「父と娘が各々の新しい道を歩み始めようとする姿を美しい歌を主軸に描き出す」ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
父と娘が各々の新しい道を歩み始めようとする姿を美しい歌を主軸に描き出す
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”トム・ウェイツの「レイン・ドッグス」は3$じゃ駄目よ!”というセリフでカーシー・クレモンズ扮するサムの音楽の素養抜群というのが分かる。
序盤、父フランクとサムがセッションを重ねる中で作り上げた曲を聴いた時点で、まずは軽くやられる。
フランクを支える周囲の友人たちのセリフも良い。(バーを経営する長身の白髪アロハおじさんはハッパをやっているからか、哲学的な名言をさらりと口にする)
フランクのレコード屋で行われる最初で最後のライブは、多数のLP盤をバックに演奏する父と娘の姿と二人が演奏する素晴らしい3曲で彩られ、記憶に残るシーンである。曲の完成度も上がり、更にガツンとやられる。
子供が巣立った経験を持っている者としては、フランクの気持ちは良く分かり、切ない気持ちにもなる。
が、娘を支えようと新たな道を歩み始めた彼の姿と彼の様子を窺いに新しい店(アロハおじさんのバーというところが、良い)に顔を出す大家さん(トニ・コレット 存在感は流石である)とワイングラスで乾杯するシーンをさり気無く見せるところがこの作品のセンスの良さであると思う。
楽曲の良さと細部の演出の良さが素敵にマッチングした音楽映画である。
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