ある女流作家の罪と罰のレビュー・感想・評価

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4.0そんな簡単に騙されるとは・・・

2019年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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ともちん

2.0「一寸でも私を赦してくれる?」

2019年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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いぱねま

4.0中年女性

2019年7月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

私はFOXサーチライトの作品が大好きなので、この作品を劇場で鑑賞できなかったのは残念です。貧困だし頑固だし不器用だしリーみたいな人間は、資本主義の中で生きていくことは厳しいですよね。彼女がやった事は犯罪だけれど、気持ちは凄く分かる。だって、猫を病院に連れて行ってあげたいじゃないですか。作家でなくても男性と比較して女性は賃金が低く貧困化しやすいです。私も独身の中年女性なので、リーの事を他人事として観られませんでした。世間は勝ち組負け組とカテゴライズしたがりますが、人をカテゴライズしない監督の眼差しが暖かかったです。

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ミカ

4.0ある未公開映画の面白さと素晴らしさ

2019年7月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

知的

スランプ中の女流伝記作家。
そんな彼女が才を発揮したのは…。
亡き有名人の手紙を偽造し、高値で売り飛ばす詐欺を働いた伝記作家、リー・イスラエルの自伝を映画化。
アカデミー賞3部門(主演女優・助演男優・脚色)にノミネートされた事も話題に。

これまた大胆でユニークな詐欺事件!
…にしても、こんなにも容易く騙せるものなのか?
騙せるものなのだ。
リーはかのキャサリン・ヘプバーンから実際に手紙を貰ったり、伝記作家として当該人物の素顔のリサーチや想像力に長けていた。
専門家やコレクターなんて肩書きだけ立派で、らしい文面やサイン(勿論これも偽造)さえ書かれていれば、ろくに検証したりもせず、いとも簡単に信じ、騙される。
これは、リーの思わぬ才能と傲慢な専門家たちへの皮肉/風刺劇でもある。

とは言え、中には本当に目利きの専門家も居る。
あっという間に疑いが掛かる。
そしてリーは、本当の犯罪に手を出してしまう…。

リーがやった事は紛れもなく許されない事。
伝記作家でありながら、歴史や敬意を冒涜。
他人を巻き込み、他人を騙し、他人を傷付け…。
キャサリン・ヘプバーンからの手紙を売った古書店の女店主。気が合い、食事をしたり、小説家を目指しかつて書いた短編小説を読んで貰うほどの親交を持ったのに…。
だけど何故か、憎み切れない。
生活はどん底。仕事はクビ、家賃も愛猫の病院代も払えず、部屋は異臭を放ち、アルコールに溺れ…。大切な宝物さえ手放す。
そんなどん底人生でも、もう一度、作家として何かを書きたい…。
それが、偽造手紙だったのだ…。

リーは不器用な人間でもある。
上手く自分の気持ちを伝えられない。
それ故、つい毒舌を吐きまくる。
だから名文の小説よりちょいシビアな語りの手紙に才を発揮したのだが、卓越した文力は確かなもの。
どうしてそれを、自分の気持ち/言葉として、小説書きに活かせなかったものか。
宝の持ち腐れと言うが、才能の持ち腐れだ。

地味な作品ではあるが、スリルやダークなユーモアもまぶし、見応えは上々。
そして、絶品のキャスティングと演技力。
当初リー役はジュリアン・ムーアの予定だったらしいが、メリッサ・マッカーシーになって大当たり!
まさかあのメリッサが、これほどのシリアス演技を見せてくれるとは!
言うまでもなくメリッサは、現在ハリウッド屈指のコメディエンヌ。
そんな彼女の新境地と真の実力。
ユーモアある毒舌、侘しさと人間味滲ませる様は、メリッサだから創り上げる事が出来た。
リーの旧友、ジャック。演じたリチャード・E・グラントをお目にかけたのは、いつ以来か。
昔は二枚目イギリス人アクターだったが、いい意味で絶妙の枯れ具合。
役柄も悪事である事を承知しながらも加担し、ゲイで、終盤病魔にも侵され、リーとどっこいの不器用なダメ人間。
それでいてリーと腐れ縁で、軽妙さと哀愁、時折スマートな佇まいも感じさせる、超上級の複雑さと繊細さを見事に名演!
この二人の友情劇にもしみじみ。
また、ジャズ風の音楽も心地よい!

一級の演技力、出来映え、見応え。
実際にあった詐欺事件を面白いと言うのもあれだが、非常に面白かった!
悪いのは、こんな秀作が未公開である事。
ミニシアターでもいいから、劇場公開して欲しかった! きっと口コミヒットしていたに違いない!

