ホテル・ムンバイのレビュー・感想・評価
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ホテルマン
2008年にインドのムンバイで起きた同時多発無差別テロ。
うっすら覚えているような、いないような…。何と罪深い自分…。犠牲になられた方々、誠に申し訳ありません…。
いつぞやWOWOWでこの事件をB級サスペンス・アクションとして描いた作品が放送されスルーしたが、本作で見れて本当に良かったと思う。
事件の概要を簡潔に。
2008年の11月26日夜から11月29日朝にかけて、ムンバイの外国人向けのホテルや駅など複数の場所が、イスラム過激派と見られる武装勢力が襲撃、負傷者239人、死者172人を出した。
中でも特に被害が大きかったのが、五つ星の“タージマハル・ホテル”。
このホテル内で起きた惨事の模様を、テロリスト、警察、そして客や従業員の視点からの群像劇スタイルで描く。
まず、テロリストたち。
この手の作品の場合、テロリストたちは惨劇を起こした背景としか描かれない事が多いが、しっかりと描写される。
しかしだからと言って、コイツらに全く一切微塵も理解も共感も出来ない。
ホテル内で客や従業員を見つけたら、即殺す。
一部屋一部屋確認して回り、即殺す。
客が部屋の鍵を閉めたら、フロントを銃で脅して嘘を付かせて鍵を開けさせ、即殺す。フロントがそれを拒んだら、即殺す。
銃乱射、時には手榴弾まで用いて。
何の躊躇も無く、無慈悲に。
何故、こんな事が出来る…?
「神(アッラー)の御意志の聖戦」というコイツらにはコイツらなりの信念を持っての事のようだが、神がこんな暴虐を認めるものか。
もし認めるのならば、私は神(アッラー)を許さない。
コイツらを許さない。
警察。
特殊部隊が現場に到着するまで、まだ何時間もかかる。
自分たちが行かねば。
果敢にホテルに入ってテロリストと銃撃戦となり、客や従業員たちを救おうとするが…。
客。
襲撃を何とか逃れた客たちは、各々で、従業員に誘導されたりして、身を隠す。
見つかったら即殺される恐怖。
なかなか助けが来ない苛立ち、焦燥…。
ホテルの“チェンバーズ”と呼ばれる秘密の部屋に隠れるも、極限状態下の密室空間内で、インド人の客や従業員たちに対し偏見の目が向けられ…。
客でメインとなるのは…
インド人の妻と産まれたばかりの赤ん坊を持つアメリカ人建築家。幾ら“ローン・レンジャー”とは言え、部屋に残してきた我が子を助けに行こうと危険を顧みず向かうが…。
ジェイソン・アイザックス演じる注文細かくうるさいVIP客。“ドラコパパ”だし、大抵こういう人物は周りを掻き乱すが、意外や頼りになる。
が、建築家は人質として捕らえられ、秘密の部屋が遂にテロリストに場所を知られ…。
従業員。
メインはデヴ・パテル演じる平凡な従業員。その日は靴を忘れ、ベテラン料理長から厳しく叱られ…。
思わぬ事件に遭遇。
自身も家庭持ちで、絶対に死ねない。が、お客様を守らなければならない。
その勇敢な行動。
厳しい料理長も客たちを落ち着かせ、救おうと尽力。
その姿に称賛を贈りたい。
終始途切れる事の無い緊迫感。
銃撃戦の迫力。
実録映像も交えた臨場感、リアリティー。
役者陣の熱演。
監督は本作が初長編となるが、見事な力作デビュー。
大作ではないかもしれないが、見応えは充分で素晴らしく、紛れもない一級品。
テロリストたちを絶対に許さないと書いたが、皆少年たち。
彼らに命令を下す“ブル”と呼ばれる首謀者。自らは手を汚さず、無線で彼らに“聖戦”と信じ込ませる。しかもこの首謀者は未だに捕まっていないという。
少年テロリストたちや凶行は許し難いが、この首謀者こそ許し難い。
ラスト、そそのかされ、神を信じて死ぬ少年たちに、ついつい少しだけ哀れさを感じてしまった…。
事件は終息した。ゾッとするような惨劇と多数の犠牲者たちを出して。
生き残った人々の安堵感、解放、再会…。
家に帰る。愛する家族にまた会いたかったから、生き残れた。
その為に命を懸けて護ってくれたのは、従業員たち。犠牲者の大半は従業員たちだったという。
お客様は神様。従業員はどんな時もお客様を守る。
テロリストたちも神の為だったが、それとは全く違う。
ただのプロとしての行為ではなく、正真正銘、彼らこそ本当のヒーロー。
ホテルマン。
そんなホテルに泊まりたい。
日本で起きたらと思わずにはいられない。。。
もし、こんなテロが日本で起こったら、それもオリンピック期間中に起こったら、とは思わずにはいられない映画でした。
日常にテロなんて存在しない、安全な国、日本。
もし私が住んでいる地方都市でこんなテロが起こったら、どうなるんだろう。
この映画ほど特殊部隊が駆けつけるのに時間はかからないだろうけど、今テロリストから狙われてないだけで、島国日本ではこんなテロリストが侵入し放題、テロ起こし放題な気がして、帰りながら怖くなった。
