ひとよのレビュー・感想・評価
全56件中、41~56件目を表示
拙い手で互いに紡ぐ、脆くて強い家族の絆
良い映画でした。凄く良い映画でした。
個人的な境遇と色々重なった所もあり、
物凄く心を動かされた作品となりました。
色々書きたいがあまり長くなってもアレなので
今回はちょっとだけ飛ばして書こうと思う。
白石和彌監督作で、予告の内容も観る限りでは
相当に重く容赦無い映画になるのかと身構えて
いたのだけどーーいや実際に扱ってるテーマは
確かに重いのだけど、現実味はあっても優しく
どこか爽やかで軽やかな作品となっていた。
キャストのユーモラスな演技や散りばめられた
笑いのお陰で優しい気持ちで観ることが出来るし、
同時にそれらの笑いが主人公達に作用している点
も巧い(「復刻してんじゃねえよ」(爆))。
...
まずはキャストについて。
極力手短に書くが、主演から脇役に
至るまで、出演陣がみんな良いです。
とにもかくにも、田中裕子がカッコイイ!
映画を締める名女優さんとは思っていたが
まさかこんなカッコイイ女優さんだったとは。
後半でも書くのでここではそれくらいで。
佐藤健はやっぱただのイケメンじゃない。
鮫のようなザリザリとした雰囲気。動かない
表情の下で抑え込んでいる怒りが確かに伝わる。
そして、その表情がわずかに緩む時の優しさも。
松岡茉優は可愛い上に毎作品で巧いが、
本作の彼女は、マジで巧い。台詞回しの自然さ
生っぽさはこちらが銀幕の存在を忘れるほど。
やさぐれ娘が純な幼子に戻る添い寝の場面に泣いた。
鈴木亮平は一番大柄なのに、伏し目がちで弱気な
役柄をしっかりものにしているからか、三兄妹で
一番小さく見えるこの不思議。どもりの演技で
逆に伝わる彼の不器用な懸命さが良かった。
息子との夜を想い慟哭する堂下さん、
いつもオドオドしてる社長の優しい一喝、
自分を頼ってと憤る大樹の妻の芯の強さ、
サバサバ美人の牛久ちゃんとビールぐい呑み歌川君、
回想シーンの子役に至るまで、みんな巧いし魅力的。
...
時に重く、時に軽やかに描かれるのは、
家族という絆に付きまとう悲しさと優しさ。
まずは子ども達の視点から。
「あんた達は自由に生きていける。何にだってなれる」
自分の可能性を、将来の夢を信じてくれたのに。
自分の身を犠牲にしてでも幸せになるチャンスを
与えてくれたのに。けっきょく思い描いたような
大人になることは叶わず、抱いた夢は夢のまま、
歳と後悔ばかりを重ねてしまっている今の自分。
あなたのせいで俺の夢は叶わなかった。
あなたのせいで俺の人生はずっと暗い夜のままだ。
そう言って全てを親のせいにしたい気持ちはある。
だけど――
本当の本当は、それら全てが親のせいでは
無い事も分かってる。才能も努力も足りなかった
自分の選択の結果でもあるんだ、と悔やんでいる。
兄に「母が憎いだろう」と言い寄ったり、
母の罪をまた掘り返すような真似をしたり、
母を憎むような言動ばかりの雄二だが、
いつもいまも手にしているレコーダは、
夢を信じてくれた母のプレゼントだった。
愛情と憎しみは必ずしもプラスマイナス
ではなくて、それらは同居し得るもの。
雄二や大樹が母へ向けた憎しみは、
「俺を信じて必死に守ってくれたのに、
あの日あなたが信じてくれたような
立派な大人になれずにごめんなさい」
という大きな後悔の裏返しでもある訳で。
それは親への大きな愛情の裏返しでもある訳で。
...
母のこはるも、自分がそんな立派な人間
だとは思っていない。「そんなんじゃない」
という言葉は、あの行為が子どもの為だけ
でなく、私的な激情に駆られた結果だと
思ってもいるからだろう。だけど、
自分の行為を間違いだったと言ってしまえば、
子ども達に送った/子ども達が信じたあの
言葉までもが嘘になってしまう。それまでの
15年を本当に否定することになってしまう。
だから彼女は、例え恨みをぶつけられる
頑なな的になろうと「間違ってない」と
言い続けなければいけなかったんだと思う。
子どもにとって親は自分を守り
生きる道を教えてくれる神様で、
親は自分が完璧でない立派でもないと
思っていても、大切な子どもが子ども
自身を信じてすがる為の”柱”として、
必死に“親”であり続けなければいけない。
子どもも成長するにつれ、昔は神様のように
思えた親が、完璧な人間では無いと気付くもの。
そして、自分と同じように完璧とは程遠い
その人が、自分を守る為に、必死に”親”
で居続けてくれていたのかと気付くもの。
私情もあったかもしれないけれど、
子ども達のために自らの手を汚し、
子ども達の大きな夢を信じてくれた
あの夜の母は疑いようもなくかっこいい。
律儀に15年後の夜に帰ってきて、
何があってもブレない道であり
続けようとする母はかっこいい。
エロ本を万引きして「それでも母さんは
立派か!?」と開き直る母は、笑えるけど、
15年前のままずっとずっとかっこいい。
(エロ本読んで笑ってるおばさん史上
最高にかっこいい背中だと思う)
...
