「カルマ」残された者 北の極地 marさんの映画レビュー(感想・評価)
カルマ
おそらくだけど、主人公は初めの墜落で誰か大切な人を亡くしたんだと思う。
ただ強烈な生存本能に突き動かされながら、
でも冷静に生き残る可能性を拾い集めていくような毎日。
そしてふいに”自分のせいで”瀕死になってしまった人を助けるため、
大きなリスクを負って歩き出すことで物語は動きはじめる。
極限の状況もあって、生きるということを描き出そうとした力作じゃないか。
全てが真っ白に凍る景色はほとんどワン・シチュエーションの趣きだし
物語を動かす要素もほとんど主人公の行動ひとつ。
説得力のあるシンプルな構図から浮かび上がるのは、やはり生きることの生々しさで
他者がいるからこそ生があるっていうメッセージだったと思う。
コロナ禍で多くの人がままならない毎日を送る中、
さまざまな断絶が社会の中に生まれてきたように思う。
人を思いやり、人のために行動することは、因果応報というほど回りくどくなく
もっと直接的に自分が生きる糧になり得ると示してくれた作品だった。
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