「どうしたポール・ダノ?むちゃくちゃ良いやん!」ワイルドライフ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
どうしたポール・ダノ?むちゃくちゃ良いやん!
ちょっとビックリ。だって、むちゃくちゃ良かったから!スイス・アーミーマンの印象が、強烈な残像となってしまってるポール・ダノの初メガホンだそうです。もう、あのビジュアルは忘れます。いや、やっぱり無理かw
一人息子。父の不在。女と化してしまう母親。壊れかける母子の絆。と、ここまでのプロットは今年6月に全国公開されたポーランド映画「メモリーズ・オブ・サマー」と同じ。ポーランド人は、そのまま母子の絆を壊して息子が精神的に親離れするところまでで終わりました。こちらは、その後までしっかりと見届けます。と言うか、そっからが本番。
久しぶりに見たキャリー・マリガン。少し老け目だけど、相変わらずの「男殺し感」。キュート。ギレンホールは2週間振り。この二人の役者振りに救われているってのは、あると思う。というより、二人の演技を強調する演出。カメラを向けて、そこで顔芸芝居。しかも結構の長尺あり。二人の演技は、見応えあったです。が、ポール・ダノの嫁はゾーイ・カザンでしょ?いや、実はマリガンより、この役にはまりそうに思うんだけど、ってのは言いっこなし?
いずれにしても、これが「アメリカ映画」だってのには、焦る。ポール・ダノはNY生まれの子役上がりだそうです。旧い日本映画、イタリア・フランス映画、見まくってるでしょ。タイム感がアメリカ映画には無い感じ。そもそも、米国脚本で、これほどに「派手なイベントも事故も事件も起きない物語」は嫌われる。というか、嫌われてきた。多少、風向きが変わっていることを感じさせる映画は、ボチボチあったけど、これもその中の一品。個人的には、かなり好きです。
繰り返すけど、アメリカ人にこんな映画撮られた日には、日本人はどうすれば良いのかと。ラストカットと幕切れの瞬間から、ジワジワと胸に滲みて来る温かさを噛みしめながら、「メディアが狂わせた価値の評価軸の是正」が、一向に進まない日本映画界の将来に不安も覚えるのでした。
ちなみに「野生生物」と言うタイトルが意味深。息子のジョーから見た母親の事ですよね。あの夜、野生生物に見えたのか。少年は荒野に立って前を向く。と言うか、家族は、まずは「自分の足で立ってみた。歩いてみた」。この後、家族の絆がどうなるかは、誰にも分らないけど、この写真は、僕の家族が、ちゃんと自分の足で立って生きていることを記念したもの。それが、僕の家族の門出。
写真館で「記念撮影」に立ち会い、多くの家族の、夫婦の、友人達の絆を、門出、生きている記録をフィルムに収めて来たジョーは、胸を張って誇らしくシャッターを切りました。
良かった。とっても。
と言うか、ポール・ダノ、あなたヤバいヤツだったんですね。次作も期待してますから!
こんばんは~。
激しく同意です。
ポールダノは自分の中では
ダムマネーの
冴えないけど、人の良いお兄さんのイメージです。
監督ができるとは…
それもヒューマンストーリーで。
びっくりしかないです