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近大

5.0なぜ劇場公開しないのか!?

tさん
2019年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

幸せ

個人的に刺さり号泣。

偏屈で頭の固いオバちゃんのドタバタコメディ、言葉が汚くて最高なんだ・・・このオバちゃん、是非とも日本語吹き替えして欲しい(笑)、リー・イスラエルという人が最高に魅力的です。
彼女自身は極貧状態にあるはずなのに、コメディ調・・・というよりも、どこかファンタジー調で、全く悲壮感がない。

彼女は、その強烈な個性を持つが故に、これまでに何度も失敗している。でも彼女には、ああいう生き方しかできないんだよ。自分のことを客観視できずに、他人の気持ちを考えず突き進んでしまう(別に好きでやってるわけじゃないんだよね。一種の病気みたいなもの。だからさ。もしそういう人に出会っても苛めるないで欲しいんだよな。)

この映画は、リー・イスラエルのような、強烈な個性を持った変人を暖かく包んでくれる。本当に良い映画でした。

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t

4.5罪を犯すことでしか生きられなかった人生の切なさ

2019年6月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

今年のアカデミー賞で話題になっていた作品で、観たいなぁと思っていたところ、日本では残念ながらDVDスルー

それをスクリーンで観ることができて、とてもラッキーだった

主人公のリーは伝記小説専門の売れない女流作家

ヒット作に恵まれず、生活に困っている中、ある女流作家の手紙を偽造したところ、それが思ったよりも高値で売れてしまい…

そもそも、彼女は文学が大好きな人だ

好きな作家については、文章のクセから交友関係まで知り尽くしている

今なら「文学ヲタ」という言葉がぴったりなタイプだ

そんな彼女はきっと子供の頃から本の虫と呼ばれ、友達を作るよりも本を読むことに一生懸命だったはずだ

そのためか、友達も少ないし、社交的になれず、文才があっても、その才能をうまくアピールすることができない

だから、彼女は売れない作家なのだ

でも、そんな彼女だからこそ、とても魅力的に思えたし、とても同情してしまった

本を書いても売れないから、モチベーションが上がらない

しかし、大好きな作家になりきって手紙を書けば「この文章、素敵ね」とほめられ、お金までもらえてしまう

それなら、罪だとわかっていても手紙を書いてしまおう

その思いが、とても切なかった

この物語は、そんなリーの実話を映画化したものだが、友情物語の側面もある

そんな風に、リーはうまく社会に迎合できず、才能を生かしてバンバンヒット作を生み出すような器用さもない

そのリーの目の前に現れたのが、ジャックなのだ

ゲイのジャックは、ドラッグもするし、酒も飲む

どこからともなく現れては消えていく風来坊の人だが、リーの仕事を手伝ってくれる情の厚いところもある

そんなつかみ所のないジャックだからこそ、リーにとって、とても居心地がいい相手だったんだろうと思う

そんな2人のとても楽しげな友情は、この映画の中で救われる場面だった

今の世の中、いつ何が起きるかわからない

もしかしたら、リーの暮らしは「明日は我が身」かもしれないのだ

では、もし、私がリーの立場だったら、どんな生活をするだろうか…
と考え、何気ない毎日を続けることの大切さを思った作品だった

みんながみんな、思い通りに成功できるわけではないのだ

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とえ

5.0ふとした出来心で人生をこじらせる様が痛々しいです

2019年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

もはや人気も枯れ果てニューヨークにしがみつくようにしてギリギリの生活を送っていた伝記作家のリー・イスラエル。愛猫ジャージーが病気になり獣医に連れて行くも診察代が払えず、やむなく蔵書を古書店に売りに行くが二束三文にしかならない上に店主に凋落ぶりをバカにされる始末。ついに大事にしていたキャサリン・ヘップバーンからもらった手紙を売ってしまったリーはそこそこの値段で売れることに味をしめ、亡くなった著名人の手紙を捏造することに手を染めてしまう。トントン拍子で小銭を稼ぐようになったリーは友人のジャック・ホックを相方にして裏稼業にのめり込んでいくが・・・からの実話がベースのトラジコメディ。

こんな感じの栄枯盛衰は誰しも経験するものでそれでも何かしら折り合いをつけて生きていくのが普通の人だと思うわけですが、ちょっとしたきっかけで人生を拗らせて暴走する様は決して他人事ではなく正直笑うのを躊躇してしまい胸の奥がちくちくする切なさに満ちた作品。因果応報が招く結果を受け入れるリーが語る決意も沁みますが、こんなショボい悲劇には実は終わりがないことをシレッと示すラストシーンが物凄く印象的。

主演のメリッサ・マッカーシーは体を張った演技で笑いを取るストロングスタイルの女優さんですが、本作ではオーバーアクションを一切控えてどんどん身を持ち崩していくアラカン女性を等身大で演じていてオスカー主演女優賞ノミネートも納得の存在感。ニューヨーク舞台なので劇伴はジャズがメイン、中低音がグッと前に出たサウンドを堪能するためにもやっぱりスクリーンでの鑑賞がオススメですが劇場公開なしというのは残念過ぎます。

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よね