ワイルドライフのレビュー・感想・評価
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ジェイク・ギレンホール目当てで観ました
恵比寿で。予告にあった通り、ジェイク演じるお父さんは失業して、だらだらして、家の空気が悪くなってか、悪くしてから、山火事の消火に出かけていって、しばらく登場しなくなる。
でも登場しなくても、父としての存在はずっとあって、馴染めない町に残されたまだまだ若い母と14歳の少年は毎日不安で、不安定な毎日を過ごしていく。そのグラグラした感じが時間を追うごとに大きく揺れていく様子もジワジワときて素晴らしい。
そしてやっぱりジェイク・ギレンホールは素晴らしい。
2019年ベストムービー!⭐️✨
素晴らしすぎる"家族崩壊"の物語。
息子ジョーを演じる少年の、心の揺れや悲しみが繊細に描かれていて、静かなカメラワークながら感動的でした。
そして、ラストシーン…鳥肌でした!(笑)
カメラをみつめる3人の目線や、その目の表情が!
今年、1、2の映画作品…名作です。
*息子ジョーを演じたエド・オクセンボールドが、名演でした。
14歳の多感な少年の目線で描かれた作品
静かに進むストーリーですが、家族の崩壊を描いた見応えありな深い作品でした。14歳の多感な少年の目線で見た、親の姿、そして家族が下した決断とは…ラストの家族写真のシーンは切なく感じました。どんな親でも子供にとっては親なんだな…
好きな映画
最初から最後まで引き込まれたとても好きな映画。
最近の映画によくある、テンポがあまりに良すぎる展開のものは苦手なので、この映画のような静かな調べ的な流れの映画が好き。
男である夫にありがちな現実世界からの逃避、女である妻のどうしようもない心の孤独が、よく描かれていた。
そして、14歳の息子ジョー役のエド・オクセンボールドの透き通った目での演技が、素晴らしかった。
ポール・ダノの秀逸な脚本とキャリー・マリガンの演技に魅了される。
切ない映画である。父、ジェリーがゴルフコーチの職を失った事がきっかけで家族の絆に不協和音が生じる過程が観ていて辛い。
その状況を見守るしか術のない息子、ジョンの悲しげな眼差しも辛い。(この少年、ポール・ダノに似ていると思ったのは私だけかな?)
しかし、ポール・ダノ監督はストーリーの中に幾つかの伏線を忍ばせ、この家族の未来に微かな希望を感じさせる素晴らしいラストシーンに繋げている。
見事である。
パートナーのゾーイ・カザン(「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」での可愛らしい笑顔が印象的な女性だったなあ)の存在も大きかったのではないだろうか。
初監督・脚本作がこのレベル。
ポール・ダノの今後の監督作品が実に楽しみである。
家族が山火事 くすぶった炎は冬の雪がしずめてくれる
子どもが育つ環境は大切。そして子ども自身の資質や力も大切だと思わせてくれる作品でした。
父親は仕事の続かず他罰的、生活よりプライドを守るために低賃金の山火事消火活動へ。
夫がいなくなると途端に、温もりを求めて女になる母親。
これだけ揃えば、非行へ走るのがありがちなストーリーかと思うが、そうならない子どもの強さはどこから来たのだろう?という疑問が出てきます。
今までの生活は、台詞の断片から推測すると、父親は仕事をよく変えているけれど、全く無職にはならない程度には安定しているし、子どもへの愛情もある。母親は父親が無職の期間には支えてきたのでしょう、近くにいる限り。自分で働く力もあり、短期間であれば大丈夫。
そうやって多少の綱渡りはありながらも、基本的な信頼感は育まれてきた子だったのだと思えます。だからこそ、ラグビーは苦手だし友人ができないことも親に言えたんでしょうね。知的能力は勉強を見てもらっていればかなり優秀なようです。
この家族の悲劇は、親は二人で1.5人分の働きはできるけれど、1人になるとどうしても1に満たない決定的な弱さがあり、それが離ればなれになることで露見したんじゃないかと感じます。
14歳の主人公とその両親。 仲睦まじいなぁ、と思ってたが父の失業か...
14歳の主人公とその両親。
仲睦まじいなぁ、と思ってたが父の失業から少しずつ綻びが…
大人になれない父、そんな夫が信じられず精神的に弱り、壊れていく妻。
そんな母の姿を見せられた息子も父が戻れば大丈夫、と思ってたはず…しかし、1度壊れたモノはそんな簡単には戻せない。
あのラストシーンに希望をもっていいのか?
ポール・ダノは初監督とはおもえない素晴らしい作品を作り上げました。
親はバカでも子は育つってか?
