「大人の自分と子供の自分」空の青さを知る人よ 福田十二指腸さんの映画レビュー(感想・評価)
大人の自分と子供の自分
2回目の劇場観賞時、知らず知らずに慎之介を自分と重ね合わせながら見ていました。
良い年をした大人の男である自分は、少年時代にぼんやりと思い描いていた将来の自分の像に重なるような生き方をできてはおらず、しかし、日々それなりの充足感を得ながら生活しています。
とは言え、平坦で淡々とした日常の中にあっても、つまずいたりもしますし、時には無様な自分に憤ったりもするわけで、ここ数年は、《少年時代の自分と向き合い、「彼」からダメ出しをされる》というイメージを描くことが、しばしばあります。
そんなうだつの上がらない中年男の私なんかよりも、少年だった「しんの」の夢にかなり接近している(接近したことのあった)慎之介は、接近して、届かず、諦めかけているというタイミングで、「しんの」と向き合います。そして、彼(しんの)から図星をズバズバと突かれるわけですが、私も少年だった自分からの耳を塞ぎたくなる指摘をちゃんと受け入れねばなるまい、という気持ちになった、そんな2回目の観賞でした。
と、ここでは「慎之介」と「しんの」の関係性を「今の自分」と「少年時代の自分」の関係に照らして見たことを記しましたが、あかね、あおい、つぐ、大滝さん(あおいのクラスメイト)等の登場人物それぞれの立場でも見たくなる作品で、私は完全にノーマークの状態で劇場観賞をしたのですが、今年見た20作超の中でもトップクラスの傑作、というか、傑ッッッ作ッッッッ!!!!!と言わざるを得ないのが現状です。
見ようかどうか迷っている人がこれを読んでいたとすれば、迷わず見ることをお勧めします。
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