CLIMAX クライマックスのレビュー・感想・評価
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エネルギーに満ち満ちた怪作
と言うと聞こえはいい。
が、これを映画としてどう捉えるかで評価は分かれるだろう。見終わっての印象はミュージックビデオに近い。
あるいは、『デビルマン』のサバト。これをほぼそのまま実写化した印象か。
ストーリーは至ってシンプル。
舞踊団に応募し、廃屋に集まったダンサー達。リハーサルを終え、始まるパーティ。
興奮しトランス状態になった彼らは、知らず知らずのうちにLSD入りのサングリアを飲まされていて…というもの。
だが、これが冒頭からめちゃくちゃ面白い!
アバンの個性的な映像から全て持っていかれる。そこから始まるダンスシーンの美しさ。
超絶パフォーマンスを長回しでじっくり見せくれる。これだけでも他には変えがたい魅力があった。
ダフトパンクの音楽とハイクオリティなダンス、独創的なカメラワーク。これだけで映像体験として十二分に楽しむ事ができた。
後半のトリップシーンも非常に興味深く、挑戦的な映像の連続。映像と字幕を文字通り上下反転したりと、酔いそうな映像が続く。
しかし、見ているこっちもトリップするような映像かと言われれば、それほどのものでもなかった。R-18指定こそあるもの、バイオレンス・エロ表現も予想していたよりはマイルド。似たような描写で言えば「サスペリア」の方が衝撃的だ。
とはいえ、こういった作品に慣れていない人にとっては、人間が徐々にコワれていく様子にはトラウマ級のショックを受けるかもしれない。人間の理性が薬物によって剥ぎ取られ。本能に従って壊れ、次第に獣と化していく。
前半と後半とで評価がまるで違う結果となった。映像体験として見れば★4.5。映画として見れば★2.5と言ったところ。
刺さるか否かは見なければ分からない。見ないで後悔するくらいなら、見て後悔した方がいいだろう。
冒頭のダンスシーンは圧巻
冒頭のダンスシーンは圧巻で、そこだけでも何度か見たくなる。
途中でふと何を見させられてるんだという気にもなったが、圧倒的なエネルギーが感じられる作品。
ダンスパフォーマンスは圧巻でした
確か…Instagram だったと思う。予告編が流れてきて、圧巻のダンスパフォーマンスに興味が湧いた。ちょっとだけ、パーティーとか、ドラッグとか、どうでも良かったんだよね…。でも、このコロナのせいで、特別興行で、割安で鑑賞できたので、観てみました。でも、それだけ…。
誰が、何のために、サングリアに何かを入れたのか…とか、明かされぬまま終わりました。ダンスパフォーマンスは、本当に、素晴らしかった。個人、個人のパフォーマンスは、下手じゃない?って人もいましたが、全体的に見ると、素晴らしかったです。パーティーとか、ドラッグとかじゃなくて、もう少し、正統派のストーリーにすれば良かったのに…。もしくは、きちんと、謎を明かしてくれたら、もっと違う感想を持てたのに…。ちょっと残念でした。
映画だからこそ表現できた混沌
長い大音量のサイレンで始まり、シートがびりびり震えるほどの音楽に合わせてダンサーたちが踊る。そして、ビシッと息の合った彼らのダンスが終わると、アルコールとLSDの混沌の夜が始まる。
酒とドラッグが解き放ってしまう人間の本性の、見るに耐えないほどの生々しさ、荒々しさが止まらなくなる。いきなりキレる女、自傷する女、生々しい会話を延々と続ける男たち。
酒にLSDを混入した女は示唆されるが目的はわからない。
音楽と、踊り叫び泣く男たち、女たち。映画だからこそ表現できた混沌。この後味の悪さも込みでの芸術であろう。
見る者全てを地獄に叩き落とすドラッグムービー
変な映画を撮らせたら右に出る者はいない、ギャスパー・ノエ監督最新作!
