スノー・ロワイヤルのレビュー・感想・評価
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リーアム兄さんの高倉健化、演出は石井輝男
模範市民、キレる・・・このコピーだけで「日本侠客伝」を思い起こしたのは私だけではないはず、日曜日の午後、家族サ-ビスをほっぽり投げて駆けつけた東宝系映画館、開場前から寡黙に並ぶ諸兄は60代、70代(当方も50代。)。映画が始まるやいなや、リーアム兄さんがタトゥー&ピアスの小僧を殴り殺して「待ってました!」と日頃若い者にいじられて悔しい思いをしている当方溜飲を下げながら「もっといけ!」と思っていたら、映画は筋とキャラがとっちらかり、B 級感が漂い、時間を無駄にしたような思いがよぎり、と思えば時よりハッとするようなカッコ良さ、そしてとりとめのなさ、この感じ・・・そうだ、石井輝男!網走番外地!見てますね、タランティーノグループ!ラストの生き残ったネイティブアメリカンのボスがアラカンか若山富三郎に見えてきました!
エンディングの音楽もアメリカンルーツミュージックというより、東映音楽部に聞こえなくもない・・東宝系の箱だったはずなのに、ここは新宿東映か!と思ってしまったのでした。
でもリーアム兄さんは、高倉健+池部良という感じで、B級感満載の画面の中で、黙々と仕事(殺しと除雪)をこなしていて、カッコいい!一生付いていきます!という感じではありました。次回もよろしく!
エグいコメディ
それらのどれでもない寸止め。
嫌いじゃなーい!むしろけっこう好きかも!!
どんな映画?って、ひとことで説明させない意地悪さが気持イイ。
「息子を失った男の復讐」的なノワールの2歩手前。
「いつものリーアム兄さん、待ってました!」的なアクションの1歩手前。
「小洒落た仕掛けとブラックなユーモア」的なオフビートコメディの半歩手前。
それらのどれでもない寸止め。でも何かに中途半端な映画じゃなくて、ちゃんと突き抜けてるのが新鮮で、面白くて、なんていうか可愛らしい映画。
リーアム兄さんを主演に置くのも、絶妙に上手過ぎてズルい。
「リーアム・ニーソンの人気とか知名度とか演技力に依存してる」っていう意味のズルさでは全然なくて、「すでにリーアム兄さんと、その常連客の間にはある程度の約束が結ばれていて、こういう映画にリーアム兄さんが出てくると、観客はある程度の心の準備と楽しむ姿勢ができている」っていう暗黙の了解を、確信犯的に最大限に利用しているズルさがある。
でもそのズルさは全然腹立たないやつ。むしろ「わかってる!デキる!!」と感心しちゃう。
その「リーアム兄さんと常連客の暗黙の了解」をフル活用して、ある時は「わかってるよね?」と説明をすっ飛ばしたり、またある時は「こう来ると思ったでしょ?残念でした!」と裏をかいたりしてくれる。
ちなみにその「暗黙の了解」とは何か?うまく説明できるかわからないけど、あえて言葉にするなら、
「リーアム兄さんがスクリーンに映されると、それは不憫でバカ強な男なのだと理解してしまうこと」
という感じだろうか。
僕らリーアム兄さんの常連客は、リーアム兄さんが(映画の中で)どれだけ苦労してきたかを知っている。全身火だるまになったり、雪山でオオカミと戦ったり、遠い昔銀河系の彼方でクマドリ野郎に斬られたり、キリスト布教に来た日本で逆さ吊りにされたり、娘に誕生日プレゼント買ってドン滑りしたり、飛行機に乗っても電車に乗っても必ずロクな目に会わない。
だから僕らはスクリーン越しにリーアム兄さんに会うと、まず挨拶する前に「あ、かわいそう。」と思ってしまうのだ。だからうっかり「いいよ。数人だったら、ぶっ殺しても、いいよ。」と事件が起こる前から許してしまうのだ。
そしてリーアム兄さんは、ちゃんと応えてくれる。バカ強だから。少しくらい雑な物語でも、無理くりな展開でもいいの。リーアム兄さんだから。