終盤、
息子と分かち合えたと思っていた夜を回想し、
「あの夜は何だったんだ!」と慟哭する堂下
に向けて、こはるは優しく静かに語る。
「ただの夜ですよ。自分にとっては特別な夜
だけど、他の人にとってはなんでもない
ただの夜なんですよ。でも自分にとって
特別なら、それで良いじゃないですか。」
血の繋がった親と子くらいに強く確実な
“繋がり”というものも無い訳だけれど、
どれだけ強く繋がっていても、どれだけ
大切に想っていても、全く同じ人間では
ない訳で、完全に理解し合うことはかなわない。
「母さんは母さん、俺達は俺達」という
言葉の通り、家族というのは世界で最も
愛しく近しい他人なのかもしれない。
それはとてもとても寂しいけれど、
どこかでそう割り切らないと、愛情と憎しみ
の重さで自分も皆も壊れてしまう気がする。
母はあの狭い青空を眺めて何を想ったのだろう。
流れる雲に見とれていただけだろうか。
それとも、あの暗く長い夜から始めて
明けた空のように感じていたのだろうか。
心の底は分からないけど、その小さな背中
を見つめて、待ってあげることは出来る。
「家族の絆は泡沫(うたかた)の花飾り」
だなんて、とある歌の詞を思い出した。
強くて脆い絆を、付かず離れずの
柔らかな手先で紡いでいくのが、家族。
最後、すました顔の雄二がタクシーの
車窓越しに振り返る母と、兄と、姉の笑顔。
別れたばかりなのにもう懐かしいその笑顔。
...
物語上、あの父親をひたすら悪辣に描くしか
なかったのかという点や、テーマの現実味に
対して僅かに寓話的に感じてしまう部分は
あるが、正直些細な欠点だと思う。
今年一番心を動かされた作品かも。5.0判定で。
<2019.11.09鑑賞>
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余談:
「更に死ねッ」(水バッシャア)は今からでも今年
の流行語大賞になってほしい。むしろなれ。
恨み骨髄・オブ・ザ・イヤー。
人よ…なんて惨めで誇らしいんだ。
あゝ映画は本当に素晴らしい。
そう思える傑作に出会えた。間違いなく2019年の邦画No.1だろう。
『ひとよ』、『一夜』、『人よ』、『人世』、『日と夜』。
シンプルでありながら何重にも意味が折り重ねられこのタイトルのように、物語は細部に至るまで味わい深いディテールで満ち溢れている。
圧巻は本作の脚本と演出だろう。夫を殺し、子供達の前に戻った母親・こはる、だが家族だけでなくタクシー会社の面々ともどこかぎこちなく、ボタンが掛け違ったような居心地の悪さが冒頭から観るものの胸を詰まらせる。
人の醜さ、惨めさ、みっともなさ、みすぼらしさを描くながらも、それでも意地らしく生きる人々を映す白石監督の最高傑作だ!
