ガーンジー島の読書会の秘密のレビュー・感想・評価
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良質な映画をありがとう
映画館で流れた予告にナチの行進が出てきたので秘密ってのはそっちがらみなのだろうなと思ってたのに、実際に観始めたらそんなことをすっかり忘れていた。なので、最初はエリザベス=匿われていたと思ったら次のシーンではローストされて出てきたぶたさんのことかと思った。だって、アメリアがエリザベスがきっかけで読書会が始まったとか言ってたから、豚のロースト食べるためにかな、と…。
謎が一気にではなく、ひとつずつ解決していくテンポがとても良い。私は個人的にドイツ軍の占領下にあるパリについてとても興味があるので、場所は違うがドイツ軍の占領によって人生を変えられてしまった人々というテーマが分かるにつれて、どんどん引き込まれていった。第二次大戦の欧州というとナチゆえにドイツが浮かびがちだけど、他の国にも悲しい物語がたくさんあったことを知っておきたい。
アイソラがジュリエットに婚約者はどんな本が好きかと尋ねる場面が好き。
知らないんだよねぇ。考えたこともなかったんだよねぇ。
イーライ役の男の子が可愛い!と思ってたら「ロケットマン」でエルトンの子供時代をやっていたと知り、しまった、観ておけば良かったと後悔中。キット役のお嬢ちゃんも可愛かった(パンフレットには子役二人の情報がない!)。
リリー・ジェイムズは私にとって「ベイビー・ドライバー」のデボラちゃん。この映画もとても素敵なのだけど上書きは出来なかった。ごめんなさい。
最後の親子(?)3人のシーンはとても微笑ましいのだけど、ここでジュリエットにひとこと。
幸せ過ぎると良い小説は書けないよ!
ミステリーとは?
予告編を見た記憶もなく、特に興味はなかったんだけど、ミステリーとあったので、観に行くことにしました。
私は、何かしら事件が起こるものだと思ってたんですよ。いっこうに、何も起こらない。まあ、エリザベスの行方など、謎はありましたけどね。
で、ミステリーって、なに?ミステリーの定義って?と思った訳ですよ。調べてみたら、推理ものということではないんですね。
さて、ストーリーですが…。事件は起こりませんでしたが、エリザベスの行方など、ゆっくり紐を解いていく感じ、悪くなかったです。個人的には、エリザベスに生きてて欲しかったけど、そうすると、ラストの3人家族の絵に収まらないからなのかな…。みんなで、キットを守ろうとしている様は、ちょっと感動もしました。
でも、全体的に、ちょっと地味でしたね。ひさしぶりに、睡魔と戦ってしまいました。
クラシックで上質な装丁のドラマ
英国の香りが漂うドラマを十分味わえました
第二次世界大戦当時のイギリス。
映像の世界観や雰囲気が、私の鑑賞意欲のツボを刺激。
期待に違わぬ「英国」の雰囲気あふれる作品で
堪能しました。
と書いてはみたものの
英国風がどんなものか、分かっているわけではありません。
森薫さんの「エマ」が英国バイブルなのはナイショです。
しかしまあ
イギリスの都会人も
島の人たちも
ドイツ人も
アメリカ人も
みんないい雰囲気を醸し出していて
島の風景からもすごくイギリスのにおいが感じられて
とても素敵な、満足できる作品でした。
たまには紅茶を飲みながら読書でも。
そんな気分になります。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
美しい奥深い映画
主演の女優がとても良かった
読書会に秘められた悲しい過去
ガーンジー島。
舌をかみそうな島の名前に 読書会の秘密?
タイトルだけでは全くお話の想像がつかなかった。
そこは、まるでおとぎ話に出てくるような建物や、いつまでもそこに
立ち尽くしていたいような心が洗われる風景に包まれるている
しかし、この美しい島にも戦争の悲しい物語があったのだ。
敵から身を守るために読書会をしていたとは、
今のようにただ読書のためだけに行うのではなく
彼らは生きるための手段だったのだ。
戦争により愛する者を失ったものは、いつまでも苦しみ
その悲しみを背負っていかねばならぬのか?
あの時あーしていればと生き残ったものはいつまでも
自分を責め辛い思いに耐えねばならぬのか?
