トールキン 旅のはじまりのレビュー・感想・評価
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宝物は存在するよ。いろんな宝物が。
「ロード・オブ・リング」などのファンタジー作家の伝記。舞台がイギリスだけに美術が眼福。また、英国人特有の言回しが詩的で心地よい。四人の仲間のかたい友情が爽やかだ。失恋をしたトールキンに、哀しみを知る者こそ美しいものを生み出す、的な慰めの言葉は彼の心の支えになるよなあ。
心地よく繋がる
トールキン自身が言語学者で独自の言葉を作るのが趣味だということ、また絵も得意だということ、さらに戦争を体験しているということが全て繋がってホビットという、なんだかどこかで見たことあるような、だけれどどこでも見たことのない新しい物語ができているんだなと思った。
虚構と現実の狭間
ファンタジー好きとして、トールキンと聞けば、振り返って「何々、何の話?」と反応せざるを得ない。
本作もタイトルだけでチェックしていたが、上映館がずれていたのか、予告編も見掛けず、「作家トールキンの話」との予備知識のみ。
特に映画に於いては、私は『伝記物』に正確性を求めていない。別人が語り別人が演じている時点で、既に立派なフィクションでしょう。見る側が話半分の心得でいればいい。だから、ここで語られたトールキンは、『かも知れない』トールキンのひとつとして楽しめればいいや、という程度のスタンス。
物語には、投影、疑似体験、学習、感情誘起、様々な作用要素がある。現実でままならなかったり、欠けている部分を、物語が補い、支える事があると思っている。そのバランスは片寄りすぎては危ういけれど、人にとって、少なくとも私には、物語は生きていくのに不可欠な存在だ。
だからこそ、現実が物語を生み、物語が現実に寄り添う表現を見た時、強く惹き付けられ、自身も救われるような気がする。『ネバーランド』や『恋に落ちたシェイクスピア』『ビッグフィッシュ』などがそうだった。
トールキンの中には、現実を映す水面のような、もうひとつの確固たる世界があった。時にそれが彼の孤独や苦難を救った。
戦死した息子の詩集出版を渋る母親にトールキンは言う。「何の役にたつのかと仰いましたね。こんな時代だからこそ必要なのです」腹が膨れても心が養われなければ、人は立ち上がれない。
イギリス物好きの私にとっては、単純に目の保養でもあった。
学校で友情を育み戯れあう少年達。立場も性格も絶妙なバランスで個性付けされている。この学友もの部分だけで二時間位見たい。
制服、学舎、図書館、芝生、お茶会、パブ、偏屈な老教授。お腹いっぱいですありがとう。
戦争描写にも迫力がある。『天国でまた会おう』でも悲惨さに息を飲んだ、同じ時代地域での出来事。紙一重で生き延びた彼らのような人々も、心や体に深い傷を負った。重ねて語られた事実に胸が痛む。
多分原文では洒落だったり文学的だったりする台詞なんだろう。日本語字幕の言い回しが解り辛い部分が何度かあった。英語に堪能だったら、もっとニュアンスが理解できて面白かったかな。
友情、恋愛、戦争と、人間ドラマとしての展開はありきたりでもある。どれも解りやすくステレオタイプな描き方なので、焦点がどっち付かずの印象もある。幼少時から青年期への回想と、戦場での現在が代わる代わる語られる構成のテンポの悪さや、エピソードの些事のザックリ具合など、気になる部分もちょいちょいある。
が、私にとっては好きな物マシマシの好物具合。色々楽しませてもらったしいいよいいよと、点も甘くなろうというものです。
神話や物語への崇敬
今年3月の『マイ・ブックショップ』
つい最近の『ガーンジー島の読書会の秘密』
そして『トールキン』
舞台はみんなイギリスなんですね、なるほど。
古代ゴート語(ゴート族といえば、古代ローマに侵入した蛮族のひとつ?)に関する著作のある言語学の権威との出会い、エルフ語とかドワーフ語を創作してしまうトールキン!凄すぎる‼︎
素粒子やら多次元宇宙とかと同じくらい、自分にはチンプンカンプンなレベルの学問とそれを担える人たちが少なからず存在すること、それを映画という形で私のような凡人にもなんとなくわかった気になるように伝えてくれる。もうそれだけでドラマ作りとしてめちゃくちゃ立派だと思います。
階級格差とか戦争のような理不尽な状況は、それに抗う人たちの自尊心や気高さ、亡くした人への悼み、残された人の心の恢復など、それだけで深くて強い物語を生み出します。
(逆説的にいうと、世の中が平和で満たされた人ばかりになると、感動的なドラマが生まれない、ということになるのだろうか)
世界各地に残る神話や伝説・伝承は、それぞれの民族が生き延びてきた歴史の中で、祖先が味わい克服してきた苦闘や恐怖(飢饉のような環境的な要因や近隣の他部族による侵略など)の記録でもあるといいます。
そのようなことを考え合わせると、イギリスの人たちは、物語というものへの向き合い方、物語を生み出した背景や歴史、そして物語を紡ぐ人たちへの自然な崇敬といったものが、我々の想像を超えるレベルで強いのではないか、そんなことを思いました。
そういえば、ハリーポッターにも神話・伝承がモチーフの巨人トロールとか出てきますよね。
トールキンの半生を描いた本作。 「指輪物語」「ホビットの冒険」...