次男・雄二を演じる佐藤健は食事の際の首の角度から、父の墓前での足癖の悪さから愛想のない敬語使いから、とにかくやさぐれきっている。
だが、クライマックスに語られる『母さんが親父を殺してまで作ってくれた自由なんだ…』という独白に心が震えた。
母さんのためにも夢を叶える、夢を叶えるために母さんを売る。自分は母さんを憎んでいたのか、感謝していたのか。
暴露記事まで書いたのに、何故自分は今母親を守ろうと車を走らせたのか…。
『どこからやり直せばいいか、教えろよ…』
この言葉は多かれ少なかれ兄と妹にも共通する言葉だろう。
兄の大樹は吃音という壁とともに、逃げ切れない過去を自分のうちに飲み込んでしまった。夢を断たれ、必死に築いた家庭も崩れかけていく。そして無情にも心を蝕んでいく『殺人者の孫』という言葉。
本来なら父亡き後、一家を率いる長とならなければならないはずの長男を、鈴木亮平が巨体を持て余す不器用で臆病な男として力演している。
彼が思わず振るった暴力は彼の心まで壊した。こはるとの言い合いのシーンは本作で最も涙が溢れた。
妹の園子も決して苦しみから逃れていない。母親と同じようにDV男と付き合ったしまうのもそうだが、彼女は決して最初から母親を歓迎してはいないのだ。
出所の日こそ迎えに行ったが、いざ15年後にこはるが現れると一歩も動けなくなっている。そして、こはるに甘えて一緒に寝るシーンも、まるで『自分が母親を信じたことは間違いではないんだ』と、必死に掴みとるように抱きつくのだ。
母親・こはるを演じた田中裕子の熱演はもはや言葉では表せない。戻った直後に(夫を轢き殺した場所で)車のバックの練習をしたり、子どもたちの現在を無神経に詮索したり、逆に従業員の弓からデリカシーのない一言を言われたり。健気で子ども思いの母親だが、一挙手一投足が間が悪く、事態を悪化させていく。それでも強かに自分の行いを誇りつつ、時折揺れるような表情を垣間見せている。
また、堂下と息子の件は疎遠になった息子と父親の距離感を、とても生々しく切り取っている。親だって人間だ、神様じゃない。それなのに少しでも過ちを犯せば、糾弾される恐ろしさに懊悩している。彼もまた家族と言う名の楔で、身を削ってきたのだろう。
長々と書いてきたが、一点の曇りなく家族に後ろめたさはないと言える人は本作を観なくてもいいかもしれない。
むしろ、しがらみがある人は必ず観るべきだ。
この映画は画面を超えてあなたの生を揺さぶる。
そして、自分と自分の家族ともう一度向き合う特別な“一夜”をもたらしてくれるだろう。
良い映画
松岡茉優の演技が自然で良かったですね…前までは、いいなぁぐらいでしたが、ファンになりました…笑
(梅田であった『勝手にふるえてろ』の舞台挨拶とか、確か観に行ったよなぁ…と、急に思い出した…今にすれば、貴重な経験だった笑)
肝心の作品ですが…
3人の子供たちにしろ、田中裕子演じる母親にしろ、MEGUMI演じる嫁にしろ、佐々木蔵之介演じるヤクザにしろ、現在に至るまでの空白とか苦悩の部分が、映像を通して伝わって来なかった…というのが正直なところ…この作品の一番肝心なところだとは思うんですが…(笑)
もちろん、想像は出来ますよ…でも、なんか今ひとつ感情移入しにくかった…。
松岡茉優演じる娘が、母親の布団の中にもぐりこんで来る場面が、一番印象に残りました。
不器用にもそれぞれを繋ぐ作品だからこそ、なんか惜しいです。
なかなか重いテーマの作品ではありますが、豪華キャストに釣られて観賞しました。
で、感想はと言うと、う~ん正直惜しいかなぁ。
重い設定で本筋がブレてなくてもちょっといろんな横路があって、それがいろんな余計に感じたりする所があります。
シンプルで素材の味わいだけで勝負出来るのに、たまに余計なソースが添えてあったりな感じと言うのでしょうか?
田中裕子、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優と鉄壁な豪華キャストではありますが、ストーリーでは少し穴がある感じで、キャストはメジャー感がありますが、演出面は些かミニシアター系な感じではあります。
子供達に慢性的に暴力を振るう父親を殺害した母親と成長した3人の子供達との15年振りの再会からお話が始まりますが、子供達を救う為の行為は結果的に子供達を苦しめる事にもなり、母親がいない間の生活は様々な迫害、誹謗中傷の日々でそれぞれがそれぞれの思いの中で母親との空白だった15年を不器用にも埋めていきます。
主演の4人の演技は申し分無しで、吃音症でコミュニケーションが苦手で結婚しているが離婚寸前。母親との再会に戸惑う長男の大樹役の鈴木亮平さん。
週刊誌の風俗コーナーを担当しているが、将来的には小説家志望で母親との再会に苛立ちを覚える次男の雄二役の佐藤健さん。
美容師志望だったが、事件の影響で美容師の道を諦め、スナックで働き、母親との再会を喜ぶ長女役の松岡茉優さん。