キャリー・マリガン演じる母親役は演技力のある女優なら皆やりたがるだろう。並の女優ならバカ母にしか見えないだろうから。その点、キャリー・マリガンの演技は説得力のあるものであった。
壊れてしまった家族三人のポートレート
何かと縁があるポール・ダノ。ウィキペディアで確認したら、すでに9本の出演作を観ていた。そんな彼の初監督作ということで、興味津々で臨んだ。
舞台は1960年のモンタナ。これは家族の崩壊の物語だった。プライドの高い父親の失業、お金の問題、母親の不倫、両親のいや〜な雰囲気の喧嘩などを、主人公の少年は嫌というほど見ることになる。
両親を演じたキャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールの演技が光る。彼らの見せる微かな狂気が恐ろしく、少年の悲劇を際立たせた。
個人的にはよく知る空気だけに観るに辛かったが、作品としてはよくできていると思う。ダノの監督処女作としては及第点だろう。
時代背景が重要な映画
個性派俳優ポール・ダノの初監督作品。原作は、ピュリッツァー賞作家リチャード・フォードの同名小説。ダノとともに共同脚本を務めたゾーイ・カザンは彼のパートナーで、『エデンの東』などの名匠エリア・カザンを祖父に持つという。
1960年代はじめ、14歳のジョー(エド・オクセンボールド)はカナダに近い米国中北部モンタナ州の小さな町に両親とともに越してきた。
父親ジェリー(ジェイク・ギレンホール)は近所のゴルフ場でコーチをし、母親ジャネット(キャリー・マリガン)は専業主婦。
ジョーの成績は優秀であるが、まだクラスに溶け込めず、ひとりでいることも多い。
そんなある日、ジェリーがレッスン相手たちと賭けゴルフをしていたことがバレて、コーチの職を馘になってしまう・・・
というところから始まる映画で、家庭の崩壊劇を少年ジョーの視点から飾ることなく描いていく。
この手の映画は、近頃では珍しい部類にはいるのではなかろうか。
ジェリーはプライドが邪魔して、なかなか定職に就くことができず、代わってジャネットがYMCAでのスイミングスクールのコーチの職に就き、家計を支えるようになる。
なにかしらのもどかしい気持ちを抱えたジョーは、夏になると頻発する山火事の消火隊員に志願して家を出てしまう。
残されたジャネットは、心と肉体の隙間を埋めるかのように、スイミングスクールの生徒で、町で大きな自動車販売店を営む年かさのウォーレン・ミラー(ビル・キャンプ)と不倫関係になってしまう・・・
ま、よくある話といえば、よくある話なのだけれど、60年代はじめという時代設定がかなり重要な位置を占めている。
劇中でジャネットの口から語られるように、ジャネットは現在34歳。
ジェリーとはワシントン州の大学で知り合ったというから、ジェリーも同じような年齢。
ジャネットは20歳でジョーを産んだ計算になるが、そのころがどうだったかと逆算すると、第二次世界大戦・太平洋戦争の終結直後。
そして、ジェリーは先の戦争に参加していないことになる。
この設定が重要で、男らしさ=ファイター(闘う男)という価値観のなか、ジェリーには戦争に参加することができなかったという負い目がある。
このことが、山林火災の消火隊員への志願に繋がっている。
そして、ジャネットがウォーレンに惹かれる理由もわかってくる。
父親ほど年の離れたウォーレンは、先の二度の戦争(つまり第一次大戦も)に参加し、脚を負傷している。
その上、彼の息子は第二次世界大戦で戦死している(彼の家を訪れた際に、息子の軍服姿の写真が飾られていることからわかる)。
ジャネットは、ウォーレンのなかに、戦前の男らしさ(=ファイター)をみている。
ただし、それは幻かもしれないのだが。
と、こんなことを映画は、過多な説明をすることもなく描いていく。
この演出は、凡庸ではできない。
ポール・ダノが優れた監督であることを示している。
さて、少年ジョーは、父親から期待されていたフットボールもやめて、家計を助けるために、アルバイトを行うようになる。
バイト先は、町の写真館。
当時貴重だった写真を撮るのは幸せなとき。
その幸せな思いを忘れないように、と願って写真を撮るのだ、と館主がジョーに告げる。
だから、常に、笑っているように、とも。
なかなか、いい台詞。
ジョーは撮る側(まだ撮影することは許されていないが)にいる。
このポジションも、父や母をみる側、というのに通じている。
さらにまた、演じるエド・オクセンボールドが実にいい。
困惑した表情をしながらも、決して間違った方向にはいかないぞという強い信念。
ポール・ダノ本人のようだ。
また、ジャネットを演じるキャリー・マリガンが素晴らしい。
『わたしを離さないで』の少女が、10年もしないうちに、人生に疲れた中年入口の女性になってしまった。
はじめスクリーンに登場した際には、誰だかわからなかったほど。
少し前だったらミシェル・ウィリアムズあたりがキャスティングされていたような役どころだけれど、より若いのに、より疲れた感じがとてもよく出ていました。
最後になるが、なんやかんやあったのち、少年ジョーが写真館で両親とともに写真を撮るラストも心に沁みました。
ジョーが心のなかで言っている・・・
僕は二人から、人生のすべてを学んだ(謳い文句)。
ま、なんやかんやあって、不良になる暇なんてなかったけどね。
唯一無二の色合いを感じる。
自身の人生を見出せない男…
自身の人生を“家庭”に求めたその妻。
ジェイク・ギレンホール、キャリー・マリガン、この二人の名優が演じるポール・ダノの世界は、初監督でありながら唯一無二の色合いを感じる、映画らしい良い作品。
息子の求めていたものは
旦那の転職や、それによる引っ越し、解雇されても仕事がない(プライドのせい?)
