赤い闇 スターリンの冷たい大地でのレビュー・感想・評価
全46件中、21~40件目を表示
勇気ある主人公の行動は世の中にどのような影響をもたらしたんだろうか。
ウクライナにおける人為的な飢餓の事実を世に公表した勇気ある主人公の行動は、どのような影響を世の中にもたらしたんだろうかと、映画終了後に思った。
スターリンが統治方針を変更するわけないし、旧ソ連以外の国からは内政問題と片付けられただけじゃないのかなと思ったりする。
結局のところ、ジョージオーウェルの物語のきっかけになったに過ぎないとしたら、それは悲しいこと。
そして、飢饉の惨禍を隠蔽したピュリッツァー賞受賞記者が名誉を剥奪されることがないのも恥ずべきこと。
ちなみに、冒頭の豚の描写はジョージオーウェルの「動物農場」からだろうけど、この人についてうまく説明されていないから、知らないとナニコレ?となる。
主人公も最後は〇〇されちゃうし、後味はあまりよくない
ウクライナは未だに世界最貧困
2020年時点の中国共産党も、負けず劣らずだけどね。てのは置いといて。
結局、新聞報道ではウクライナを救えませんでしたし、ウィグルに対する弾圧を止められない現代社会、ってのもあります。つまりは。国境をまたげば報道も無力。共産党の独裁国家内で進行する悪を止める事は出来ない。
それでも声を上げ続ける事がジャーナリズム。
映画としては多少肩透かし感はあります。ソビエトの事ばかりで、世界情勢・欧州情勢に触れてませんからね。そこは不満でした。
もっと深掘りしてほしかった。
スターリン時代のウクライナ穀倉地帯での大飢餓をフリーランス記者が潜入し真相を突き止めるが表面化するまで当局からの脅迫に屈せず生き延びたのは奇跡としか言いようがない。当局は彼を泳がしたのか?独裁下ではなくても今も世論操作は存在する。真実は永遠に闇の中だろう。ナチス、スターリン、現人神を頂いた帝国の闇は時代や国を越境して現実に存在している。映画そのものはやや単調で、もっと深掘りしてほしかった。ウクライナでは作物をモスクワに搾取され農民は樹皮や人肉を食べる。子供たちの絶望歌が挿入されていたのは映画を締めた。希望は一つもない。ジョージ・オーウェルの《動物農場》との接点を初めて知りルポが無駄ではなく役に立ったことは救われる。満州潜入が失敗に終わったのは残念無念。旧大日本帝国の新たな事実が掘り起こされたかも知れないのに。
背負うのは、どっち
117本目。
何とか空席あり。
ダメもとだっただけにラッキー。
序盤は緊張感があっていいんだけど、真ん中らへんで弛むと言うか間延び。
まあ面白かったかなぁとは思うけど、要はどっちを背負って生きるのかとは考えてしまう。
近い将来の話かも
ヒトラーへの取材経験もあり、世界恐慌にあってなお繁栄を続けるソ連に疑問を抱き、その真相を追い求めるイギリスの若手記者の物語。
エンタメ要素は皆無と言って良い作品。特に派手なシーンもなく、淡々と物語が進んで行く。
粗モノクロのような映像で映し出されるウクライナの状況がとても辛い。
特にショッキングだった、子供たちの小屋でスープを食べるシーン。
予告映像でも、「何の肉だ?」と言っていたので、恐らくちゃんとした肉など無く、家の中で見つけたネズミでも捕まえて食べているんだろう。悲惨すぎる状況だ…。
なんて想像していたのだが…。
その他にも、「次の世界大戦は既に始まっている」、「真実が伝えられていない」といったセリフの数々にハッとさせられたのは私だけではないはず。
同じようなことは既に今現在起こっているのでは?