この映画のモデルとなった実際のテロの主犯がまだ捕まっていないということでも怖さ倍増。
あと、自分が販売員をしていることもあり、もし自分が働いているところでこんなことが起きたら、私はアルジュンのように振舞えるだろうかとも思わずにはいられなかった。(アルジュンのようには振舞えません。無理です。。。)
このテロで亡くなられた方の命も、助かった方の命も、お客様の命も、ホテルの従業員の命も、同じ大切な命。
ラストシーンの、実際に対応された従業員の方々の映像、自然と涙が出ました。
家で観るのではなく、映画館で観る価値がある、映画館で観るべき映画だと思います。
ラストシーンに大変心を奪われました。
最後の帰り道の日常の美しさに涙が止まりませんでした。
現実にはそれが元どおりの日常であるはずもないのがまた悲しいのです。その美しい日常と、犠牲となった方達の失った日常が頭の中で対比すると、否応もなく胸が締めつけられます。
映像や演技などに特に革新的なところがあるわけではなく、冷酷な犯行とヒューマンドラマで勝負した映画だったと思います。
凄くいい映画でした。
めちゃくちゃ面白い
テロリストが純真で人の子であるのに、鬼になっているのが怖い。宗教の恐ろしさだ。そんな彼らの前でイスラムの念仏を唱えて難を逃れるママさんすごいし、見逃す彼もいい。ママさんはずっとすべての判断を間違えていたのだけど、あそこだけ正しい。レストランから動かない方がよかったし、パパさんは4階から動かない方がよかった。赤ん坊がいるのに絶対動かない方がいい。でも動かないと火事でやられるのだろうか。
主人公がずっと小さい靴を履いているのが気になる。料理長かっこいい。警備室のモニターで自分が靴を履いていたら得られた仕事をしていた同僚が死んでおり、何が幸いするかわからないものだ。
二人の警官が通用口から簡単に外出するのがずっこけた。
始まって30分でトイレに行きたくなり、ずっとおしっこを我慢していたためこっちも早く脱出したい、解放されたいという思いで変に臨場感があった。
一級品のサスペンス(そして世界はまだテロを根絶できていない)
2008年にインドのムンバイで起きた同時多発テロ。中でも、テロリストに占拠された高級ホテル、タージマハル・パレス・ホテルに閉じ込められた客やホテルの従業員たちを描いた作品。
導入がまず巧みだ。
初めのテロが起こる。狙われたのは人混みでごった返す鉄道駅。そこでテロリストたちは(例えば声を上げるというような)何の前触れもなく、突然、銃を乱射し始める。
冒頭のこのシーンで、「テロリストたちは、文字通り虫けらのように、情け容赦なく人々を殺す連中」という印象を私たちに植え付けるのだ。
やがて、本作の主な舞台となるホテルにテロリストたちがやって来る。
ストーリーはホテルの従業員のアルジュンと、客であるアメリカ人建築家の一家(+ベビーシッター)を中心に描いて進む。
この映画は、ほぼホテルの中だけで物語が完結する「密室劇」だと言っていい。
本当は広いはずの、このホテル内の空間を、本作は実に分かりやすく扱っている。
事件の始まりでもあり、終結の場にもなったロビーの広い空間の使い方。ロビーからは四方に廊下が延びていて、隣に位置する廊下の先は死角となる構造になっている。この、「見えないすぐ向こうにテロリストがいるかも知れない」というサスペンスを、本作ではたびたび巧く使っている。
テロリストが客室フロアの廊下を歩き、片端から部屋を襲撃する横の移動。そして上下のフロア移動も巧みだ。
何度も描かれるテロリストと人質との、建物内での“追いかけっこ”や、アメリカ人建築家の夫婦やベビーシッター(夫婦の赤ちゃんと共にいる)が会えそうで会えない“すれ違い”もスリリングに描かれる。
設定もうまい。
アルジュンはシーク教徒で、彼らは外出時には頭にターバンを巻いている。
映画の冒頭で、彼がターバンをていねいに巻いているシーンが描かれるが、物語の中盤、このターバンを巡って人質となった老婦人とのやりとりがある。老婦人は彼のターバンにおびえていた。
アルジュンは彼らの宗教にとってのターバンの持つ意味を彼女に説明する。異なる宗教を持つ者に対する些細な無理解から来る不信と、そしてまた、その不信は対話によって克服できる、ということを描いている。
本作はイスラム急進派テロリストの非道な行動を描く。これは、異なる宗教への対立や嫌悪をあおりかねない。
だが、このシークエンスは、異教徒同士の対話による相互理解を表していて、残酷な状況下における人の温かな交流を描いていることが物語に厚みを与えている。
また、アメリカ人建築家の妻のザーラは、インド生まれのイスラム教徒だ。この設定も、本作に特別なスパイスを与えている。