育児に専念するはずの妻も職を探し、息子も転校先で馴染めず家族が崩壊していく
それぞれが人生の壁にぶち当たり、それぞれが乗り越えてゆく
最後の写真撮影の時、母が言った「お父さんと撮ったら」に対して言った息子の言葉「家族で撮りたいんだ」が染みた
親である前に人間だった
父親も母親も、親である前にどうしようもなく人間であった、という話。
ポール・ダノの初監督作は、最初はとても平穏な感じの家族で始まる。しかし父親が失業して、その結果様々なほころびが見え歯車が狂い始める。
プライドと承認欲求が高い父親ジェイク・ギレンホールは山火事を消しに家族を置いて去り、しっかりしてそうだった母親キャリー・マリガンがどんどん狂う...というか崩れていく。キャリー・マリガンの壊れっぷりが絶妙で生々しい。最早息子に感情を隠すことができなくなった、抑制の効かない母親。
大変なのは息子である。いつも何か言いたげな目をしながら結局何もかも飲み込む息子。結局、大人になりきれない両親に代わって彼が大人になる。
「僕ら家族はどうなるの?」「分からない」に全てが集約されている。夫婦は所詮他人の同士、結局繋ぎ目を維持し続けなければ簡単にバラバラになるものなのだ。しかし息子には父と母だ。どちらも投げ捨てることができないあの表情と台詞が悲しい。
しかし、ラストが予想外に穏やかというか、未来が仄かに明るく見えて、ああ、こういう落とし所もあるのかと思った。あのまま切断してもよかったけれど、救いはあった。
物語と登場人物の緊迫感、物語に無駄や弛緩がなく、非常に映画的な映画でした。初監督作とは思えぬ出来。
ジェイク・ギレンホールやっぱりヒゲがあるとないとじゃ全然違うな...。
大人になれない親たち
なんて親だ!…
と内心呆れながらも、彼らの心理を追わずにはいられないような内容でした。
1960年、Montana州に引っ越して来たばかりのBrinson一家。
どうも引越を繰り返している家族で、原因は大黒柱Jerryの仕事が長続きしないことのよう。多少嫌な思いをしても踏ん張ることが出来ないらしく、家計より自分のプライドを優先してしまう男。妻に養ってもらうというのもプライドが許さない。どうにかして食べていかないと!という妻子のマイルドな助言も耳障り。現実逃避するかのように、山火事の低賃金消化活動に参加を決めてしまいます。1960年と言えばベトナム戦争真っ只中。兵役は嫌だけど、火事を相手に戦うのはアリかも、とりあえずカッコつくし、他の奴らも悲壮感漂っていてプライド傷つけられなさそうだし、って感じの動機と想像しました。
夫が出て行ってしまった。山火事で命を落とすかも知れない、重傷を負うかも知れない。大袈裟とも取れるほどパニックになる妻Jeanette。それまでは息子にとって父親がアメなら母親はムチのような教育ママに見えたのに、ガラリと変わってしまいます。次の大黒柱を探さなきゃ!という焦りみたいでしたが、別に捨てられた訳ではないし、本当に未亡人になってからでもいいんでは…と思うくらい過剰な反応に見えました。当時女性が稼げる賃金なんてたかが知れていたのでしょうけど、速攻で愛人シフトに切り替えて、息子を巻き添えにするJeanetteに嫌気が指しました。彼女自身、夫の不在で方向性を見失っているのかと考えましたが、Jerryの現実逃避はこれが初めてではないのは明らかです。火事から戻ってもまた引越を言い出すに決まってる…。もしかしたら彼女の中で、今度また夫がやらかしたら離婚だと決めていて、本当にその時が来てしまい、気持ちの整理がつかないままMillerと関係を始めたのかなと思いました。
しかし夫が山から帰って来ると、なぜか一応元の良妻風外見に戻っているJeanette。
Jerryの方も何事も無かったかのように帰宅。数年に一度はこうなんでしょうね。留守中の妻子の身を案じる所か、2人とも俺の帰りを待ち侘びていただろ?俺の話聴きたいだろ?俺に付いていきたいだろ?新天地でやり直そうぜ!ってくるから、ウンザリする気持ちもよく分かります(^_^;)。Jerryは家族を養う覚悟のない男です。息子が学校に馴染めなくても、妻が寂しい思いをしても、一向に構わない自己中男なのでしょう。