トールキンの半生を描いた本作。
「指輪物語」「ホビットの冒険」の著者
のであるトールキン。
トールキンを演じるのは
『ライ麦畑の反逆児
ひとりぼっちのサリンジャー』に続く
作家役第二弾となるニコラス・ホルト
ニコラスホルト君に期待する反面、
伝記作品なのでちょっと構えてしまい
観るのを少し迷っていたのですが
観て良かった。
緑豊かな田舎町の風景
木々に生い茂る美しい葉
ジャム瓶と大きなスプーン
走馬灯に映る赤い影
人の丈ほどもある銅板画
鏡に映し出される二人の後ろ姿
とても美しい映像のなかに描かれる
様々な描写が印象的。
トールキンと親友たちが育む
彼らの友情もとても尊く
羨ましくもあり胸が熱くなりました
4人のほっこり姿は本当に素敵でした
勝手な想像なのですが、彼はトールキンに
友情以上の感情を持っていたように
うつったのですが…どうなんだろう?
トールキンのなかにあった秘めたものは
母や仲間たち、そして愛した人によって
引き出されてゆきやがて
「指輪物語」「ホビットの冒険」の
世界観が拡がってゆくんですね
伝記物といっても僕が思っていた
構えてしまうような脚色や演出ではなく
序盤からエンドロールまで余すことなく
見いってしまう描き方でした
美しい描写だけではなく
激しい戦火の最前線も映し出される、、
トールキンが戦火を生き抜いたことは
ホビットシリーズやロードオブザリングの映画を生み出すことになった事を
考えると感慨深いものがあります
ちょっと微笑ましかったのが
ニコラスホルト君の背の高さ
親友たちと集まったときに
1人抜きん出てるのがなんだか可笑しかったw
ニコラス君の演技はサリンジャーを
演じたときとは又違った演技力で
彼の優しさが滲み出ている顔が
本当に素敵でした
素敵と言えば
リリーコリンズ!
リリーは僕のなかに強い印象が
なかったのですが、
凛々しい顔つきの中にある
可憐さが眩しかった
言葉を知り新たな言葉や世界を
創造するって素敵だなぁ
stay Life . come back to me .