何者かがサングリアに混入させたLSDを摂取してしまったダンサーたちが、
次第に精神を崩壊させていく姿を描く本作。
見た誰もが驚くのは、
OPからいきなりエンドロールが流れ、
ちょうど中盤あたりでキャストがクレジットされ、
EDにはタイトルが出るのみという、
現代映画の文法を無視しまくった作り。
.「エンドロールから映画を始めるなんて、お前ら思いつかねえだろ?」
というノエ監督のドヤ顔が目に浮かびます。
テロップで流れる
.「生きることは集団における不可能性」
.「死は特異な体験」
といった言葉の真意を100%理解できた気は全くしませんが、
序盤では一糸乱れぬ美しい踊りを見せていたダンサーたちが、
ドラッグによって暴力性を増し、互いを傷つけあう様をある種の地獄として描き、
さらには死の追体験までさせる監督の力技に打ちのめされました。
冒頭のインタビュー映像やダンサー同士の会話にも、
後の展開をほのめかすセリフがいくつも出てくるので、
見落とさぬよう注意してご覧ください!
ほぼ全員演技未経験のダンサーたちによる圧巻のオープニングシーンは中毒性バツグンで、何度でも見返したくなります。
『キングスマン』『アトミック・ブロンド』にも出演し、
ダンサーとしてのキャリアも持つソフィア・ブテラの、惚れ惚れするしなやかな動きにも是非ご注目を!
まさに"狂気"乱舞…!
何者かが盛ったLSD入りのサングリアを飲んだことから始まる、地獄の一夜を描くお話。
公演を控えた22人のダンサーたち。3日間に及ぶ厳しいリハーサルを終えた後、打ち上げパーティーを始めるが、そこで振る舞われたサングリアにLSDが入っていて…….。
時間が経つと共に彼らは薬物の影響を受け始め、徐々にトランス状態へと落ちていく。いや、ここでは"堕ちていく"と表現するのが妥当だろうか。
ギャスパー・ノエ作品はいつも挑発的というか、挑戦的というか。"映画は観るものを作品に巻き込む。"というが、今回の彼の作品はレベルが違いすぎたと思う。もちろん、私自身日常生活を送る中で薬物との関係は無縁であることは言うまでもないが、その無縁である"薬物"に対して恐ろしいほど親近感が湧いたというか、体験したこともないはずなのに、「ああ、こうなるのわかるなあ。」という、確信的なものを感じてしまった。
この作品はそんな感情になれば、まさに監督の思うツボなのだろう。事実、鑑賞中何度も微笑が止まらなくて、仕方がなかったのだから。但しレーティングはR18+。強い性描写や、暴力描写などはないが、不快指数はかなり強め。警戒が必要だ。
秀逸な映像だけど、物語としては意外性が少なかった点が残念。
本作はギャスパー・ノエ監督作品ということで、恐らく多くの観客はある程度の心構えができていることでしょう(何の予備知識もなく鑑賞することになった方には同情するしか…)。ノエ監督ファンの間では、本作は比較的観やすい内容という評価のようですが、それでも十分に衝撃的な映像の連続であることは間違いありません。
作品の主軸は明確で、ダンサー達のパーティーに誰かが麻薬を仕込み、楽しい打ち上げが一転して悪夢の狂宴に変貌する過程を描いています。ひたすら狂ったダンサー達の様子を、カメラが執拗に追いかける「だけ」の物語といっても過言ではありません。あらすじを読んで「なんか『デビルマン』(原作)序盤のサバトの場面みたいだな…」と思った人の直観は正しいです。
ただ、作品冒頭で各ダンサーの人となりをインタビューの形をとって描いていおり(『蜜蜂と遠雷』も似た手法をとっていたことが興味深いです)、その言動が中盤以降の修羅場で使われているのですが、インタビューをなぞる程度の使い方のようで、少し肩すかしを食らったような気持ちになりました。
映像は真上からの俯瞰、天地逆転(字幕も)、手持ちの長回しなど、臨場感に充ちていながら美的な感覚を刺激される映像が随所にちりばめられています。全天球カメラで撮影したと覚しきポスターの構図も、本作の狂気を一目で分かる形で示していて、秀逸でした。
