンは涙無く見ることは出来無かった。
物語の元になったグリコ森永事件でも同様に子どもの声が使われているが、その声の子ども達の今が、物語とは違い幸せなものであると心の底から願って止まない。
めっちゃ良かったですよ
その時代をリアルに知っている世代にとって
当時を思い出しながら見られ興味深かったです。
原作未読ですが、良い役者さんが良い脚本で演じると、2時間半弱と長めの作品ですが見応えのある作品だと感じました。
ただ個人的にはこの手の作品は嫌いです。
小栗旬さんのセリフにも有りましたが、マスコミの傲慢さを適当に肯定する流れから、最後は離ればなれだった親子が再会出来て良かったデスネ。
チャンチャン。って。
昔の事件を掘り返すことで、被害者(加害者?)側の家族が幸せになるケースは稀なんじゃないかと思います。
※時効に安堵している犯罪者には同情出来ませんが。
行き過ぎた取材を肯定する流れは怖いです。
期待しすぎたかな…
もしも明日が・・・
題材は「毒入り危険食べたら死ぬで」のグリコ森永事件を「ギン萬事件」として描いてるわけですが、この事件、警察と報道を散々コケにしながらも身代金を手に入れることには失敗しているということになってます。
あれだけ派手にやって全く尻尾を掴まれてない犯人が目的を達成してない訳がないという理屈かと思いますが、株で稼いだ説はありました。
うろ覚えですがしばらくの間グリコ株は低迷していたような記憶があります。
また報道といえば、京アニ放火事件で実名報道に拘ったマスコミが、給付金の不正受給や賭け麻雀事件では実名をひた隠すという欺瞞のイメージが強いです。
デスク(古舘寛治)が事件記者の利己的な欺瞞を社会の為とか正義の為とかいって正当化しているのがほとんど政治的な運動家のような身勝手なロジック丸出しですが、それを主人公の阿久津(小栗旬)にぴしゃりとやりこめられます。
阿久津はそんな感じの事件記者に嫌気がさし文化部に異動していましたが、英語が喋れるという理由でギン萬事件の担当にさせられる。
そんな背景の人間じゃなければ曽根俊也(星野源)が心を開いてくれることもなかったのでしょう。
のちのち事件のキーマンである社会主義活動家の達也(宇崎竜童)の言ってることもまさに記者と同じ利己的な正当化そのものの理屈。またもや阿久津に説教されるという構造になってます。
ところが・・・
時代背景や人間関係の細かい演出がよい。
・小栗旬が一瞬、粗品に見えるところがある。
・わらべの歌が懐かしい。
・当時映画雑誌といえばスクリーンとロードショーがあったが、どちらか忘れたが表紙のフィビーケイツ。(そのころの映画雑誌の表紙とえばブルックシールズ、ソフィーマルソー、フィビーケイツのローテーションだった。たまにジャッキーチェン)
・宇野祥平と日野正平が韻を踏んでいる。
など、ちょっと面白いポイントが多い。
よくわからなかったのが、金主に持っていかれて利益が上がらなかったことでヤクザが生島や達夫を責めるところですが、金主やトレーダーと主犯をつないぐのがヤクザの存在理由かと思うのですが、そうでないならヤクザを絡ませた理由がピンとこない。
金融ヤクザという裏を取ってるところもあるし、何より生島は取り分の交渉にいって殺されたんじゃ?
若葉竜也、宇野翔平が相変わらずいい◎
壮大なストーリーというか、過去の事件を掘り下げれば掘り下げるほど真実や辛い過去が明らかになっていく内容だった。でも、事件を探っているメイン2人が今現在悲惨な状況になっているわけではないので第三者的な目線から見れて、見ている私はそこまで辛い思いをする事はなかった。あまり辛い思いをしないのは良いところでもあり、変な話感情移入や緊張感的なものは薄かったかも…。
でも基本的に事件の内容やストーリー展開やメイン2人の出会いや脇役の豪華さなどなどは…充実していて良かった。私の観た感覚的には「新聞記者」に近いかも。テーマも内容もキャスティングも充実しているし魅力的な俳優陣なのだけど…一人一人のキャラクターが、なかなか惹きつけられなくて…。良い人物も悪い人物も。(私にはちょっと難しかっただけなのかもだけど)
変にドラマティックに大袈裟な感じにして欲しい訳ではないけれど、この映画に関してはメインキャラクターよりも脇役陣のほうが惹きつけられたような気がする。だからその人達が出てきた時は「おお」と目見開いて食い入るように観てたかな。若葉竜也とか宇野翔平とか。相変わらずとても良い◎
モチーフとなったらしい実際にあった事件のことを私は知らないから、あまり心に響かなかったのかな…。観た人達のレビューを観ると、作品の魅力が分かってくるし伝わってくるから、純粋に羨ましい気持ちになった。
なんだかんだ言いつつ、野木脚本は、実際に起こった事件や社会問題や業界でしか知り得ない事象をテーマにしたり折り込んだりした作品を映像脚本にするのが本当上手くて凄い。これからもファンとして見続けます…!
