燃えよ剣のレビュー・感想・評価
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1人の演技で映画が台無しでした。
役者目当で見たら必ず失敗するし、そも何故前後編にしなかった。
司馬遼太郎作「燃えよ剣」は新選組のファン及び時代小説が好きな方というのはほとんどの方が通った道であるだろう。同作者作品「竜馬がゆく」より作品としてもまとまりがつきやすく、文庫本上下2巻と手を取りやすい。
ただ、それを読み込んだことがある事前提のある描写があまりにもこの映画には多すぎた。
所謂「役者目当て」の観客には初見殺し、という内容だ。
まずはこの映画の感想を箇条書きで並べるとしよう。
・役者配置については、沖田総司/お雪/山崎烝/井上源三郎の4人が個人的には適役だと感じた。
次点で伊東甲子太郎。
沖田総司についてはこの映画が制作が決まったという際、正直一番不安に思った人選配置(正直顔だけだと思っていた。)だったのだが、この映画に一番必要な役所を彼が持っていった。正直な感想でここだけ書くとこれから先十年は新選組をドラマ化した際は今回の役者さんでずっとやってくれ、と思ったほど司馬遼太郎作品の「沖田総司」にはまり役すぎた。新選組血風録を彼主役で映画化してくれ頼むから、歴史の話なんていらんかったんや。
人によって好き嫌いがあるのは承知する演技だが、山崎烝も個人的にはとてもよかった。物語のピエロ役となっていて重たい空気だけの映画にならず、彼の演技がなかったらもう少し池田屋事件のくだりは中だるみしていたように感じる。
井上源三郎の役者さんについてはよくこの方当てはめてくださった、と経歴を見て驚いてしまった。私自身は彼のお茶目な演技に癒されて、そして泣かされた。
伊東甲子太郎、なぜか肖像画に似ているとしか映画を見ている間思えなかった。演技とかではなく肖像画に似ていることでの評価となる。
・セットの豪華さ/カメラの撮り方に華やかさがある。
京都の寺院仏閣溢れる街並み、武州の緑、等色の使い方が綺麗だったと記憶している。
ここから先批評となる形だ。
・尺の問題か、音響技術の問題か、役者の技術か。とにかくセリフが聞きづらい。
・場転/シーン構成が下手。カットすべきところをカットできていなく、構成すべきところを構成していないと感じる。
→主演の役者の声が聞きづらいとは何事か、とのっけから豆鉄砲を食らった感覚でいた。同監督作品「関ヶ原」でも同じ手法をとっていたとレビューで拝見したので、監督の指示の元こうなっていると思われるのだが、正直悪手でしかない。おかげで冒頭1時間つまらなかった。
私は幼少期から原題作品を何度か読破した経験があり、幕末(佐幕派)についての知識も通常よりは多く知り得ていたからこの映画に「70点」
という数字をつけるが、幕末についての知識がなかったり原題をほとんど読んでいない場合のこの映画の数字は「15点」もないのではないか。
原題「燃えよ剣」自体が新聞の毎日連載だったと記憶している、原作自体も場転等は多いが原作の場合だと作者がいきなり本文に出てきて解説を始めるという手法だったはずだ。
だがこの映画には「解説」という行為などない。
余りにも唐突すぎて笑ってしまったのが、油小路
の変の後に駆けつけてくる御陵衛士が「兄上!」
と叫んだところだ。映画の今までどこに伊東甲子太郎の弟(三木三郎/新選組九番隊組長)が出てきたよwwwとシリアスなシーンなのに一人で笑ってしまった。どういうことなの。
新選組、佐幕派、倒幕派、長州、薩摩、官軍、賊軍、朝廷、江戸幕府、とにかくたくさんの人名が出てくる。全く説明もない上に数回しか出てこない名前が物語のキラーだったりするの、本当にやめた方がいいと思う。大河ドラマの文字解説見習ってくれ。
・お雪
→見終わった時、1番期待はずれだったのがエンディングだった。原作最後のお雪の描写をなぜ消した。彼女がここからどこに行ったのか、その描写は必要ではないのだろうか。
お雪は実在の人物ではない。だからこそ彼女がここからどうしたか、という説明を語り部でもいいから観客に伝えて欲しかった。
レビューでちらほら見受けられるが「池田屋事件が長い」、私も同意見だ。
新選組にとってはターニングポイント、だが土方歳三にとってはターニングポイントだったのだろうか。
新選組は治安維持を兼ねていた上その治安維持が命懸けであった、だからこそ彼らにこれが特段特別な任務であったという認識はなかったであろう。(天皇家の関わる過激攘夷派のクーデター事件阻止なので、本人達も重要な捕縛取り締まりという認識はあったろうがこれはどちらかというと"本命"にあたった近藤勇隊の方ではないかと思う。)
なぜそのような池田屋事件をあそこまで長く取上げたのか、彼の人生譚と考えたらもっと大事な所あったと思う。
土方歳三がどれだけ子供臭くて、どれだけひたむきで、どれだけ純粋か。鬼の副長と恐れられた土方歳三がその素直な性格を出せるのがお雪だと原作を読んだ時は思ったのだが、思ったシーンは尽くカットされていた。無念。
いやでもほら、何故お雪さんの云々を実写で見れたのは……嬉しかったと前向きに捉えよう……、もう少しお雪との絡みを見たかった。
総評
司馬遼太郎作品は地の文の上がり下がり(コメディ寄りの時もあればめちゃくちゃにシリアスに振られる時もある)が激しいのだが、コメディ寄りの所はうまくできていた映画だったと思う。
コメディ寄りだったところ?全体の一割ぐらいしかない気がするけど!