彼女は同じように隠れている人質から、「あなたはテロリストの仲間ではないか?」と疑いの目を向けられる。
私たちにもある、宗教や言語による決めつけ。単純にイスラム教イコール、テロリストではない、ということを伝える。
このように感情移入する主人公側にシーク教徒、イスラム教徒を配することで、この映画は、観る者に対して、単純な二項対立構造を与えない工夫がなされているのだ。
また、この従業員側、客側を代表するダブル主人公それぞれで、親子のつながりが描かれる。この対比も見事だ。
国際ニュースにも取り上げられるような大きな事件、テロリスト側が掲げる宗教対立という大きなメッセージ。
しかし、個人にとって大切なのは身近な家族である。彼らにとっての事件の解決は、テロの制圧や犯人逮捕ではなく、子どもに再び会えることなのだ。
一方で、テロリストの1人が家族に電話をするシーンもある。彼はもう生きて家族と再会出来ないことを悟っていて、涙ながらに会話をする。
子どもと再会出来たアルジュンやザーラとは対照的だ。
テロリストは少年と呼んでもいいような若者たちである。人間そのものを武器とするようなテロのやり方の非道さ、そして理不尽さを伝えている。
ホテルの従業員、客はたびたび生死に関わる決断を迫られる。動くか、とどまるのか。自分の命、愛する人のため、他者のため、そして自身の正義のため、ギリギリの選択を下すシーンにたびたび涙腺が緩む。
この事件が起きたのは2008年。それから10年以上が経ったが、世界はまだ、テロを根絶できていない。
その意味では本作は、過去の事件を扱ってはいるものの、私たちがいま生きるこの世界が舞台だとも言えるのだ。
そして、この映画のような極限状態において、人はどのように愛や思いやりを持ち、勇気や尊厳を示し、また、自分の責任を果たし得るのか?という人間ドラマとして描いた。
この点において、この映画は極めて現代的な作品なのだ。
緊張感の連続で、観客をまったく飽きさせることのない脚本も見事。
傑作である。
犯人も人間、そしてホテルスタッフの命がけの戦い
2008年に実際にインド、ムンバイのタージマハル・ホテルで起きたテロ事件をテーマにした映画。
ホテル内で死者100人以上と言う、本当に恐ろしい内容でした。
実行犯は皆大学生くらいの年齢で、パキスタンで特殊な訓練を受けたテロ部隊の少年兵。同時にCST駅やカフェなど、欧米人観光客の多い様々な場所を皆襲撃していき、一般の人は銃で無差別に撃たれて殺されていきます。
その容赦なさといったら…逃げる人を撃ち殺していく姿が、少年なのに、信念を抱く姿が怖かったです。
ただ、彼らを洗脳したブルと呼ばれる宣教者がいるのですが、未だ黒幕の彼が捕まっていないというのが、余計闇を感じます。少年たちはコマだったわけで、一方でその少年たちも家族へお金を贈ってもらえるという約束があってやっていた、ということもわかります。
また、当時の欧米人の、インド人に対する人種差別的な見方や理解のなさも描写されていて、このテロが起きた必然も感じるような内容でした…。ターバンを巻いているスタッフを嫌がるなど、あまりにも人を外見で判断しすぎだなあと。
そんな、いつ誰が殺されてもおかしくないのに、ホテルスタッフが、一生懸命お客様を命がけで守ろうとする姿は、本当に素晴らしかったです。インドのサービスって適当なイメージだったのですが、タージマハルホテルは最高級だからか、お客様に対する心遣いが素晴らしい様子も描かれていました。最後まで、どこが安全か、どうしたら皆が助かるか、考えて誘導していく姿、素晴らしいです。
ただ、最近のインド映画は、イスラム教が悪いことをした、的な映画が多すぎる気がします。この映画もだし、先日観たパドマーワト、最近上映していたケサリなど、どれもイスラム勢力から自分たちを守るストーリーばかり。モディ首相のヒンドゥー至上主義の影響が強い気がしました。これでインドがおかしな方向にいかなければいいなあと思います…。
悲しさが溢れる
事件のことは全く覚えておらず、
当時の日本ではどんな風に報道されていたのだろうか…
テロリストの少年が
家族に電話をするシーン、涙が止まらなかった。
信仰心の強さだけではなく
貧困から家族を救うためのテロ。
悲しくやるせない気持ちでいっぱいになった。
首謀者は捕まっていないとのこと
卑劣なテロが無くなることを願います
克明
12年前の出来事らしい。
作中で語られるエピソードの真偽は定かではない。ほぼ創作なのかもしれないし、入念に取材した賜物なのかもしれない。
ただ…テロという未曾有の暴力に蹂躙されていく様には背筋が凍りつく。
あまりに理不尽な銃口から逃れる術がない。
たったの4人。
もしくは6人。
思想を刷り込まれ、銃という殺戮兵器をもたされた駒たちに、いとも容易く平和は破壊されていく…指先一つ、数秒引くだけで。
どれほどの恐怖に耐えたのだろうか?
