「まずタイトルありき、セリフありきの為か、ちぐはぐな印象」ひとよ yuriさんの映画レビュー(感想・評価)
まずタイトルありき、セリフありきの為か、ちぐはぐな印象
また殺人事件・・・・続き過ぎ!とはいえ、佐藤健さんと鈴木亮平さんは私の知る限りでは「メイちゃんの執事」「天皇の料理番」でも共演していて(ともに佐藤さんの好演が光っていたドラマです)相性は良いはず。
他にも佐々木蔵之介さんや筒井真理子さん、と良い俳優さんばかりで期待できそう・・・・
なのに、つまらない。全く響きませんでした。
タイトルの「ひとよ」は、「一夜」・・・・・それは何てこともない日常のうちの一晩かと思えば、ある者にとっては人生が決定的に変わってしまった夜となり、ある者にとっては悔やんでも悔やみきれない、消し去りたい夜となり、またある者にとっては、たった一夜限りの、二度と訪れない幸福な夜だった・・・・
そして「人よ」・・・・・人ってやつは、なんて愚かで、また愛おしい存在なんだ・・・・といったところでしょうか。
でも、うーん、印象的なセリフを言わせたいが為に、話を無理に持って行ってる感じです。セリフにも話にも合理性が無いというか・・・
母親は殺人を犯したのに、「これからは自由に生きられる、何にでもなれるんだ」とか「私は今誇らしい」とか、舞台でキメ顔で言えば、わーっと拍手が来るのかもね。
母親とすれ違ってしまって、「私は宇治金時が憎い!」とか。
「私たちには特別でも、他人にとってはなんでもない」とか。
よーく考えると、あれれ、大したこと言ってないぞ。
あれだけ嫌がらせをされているのに、妻が夫の母の事件を知らないのかとか、嫌がらせの張り紙やり過ぎじゃないかとか、そういう場面で本当にそうなるの?そう言うかな?というのが多々ありました。
そもそも子供たちは被害者なんだから、無責任に非難する人がいる一方で、同情や支援する人が、身内の外にも必ずいる筈です。
見せ場を作りたいが為に、場面場面がぶつ切りで、人物の描写は類型的です。
親が犯罪を犯して子供が巻き込まれる、という点で、「台風家族」と比べてしまいます。両方ともMEGUMIさんが出てるし。
「台風家族」は良く出来た脚本で、伏線の配し方がうまかった。舞台のような演出も成功して、ファンタジー要素がすんなり受け止められました。
本作は原作(未見ですが)の演劇的な部分を映画化するにあたって、脚本が失敗だったと思います。
俳優が熱演するほど、嘘くさく、シラケてしまいました。
唯一良かったのが兄弟げんか。今そんなアホなけんかをしている場合か?するんですねー、これが。
自分でも驚くほどの低評価になってしまったのは、公開時期のせいなのかもしれません。
秋になって一斉に重たい映画が公開され、飽きてきたのかもしれません。