子供達に暴力を振るう夫を車で殺害し、出所後、各地で仕事を転々とし、子供達と15年振りの再会を果たした母親のこはる役の田中裕子さん。
演技面では文句無しで上手いの前にとても不器用さを出されており、役柄にピッタリです。
田中裕子さんが初老の不器用な母親役を演じられてますが、田中裕子さんと言うと、個人的には90年代に流れてましたサントリーオールドのCMが印象的でキャッチコピーの「恋は遠い日の花火ではない」と共に凄く良いんですよね。
そんな田中裕子さんが初老の母親を演じられてるのは年齢的にはおかしくないんですが、なんとなく「思えば遠くへ来たもんだ」と思えるぐらいの時の流れを感じますw
実家に戻ってからのこはるは少し天然的で空気の読めなさがある物のw、素朴で優しく、体当たりで子供達と接しています。
殺人を犯したと言う過去に暗い影を落としがちな所も自分のやった事にブレが出てしまうと子供達を迷わせてしまうと言う思いから気丈に振る舞う姿には心が震えてしまいます。
雄二の振る舞いからコンビニでエロ本(デラベッピン 復刻版w)を万引きした際の開き直りや大見得切りなんかはちょっと笑ってしまいますが、不器用に子供達を見守り、自然体にユーモアを醸し出してるのは流石です。
特に良かったのは松岡茉優さん。今までの主演作役柄とは少し違い、気丈に明るく、ちょっとガラが悪くw、直球に兄妹と家族の絆を繋いでくれます。
先月公開された「蜜蜂と遠雷」でも新しい一面を見せてくれましたが、今作でも新たな引き出しを見せてくれてますが、降り幅の広さに感心しながらも、こう言った少しヤンキーが入ってるけど、根は良い子的なのは合ってると思いますw
鈴木亮平さんも今までとは違った感じの演技ですが、少し佐藤健さんよりも意識的に退いた感じがしてちょっと勿体ない。
佐藤健さんは最近はやさぐれた感じの役柄が多い気がしますがw、元々降り幅の広い方かと思うので、そろそろ正統派の青年の演技が見たい気がします。
出てくる人達も皆良い人達ばかりで、影で様々な嫌がらせがありますが、それが描かれてないのが個人的には救いで人を貶めたり、虐めたりする描写は必要な演出であっても正直凹んだりします。
稲丸タクシーの人達も皆良い人達で地方にありがちな閉鎖的な排除感が無いのが良い(画面に映ってない人達は除きますがw)
音尾琢真さん演じる叔父さんがホント良い人です♪
ただ、難点があるとすると様々な事件が起き、本筋に絡んでいくんですが、些かドラマチックに描こうとして、意図的に用意した感があったりするんですよね。
徘徊する祖母の介護に疲れて、情事を重ねている内に祖母が入水自殺していた件や佐々木蔵之介さん演じる堂下の息子とのすれ違いやラストの暴走は確かに稲村親子の仲直りのきっかけにはなってますが、意図的に用意され過ぎている感じなのと、その事の締め方も放ったらかしになっていて、ちょっと鼻につく感じします。
兄弟での思いの違いやすれ違い、葛藤や爆発なんかを丁寧に描かれてると思うだけに個人的には過剰な演出に感じるんですが、如何でしょうか?
また、父親の度重なる子供達の暴力に至る迄の過程があっても良かったのではないかと思います。
家族全員で撮影した記念写真が飾られており、また一家の長としてタクシー会社を経営していたにも関わらず、何故子供達に暴力を振るう様になったのかは気になる所です。
暴力を振るった行為自体を肯定する訳ではなく、そこに至る迄の過程はどうだったのか?
だからこそ、こはるが子供達に度重なる暴力にも我慢を重ねるのにも理由を知る事でストーリーに深みが出ると思います。
雄二が暴力を耐えさえすれば良かったと言う台詞には心が痛みます。
暴力を振るう中でそれぞれの理由があるにしても、被害を受ける者が自分が耐えれば良いと言うのは見ていても胃が痛くなります。
そんな事を良しとしてはいけないけど、母親が殺人を犯し、両親がいなくなったその後には想像を絶する苦難があると思います。
この選択には正直正解が見つからないのですが、こはるが子供達を守った事には悔いがないと言う毅然とした態度には救われた感じです。
タイトルの平仮名での「ひとよ」には様々な意味合いが含まれているかと思います。
いろんな人間の様々な事情や本音があからさまになり、生々しい部分も多々ありますが、家族の本音を問うドラマだと思うからこそ、なんか惜しいんですよね。
佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優と若手を代表する人気・実力的にも油の乗った3人に田中裕子さんがガッチリと優しく包み込む作品だと思うからこそ、もっとストレートに行っても良かったのではないかなと思います。
あくまで個人的な意見の1つとして受け止めて頂ければ幸いです。
ただの夜
どんな一夜だったとしても
他のみんなにとっては、ただの夜
誰が死のうが新しい命が産まれようが、
ただの夜にすぎない
時代背景が3~40年前位なのかな?