文句なく傑作
まず何より聞き込みで新情報が次々出てきて点と線が滞りなく繋がるのが映画として見てて気持ちがいい。残穢の呪いの連鎖調べてる時みたいな勢いで事件が繋がってく。
時効を迎えた事件だから関係者も口が軽いという理由があるけど、無駄に溜めずに事件の真相に肉薄するとこまで一気に観る人を引きずりこむ手口がさすがアンナチュラルの脚本の人って感じだ。
アンナチュラルの時もそうだけど本当にキャラクターが行動する理由を大事にしてるなって印象で、軽すぎず重すぎず普通に生きている人が悩みうる理由で行動を起こすから主人公が悩みはじめてドラマが止まっても納得しかない。ノーストレス。
途中で示された「時効を迎えた誰か死んだわけでもない事件を、もう忘れたい関係者の口を開かせて聞く意義って何?」って疑問に終盤30分くらいかけてこれでもかと明確な答えを提示されて思わず泣いてしまう映画だった。
あと自分勝手な理由で人を傷つけて、自分勝手に納得して平然と生きてる悪党を犯した罪に過不足なく裁く達人だなって改めて思った。
本当の罪を知る
素晴らしかった!
一つの大人たちの犯罪を掘り下げて掘り下げて
誰にも知られなかった本当の罪が明らかになったその先の
エンディング曲で嘘のように泣いた。
ギンガ萬堂事件を軸に
謎を追う新聞記者と声を使われた息子、
二つの視点で事件が語られる前半も、
謎が少しずつ明かされスリリングでワクワクしたし、
2人が出会う演出も良かった。
阿久津の人柄を信用できる機転の効かせ方も
納得いく物だったし、
2人が揃ってからの人間ドラマ、
大人たちの犯罪によって傷ついた子どもたちの人生は
涙なしには見られなかった。
かつて、自分たちから希望を奪った社会への復讐によって、
子どもたちも同じように、いやそれ以上に傷つけ何もかもを
奪っていたと言うラストは
素晴らしいとしか言いようがない。
主演2人もさる事ながら、
脇役の俳優さんたちが渋く、
キャラが立って一癖も二癖もあって記憶に残る素晴らしい
演技だっだと思う。
ただ、一つだけ阿久津が中国人を知ってますか?
と言う冒頭、僕だけじゃなく見た人のほとんどが、
日本人は?と聞けよ!と思ったし、
それを聞いてればすぐに終わる話だったなぁとは
思いました。
そんな事はさておき、それが気にならないくらい
隅々まで面白い素晴らしい映画でした。
原作未読なので分からないけど
脚本が上手い!と思いました。
いくつもの証言で頭いっぱいです。
グリコ・森永事件を題材によくここまで広げたなと感心するばかり。リアリティがあってまるでノンフィクションでも見ているかのようだった。未解決事件だからこその挑戦ですね。
登場人物が多くてテンポが早い。付いていくのに必死。142分長いなぁと思っていたけど全く気にならなかった。
過去と現在。点と点が線で繋がってしっかり真相に辿り着いてくれたところが良かったです。
知らない内に非道な脅迫事件の片棒を担がされてしまった3人の子供。やがて真実を知り苦しみながら生きて行かなくてはならないのか。純粋さを利用した大人達の罪は重い。
「知らなくていいこともある」
でも知らずにはいられない。例え傷付くことが分かっていても。答えを知ったからこそ歩いて行ける人生もあるかもしれない。
「あなたのようにはならない」
それが全てだと思った。
高田聖子さんと宇野祥平さんが真に迫っててぐっときました。さすがです!(高田聖子さん舞台ではっちゃけてるイメージが強いので新たな一面を見た気がします。)
エンディングはコッテコテのオチをつけてくれましたね(笑)ほっこりして良かったです。
んで、ちょっと余談やけど関西弁ってよく聞くと思うんやけどやっぱムズいんかなぁ~?みんな変やったな。やから関西の人出てきたらめっちゃ安心したわ。
…って関西弁で言ってみました(笑)方言ってよく知らない人からしたら「役者さんって凄い」って思いますけどその土地の人からしたらやっぱり違いますよね😂