とにかく、記者魂で真実を伝えようと奔走した人物達の生き様にはグッときたと同時に、理不尽さに対する虚しさ、やるせなさも感じた作品だった。
ホロドモールのようなことが今後…どうかは分からないけど、本作は決して過去の出来事を伝えているだけの作品にはとても思えない。
隠された真実
スターリン時代のウクライナが、これ程までに大飢饉にあえいでいたとは誰も知る由はなかったであろう。これを世に知らしめた主人公、フリージャーナリストのジョーンズは29歳という若さで殺されてしまう。(一説には暗殺されたとも)しかしながら、彼が遺した功績は称賛に値する。自らの危険を試みず、実際現地を行って現実をつぶさに世界に知らしめたのは、まさにジャーナリストの鏡と言って過言ではないだろう。
ガレス・ジョーンズが戦ったのは
この8月には第二次大戦当時の映画を4本観た。「海辺の映画館 キネマの玉手箱」「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」「ジョーンの秘密」「この世の果て、数多の終焉」である。そして5本目が本作品だ。5本とも戦争映画としては異色の作品で、それぞれに戦争に対するスタンスが異なっている。
本作品ではヒトラーが首相に就任した1933年に直接本人にインタビューをしたガレス・ジョーンズという実在のジャーナリストを主人公にして、一時期彼が顧問を務めたロイド・ジョージの名前を有効に活用するなど、あらゆる手を使って真実に迫ろうとした取材の顛末を描く。
映画の語り手がジョージ・オーウェルであることは作品の後半で漸く明かされるが、これはたぶん最初から分かっていたほうが観やすいと思う。蛇足ながらジョージ・オーウェルは「1984年」という小説でスターリン(小説内では「偉大な兄弟」)をモデルとした独裁抑圧国家の惨状を描いている。本作品の主人公ジョーンズと面識があったかどうか定かではないが、全体のために個を犠牲にするファシズムやスターリニズムを嫌っていた。
KY(ケーワイ)という言葉が日本で一時流行した。その場の空気を読めないという意味で、あいつはKYだからなどと人を非難するときに使う。また空気を読めと強要することもある。テレビでも「お前、空気読めや」などと芸人が頭を叩かれるシーンを見たことがある。一般人の間でも他人のことを空気を読めないといって悪口を叩くことがあり、それを聞かされる度に違和感を覚えていた。
空気を読めないと非難されるのは何故か。そもそも空気を読むとはどういうことか。どうして空気が読めないといけないのか。空気を読めないと場を乱すと言うなら、場を乱すことがどうしていけないのか。などと理由を遡って考えていくと、全体のために個の自由や意見を抑制しろというパラダイムに行き着く。それは全体主義のパラダイムだ。問題は「場を乱すことが悪いこと」というのが全体主義の考え方であることに気づかない多くの大衆の精神性にある。
「赤信号みんなで渡れば怖くない」という言葉がある。ツービートのネタで使われた言葉だが、考えてみれば恐ろしい言葉である。違法行為であっても集団のためなら許される(お咎めを受けない)という考え方だからだ。スターリンはまさに赤信号を渡った人間で、ロシア革命以前には反体制組織の資金集めのために銀行強盗を繰り返していた。銀行強盗を国家の指導者に据える国などないはずだが、全体のためにという大義名分によって犯罪者が独裁者になったのだ。
映画作品としてはジョーンズの活躍を描きたかったのか、その悲劇を伝えたかったのか、あるいはスターリン政権下での膨大な犠牲者の悲劇を伝えたかったのか、焦点がいまひとつ定まらないところが憾み(うらみ)である。しかし全体主義という大義名分を起点に考えれば、ソ連国内の人権無視や虐殺に触れないで国交を樹立したアメリカやイギリスの政策も構造は同じである。もちろん「お国のため」に数多くの犠牲者を出した日本も例外ではない。ガレス・ジョーンズが戦ったのは、世界に蔓延する全体主義のパラダイムであったのだ。
いいテーマだけにもっと期待してしまう
スターリンの経済政策の虚構を暴こうとしたジャーナリストの話。
豊かと言われていたウクライナに入って、市民が飢餓状態になっているのを目の当たりにするシーンの数々ははたしかに重い。ただ、経済政策の失敗にどうつながっているのかはわかりづらかった。しかも雪に囲まれてる地域なので、視覚的に暗い。
いや、そもそもそこにいたるまでが結構長くて退屈してしまった。人間関係ももう少し丁寧に説明してほしかったかも。
とても重要なテーマを扱っているだけに、映画としての盛り上がりがもう少しほしい。
真実を歪め、隠蔽する世界
今の日本を思わず重ねて観てしまう。監視され、隣人に告発され、信じるべきものが信じられなくなる。個人の弱さにつけ込む国家と国家に唯々諾々と従う弱い個人。弱さは全ての崩壊をもたらす最悪の感情の一つである。
現代にも通じるテーマ。見るべき映画です
重たい内容であまり気乗りがしなかったのだけど、なんだかこの映画は見なければいけないような気がして覚悟して鑑賞しました。
ガレス・ジョーンズという実在のジャーナリストのことは今の今まで知らなかったし、このような史実も知らなかったし、彼の死後100年近く経ってこのように映画化され、そのテーマが古びていないことに驚きます。
スターリンのことは教科書で習ったぐらいで、政治犯(犯罪者じゃないのだけど)を「粛清」した恐ろしい人物という知識しかありませんでした。そのスターリン政権の下、ソ連の「穀倉地帯」と呼ばれる肥沃な土地のウクライナ地方の人たちは(当時ウクライナは独立国家ではなくソ連の一地方だった)、収穫した小麦が自分たちの食卓には上らず、すべてモスクワに持っていかれ飢えと寒さに苦しみ何百万人と死んでいったのだそうです。たった一つのみかんに目の色を変える農民たち、食べ物がなく樹皮や到底口には出せないものを食べて飢えをしのいでいたのです。
ジャーナリスト魂の塊といった主人公が命をかけて真実を伝え続け、しかし彼のミッションともいえるジャーナリズムの仕事を生涯をかけて全うできなかったこと、今、彼がこの映画の上映を知ったら喜んでくれたでしょうか。
カラー映画のはずなのに、広大なウクライナの麦畑と一面の銀世界、まるで白黒映画のようなそぎ落とされた映像がスタイリッシュでした。メガホンと撮ったのがポーランド出身の女性監督だそうで、最近の女性監督の活躍には目を見張るばかりです。
これは決して過去の話ではありません。今も繰り返される私たちに突き付けられた現代のテーマでもあります。絶対に観るべき映画です。
映画ってやっぱりいい!