まだDVとか世の中では見て見ぬ振りしてた時代
あんなに傷だらけの子供たち
今の時代では普通に学校行ってるとか有り得ないから
あの時代の子供たちが親になって、
またその子供たちも親になってて
きっとトラウマで自分にされたのと同じ様に自分の子供を傷付けてるんだろうな
家族でも分かり合えない事ばかりだよ
蛙の子は蛙
だけど、こはる母さんの優しさは本物だね
子供たちを傷付けまいという思い
自分がこんな父親と一緒になってしまった申し訳なさ
そんな奴から子供たちを守れない自分の惨めさ
田中裕子さん
「共喰い」と近い感じかな、と思いましたが
子供たちと向き合って、自分が壊した家族の形を
必死に取り戻そうとする愛嬌のあるお母さんでした
松岡茉優の兄弟喧嘩は迫力たっぷり
兄ふたり居たらやんちゃに育つもんね👊
弓さんの家族
二三子の家族
堂下さんの家族
本当に何も問題ない家族なんて居るわけない
誰か一人で抱えず、皆で分かち合えればいいと思う
でも、そんなに簡単に行かないのが人間
家族だからこそ素直になれない時もある
簡単な一言を探すのが大変
体いっぱいに紋々入ってるその後の堂下さん家族が最後は気になってしまいました(><)
まずタイトルありき、セリフありきの為か、ちぐはぐな印象
また殺人事件・・・・続き過ぎ!とはいえ、佐藤健さんと鈴木亮平さんは私の知る限りでは「メイちゃんの執事」「天皇の料理番」でも共演していて(ともに佐藤さんの好演が光っていたドラマです)相性は良いはず。
他にも佐々木蔵之介さんや筒井真理子さん、と良い俳優さんばかりで期待できそう・・・・
なのに、つまらない。全く響きませんでした。
タイトルの「ひとよ」は、「一夜」・・・・・それは何てこともない日常のうちの一晩かと思えば、ある者にとっては人生が決定的に変わってしまった夜となり、ある者にとっては悔やんでも悔やみきれない、消し去りたい夜となり、またある者にとっては、たった一夜限りの、二度と訪れない幸福な夜だった・・・・
そして「人よ」・・・・・人ってやつは、なんて愚かで、また愛おしい存在なんだ・・・・といったところでしょうか。
でも、うーん、印象的なセリフを言わせたいが為に、話を無理に持って行ってる感じです。セリフにも話にも合理性が無いというか・・・
母親は殺人を犯したのに、「これからは自由に生きられる、何にでもなれるんだ」とか「私は今誇らしい」とか、舞台でキメ顔で言えば、わーっと拍手が来るのかもね。
母親とすれ違ってしまって、「私は宇治金時が憎い!」とか。
「私たちには特別でも、他人にとってはなんでもない」とか。
よーく考えると、あれれ、大したこと言ってないぞ。
あれだけ嫌がらせをされているのに、妻が夫の母の事件を知らないのかとか、嫌がらせの張り紙やり過ぎじゃないかとか、そういう場面で本当にそうなるの?そう言うかな?というのが多々ありました。
そもそも子供たちは被害者なんだから、無責任に非難する人がいる一方で、同情や支援する人が、身内の外にも必ずいる筈です。
見せ場を作りたいが為に、場面場面がぶつ切りで、人物の描写は類型的です。
親が犯罪を犯して子供が巻き込まれる、という点で、「台風家族」と比べてしまいます。両方ともMEGUMIさんが出てるし。
「台風家族」は良く出来た脚本で、伏線の配し方がうまかった。舞台のような演出も成功して、ファンタジー要素がすんなり受け止められました。
本作は原作(未見ですが)の演劇的な部分を映画化するにあたって、脚本が失敗だったと思います。
俳優が熱演するほど、嘘くさく、シラケてしまいました。
唯一良かったのが兄弟げんか。今そんなアホなけんかをしている場合か?するんですねー、これが。
自分でも驚くほどの低評価になってしまったのは、公開時期のせいなのかもしれません。
秋になって一斉に重たい映画が公開され、飽きてきたのかもしれません。
面白かった
・始まって早々、土砂降りの中、田中裕子の影のある演技で子供たちに人を殺しましたと宣言するシーンがとても良かった。
・母親が父親を殺しましたと子供たちに宣言するシーンが迫力があって良かった。
・タクシー会社の生活感や汚さもリアルでとても良かった。
・母親が帰ってきてバックで次男を引きそうになった時、またやっちゃうとこだったわねって言い方が自然にこぼれたように言ってた所が面白かった。
・次男がデラべっぴんを万引きした時に母親がどうにか警察を呼ばないでもらって帰るところで中学生で母親にそういう所を観られるのも地獄なのにそれを読みながら歩かれるという地獄の重奏がとても良かった。
・佐々木蔵之介が始終、何かつまづくと親のせい、親のせいっていうセリフがささった。
・冒頭の次男が運転して母親をおいかける伏線と後半の回収で物凄い泣けてきた。何かバラバラになった兄弟がまたひとつにっていうのがとても良かった。
・ラストのカーチェイスから海へと飛び込もうとするのを車体で止める所までが物凄く良かった。グレートスタントマンやトランザム7000にも引けを取らない名シーンだと思った。終始、感情を押し殺したシーンが続くので気分があがった。
・父親が子供たちに暴力を振るっているシーンが辛かった。