物語は一切緩む事なく、猛獣と対峙する檻の中を描き続けているようだった。
硬直、緊張、どの言葉を使っても足りないように思う。制作サイドの断固たる決意の上にこの作品は成り立ってるように思う。
残さねばならない。
過去にしてはいけない。
ムンバイに降りかかった狂気は、今も尚、その火種はあちこちにあるのだと。
そんな事を思う。
インドでは絶大なる支持を受けた作品なのではなかろうかと思う。
直面してるからこそ、組織の構造にまで言及するのだろう…。実行犯は皆若く、等しく貧困で極端な思想に管理されてる。
親に愛され、自身も家族をあいしているようだ。とある地域では思想による統制でもなされているかのようで、親の世代にも「聖戦」としての正義が植え付けられているようだった。この作品では、その実行犯を被害者とも描いている。
もっと根深い。彼らの世界を狂わされた狂人がいるのだと。この事件の主犯は不明のままだそうだ。
作品としては若干長い。
途切れぬ緊張感故の演出もあるのだろうが、俺はそう感じた。
ただ、その執拗な、地を這うような重い空気感が、作品におけるリアリズムの要と言えなくもない。
印象的だったのは、エンディングだ。
再建し式典までやってるそうだ。
日本だと壊して数年空き地とかになりそうだと思うのだが、恐れ入る。
何人も人が死に、夥しい量の血が流れた場所だ。曰く付きの事故物件だ。誰がそんなとこに泊まろうと思うのだろうか?
ところがどっこい今もホテルとして営業を続けてる。いつの映像か誰かも分からないんだが、風船と紙吹雪の中で、満面の笑顔で万歳するおじさんがいる。
日本では不謹慎とか、叩かれまくりそうだが、それを甘んじて受けてでもやらねばならぬ事がある。
俺には強さに見えた。
テロには屈しない。
俺たちはこのホテルで戦った。
このホテルこそが、その象徴である、と。
強い。
なんと強靭な民族であろうか…。
そして、映画館を出た時の平和が…なんの疑念も躊躇いもなく満喫している平和が…その違和感が猛烈で…垂れ流される安寧な時間が哀れで…若干、行き場を失う。
日本はマヌケなぐらい平和だな。
それを国家として維持してくのは、きっと想像を絶するのだろうし、奇跡の産物なのかもしれない。
目を覆いたくなる展開
実際に起きたインドのテロを生々しく描いた力強い作品。劇中で描かれてる犠牲者の数を考えても、主人公や赤ちゃんが無事助かったからといって決して感動話ではない。運良く助かった人はいても、見終わったあと後味が悪かった。
現場描写はリアルなのだが、終始敵から見つからないよう逃げるサバイバルゲームのような展開で、苦しかった。誰も正解はわからず、とりあえずできることが何かを必死に考え、命がけで実行に移す。実にリアルだった
新婚夫婦がハンバーガーを注文するシーンだったり、敵が近くにいるかもしれないのに音声通話をしたり、家族家族といって他人の命をも巻き込む無茶な行動をしたり、銃口押し付けられて最後の最後にコーランを口にしたり、ちょっと納得いかないところもあった。
一番驚いたのはこのような痛ましすぎる惨劇があったにもかかわらず、まだホテルが営業されてることかもしれない…。
観るべき一作。ホテル・ムンバイ 2008年11月26日に起きたこと。
ホテルムンバイ。
2008年11月26日〜29日にインドのタージマハルパレスホテルで実際に起きたテロを描いた映画。
平和や無事を祈るマリーゴールドの花があふれる建築も素晴らしい本当に宮殿のような5つ星ホテル。
“お客さまは神様“最高のホスピタリティで接客をするホテルマンたち。
泊まる顧客も世界のVIPが多く、誰もが憧れるホテル。テロリストのイムランが無邪気に素敵だと思うぐらいのそんな素敵な場所。
夫婦や恋人や家族で過ごす楽しい食事の時間から一転、突然銃声が鳴り響いて。。。
とてもショッキングで、、息もつけなくて。繰り返される惨劇に目を背けたくなりました。でも、これが現実にあったこと。
銃撃戦や爆発音にまるでその場にいるような感覚になりました。
お客様を守るために行動した従業員の方々の純真な姿に心も打たれて、、テロを起こした理由を考えるとどうしようもないやりきれない気持ちになって。。 もし、巻き込まれてしまったら
どうしたらいいのだろうとかいろいろ考えさせられる映画でした。
旅する中で、食事をしてるときに、何気ない日常の中で、突然起こる惨劇は悲劇でしかなくて。