トールキンがいなかったら自分のファンタジー文化はどうなっていたのか…。他にも多大に影響は受けて拗らせたりもしたけれど、やはりこの人が金字塔のテッペンに屹立している。そんな感じでの興味半分な鑑賞でした。
…そしてゴメンナサイ。いや、きっと、アリガトウゴザイマスなのだろうけれど、見事過ぎた。そもそも監督がトールキンの事を大好きなのだろう。一人の物憂げな青年の話を、激動の時代であるとは言え、魂の描写と融合させつつ描ききっていた。世界が動乱している時に、如何に人が人と生きたのか、凄く魂に響いた。「指輪物語のあの人でしょー?」なんて感じで敬遠されるのがほんとに悲しい、稀有な作品でした。
トールキンの生涯ダイジェスト
トールキンについては指輪物語の作者ということしか知らず、トールキンについて知るいい機会だと思って見ました。
簡単に言えば、トールキンの生涯を111分まとめた映画です。あまりにも簡略にしすぎなので少し具に書くと、第一次世界大戦中のトールキンが塹壕熱にうなされ、親友のジェフリー·B·スミスを探しながら、過去を内省?(表現が正しいか分からない)するのが映画のだいたいを占め、世界大戦後の様子も表したものです。端的に言って、豪華なトールキン生涯ダイジェストです。
余談になりますが、あんなきれいな女優さんとキスできるのは羨ましいです。
トールキンの目から見える世界
偉大な小説家・トールキンの半生は、辛く苦しい中にもかけがえのない仲間たちとの日々や愛に溢れた時間があり、その一つ一つが温かく優しく丁寧に描かれていました。「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」のアイデアの種もあらゆる所に散りばめられていて、あんなにも壮大な冒険小説の発想はこんなにも日常の中にあったのかと驚きました。トールキンの目から見える世界は、木々の揺らめきやランプの光、戦争の最中でさえも創造に溢れている。凡人には想像もつかないけれど、彼が生み出した作品の緻密さを思うと、納得です。
ホビットを彷彿させる男子4人の仲間の絆や、戦争中の“サム”とのやり取りも素敵。トールキンの旅の仲間がそこにいました。
2019-78
フロドには、サムがいて、ピピンがいて、メリーがいることが、そうだったんだ、と、、、。
こないだサリンジャーを演じたばかりのニコラス・ホルト君が、今度はトールキン。
すみません、そこまで期待せず、『ライ麦畑の反逆児』も良かったからいくかーくらいのテンションだったんですが、素敵でした。
気付いたらエンドロールだったし、
気付いたら目から水が、、、。
孤児のトールキンと3人の裕福な家庭の青年が出会う。
彼らの友情が素敵。
トールキンが3人を妬むこともなく、
3人がトールキンをいじることもない。
互いが互いの才能を認め合って、ちょっと羨ましながらも、楽しい時間を過ごして、、、
特に素晴らしいなと思ったのが、トールキンが奨学金をもらえなくなり、退学になりそうなとき、この3人は親に頼んでお金出してもらうという考えがハナから頭にないこと。
トールキンの立場に立って、トールキンが出来る最良の手を考えてる。
もちろんトールキンもねだるなんてことはない。
これが本当の友情だし、本当の友達の手助けだと思った。
戦争のシーンも、お涙頂戴的な描かれ方ではなかった(それを否定しているわけではありません)。
友人のお母さんと、若い頃よく通った紅茶店で、その頃の思い出にふけるというシーン。ここ、、、目から水が止まらなかった。
助かっても精神的な病を負ってしまった友人の名前を子供に名付けたというトールキン。
一生の友情でしたね。
敷居が高そうに見えて、とても観やすい映画でした。
指輪物語で描かれていた仲間との友情や愛が、トールキンの中で自然に生まれたものだったというのがよくわかりました。
正統にして良質
不憫さはありながらも愛のあった生い立ち〜 若気の至り 猛る男子校物語〜 恋〜 から愛へ〜 そして戦争という💥非日常へ〜 エピローグ🖌
幾つかのシーンで魂が震えましたし涙も滲みました💧
彼の紡いだ数々の物語に(これも大作故か‥今更これに手を出すのも‥と億劫がった過去の判断にして)不幸にも私は未だどれもお目にかかったことがありませんでした。
(煤けた大人になる前はあれほどファンタジー好きだったのに・・ そこに何かしら自らの屈折したものを感じます‥ モモ、ゴメン😓ワタシは弱カッタ)
が、しかし、ついこの前、BSで『ホビット 竜に奪われた王国』がやっていたので途中からでありながらも初鑑賞し、来たる9月15日に同じくBSにて放送される続編の『ホビット 決戦のゆくえ』も丁度楽しみにしておりましたところで(後日談:用事で観られなかった~残念😔レコ-ダ-無し)、この映画を見る前に少しでも彼の作品を知っていて良かったなと‥ 。