・母親が自分たちのために父親を殺すといったただただ苦しい状況にもし自分だったらと思ったら耐えられなさそうだと思った。
・バックで追突して死ぬかなぁっていうのが少しひっかかった。
監督は子役にも容赦なしw
R指定有るだけあってSEX &バイオレスシーンそれなりに有りますがそれは白石和彌監督作品には無くてはならないものですから…
家族4人のストーリーと後半宮下さんのストーリーが絡まっていい感じで終焉に向かうって思ってたら…
友國は若い彼女とセットだからより魅力的なキャラになった筈なのにちょっと残念。
そこは原作?変えないで欲しかった。
田中裕子の味のある演技は独特のもので松岡茉優はいい感じで付いていっているなと。
佐藤健と鈴木亮平のちょっと距離を置いた兄弟もいい感じ。
尺の関係?奥さんのMEGUMIとの笑える様なやり取りは全カットなのは寂し。
子役に対する暴力シーンもさすが白石監督!って感じですが…
子供達が運転するシーンはいらないよね⁈
別に中学生が運転したっていいけどさ(よくはない)あのシーン終わらせるなら事故って終わらせるくらいじゃないと中途半端すぎる。
前作で演者にちょっと遠慮?している感じが有ったのが今回は無くて良かったです。
早く「孤狼の血」続編観たい!
これがもし自分の周りで起きたなら…それを考え無くても良いことに感謝です。
最近重たい作品ばかり観たので、少しは明るいのを観てみたい。
と、思っていたのについフラフラと観てしまったのがこの作品。あれー。
家族に暴力をふるう最低の父。
耐えかねて父を車でひき殺す母。
めでたしめでたし。
…ではなくて。
刑務所に入る母。
そして残された3人の兄妹。
母の帰宅をきっかけに、15年の間に積もった心の闇がカオをのぞかせ始める。
うん。
最近観た中で、一番重たい作品の一つです、これ。
幸いなことに、あのようなDVオヤジは身近にいませんでした。
そんな自分はシアワセな人生を過ごしているのでしょう。
しみじみと、そう思わずにはいられません。
以下、雑感です。
兄妹の母
最初から父をひき殺す気だったのでしょうか。
バックで跳ねたんですよね。
殺意があったのなら、前進で轢くんじゃないかなと。
事故で轢いた後、救急車を呼ばずに放置した。= 自分が殺した。
そういうことなんじゃないかなという気がしました。
徘徊する母を持つ娘
「私が殺してしまった」
そう言ってました。
度々の徘徊に疲れ、探しに行くことをしなかった。
結果、川に落ちるかして死んでしまった。= 自分が殺した。
これもそういうことなのかなと。
演じた俳優のみなさん
みんな素晴らしい演技でした。
佐々木蔵之介の病的なまでの陽気、そして狂気。とても印象的でした。
田中裕子が、なぜか宮本信子に重なって見えました。
最後に
この後さらに15年かけて、この家族がどう変わっていくのか気にかかります。
それぞれが自分の居場所をつくっていますように。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
母親を万能だと信じたあの夜
これからはなりたいものになれる
私は今誇らしいんだ
冒頭から涙腺崩壊
親子ものの話にめっぽう弱いということも災いし、エンドロールになっても涙が止まらず、映画館を出ても止まらず、しまいには号泣
子供達を傷つけてきた父親だが、そんなアホでも死ねば泣く者が生きている間は必死に耐え、父親を轢き殺した母の愛の夜
勇気などではなく、母が正しいと思い込まなければ子供たちが迷ってしまうと言った姿
反社から足を洗った父親が久々に会った息子と笑い合ったあの夜
夢だったのかと泣き崩れた父親に
誰かにとっての特別な夜は誰かにとってはなんでもない夜だという母親
私は映画を観ながら母を思いひたすら泣いた
白石監督映画史上一番と言える作品
迷いながらも精一杯愛して育ててくれた母の愛を思い出す作品
ちょいちょい入れてくるギャグがおかしくてなぜかまた泣く
長く長く曲がりくねった道。
まーつーおーかーさん?君一人に、今年だけでも、どんだけ泣かされた事か。また添い寝でしたね。やられた。今年の邦画一番、最有力候補だった、オレ的には。
撮影は鍋島淳裕さん。「楽園」に引き続きカメラを構えてます。瀬々→白石で連投とか凄くないですか?まぁ、画を観れば鍋島氏を使いたくなるのも納得ですけど。いや、前日観たシュナーベルのゴッホの画が散々だったので、余計に素晴らしく思えました。
子供達を助けるために。子供達の未来のために。それが母親の想い。三人の子供達の想いは三人三様。いや、15年の時と、その間に経験して来た事が、三様の成長をもたらしただけなんだと思うけど。
私達を守ってくれたと言う娘。子供達の人生をめちゃくちゃにしたと言う次男。感謝と嫌気が錯綜する長男。「愛する人は失いたくない」。直ぐに気付かない、気付けないのは、離れて歩んで来た道が、余りにも余りにも、長く曲がりくねっていたから。by Paul McCartney なんつって。
ハッピーエンドで良かった。ホントにホントに。家族の記念写真撮影シーンが、ポール・ダノのワイルドライフと、全く同じ意味合いで使われます。「家族の門出」の象徴。良かった。とーっても!