自転車通学できなくなるから雪は嫌だったのに、雪が降れば火事が収まりお父さんが帰ってくる!お母さんが安心する!と楽しみにしていた息子の気持ちを父は知らず。放火を思い付く辺りから、やはり消化活動そのものには意義を感じていなかったこともバレバレです。
両親の顔色を伺ってばかりのJoeが気の毒でなりませんでした。こんな毒親に挟まれて、物凄い悪影響を心配しますが、両親と違ってバイトも続くし、大事な仕事も任されるし、学業成績は優秀だし。いい子すぎる…(>_<)。
山火事を母子で見に行った時、小さい動物や動物の子供は命を落とすこともあるとJeanetteが話すので、この一家に放たれた「火災」の中、Joeがもしかして…と気にしながら観ていましたが、賢い子供は大丈夫、火傷を負ったのは愚親達の方でした。
記念日や特別な日に撮る家族の写真。
有限の幸せは、写真の中で固まったまま永遠に。
ほんの一瞬でも幸せなら、全く喧嘩のない1日を過ごせたのなら、楽しく食卓を囲むことが一度でもあったなら…
Joeの宝物になるのかな…。
Millerは出て行った妻の写真を片付けていませんでしたね。出て行った理由は語られなくとも納得。
親がワイルドライフな物語でした。
貧窮するシーンをもっと描いたら良かったと思いますが、Paul Dano、監督業も良い感じです!
“You see people like to come in here to remember something good that's happening in their lives. They wanna make that happy moment permanent. That way, they can keep it forever. And we're here to help them do that.”
美しく安定した映像と、そのストーリー
アメリカの自然と直線的な人工物がうまく解け合っている情景が美しく捉えられていて、それだけでもいい映画だと思った。
景色の美しさと対比をなす内容で、うまい具合の仕掛けだなと感心したけれど、感情はそれほど揺さぶられなかった。なぜだか、これはアメリカの事なんだと引いた目でしか見ることができなかった。
それでも、ラストは色々と考えさせられるところもあったし、じんわりと笑えた。あの素晴らしいショットを作り出すために、かなりの時間を要してしまうのが映画の弱みであり、同時に魅力なのだと実感した。
ジョーがかわいそう
父親も母親も息子のことをもう少し考えないと。
14歳でいろいろな経験をさせられたジョーがとてもかわいそうに感じた。でも一応最後は少しいい方向に進んだのかな?
父も母も大人になりきれてなかったんだね。
でもワイルドライフってなんのことを言っているんだろう。
やるせなさ、それでも皆 前を向く
14歳の僕は、両親との暮らしをそれなりに幸せだと思っていたのに、ちょっとしたことから、父と母がすれ違っていき…という話。
舞台は、1960年、俺が生まれた年のアメリカ。
父のプライドがもう少し低ければ、母がもう少しだけ二人の愛に自信があれば、もう少しだけ景気がよければ、とつい思わせる小さな小さな落とし穴に落ちてしまう家族。
それでもこの映画が好評を博しているのは、それでも前を向いて歩いて行こうというラストシーンのメッセージが伝わってくるからだろう。
「写真はね、幸せな人たちを写すものなんだよ」
いい映画でした。
ただ、心がゆったりとしている日に観ることをお勧めします。焦っている日にはダメだよ。
楽曲を提供しているヨハンヨハンソン(2018年2月没)に捧げられていました。
(博士と彼女のセオリーも彼の曲だったんだ…)
追記
なるほど。ゴルファーを目指している父親が勧めるアメフトの道をやめて、静かに写真館でバイトするというのも、彼が自分を確立していく重要な過程だったのか。
少年が自立を始める物語として秀逸! 一歩一歩、ゆっくり進むのがよい。
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