大切なひとが突然隣で銃に倒れたら、自分に銃口が向けられたら。。どうしたらいいのでしょう。
こんなことが日本で起きたら、どう対処するのだろうととても不安にもなりました。
亡くなった方も宿泊者より、従業員の方が多かったそうで、なんて勇気のある行動なんだろうと胸が熱くなりました。
ラストは安堵なのか 悲しいのかわからないけれど、涙が止まらなくて。。
そして、ベビーシッターの方の赤ちゃんの命を守る行動もママであるザーラやパパであるアメリカ人建築家デヴィッドの家族を守るための命がけの行動にもすごく胸を打たれました。
そして、愛する人が目の前で射殺されることは本当に想像を絶して、残されたザーラと赤ちゃんは今は大丈夫なのか、とても心配になりました。
テロリストのイムランも貧しい生活の中で、家族のためにと感情もなくして、人を次々と殺めるけれど、ザーラの祈りに同じムスリムで女性で自分と同じ人間、、と負傷した脚の痛さを抱え、上の指示に従うことが正しいのか心の迷いが見えて、本当に辛くなりました。
どうか良心が戻りますようにと祈らずにいられませんでした。
日本に住むわたしにはわからないコーランやイスラムの世界。宗教戦争。
貧富の差が生んでしまった憎悪や悲しみの感情。
見終わったあとの疲労感は凄かったけれど、、現場は本当に壮絶だったと思うので、すごくやりきれない気持ちになりました。
平和な日本も今は貧富の差もでてきています。でも、まだ守られていて、平和な世の中にもみえます。これから先、どんなときにも自分を自分の良心を見失わないようにと改めて考えました。
そして、今日もほぼ満員の客席でしたが、たくさんの方に観て欲しいと思いました。
2019年ベストムービー!
映画は、インドのムンバイで実際に起こったテロ事件を題材にしています。
宣伝にもある通り、ホテルが襲撃された時、避難する客のために奉仕したホテルマンたちの活躍を描き、感動的な物語となっています…
しかし、実際の作品の印象というか、そのテイストはちょっと違う…(笑)
それは、どちらかと言うと、『タイタニック』などに代表される様なパニック映画に近い…
そして、ある意味、ゾンビ映画に通じるものがあるかも知れません(笑)
テロリストたちは4人しかいないので、全然死にませんが、ホテル客たちは、ホテル中を逃げ惑い、面白いように殺されていく…みんな頭を撃ち抜かれて(笑)
最後の最後に、足を負傷したテロリストが、フラフラと特殊部隊の前に出て来た姿は、そのまんまゾンビでしたね(笑)
とにかく、2時間、息つく暇がありません(笑)
ドキドキハラハラなエンタメ作品が観たいなら、この作品…イチ押しです(笑)
靴が象徴的に扱われていたような…
冒頭、アルジュンの靴が映る。靴を履くのを忘れてサンダルで出勤してしまった。結局事務所にある小さな靴を履いてフロアに立つことになる。靴を忘れたことでルーム担当が代わり命が助かった、という意味だけなのかな?と思っていた。
いや、しかし、潜在的に足元に意識を向けるための意味があったのかもしれない。
テロリストの少年達はアメリカやイギリスは敵だ、と言っていた。でも履いている靴はvansとconverseではなかったか?
とするならば、あの少年達は本当に知識がなく、洗脳されているただの少年として描かれていることになる。
決してそこをフォーカスしたカットはない。
しかもイスラムの貧しいテロリストの少年達がそんな靴を履いているわけはない。
そこは本作の演出の1つなのだろう。
ってただ単に似てる靴ってだけだったりして。
つらい
開始47分くらいから泣き出して最後の方でやっとちょっとほっとした。あの電話だけで操ってるテロリストのボスなんなの。テロリストの父親もまさか使い捨てにされる為の訓練とか思ってないと思うけど。自分の子供を巻き込んだ一家自爆テロのニュースも前に見たから、こういうのどうしたらいいんだろう。友達と観たら気分が重くなって話す気分じゃ無くなりそうだからDVD鑑賞がおすすめ。料理長がしっかりして主人公や他のホテルスタッフ、地元警察が良心に基づいて行動してて良かった。
世界を繋ぐのは恐怖でなく優しさと敬意
2008年に発生したムンバイ同時多発テロを、
テロリストに占拠された高級ホテル、
『タージマハル・ホテル』での脱出劇
を中心に描いたサスペンス作。
開幕から終幕までとにかく物凄い緊張感の作品。
実際のテロ事件を扱っているため精神的にも重い。
...