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11/13 追記
若松孝二監督の「映像塾」の塾生、白石和彌らしいドスの効いた重さ。脚本は「トリガール」「坂道のアポロン」「ごっこ」などの高橋泉。やっぱ、どっか一か所だけ「へっ?」な所があるんですよね、高橋さんの脚本。佐々木蔵之介が、泥酔して田中裕子を誘拐し無理心中を図ろうとする、ってのが引っ掛かるんだけど。
劇中、「現在の姿」に「15年前の体験」を重ねると言う演出が数回。「子供3人の追跡劇」のオーバーレイの為の設定にしては、くどいと思いました。埠頭での大立ち回りは白石和彌らしかったです。
個人的には、冗談抜きにして「蜜蜂と遠雷」とこの作品で見せてくれた、松岡茉優の振れ幅のでかさに拍手したいです。「万引き家族」で共演した樹木希林さんから、確実に何かを引き継いでる気がします。また、感動できる芝居、見せて下さい!
ツッコミどころはあるけれど
泣けました。
15年、どうやって暮らしていたの?
DV父(夫)はいつから?
タクシー会社を守ってきた人達、なぜそんなに献身的なの?
とか、いろいろツッコミどころはあったけど、泣きましたね〜。
田中裕子はやっぱりすごいな〜と。
役者さんの実力に安心して、ちょっとお座なりに作ってしまったのでしょうか。
素朴な疑問。
❶出所の日まで情報開示されているのに、時間は不明、というのは法律的制度的に実際にあることなのでしょうか。或いは迎えにきた家族の待機場所などはないのでしょうか。だとすればヤクザの親分の出所などのニュース映像は子分たちもテレビ局も朝から張り込みをして撮っている⁈
出所した日が刑期を何年務めたあとなのか不明ですが、その後15年目に帰ってくるまでの期間、母親は職と場所を転々としていたと語ってましたが、約束、というよりあの夜に宣言した〝15年〟に拘ったが故に帰らなかったのか、だとしたらその拘りの理由は何なのか。守ったはずの子どもたちの〝今現在〟は気にならなかったのか。他に理由があって帰りづらかったからなのか。長女が手ぶらで帰ってきた後、兄弟3人は出所後しばらく経っても母親が帰って来ない理由についてあれこれ考えたはずですが、その間のことについてあまりにあっさりスルーし過ぎではないでしょうか。
宇治金時のネタのためだけの空白期間だとしたら、誠意の感じられない演出に思えてしまう。
❷母親は15年に渡る逃亡生活の果てに戻ってきたわけではなく、犯罪後、直ちに自首して裁判を経て収監されています。従って、裁判において改めて説明される父親の暴力やそれから子どもを守ろうとした母親の心情の詳細などの弁護側証言を聞いているはずです。結審後は刑務所での面会など(当然親代わり的な丸井社長や弁護士や子どもたちは母親との接点は継続的にあったはずです)を通じてお互いに慰めあったり、励まし合ったり、子どもたちへのいじめなどがひどければ、転校したりしたのではないでしょうか。
仮に転校などが経済的制約で具体的に何も対応が出来なかったとしても、母親が、誇らしいと自己満足してその後の子どもたちの苦労を何も知らないくせに、という次男の思い込みは生まれなかったということになります。
それに、事件当時、無免許であっても自動車の運転ができるほどの社会適合性を持っている子どもたちであれば、経済的援助がなくても弁護士や丸井社長の人脈も含めたアルバイト先斡旋やその後の進路の相談環境は相応にあったはずです。そして、どう生きていくべきかについても兄弟3人で思索することで(それができる3人であるように描かれてますよね)、平和な環境にいる同年代の他の子供たちよりも早い速度で成熟していきます。それでも卑屈な精神状態に追い込まれる状況ができるとしたら、それは母親への一方的な恨みという形ではなく、進路選択や就職などのタイミングで差別があった場合などに、機会均等という面でアンフェア且つ非寛容な社会への憤りを抱くということのほうが原因としては大きいと思います。
