「壮絶な半生に何故か共感」ロケットマン クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
壮絶な半生に何故か共感
一躍スターダムを駆け上がった「エルトンジョン」ことレジードワイトの半生記。
彼のヒット曲に載せたミュージカル。ミュージカルに抵抗あったが、知ってる曲とキャッチーな曲だと楽しく鑑賞できる事を確認できた、自分史上に於いて画期的作品でした。
レジーの不遇な少年期。作詞家バーニーに出会ってからの大躍進。そしてアメリカでの成功を描いている。
世界中で知らない人の方が少ない「エルトンジョン」は、どれだけ興行的な成功を収めても常に孤独を感じていた。それは、皆が愛しているのは、レジーが演じる「エルトン」であり、彼の性癖の所為もあるが、常にレジーに想起される両親との関係で、レジーは少年時代から成長出来ていないのである。
愛情に飢えたレジーは、愛に見紛うモノに次々と身を委ねるが、自分の勘違いや価値観の違いで破綻してしまう。
彼ほどの成功者がいつも周囲を悲しませてしまうのは、彼自身が現状を心底楽しんだ事がないからであり、それは彼自身が少年から成長していないからである。
自分がどれだけ成長してもどれだけ成果を出しても、自分の原点は変わっていなくて常にそこに帰りたくなる、というノスタルジーみたいなものは、誰にでもあるのではないだろうか?
少なくとも、何も成功していない自分ですら、今の自分が本物なのか虚構なのか、と偶に考えてしまう。
「エルトンジョン」は休止宣言して、子育てするそうだ。子育てする事で彼の内面がどう変わるのか、また復帰した時のパフォーマンスを期待したい。
どなたかのレビューで、エルトンジョンが「キングスマン」に出てる事を知り、「ゴールデンサークル」を慌てて観た事を、追記します。
「ゴールデンサークル」撮ってる時には、既に「ロケットマン」の話は進んでいた様ですね。