試衛館メンバー四人が男子高校生のようなはしゃぎ方をしているところや、土方が写真を撮るところ、知れば迷ひ〜の俳句のシーンなどの描写はとてもよかった。そこだけ見たい。まじで土方の俳句と写真撮影のところはめちゃくちゃ見直したい。
ただ今まで述べた通り、説明がないまま端折られすぎのまま時代が進むので映画の展開についていくには原作未踏破/幕末(佐幕派及び新選組一連の流れ)の歴史を知りえない人には「お金を払ってまで見る映画ではない」とは伝える。
ただ土方歳三とお雪の絡みが実写化されると知ってテンションの上がった方、馬鹿やってるバラガキと試衛館メンバーが見たい方、原作で記憶に残るシーンのある方は一見の価値があるかとは思う。個人的には和泉守兼定を研ぐシーンがずっと頭に残っていたから映像で見れて嬉しかった。
お雪がいい女だと思った人は原作を読め、もっとイチャイチャしていてとにかく二人が可愛くて仕方がないから。
あと思ったより斬り合いの映像としては完成度高く、あそこまで残酷な描写にしなくても良かったのではないかと違う方向への完成度に頭を抱えた。
あと雨の夜の鴨のシーンの近藤勇の謎ダンス、お気に入りです。あそこだけ延々リピートして疲れた時に見たい。最高。
結論 燃えよ剣を表現するには映画一本では尺不足だったので、この映画は沖田総司と井上源三郎を見てくれ。 以上。
CGと出演者は豪華だけど
作りこみは良いが、残念感漂う・・
京都在住にて、池田屋事件首謀として知られる土方歳三に興味を持ち、数年ぶりに映画館に足を運びました。かなり期待外れという印象です。
①新選組という組織の主張が少ない。
いわゆるチャンバラ集団の域を出ていない。フィクションでも良いから、新しい日本を作りたいというパッションを期待していたが期待外れ。隊長である近藤勇のメッセージが伝わらない。
②近藤勇死亡のあとの土方歳三の立ち位置
近藤勇は土方歳三に最後の言葉として「新選組は君に頼む」を告げた。であれば、土方歳三は副長でなく隊長に就任し勢いを失った新選組を立て直すべき。最後まで副長の立ち位置に甘んじたのは残念(これは史実だから仕方がないが)
③池田屋事件の場面が長すぎ
京都市をアピールするためには良いかもしれないが、池田屋事件の場面だけが誇張されている印象あり。歴史的には、鳥羽伏見の戦いや五稜郭の戦いを含む戊辰戦争の方が重要だと思う。最後に蝦夷地函館を目指した土方歳三の心意気や、彼を慕って最後までついていったお雪の気持ちを描いてほしかった。あの当時、船に乗って東北から蝦夷に向かうことすら冒険に近かったと察する。
④土方歳三とお雪
「肉食系」土方歳三はとお雪の関係がプラトニック過ぎる印象がある。お雪に対して、愛を語るにしても将来の日本を語るにしてももっと雄弁に語って欲しかった。
⑤ナレーションについて
どういうわけか、軍服を着た土方歳三が解説者のようにこの映画を語っている。歴史的背景を知るにはナレーターの存在は良いと思うが、もっと別の人物に委ねるべき。
⑥武装スタイル
池田屋事件では日本刀が武器であったが、五稜郭の戦いでは銃が主体となっていた。ここが近代日本史上興味深いところだろう。途中で新選組も西洋式の武術を習得する必要があったと思われるがその描写が不十分。また、戦う相手=新政府軍はどのようにして西洋式の武術を習得していたのか。ここを伝えれば、土方の死も残念ながら偶然でなく必然だったと観客は納得するであろう。
⑦沖田総司について
諸説あるが、この映画では沖田は当時不治の病であった肺結核に罹患していたという設定になっている。それは良しとするが、沖田の存在が新選組や土方にとってどうだったのかが伝わらない。(戦う集団としては、足を引っ張っていただけという印象)
最後に良い場面:
後半、土方歳三がお雪に「あなたを危険な場面に巻き込みたくない」と言ったところ、お雪は「もう十分に巻き込まれています」と目を潤ませながら応えた。この場面は素晴らしい。この場面だけで★4つにしました。。
私も、早くお雪のような女性と結ばれたいです。
キャストが豪華
字幕ありで見た方が分かりやすい
全部の回に字幕があるのか、自分が見た回にたまたま字幕がついていたのか分からないのですが、最初は『うわーやってしまったー』と思っていました。
が、最終的にはあって良かったです。
まず台詞が早口。歴史用語も出てきて、漢字を見て『なるほど』となる言葉も多々…
一番助かったのは、誰のセリフかが分かったこと。何の前触れもなく武田観柳斎とか島田魁とか合流してるし紹介もない。