戦争は終わってもいつまでも人々の心に重くのしかかる。
美しい映像、人、言葉。
英仏合同で作り上げられた今作。
フランス映画らしい極端に美しいロケーションや色調の中に、英国然とした衣装や街並が混ざり合って、スクリーン上には柔和かつ優美な空間が演出されていた。それだけに、ナチスドイツのあまりに無粋なこと。
役者の演技や台詞だけに頼らない映像表現は、きっと見た人全員が感じ取ることができたと思う。
主演にキャストされたのはシンデレラで一躍脚光を浴びたリリー・ジェームズ。彼女の演じる純粋で芯の強い女性には言葉にし難い魅力がある(同性には嫌われがちという悲しさ)。
今作の主人公ジュリエット・アシュトンもまさにそんな女性で、自分の美しい容姿をどこか理解しつつも、己の信念の為に泥まみれで畜産に携わる素朴さも、夜中に宿を飛び出す逞しさも備えている。
そんな彼女の周りには、いい男が多い多い。笑
ジュリエットを一途に想い、1人で旅立つ彼女を、惜しみながらも快く送り出す"お金持ち"←(重要)のマーク。
仕事のパートナーで良き理解者。長年の友として男女の垣根を超えた絆を共有するシドニー。
己の感情をずっと抱えたまま、ただ報われぬ愛情と責任を街に、子に、友に注ぎ続けるドーシー。
物語の進行上、原作小説の内容を盛り込めなかった部分もかなり多いと思うが、恋愛に関して言えばマークが不憫すぎる印象を受けた。
「もっと早く連れ帰るべきだったか?そもそも島に行かせるべきじゃなかった?」
パーティ中の描写などからも、どうしたって二人はうまくいかなかったろうなと思いつつ、ジュリエットを想い続けたマークに救いがなさすぎるし、映画の中で、彼はそんなに悪い奴じゃない。(よね?)
ドーシー役のミキール・ハースマンも素晴らしい演技を見せてくれた。
内に抱える純真な気持ちをなかなか表に出せない不器用な男を演じるのが非常にうまい。理性的な自分と感情的な自分とがせめぎ合う、表情であったり所作であったり。彼が演じるキャラクターの感情の中へ、たとえセリフが無くても、あっという間に没入してしまう。
物語自体は、いわゆる"許されざる恋"の王道で、
まず、なにがしかの共通点がある男女が出会い、惹かれ合う。
→だがその間には許されざる障害が。
→助言や手助けをしてくれる存在と共に主人公が精神的に成長
→障害を少しづつ取り除いて愛が身を結ぶ。
ポスターの謳い文句は『人生を輝かせる至高のミステリー』だったが、ラブロマンスを観に行くと思って臨んだ方がギャップは少ないのかな、と感じた。
最後に小説を原作とする映画についても少しだけ。
いわゆる「話し言葉」と「書き言葉」の違いから、セリフが妙に説明的だったり、言い回しに少し違和感があったりということが多々あるのだが、主題に文通という要素がある今作では、そこをうまく誤魔化していたなという印象を受けた。
けれど、それをするあまりキャラクターの感情が、よく言えば分かりやすく。悪く言えば単調に見えるシーンも多かった。
エリザベスの事を語る時、どのキャラも割と淡々とした口調で、朗読会の時の口調とさして変わらないように見えたのが一番そう感じた部分だ。
逆に小説原作だからこそ輝いたやりとりもある。
エリザベス、ドーシー、ドイツの兵隊(名前忘れた)が初めて3人揃って出会った時。
「安心して。彼は友達よ」
と、どっちに言ったのか。エリザベスはそう言った。
というようなシーンだ。
このたった一幕で3人の微妙な関係性を素晴らしく表現していたし、ストーリーテラーとしては、あのシーンのエリザベスの第一声はかなり気を遣うはずで、それを完璧にこなせたのは文章のプロたる小説家が作った台詞が故ではないのかな、と、思い返す。
映像も、人物も、言葉も
総じて美しいと感じる、デート向きというか、人を不幸にしない映画だった。
懐かしい顔を探して歩いてきたの
☆☆☆★★★ ポテトパイは味がなさそうだ! でも、この作品には様々...
☆☆☆★★★
ポテトパイは味がなさそうだ!