❸15年前の事件や報道を基に、わざわざ中傷ビラ配布やタイヤパンクなどの犯罪を(単なる嫌がらせではなく、れっきとした犯罪です)自分が起訴されるリスクを冒してまであんな嫌がらせをする人がいるのは不自然ではないでしょうか。個人的にあの母親やタクシー会社を恨んでいる人がいるなら別ですが、演出過剰気味だと思います。可能性としては否定しませんが、映画におけるリアリティとしてはやや興醒めです。不謹慎かもしれませんが、最近発生したエアガンによる幼児虐待のニュースを聞いて、野田市の児童虐待のことを思い出す人がどれほどいるのか、ということです。批判で言っているのではなく、世の中の実相として15年前の殺人事件はそれほども遠い出来事なのです。
あの規模の会社で防犯カメラやSECOMなどの装備が無いのも非現実的なように感じます。
役者さんの実力に依存して、色んなものがお座なりな気がしました。
【気になることについて備忘のため、追記 2019.11.10】
本作も『楽園』も私の中では、『怒り』とか『64ロクヨン』と同じ〝慟哭系〟だと思っているのですが、私がこのタイプの映画に期待するのは、まどろっこしいほどの個人の内面の葛藤です。その点、『怒り』は見事でした。綾野さんと妻夫木さん、宮崎あおいさん親子、広瀬すずさん、だけではなく、すべての登場人物が狂おしいほどに自己の内面と闘っていました。勿論、勝ち負けや正解などありません。鑑賞後、それぞれの登場人物が絶望的な状況の中でどう居場所を見つけていくのか、映画で描かれた出会いや関係性はどうなるのか、などを想像することで、いつのまにか普遍的なテーマ(例えば、自分の判断や責任や覚悟など)に向き合うことになります。
ところが、『楽園』の村八分とか本作の冷たい世間の嫌がらせ、は内面の葛藤の前に、外部に明確な悪意(敵)を設定してしまうことで、自己責任が曖昧になります。自己の弱さや過ちを外部要因のせいにできてしまいます。鑑賞後、観た者にのしかかってくる疲労感が『怒り』に比べて遥かに軽いのはそのためだと思います。
外部要因に依存した葛藤で映画を作った結果、本来深く思索しなければいけないことまで、スターウォーズのトルーパーやダイハードなどで片っ端から殺される敵側の子分たちのように、軽量化されてしまったのではないか。
家族•夢•成長
我が子を虐待する父を殺し、子どもを救ったと信じている殺人者となった母と人殺しの子となり夢を諦めた3人の子の家族の再生と成長の物語。
たどり着いた答え、それは「変わるしかない」
逃げて、誰かのせいにして夢を諦めてきたのは自分だった。
いろんな家族のあり方
非常に考えさせられる、難しい映画だったかな。
答えを求めると少し物足りなく感じてしまう。おそらくこの作品では確固たる答えは描かれてないと個人的には解釈している。
その点ふまえるとやはり映画作品とは言えどもどんなに問題ある父親と言えども、殺し、そして近い存在の周囲からは称えられてることにやはり違和感を拭いきれなかった。
その点が引っかかってしまうと答えのないこの手の作品には若干物足りなさを感じてしまう。
主人公の稲村家はもちろんのこと、佐々木蔵之介演じる堂下の家族や認知症の母親を抱える柴田家も含め家族というのはそれぞれいろんな問題を抱えている。
時として世間ではそれは変な目で見られても最後は家族内で幸せであればそれでいいのかな。もちろん人様に迷惑をかけてないのが前提であればね。
だから家族間の事に他人が正しいも正しくないも判断することはできないのかな。
そんなような感想を抱いて観ていた。
観終わった後、頭の中でグルグル考え込む映画
それが映画の醍醐味なんですけどね。
誰が正解なのか?
なにが正解だったのか?
人間の顔が千差万別であるように、その答えも千差万別なんでしょうね。
自分で自分を信じないなら、誰が自分を信じてくれるのでしょうか?
それで良いやん、人間だもの。
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