それがリーアム兄さんと、僕ら常連客の、男と男の約束だと、僕は思ってる(笑)。
そんな男と男の約束を踏まえた上で登場した僕らのリーアム兄さんは、息子を失った苦悩も、復讐に心が冒されていく苦悩も、残された夫婦関係が壊れていく苦悩も、軽くすっ飛ばしてサクサク悪党を雪かきしていく。
「フツーの模範市民なのに、なんでそんなにバイオレント?」なんて野暮なことは考えない。リーアム兄さんがどんな映画に出てこようが、元ダークマンで、元エージェントで、元ジェダイマスターなんだから、そんなことはいいんだ。リーアム兄さんがスクリーンに出てきた時点で、「何人かはぶっ殺してもオッケー」って約束になってる。
でもこの『スノーロワイヤル』のエライところは、そんな「リーアム兄さん映画」としても、0.05歩前の寸止めで、踏ん張ってるような気がする。
まず、麻薬ギャング団の面々や、その敵対インディアン団の皆さん、地元警察の人まで、脇の登場人物たちがみんなすっげーキャラが立ってて良い。
いちばん良かったのは「編集」かな。人が死ぬたびにテロップ出るのが言及されたりしてるけど、そのテロップが出ること自体が面白いんじゃなくて、テロップの出るタイミングが、死者の数が増えるごとに「食い気味」に入ってきたりする。ということは直接的に人の死がたくさん映されるわけじゃないのも品が良い。
人の死を、ちょっとドライに描いて相対化してるっていうか、それを編集のテンポで調節してちょっと滑稽にしてる感じが初期の北野映画を思い出したりする。
まぁ、リクツどうこう抜きにして、面白い映画だった。後から思い出して面白さがジワジワ来る感じもまた良かったなぁ。
リーアム・ニーソンも歳を取ったのかなぁ。
息子を殺され復讐を誓う父親が犯罪組織の抗争に巻き込まれていく姿を描いた作品。リーアム・ニーソンが、またまたキレます。元々は、ノルウェーの映画作品。
リーアム・ニーソンも歳を取ったのかなぁ。これまでの映画作品で見られたような、キレのあるアクションではなく、どちらかと言うと静のアクションシーンになっています。それでも、“普通の”除雪作業員にしては、アッサリとギャングをぶちのめしたりはしていますけどね(苦笑)
いとも簡単に、どんどん人が死んでいきます。そういう意味では凄惨な映画なのですが、なんか、途中で「くすり」と笑うようなシーンもあります。アイロニーですね。
リーアム・ニーソンを見るための作品です。ネイティブ・アメリカンが出てくる意味とか、いろいろあるんだと思うんですが、そう言うストーリーはあまり深く描かれていません。事件発生に色めき立つ警察とは、広めると面白くなりそうな要素はたくさんあるんですけどね。
勝者は観客。早く笑った者勝ち
米国の雪深い町キーホー。
かつては小さな町だったが、最近はスキー客でにぎわっている。
除雪作業員ネルズ・コックスマン(リーアム・ニーソン)は、永年の功績が認められ、「マン・オブ・ザ・イヤー(模範市民賞)」を受賞した。
その矢先、ひとり息子のカイルが何者かによって殺されてしまう。
麻薬組織に巻き込まれたことを知ったコックスマンは、組織に復讐を開始する。
が、3人の手下を殺された組織のボスは、これは対抗するネイティブアメリカンたちの組織の仕業と早合点し、対抗組織のボスの息子を惨殺してしまう・・・
というのが映画の中盤まで。
で、コックスマンと二つの麻薬組織が入り乱れての殺し合いに発展するので、バトル・ロワイヤルならぬスノー・ロワイヤル、ってことね。
コックスマンが息子の死体を安置所に確認するあたりの妙に間延びした演出で思わず笑ってしまうあたりで、これはコメディと気づいたけれど、早めにコメディだと気づかないとバカくさい映画にみえるかもしれない。
組織の下っ端3人をぶっ殺して死体を処理する繰り返し演出や、死人が出るたびに、犠牲者の名前が告知されるところなどは「早く笑った者勝ち」。