the 丁寧
重厚な原作が上手にまとまっていました
そこはかとなくいい作品
演者さんの抑えた演技が光るとてもいい作品でした。
星野源の京都弁は悪くないなと感じました。(京都弁というより大阪北部辺りの感じ)
一瞬、関東でなく西の方の地方の出身だったけ?と思いました。
さすが歌手、音感がいいのだろうと思いました。
小栗旬はこんな味のだせる演技ができる俳優だったんだ、と感心しました。(観ていてコロンボを思い出してしまいました)
松重さん梶さんを筆頭に皆さん前に出ず、引いて演技をされてて作品にグッと厚みを出させていると感じました。
何より良かったのは証言者の方々で、関西ベタベタな感じでとても自然で
上手く話しに深みを与え、説得力を増してくれた気がします。
原作既読、映画未鑑賞の知人からは、
話に抑揚がなくそこまでの作品ではないよ(知人は愛憎劇ドロドロ系好き)と聞いていたので、
どうなのかな?と思って観に行ったのですが、
確かにそんなに抑揚がなく平坦な印象を受けました。
それがドキュメントタッチな感じがして、作品自体が抑えた感じになっていて、
そういう所が良かったのではないと思いました。
私のエンターテイメントの定義の一つに、
観終わった後に「前向きになれる」という事があるのですが、
色々と悲しく切ない事ばかりが起こる作品ですが、
観終わった後に「自分も一生懸命に生きていかないといけないな」と感じさせくれました。
そういう意味でも一級のエンターテイメント作品だなと感じました。
久々にずっしりくる作品だった。
3億円強奪事件のように解決していない事件があるが、グリコ森永事件もその1つで、それをモチーフにした作品。
背景としては1970年代の大学闘争で警察や政府への不満からの運動がすべての発端となっている。そこから警察を翻弄させるために社長誘拐事件、食品会社への脅迫状、身代金要求を思いつく。そこから仲間が集まるものの、警察を首になった人、やくざ、車に詳しい人、通信系に強い人、などまとまることのない集団で、内紛で殺される、家族が夜逃げする、ということも起こる。
錚々たる理念と理想をもち活動していくのが良いかどうかは別として、それによって何十年も苦しむ家族や下の世代がいるということも忘れてはならない。
自分が脅迫電話の声だったことを成人して知った時の思い
自分の母親が学生運動に参加していて、事件にも間接的に関わっていることを知った時の思い
自分の叔父が事件を起こした張本人だと知った時の思い
警察官の妻から犯罪者、殺された者の妻になった時の思い
姉を目の前で殺された弟の思い
友だちと待ち合わせしていたら、殺されていて待ち合わせに来れなかったことを知った友人の思い
いろいろな立場でこれは見ることができる作品である。
その中で、宗一郎の立場で考えると、やりきれない思いになる。
時効になっているのに真実を暴くことは世間のためか、記者の自己満足のためか。それは各々に答えは任されているが、それの答えは記者ではないだけに分からない。
おそらく50代以上の世代だと、おぉ!と思う往年の俳優さんがずらりと出てて、ちょい役であっても存在感は抜群。
やけに高評価が目立つが
脚本野木さんにメガホン土井さん。主演が小栗旬に星野源。脇も松重さんや市川実日子さん。これで面白くないから映画って難しいよね…
ひとつ言えるのは皆さん主に本編よりもTVドラマ中心に活躍されてるかな?だからかストーリーを説明しすぎると言うか無駄なセリフが多いんだよね。映画の場合は余分な贅肉はとって観客のイマジネーションを掻き立ててもらう方が有難い。
あと原作への違和感だけど自分の父親の仇を取る為に息子に犯罪を犯さす母親なんて居るのかな?1番そこが納得出来なかったかな…
原作の良さはないけれども
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