この物語を振り返り、彼が成し得たその偉業の礎となる彼の母親による愛ある教育に思いが至ります。
類稀な彼の才覚は彼女の遺産でもあり、彼女をそれほどまでの才女たらしめたのも、そのまたご両親か‥
結実し世に響き渡ったものは受け継がれてきた魂の仕事📙🖌📚
余談:映画化以前に原作は全て読破済みの文学&映画好きの姉曰く、映画『ホビット』シリーズはそれなりだけど『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは、原作を米一粒に例えるとそれを一升くらいに膨らませた監督の手腕も素晴らしい❗️‥などと言うておりました。
邦題がドンピシャだった。
戦争に翻弄された若者たちの友情、成長の物語り。トールキンの半生だけど彼のはなしというよりは多くの若者がこうだったのでは、という内容な気がする。ほんと、はじまりなはなしでした。
ビジュアルの美しさ
ホビットや指輪物語のファンなら、「旅の仲間」の尊さがずしんと来る若きトールキンの友情と知的好奇心と愛の物語。
そしてなにより、少年たちの学校生活の画面が「トーマの心臓」を彷彿とさせる美しさ。下宿も学舎もカフェも色調からなにから、本当に美しい。
実在の人物の物語なので、ストーリーに驚きはないですが、良い映画です。
名作を生んだ友情物語
予告編を見ての印象から、戦争中の重い感じのストーリーを予想していましたが、映画「ホビット」「ロード・オブ・ザリング」の原作者の、幼少期から少年、青年にかけて築き上げた仲間との友情物語という感じで、とてもわかりやすい良い映画でした。孤児になったトールキンがイギリスの上流階級のお友達と過ごす映像は品があり、きれいでした。戦争中のCG映像に空想物が出てきたことが、ファンタジーの原作者の話なのだな~と感じました。
創作と、それを支えた友情の物語
『ホビットの冒険』や『指輪物語』の作者であるトールキンの前半生(少年期〜青年期)の物語。
第一次世界大戦の従軍中に過去を回想する形で進んでいく物語は、美しいイギリスの風景と、悲惨な塹壕戦の様子を行き来し、映画の色彩に良いコントラストを与えてくれます。
特に「芸術で世界を変えよう!」と少年たちが結成するT.C.B.S.の面々が眩しいほどにキラキラしているので、青春映画としても秀逸です。
トールキンに関する前知識なしでも、20世紀初頭のイギリスの雰囲気(古い喫茶店や、オックスフォードや、書架や、夕暮れの木立や、紅茶…)が好きな人にはオススメ。
「詩や物語や空想、そんな創り事に何の意味がある?」そんな疑問に一度でも晒されたことがある人、何でもいいから「創作」をしようとしたことがある人には、胸に響くものがあると思います。
誰もが傷を抱えた後で「物語ること」に何ができるのか、その答えが伝わってくるラストシーンでは思わず涙が出ました。
映像や音楽に関しては、PJ版の映画『ロード・オブ・ザ・リングス』を彷彿とさせる箇所が散りばめられており、あの三部作が好きな人は是非映画館で見て欲しい作品です。
愛と友情と創造性の物語
これは愛と友情と創造性の物語である。第一次世界大戦の戦場の様子と若かりし頃の思い出を融合する発想は素晴らしい。イギリスの街並みも綺麗に再現されている。特に印象的なのがオペラの小道具の指輪で遊ぶシーン。トールキンの半生を知ることが出来る貴重な作品です。
2019-182
重厚で奥が深い映画です!
久しぶりに重厚で濃密な作品に出会えて良かった!
彼の作品のジャンルはファンタジーですが、純粋で人生の苦悩を見事に昇華させているという意味では、大河小説のような深い味わいがあります。
その源は、芸術で世界を変えようという4人の友情にあったということが、この映画で良く判りました。
この4人の友情はエベレストよりも高く、神聖で美しい。彼らのうち2人は第1次世界大戦で戦死し、1人は戦争から帰還したが精神的な病に侵される。
トールキンは戦死した詩人の作品を刊行する。生き残ったものとして、せめてもの彼の才能の足跡を残してあげたかったのである。
トールキンは孤児であるが、沢山の人々の尽力と、惨たらしい戦争体験、そしてやはり孤児であったヒロインの海のような深い愛によってファンタジー作家として大成して行く。
戦争のシーンは不快で忌避感しかないが、最後にトールキンは勝利者になるのである。その余韻がいつまでも冷めない感動の作品でした。
特に友情を語るシーンは泣けます。ヒロインとの再会も。
この彼がロードオブザリングの作者とは、凄すぎて動けません。
是非、観て欲しい映画です。自分の価値観ですが、傑作10選には入ると思います。
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