パーティーが壊れていく
ダンス公演のリハーサル合宿で起きた実際の事件をもとにした話。
冒頭はインタビュー、その後延々とダンスシーン。ここを退屈せずに観れるかどうかがポイントのような気がした(個人的にはダンスシーンはよかった)。本物のダンサーたちが演じていると聞いて納得。
で、その後のパーティーになってからが本題。人間関係やキャラクターを徐々にわからせてくれるのかと思ったが、結構曖昧なまま進んでいく。あいつとやりたい、誰々とやったぜって下世話な話題(ほとんどがそんな話だけど)も、それ誰だっけ?ってなってしまった。
そして徐々にみんなが変になっていく。そこらへんでセックスしまくる展開なのかと思ったら、それ以外にも事件となるエピソードがいくつか。あいつは外に出されたままだなとか、髪燃えたあいつはどうなった?とか思いながら観ていたが、結局何か驚きの結末が待っているわけではなかった。実際の事件をもとにしているから仕方ない部分もあるかもしれないが不満の残る結末。
天井からのダンス撮影や天地を逆にするといったカメラワーク、エンドロールではなく冒頭のクレジット等、少し変わったことをやってる印象はあるがそれが効果的とは思えない。みんなが壊れていく様はとても興味深かっただけにもったいなく感じた。
皆がハードル上げすぎ
鬼才ギャスパー、地獄、トラウマ…
これら前評判に期待は否が応でも爆上がり。確かに前半の「ヤバい雰囲気」はビンビン来る。ダンスリハが終わり、さあこれからか!?といったあたりから…
特段何も起こらず。強いて言えば泣き叫ぶ子供を放置して殺したあたりは不快だが、それ以外はハッキリ言って期待外れ。現実にはもっとやばいパリピがいくらでもいるだろ……これなら日本のヤリサーの方がよっぽど怖い。
期待していた不快感も足りず、カタルシスも無かった。
不快感とスタイリッシュの同居
狂気の一夜を繰広げる阿鼻叫喚の地獄絵図を流行の先端なダンスを繰広げながら、人間の裏に潜む悪行を余すところ無く曝け出すホラー映画である。いわゆる“お化け映画”や驚かすような恐怖映画ではないが、鑑賞後の気持ち悪さや酔いは、今まで鑑賞した映画でこれ程体験したことはない。酒で酔っ払った集団を見て眉をしかめるなんてレベルではなく、“ドラッグ”というものの効能をこれでもかと追体験できる作りである。とはいえ、登場人物目線での疑似体験的アングルや視覚効果という手法ではなく、あくまでも第三者的に俯瞰した絵作りではあるが、映像が上下逆になり字幕も同様に上に逆に走るというような、奇抜な外連味で演出はされている。誰がサングリアにLSDを混ぜたかなんていうサスペンス的要素が前半には展開されるのだが、どんどんドラッグの幻覚作用により、快感と苦痛が交互に押し寄せてくる登場人物達が、それまでの内に秘めていた葛藤や他者への攻撃性を手加減無くぶち込む様は、人間の理性なんてものは信じられないと、暗澹とした心地に陥ってしまう位だ。子供を連れてくる母親や、LGBT、妊娠等々、無軌道を極めた人間達への自らの罰なのかもしれないと、これは“デヴィルマン”にも通づる解釈なのかも。
沢山の登場人物、しかも外国人達なので、顔と名前が一致せず、結局整理できずにラストの種明かしになってしまったので、ネットで調べて始めて犯人が判明した位、サスペンス要素はどうでもよくなる。それぞれの人物の体や脳に起こっている事は分らないが、その異様な行動をこれ程洪水のように浴びせられると、観ているスクリーンの外も多大なる影響を及ぼすということをはっきり実感できた唯一無二の実験作であろう。ダンサー達の研ぎ澄まされた精悍な肉体が却ってドラッグの影響により、中毒患者の枯れ木のようなギスギスしさを醸し出している演出も凄みを感じる。サイコホラーとしての最新版として、今作を高く評価したい。
とにかく高揚感と迫力で押しまくる。とにかく押しまくる。それだけなん...