新選組や幕末の知識がないと補正もできず置いてけぼりになってしまうかも…と思いました。
私は山南さんが好きなので扱いが悲しい。でも主人公はトシなので仕方ない。
源さんの最期…何だあれは…でも主人公はトシなので仕方ない。
そんな風に思いながら最後まで見ていました。
近藤さんとの絆も少し薄く感じてしまいました。
岡田くんはさすがに顔も所作も剣術もかっこいい!小さいけど、オーラで大きく見える時もあった。
他の役者さんも良かったです。隊長クラスの人物でも一言も喋ってない人いましたが…
他の新選組物よりもトシが柔らかい印象。周りが嫌な奴ばかりに見えたからでしょうか。松平容保公は他と同じく優しくていい人って感じでした。
もう一度見たいかと言われたら微妙。新選組が好きなのでとりあえず見てみました、という感じです。
本格的
受験生の時に見たかった
とてもよい入門編
原作未読の上、新選組についてすらうっすい知識しかない私ですが、原田眞人監督の新作ということで公開から3週目でようやく鑑賞してまいりました。
今作も『駆け込み女と駆け出し男(15)』以来タッグを続けている撮影監督に柴主高秀氏、美術監督に原田哲男氏など、原田組の画は非常に美しい。そして、言わずもがなの岡田准一君定評の殺陣、これは間違いなく劇場で観たい作品です。
詳しい方や原作ファンにとっては異論もあるかもしれませんが、148分、よくまとまっているように感じます。
今回は予習として市村泰一監督の『燃えよ剣(66)』だけ観ておりましたが、前述したように基本知識が十分でない私にとって、「解った気になれた」そして「十分楽しめた」からの「新選組関連について興味を持てた」と、(今更ですが)とてもよい入門編に出会えた気がします。
役者陣もみな素晴らしかったですが、特に沖田総司役の山田涼介君と会津藩主・松平容保役の尾上右近さん、この二人の演技は特筆すべきと思います。あっぱれ。
源氏物語的ダイジェスト
喧嘩剣法の殺陣最高や!!
格好ええわぁ……堪らんわぁ……
もうそれだけで☆5でええわぁ……
あと個人的に丸十さん好きやわぁ……
*ダイジェストの話*
源氏物語も源氏の若い頃が面白いんだと言われがちだが、新撰組の話もやっぱり江戸から出てきて山南さんが死ぬあたりまでがわくわくするし、よく知られた新撰組の姿なんじゃないかと思う。そういう意味で、鳥羽伏見以降が駆け足になったのは、ダイジェストとして見やすかった。
だいたい敗走する時はやること一緒だからね……仲間と退路と選べる道が減っていく一方、眼光だけが強くなる。「日本のいちばん長い日」もそうだったね……。前後編にしてしまうと、後編はそういうところばっかりを見なきゃいけなくなるので、いや、土方歳三見に行ってんだからそれを見に行ってるのは実際そうなんだけれども、多分観賞後の感覚が違ったろうなと思う。同じ椅子にじっと座って続けて見るから、前半のバラガキ感、わくわく感から連続したこの悲愴感になれるわけで、悪いことばかりではなかった。
圧巻の殺陣と凝った映像に注目
戦国時代や幕末に特に関心はないので歴史小説を読んだことが無い人間の感想です。
本作は、野心を抱く男(土方歳三)が幕末の動乱の世を駆け抜けた話――己の剣の腕と信念だけを頼りに昇りつめ、やがて時代の変化に追い落とされるさまを描きます。
見どころは火花が散る剣のぶつかり合いや凝ったカメラワークです。
俳優陣も熱演で、伊藤英明さんの存在感はさすが、短い出演時間ながら山田裕貴さんや村上虹郎さんも印象的でした。山田涼介さんは病気が進行していくにつれてやつれていく様子が見事でした。
岡田准一さんは動作が美しいし安定の演技です。ただ、土方が”鬼の副長”と呼ばれたからには、隊員を恐怖で支配した一面もあったろうし、威圧感もあったと想像します。岡田さんはクールでカッコ良すぎですね。急に断髪して洋装になったところは理由が分かりませんでした。
ストーリーは感動するまでは行かなかったですが、同じ監督の「関ケ原」より面白かったです。
選曲や宴でのダンスや楽団の演出が独特だなと思ったら、エンドロールが英語表記だったので、海外での上映を意識したのですね。「女の一人や二人の犠牲は仕方がない」というセリフをわざわざ入れたのはどうかと思いました。
どうなる、ってのは婦女子の言い分だ
歴史や原作を十分に知っていることを前提とした作品
ミスター鬼畜
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