「抗っても惹かれてしまうものがある」永遠に僕のもの 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
抗っても惹かれてしまうものがある
野生の獣の美しさというものがあると思う。
この映画の主人公にもそういう類の危険な美しさがある。実際に顔が美しい。実在の人物がモデルだが、そのモデルとなった人物も、本作の登場人物もその美しさをマリリン・モンローに例えられる。
外見の美しさというものは、どうしようもなく人を惹きつける。どう取り繕っても、どう綺麗事を言っても惹かれるものは惹かれる。彼がとんでもない殺人鬼であっても、その美貌ゆえに気になってしまう。映画を観ていて、こんなやつに惹かれてはいけないと思いつつ、絶対に惹かれてしまう。
犯罪、というのもある種の魅力がある。やってはいけないことだと知っているが、だからこそ、たやすく犯罪に走れる人間はどういう考えをしているのか知りたくもなる。犯罪映画は数多く作られるのは、犯罪に生きる人間に魅力を感じてしまうからだ。
いろいろな点で、この映画は非常に挑発的だ。惹かれてはいけないものに惹かれてしまう気持ちを観客に抱かせる。そして、そのつかの間の背徳感は実に心地よかったりもするのだ。
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