「付いてきてくれる女がいる。羨ましい。」浅田家! パナソニックさんの映画レビュー(感想・評価)
付いてきてくれる女がいる。羨ましい。
浅田政志という実在する写真家の話。ストーリーは実話では無く、映画のためのオリジナルだと思ったが、実話のようだ。
前半は政志の少年期から始まり、紆余曲折しながら写真家となり成功するまで。後半は東日本大震災が起きてから、被災者の子供の希望を実現するまでを描いている。
全体的にユーモアがあり笑いがあるので、楽しい。映像の一つ一つが写真のように芸術的で美しい。
映画では、二宮が10代、20代と髪型を変えながら演じる。20代から30歳までが1番長いのだが。ジャニーズ(美形)だからか、実年齢より大分若い役に違和感がない。
主人公政志は両親と兄の4人暮らし。父は働いてなく、看護師の母の収入だけで生活している。きっと貧しいんだろうと思ってしまう。
映画の中で年数が進むので、浅田家のテレビ等も新しくなっていく。
東日本大震災の後の街並みをどのように再現したんだろう?廃材を集めてくるのも大変そうだ。
莉子の家族写真を撮るシーンで、海側からの映像があって、あれはドローンを使ったのかな?
脳腫瘍の男の子の家族写真は感動したが、震災で娘を失った男の泣くシーンは感動しなかった。ボランティアへの悪態があるからだ。
若奈が政志を捨てずに、待ち続けたことが、男性からしたら羨ましいな。
■ざっくりストーリー
冒頭、政志の父の死から始まる。実は死んでなく、葬儀(葬式だったか?)という作品のための写真撮影であることが映画の最後でわかる。
そこから過去に遡る。政志10歳、初めてカメラを父から貰い、撮影を始める。この頃、兄、父、政志の3人が怪我をして、看護師の母の働く病院で治療する。
高校卒業後、政志は専門学校に進学する。両腕にはタトゥーを入れている。卒業作品の課題は、「最後の一枚に何を撮るか」。政志は子供の頃に怪我し病院で治療を受けたシーンを家族写真にした。この作品が優秀賞に選ばれる。
このまま成功して行くと思いきや、政志は就職もせずスロット三昧の自堕落な生活に落ちていく。政志は両親や兄のやりたかったことをコスプレして家族写真にする。父は消防士に憧れていたので、消防士の格好をして撮影する。兄はF1。母は希望通りに看護師になっているので、なりたかったものとは少し違ってヤクザの女の写真を撮った。
家族写真に自信がある政志は、その写真を持って上京し、幼なじみの若奈の家に居候する。しかし、自信のあった家族写真は出版社の目に止まらず、見かねた若菜は個展を開くことを提案する。個展を開くと、赤々舎の社長の目に止まり、写真集の出版にまで漕ぎ着ける。
写真集は売れなかったが、評価は高く、木村伊兵衛写真賞を受賞してしまう。当然のように写真集も売れ、写真集に家族写真を撮ると書いていたので、全国から撮影の依頼が舞い込んだ。
脳腫瘍の子供を持つ家族の家族写真を撮ろうとした政志は、シャターを押す際に、涙を流す。(二宮が泣くシーンを見かけると思うが、この時のシーン)。
東日本大震災が起きる。浅田は以前、家族写真を撮影した家族のことが気になり、東北へと向かう。東北に行くと、その家族には会えないが、被災地で写真を持ち主に返そうとボランティアをしている学生(小野)に出会う。小野は友人を探しに千葉から戻ってきたそうだ。(小野はその後、地元で教師になる)。政志は小野と一緒にボランティア活動を行う。
政志はボランティア活動の中で、1人の少女莉子と出会う。政志は莉子から家族写真を撮って欲しいと依頼されるも、撮影出来ないと断った。
父が脳梗塞で倒れたことをきっかけに、アイデアを思い浮かんだ政志は、莉子の家族写真を撮影した。莉子の父が写った写真が無いのは、父が常にカメラのシャッターを押していたからだ。なので、父のいない写真こそが家族写真である。
政志は若奈と結婚し、冒頭の葬式の撮影シーンに戻る。