実行犯たちがボートで上陸する冒頭からすでに
不穏な空気が漂っている。そこから駅での銃乱射、
繁華街での大混乱、ホテルでの立て籠もりから生存者
が脱出を遂げるラストまで、気を抜く暇は殆ど無い。
実行犯は未成年の少年ばかり。
だが、その淡々とした犯行の様子には背筋が凍る。
「奴らを人と思うな」という指示役の言葉通り、
実行犯たちは害虫駆除か何かのように無表情
のまま、逃げ惑う人々へ銃弾を浴びせていく。
ルームサービスのふりやロビーからの電話で
警戒を解かせるなど、巡らせてくる知恵も残忍だ。
にこやかに恋人や友人と会話をしていた数秒後に
周囲の人々が手投げ弾や銃弾で惨殺されるという
状況では、誰だって冷静などではいられない。
状況も理解できないままに人々がムンバイの街を
当てもなく逃げ惑う様子がゾッとするほどリアル。
狭く明るいホテルに舞台を移してからは益々緊張感
が高まり、廊下に出たり物陰から覗いたりといった
小さなアクションや微かな呼吸音すら恐ろしくなる。
...
そんな未曾有の恐怖に晒されてもなお、宿泊客を
1人でも多く救おうと居残り続けた従業員たち。
料理長オベロイが見せる毅然とした姿や
宿泊客への気遣い。どんな状況でも決して
焦らず怒らないアルジュンの優しさと勇気。
一刻も早く家族のもとへ戻りたいだろうに――そう
することも出来たのに――彼らは逃げ出さなかった。
それは単なる義務感だけではなかったと思う。
持って生まれた善良さだけでもなかったと思う。
宿泊客をもてなす為、様々な国籍のゲスト
ひとりひとりを理解しようと日頃から
努めていた彼らにとって、宿泊客の人々は
簡単に見捨てられるような他人ではなく
自分と同じく家族もいれば人生もある、
隣人のような存在だったんじゃないか。
家族を案じ続ける宿泊客たちの姿も印象的だ。
無謀ではあったが、家族を救うために単身
ホテルを駆け巡るデヴィッド。夫を想い、
泣きながら唄い続ける妻ザーラ。軽薄な男と
思いきや意外な男気を見せるロシア人ワシリー。
...
テロ実行犯たちの描写もしっかり。
残忍な彼らに完全に同情するのは僕には無理だが、
本作は彼らを単なる殺人鬼として描いてはいない。
テロ実行犯のひとり、イムラン。
足を撃たれた痛みにのたうち、家族に報酬が
支払われたかを心配し、父との電話で泣きじゃくる彼。
実際の報道を調べてみると、
ムンバイ同時多発テロの実行犯はパキスタン
の中でも特に貧しい地域の出身だったらしい。
貧しいが故、家族を養える大金に飛びつく。
貧しいが故、「自分達が困窮するこの状況
を生み出した者は誰なのか」と怒りを抱く。
顔を見せない指示役は、そんな彼らの
背中を少し押してやればいいだけだ。
"敵は我らの利益をむさぼる強欲な外国人どもだ、
我らの神の教えに反する強欲な異教徒どもだ。
彼らを殺せばお前もお前の家族も救われる。
神の栄光と家族の安寧を手に入れられる。"
だが当たり前の話、人を殺せば恨まれる。
恨みは報復につながり、それが新たな恨みを生む。
どちらかが根絶やしになるまで続く報復など不毛だし、
おまけに彼らのように世界中から恨みを買われる
ような真似は孤立を深めるばかりではと僕は思う。
...
人と人の心を隔てるのは、
国籍でも人種でもなく、互いへの無理解だ。
イムランの取り乱した姿を思い出す。
「奴らを人と思うな」と叩き込まれた彼が
動揺を見せたのは、ザーラの祈りの唄声に
『彼女もムスリムだ、自分と同じ人間だ』と、
それまでの教えを激しく揺さぶられたからだ。
アルジュンの真摯な姿を思い出す。
「ターバンと髭が怖い」と彼を突き放す婦人に対し、
彼は怒りを見せることも無く、自分のその身なりが
いかに自分にとって大切な物なのかを滔々と語った。
そして、それでもあなたが怖いのであれば、私は
あなたのためにそれらを取り除くと頭を下げた。
相手に自分の文化と心を理解してもらう努力。
そして同じ人間として相手に敬意を払う心。
そうして初めてお互いを、同じ人間と認め合える。
世界を繋ぐのはその粘り強い優しさだと思う。
...