とにかく高揚感と迫力で押しまくる。とにかく押しまくる。それだけなんだけど、それだけで映画足らしめるのは凄い。ほぼワンカットなのも理由だと思う。
表現できない不快感と中毒性
ギャスパー・ノエ監督作品は初視聴。
パーティのサングリアにLSDが混入され、集団ドラッグ中毒に陥る様子を映すカメラワーク、BGM、演出から見ている側も、ドラッグ中毒のような感覚になる。
映画を見る中で、部屋に進んで欲しくない、もう見たくない、もう聞きたくないという拒否反応が抑えられなかったが、何故か釘付けになる。目が逸らせない。
狂った集団の中でも正気を、倫理を保とうとする主人公が魅力的だった。
また、序盤のダンスシーンは圧巻。
ギャスパー・ノエ監督の他作品も見てみたくなった。
ギャスパー・ノエ作品の中では比較的観やすい
ギャスパー・ノエらしさ全開の映像センスとメッセージ性ではあるが、今回は今までの作品と比べれば、すごくマイルドで観やすいし、前半はダンスシーン満載の音楽映画として単純におもしろい。
人間性=肉体性崩壊
ギャスパーノエの映画は初鑑賞
なんとまぁ 他の映画に例えようがない ぶっ飛んだ映画であった。
始まっていきなり エンドロール(エンドじゃないけど)が流れるぶっ飛んだ構成に これがギャスパーノエか! とぶちかまされる。そのあと、まるで後々の地獄への助走かのように、割としっかり長いインタビューシーンを通じて登場人物達の 人間性 とその向こう側にある 危うさ みたいなものを見せた後、怒涛のダンスシーンへ突入。
ソフィアブテラ以外はみんなプロのダンサー(追記、映画秘宝インタビューによるとほぼアマチュアの人もいるとのこと)ということもあって、ダンスシーンのバッキバキ度合いは凄まじくカッコイイ。
個人的にはこのダンサー集団の持つ 肉体性 がこの映画のキモであったと思う。
ダンスシーンの後には 人間って嫌だねー という部分が少し垣間見える会話シーンが少し入りいよいよ地獄の幕開け。
のちに地獄が始まることを知ってる観客としてはこの会話シーンがとにかく不穏!
そしてようやくタイトルが出たらいよいよ…
おしっこ漏らす人あり、妊婦への目を覆いたくなる暴力あり、頭燃える人あり、子供が死に自殺する人あり、
とにかく! LSDに人間性を奪い去られた集団が閉鎖空間で繰り広げる 地獄 としか言いようがない展開のつるべ打ちに見てる側も クラックラしてくる。
執拗な長回しによって抗いようのない没入感があって観る側を地獄から逃してくれないし、クライマックスはもう何がなんだかわからなくなるカメラワークでもう完全なるカオス!
あと、このダンサー集団の人間性の崩壊が=肉体性の崩壊というものと密接に関わっていて、途中のソフィアブテラのバットトリップシーンとか、ダンサーだからこそできる人知を超えた肉体表現が、とてつもないところに行ってしまった人間達の表現としてとても素晴らしい。
全てが終わったあとにそれぞれが迎える朝、そして… という切れ味も良し。
個人的にはもっと直接的にビジュアルに訴えてくる毒性の強い描写があった方がキャッチーさが増して好みだったのと、いくらなんでもインタビューシーンと会話シーンもう少しテンポよく行けないのかな という点が引っかかるけど、こんな映画他にはないのは間違いない。
気になったが最後見ずにはいられない映画だろう。
ダンス&ミュージック、字幕の出し方
ダンス&ミュージック、字幕の出し方が斬新でカッコイイ。途中でクレジットが出るので、終わった?と勘違いしちゃうけど、ラストがあっさりしていて、より印象深かった。
ここからはネタバレなので観てない方は読まないでね。
最初は雪の中を血まみれで這いずる女性…全く謎だが…映画の中で、どうしてこんな事になったか?の説明がなされる。
ダンサーの短い自己紹介コメントの中で、LSDを目薬のように差す隣人から逃れてきたと云うベルリンから来た女性、二重人格だったのね、彼女。
とにかく、くねくねダンスが凄いし、音楽もいいので、爆音で観てみたい。
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