でも、この作品には様々な素材と調味料で味が整えられていた。
それらから、しっかりと《旨味成分》を引き出したのは、監督であるマイク・ニューウェル。
決して名作…だとは思わないのだけれど。月に1本でも、こうゆう作品を観れたなら。確実に心を豊かにさせて貰える、そんな一品でした。
2019年9月20日 TOHOシネマズ/シャンテシネ2
ジンが飲みたくなる映画
戦時中の苦し紛れの言い訳から始まったある読書会。
戦争が終わっても色々と暗い影を残す島に取材目的でやって来た作家と読書会のメンバーとの交流で秘密=戦争の爪痕を明らかにするという、ある意味反戦映画。一冊の古本から文通が始まり、人生を大きく変えるという、現代社会では到底考えられない、素敵な物語です。
まず、登場人物の持ち味が素晴らしく、誰一人欠けても物語が成立しないほど。そしてそのキャスティングの見事さ、非の打ち所がありません。私が一番好きだったのはジンを作って売っているアイソラ。鋭い感性の持ち主で?確かドーシーとジュリエットが初めて顔を合わせたときに『前世で一緒だった?』と言っていた。こんな友達が欲しい(笑)
ジンはシュニパー・ベリーで香り付けしますが、幼いキットがジュリエットの髪に小枝を挿すシーン…多分あれはジュニパーだったと思う。その髪の小枝をドーシーはそっと外して本に挟み、押し花にしておくのですが…後にジュリエットはその小枝を見つけ、その時、自分が本当に好きなのはドーシーだと気付く。だってそうよ、マークはそんな繊細さは持ち合わせてないし、それにどんな本を読むのだろう?いや、本なんか読まないかも。スクリーンからジンの香りが漂ってきそう…いや、香りを確かめたくて無性にジンが飲みたくなりました。私の2019年ベスト10に入るであろう作品です。
戦争の不条理と自分らしい人生
邦題長いなーと思っていたら、原題はもっと長かった(笑)
少し前にも『マイ・ブックショップ』という、本をテーマにした作品を見た。傾向は大分違うが、同じく、本を愛し、『物語』を必要とする人々の物語である。
イギリス領ガーンジー島、第二次世界大戦中ドイツ軍に占領され、厳しい締め付けに苦しむ中で結成された読書グループ。
戦後縁あって読書会の存在を知った女流作家ジュリエットが、島を訪れ、戦中の話を聞いていく。
読書会の一員、今は島にいない『エリザベス』を中心に話は進行していくが、彼女が物語の主体ではない。読書会のメンバー一人一人の、エリザベスとの関係や思い出を通して、戦時中の苦しみ、悲しみ、恨み、後悔。各々の物語が各々の口から語られ、ジュリエットによって一つの物語に纏められていく。
もうひとつの大きな流れが、主人公ジュリエットの人生。戦時の不条理の中でも、自らの信念を曲げなかったエリザベスの影を追う内に、本当の自分、本当の居場所、本当の愛を見つけていく、一人の女性としてのジュリエットのパーソナルな物語である。
戦争もの、自己探求、ラブロマンス。色々な表情を持つ為、一つのテーマに絞った鮮烈な印象は余り感じられないが、ドラマとしては取っ付きやすく、バランスよく作られた作品と言えるのではないか。
ジュリエットの親友かつ編集者のシドニーが、女性から見て、こんな男友達いたら最高だな!という立ち位置でいい味出していた。
タイプライターの打刻音と共に刻まれるタイトル、エンドロールのバックに流れる読書会の音声など、一捻りある演出も面白い。
あなたは最後のパンをくれる人
読書会をめぐる謎ときというよりは、
主人公ジュリエットの人生の羅針盤を
見つける物語ですね。
戦時におけるやるせない出来事や
国境を越えた人間性の理解。
人生を賭けた自分の信念を貫きかたが
胸をうちました。
幼い少女を守るために
読書会メンバーがとる行動が
人としての優しさと誇りに溢れ、
目に宿る気品が印象的で
貧しい暮らしや服装の彼らでしたが
少しも気になりませんでした。
社交界での豪華絢爛な生活や
恋人がいても、
心の拠り所を探し続けたジュリエット。
自分の信念を見つけた彼女に、
寄り添った相棒シドニーの
言葉に背中を押されたかな。
「花嫁の引渡し役は僕がやるよ。
その機会があったらね。」
美しい海岸と草原で過ごす日々や、
エリザベスとの約束を守るために
キットの父親を務めるドージーに
心を牽かれたジュリエットの決心に
心暖まりました。
最後のパンを与える彼なら
あなたをきっと幸せにしてくれる。
エリザベスもきっと応援すると
思う。
やすらぎます。
おすすめ。
戦争の悲劇から生まれる勇気と幸せ
戦争が生んだ奇跡と悲劇
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