最後に流れる『タージマハル・ホテル』での式典の映像。
「世界中がお前達を見ている」と、顔の見えない
テロの指示役はことあるごとに語っていたが、
世界が本当に見て、憧れて、語り継いでゆくのは、
人を殺す英雄よりも人を救う英雄の方だと言いたい。
安全圏からイスラムの大義とテレビリモコンを
振りかざす指示役には怒りが込み上げるが……
あの指示役もやはり、家族・民族・自身の宗教が
踏みにじられる怒りに駆られているのかもしれない。
きっととてつもなく怒っているのかもしれない。
だけどさ、銃や火薬を買って、何の罪もない少年達
の命を買って、彼らを殺人機械に教育するだけの
金があるなら、自分達の窮状や諸外国から受ける
不平等を世界に理解してもらための情報発信に
使った方がよっぽど効果的じゃないのか?
彼らに恨まれる側の僕らももっと、彼らの現状に
アンテナを向ける努力をしていかなければとも思うが。
窒息しそうなほどのサスペンスと同時に、
残忍なテロを生み出す今の世の中の悲しさ、
人間の尊厳や相互理解の美しさを感じさせる
素晴らしい作品だったと思います。4.5判定で。
<2019.09.28鑑賞>
.
.
.
.
余談:
先週からチマチマ書き進めていた本レビューと
昨晩書き上げた『ジョーカー』のレビュー、
どちらも激重な映画で気持ちがしんどい……。
無邪気で明るい映画が観たい……。
息もつけぬ2時間半
2008年の事件だというが私も同伴者もこの事件を知らなかった。
ムンバイが一夜にして戦場と化し、誰が犯人かも分からぬまま特殊部隊の到着に時間がかかり、超一流ホテルが占領され、おびただしい人数が倒れていく様はあまりに残酷で臨場感があった。
無駄なBGMなどは一切なく、淡々とリアルを描いていく。
冒頭から息つく暇もなくそこかしこで銃が乱射され、人が倒れていくりあるパニック映画
12人?のテロリスト達はいずれもまだ少年であり、彼らの視点からも描くことで絶対懲悪になっていないところが良かった。恐らくISだが首謀者は未だに捕まっておらず、反抗中も悲鳴が聞きたいから電話を切るなとほざき少年達の最期までその通話は上がったままだった
ところに残虐性を感じる。
富裕層の人間を生け捕り人質としてころがしている部屋に怪我をした犯人の1人が見張りでいた。
一人一人殺して行き、最後に残った女がイスラム教の呪文を唱えた時彼の心が揺れたのが見えた。
耳元では殺せと囁くボス
イスラム教以外人ではないと教えられ訓練されてきたのに目の前の女はイスラム語を唱えている。
テロをした暁には家族に多額の報酬を払ってやると約束していたのにまだ入金されてすらいない
なぜ?自分のしていることは間違っているのか?
赤子を連れた財閥夫婦は恐らくフィクションだろうが少年の心を揺らがすのに必要だったのだろう。
どこを取っても残酷で目を背けたくなる映画だったがこういったことが現実に起こったということ、救いようのない状況で人と人とが助け合い、自分の命より客の命を優先して亡くなったホテル従業員の方々など、ひたむきに生きようとする人間の本性を見た気がした。
素晴らしい映画だった
辛い
わー!とか、うー!とか唸りたくなります。
泣きたくなるし(というか映画館で号泣だし、煩いし。私)考えさせられる映画でした。
元々イスラム教徒のお姉さん、彼女が存命だったから明かされることもあったんだなぁと。
えーっと、何を聞いても辛い。
うわーってなります。 別に彼らの味方をするとかじゃないけど、それこそ、洗脳されて実行していた少年たちは多分正直使い捨ての駒だったんだろう。その中で、テロ実行中に家族に電話するシーンがあったんだけど、本当に本当に彼らの味方をするわけではないんだけど、彼らには彼らの正義があったんだろうなと。この行為を肯定するつもりはないけど、トイレがウォシュレットで驚くとか、今私たちも当たり前のことが、未来の話のように語られているシーンを観て、おもうところはありますよね。と。
正直、そういう当時のうやっともやっとかついろいろな感情を持った様子を、それを伝えてくれた、イスラム教徒のお金持ちのお姉さん。
結局ご主人殺されたし、守ってくれた偉そうな(実際偉いおじさん)や、人質たちを見張る彼の発言行動なども、ご存命の方の当時の記憶とかあるんだなと思うと辛い。
正直、多分実行犯の彼ら。少年たち。家にお金もらえる。あいつら敵だしおっけーっとか言われて実行したのかな。
え、だって彼も辛いよ。家族のためにとか。