この手のユルーいアクションコメディを撮るのはかなり難しく、途中、どうしても間延びしてしまうシーンがあるのは致し方ないところか。
監督はノルウェー出身のハンス・ペテル・モランド。
『特捜部Q Pからのメッセージ』のひとで、2014年に撮った『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』のハリウッド・リメイクだそうで、そちらではステラン・スカルスガルドが主演し、ブルーノ・ガンツが共演しているとのこと。
オリジナルも観てみたいキャスティングです。
北野フィクション・バレルズ
親父の復讐劇だけでは終わらない
不謹慎な笑いに満ちた良作
スッキリ爽快
大量に殺されますが、おどろおどろしさはなく、スパーっと短時間にやっちゃうので気分悪くなりません。
最初のみシリアス感&雪国の閉塞感ありますが、人が死んでくほど「はい次、次」って爽快な気分になってしまいました。
そして最後のアヴァランチの死は笑いで〆られる。
めでたしめでたしな映画でした。
子どもが大人の邪魔しないとこが100点
コメディとシリアスとアクションのバランスが良かった。
ウィンドリバーみたいな雪山と先住民、でも雰囲気は遥かにこちらの方が見やすかった。
息子を亡くした悲しみで淡々と悪者を殺していくリーアム相変わらずかっこいい〜スピード殺しの徹底的に息の根を止めるとこが良かった。
そしてホワイトブルがリゾートホテルで先住民グッズを見て回るとこが印象に残った。
自らの土地と文化がチープになってしまってもなお美しい雪山を眺める朝食の席がしんみり良かった。
その後サービス券をフルに使う部下のとことか誘拐した子どもに除雪車のカタログ読み聞かせるとことかタランティーノみたいに死んだ人間を字幕で見せるとことか喪に服さない兄の嫁とかユーモラスなシーン多くて、でもわざとらしくなくて飽きませんでした。
弟を売らない兄がかっこよかったな〜
もっとマフィアを除雪車で轢き殺すとかあってもよかったけど最後の伐採機(?)大活躍のとこ最高でした。
オリジナル版と観比べたい独特なテンポが印象的なカルト作品
雪深い小さな町キーホーの除雪作業員ネルズは町の模範市民として表彰されるほどに実直な男だが、町の空港で働く一人息子カイルが行方不明となり、遺体で発見されてから生活が一変してしまう。死因がヘロインのオーバードーズという警察の説明に納得がいかず絶望の淵に立たされたネルズはカイルと一緒に行方不明となっていた青年からある事実を知らされ・・・からの全然笑えないトラジコメディで、『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』というノルウェー映画のリメイク作品。
オリジナルと本作の両方を監督しているハンス・ペテル・モランドの作家性なのか、なんともすっとぼけたテンポの作品。人が死ぬたびに画面が暗転して死者の名前とあだ名が表示されるのがなんともシュールだし、一人また一人と悪党を殺していくネルズが毎回金網で丁寧に包んでから川に死体遺棄する様もやけに淡々としていて牧歌的。家族を亡くした悲しみなどを特段踏み込んで描くわけでもなく、重要でも何でもないやりとりをぼーっと見つめている感じで、死体の山が積み上がる惨劇もダラダラしていて何のカタルシスもない。とにかく終始近所を散歩しているかのようなユルいテンポで、何を観せられているのかと呆然としているところにいきなりポーンと放り込まれるエゲツないオチも取ってつけたような投げやり感が凄い。正直メチャクチャくだらないですが何だか得体の知れないクセになる何かが滲んでてキライになれず、もどかしい余韻が脳裏に残ります。全然オススメできない作品ですが未見のオリジナルが気になってしょうがないです。
仁義なき戦いの笑えるバージョン
笑える復讐譚だけどキレがイマイチ。
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