本当にこういう世の中よくない。
正直、なんで今のこの世にそういうことが起きるのだろうとおもうと、辛いです。
でも新興国はいまだにそういう考えの方も多いし、安全だと、そりゃ誤解するよね。
ニューデリーには特殊部隊いるけど、ムンバイには居ないから放置とか、知らんしそんなの、なってみて、マジか!そうなの?バカなの?頭大丈夫?って思うのは、何故か金を払ってる市民なんだよね。世知辛い。
や、特殊訓令積んでない人が言っても無駄だしわかるけど、や、でもそういうことでもないし、辛い。
15:17パリ行きは同じ実話を元にしてても、正直見所ないしよーわからんな感じでしたが、ムンバイは要所要所辛い。
逃げる事はがわるいわけじゃないけど、逃げた人、それを見守る料理長。
お客さまを売れなくて殺されるフロント従業員のお姉さんら,当時の誇りを持って働いてた方に敬意を称します。
ありがとうございました。
見終わったあとの空虚感
テロリストっていとも簡単に海からあんな風に現れるんだ…というところから始まり…
リュック背負ってタクシーつかまえて…
インドの雑多な街並み、淀んだ空気、駅の人混み…
一つ一つのシーンに心奪われてしまいました。
そこからはとにかく銃声に耳を塞ぎたくなったし、ドキドキしたし、胸が締め付けられ苦しくなりました。
合間で実際のシーンも取り込まれていたんでしょうか
悲惨で辛くて悲しすぎました。
テロもそう戦争もそう…だーれも得しない。
損しかなくて悲しみしか残らない。
虐げられたムスリムの人たちの辛かった感情もあるんだろうけど、だからといってこんなことするべきじゃない…
そんなこと考えながら映画館を出て、日本の平和なショッピングモール内を歩く人たちとすれ違うと…言葉にできない空虚な感情があらわれて何とも言えない余計に辛い気持ちになりました。
最後の主人公がボーッとした表情での帰路シーン、インパクトありました。
無事に生きてて良かった…せめて奥さんとお嬢ちゃんに再会するところまでを見せて欲しいと願った私の想いは叶いました。救われました。
ジョン・マクレーンは居ないので
実話を元にした無差別テロの映画。
そこにはダイハードのジョン・マクレーンは居ないので、出来る事は逃げるか隠れるか。
相当ハラハラドキドキしましたが、元が実話だけにエンタメとして楽しんで良いのだろうか?と思ったりも。
「お客様を守る」というホテル従業員達の職業意識の高さには感服しました。
自分ならどうしたかなぁ…。
ハラハラドキドキの2時間
まさにそこにいるかのようなハラハラさせる演出。いつ殺されるかわからないドキドキ。
点数が良かったのと、この主人公の出る映画にハズレが少ないので、観てみました。結果、最高。2019年でナンバー1かも。
いつ主人公や、ロシア人の彼や建築家の彼が、銃を取り上げて、反撃するかと思っていたが、それが起きないのが現実なんだな。
最後に主人公と料理長が抱き合うのが、いかにもだけど、あれがあってホッとするので、ありとしよう。
作品としては満足。ただし複雑な気持ち
恥ずかしながらこの出来事は知らなかった。
その為この映画でこの出来事を知ることになった為、率直な感想としてはとても複雑な気持ちである。
映画作品としては素晴らしいものだろう。知らない僕にとっても2時間あっという間に時間が過ぎ見入る事ができたからだ。
ただノンフィクションという事もあってどうしても被害者感情が強く出てしまう。
ノンフィクションが故にテロリストの背景などは一切描かれる事はないので、やはりどうしても怒りだけが湧いてしまう。未熟ながらその怒りの矛先がどうしても、地元警察や警備隊に向いてしまった。
彼らもまた被害者であり、計画的なテロのためきちんと機能させないように阻んだんだろうと思うが、やはり被害者感情が強く湧いてしまう。まだまだ僕は理解が追いつかない未熟さを痛感させられた。
やはりこういったノンフィクション作品だとこの作品を通じて何か学んだ、育んだということは難しいが、窮地に立たされた時に団結し時には自分が犠牲になってでも他者を守るといった正義心には心打たれた。(ただしこれもまた本当に正解なのかはわからない)
中々難しい理解になるが、確実に言えることはどんな理由、価値観があろうともテロリストを断じて許してはいけない。そしてホテルムンバイの従業員達を心から讃えたいと思った。
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