嗚呼、映画ってやっぱりいい!
3月からずっと行ってなかった映画。
先日ちょっとした用事のついでに一本見て、錆び付いていた映画モードギアに油が刺されたのですが、まだまだ全開でなく、映画に行くか、家でダラダラするか、で迷うと結局家を選択していました。
今朝も、行こうかなと頭をよぎりながら、やっぱ寝ようかなと思って、ボンヤリFB眺めていたら、ある人がアメリカでバノン(トランプの盟友)逮捕について、彼はレーニン主義者と自らを呼んでいた、ということから極右とスターリン共産主義の関連を書いている記事を読んで、これはやはりちょっと行っておくかなと思って行ってみたところ、嗚呼、やはり映画って、ホント、いい!!!
これ実話に基づいてるんですね。
赤い闇って、これ、スターリン独裁下のソ連の話って単純な話じゃないんですよ。誰がスターリンを支えてたのかってことなんですね。
この映画はすべてのジャーナリストはマスト・シーでしょうね。特に若手とこれからなろうという人たちは。
安倍の取り巻きは、これを見ても、なに青臭い、相手の懐深く入ってこそ、とかしたり顔でいうんでしょうけどね。まあ、そんなのはどーでもいいです。無私の人間がいて、それを紙一重のところで支える人もいる。そこに人間の希望を見ます。
良い映画って、やはりメチャメチャいろんな刺激を与えてくれますよね。
そしてダラケた気分の私をシャキッとさせる。
で、家に帰ってきて、長年積読だったanimal farm、ええ、私読んでなかったんです、なんか内容が想像できる気がして、後回しになり続けていた、しかも私の記憶ではペンギンペーパーバックで持ってたはず、だった…が、探せど探せどなかった。結局買ってもいなかったんですね。これを機会に買って読むことにします。
そうです、映画の狂言回しにはジョージ・オウエルが出てくるのです。
この映画がポーランド映画だということは極めて本質的にこの映画の内容と結びついていることだと思います。第二次世界大戦でポーランドがどうなったのか!ナチスとソ連に侵略された。確かに。では、それはなぜ可能だったのか…
この前NHKでやっていたアウシュビッツの話の中に、虐殺が起きていることを西側諸国に知らせたけれど、無視された!という話がありました。それに相通じるのですね。
国とはなにを守るものなのか?単純な話ではないですが、人々の生活と、それを生み出す権力と、それを激しく見せつける映画です。
たった2時間で人をそこに連れて行き、考えさせて、その後にもズーンと響く。それが1200円。やっぱりすごいわ、映画!
補足、他の人のレビュー見たら、退屈というのが結構あって驚いた。全く私は違ったので。しかも映画の語法で、物語をうまく膨らませてるというか、色々その当時の世界のありようを想像させるようにもできていると思ったので!
「本当のことを伝えているのは誰か」を見極める
たとえば、身近に大事件があったとする。現場を見たのはA、B、Cの3人しかいない(なかには本当は見ていない人もいるかもしれない)。3人の主張は食い違っており、誰が真実を語っているか不明だ。
そんな時どうしたらよいか。
ともすれば、私たちは自分にとって都合の良い話を受け入れやすい。わかりやすい話にも飛びつきやすい。
「なぜこの人はこういう主張をしているのか」、「彼にとって都合の良い主張ではないか」、「前に言っていた彼の話は真実だったか(そもそも信用できる人か)」、「相手にとって都合の悪い話でも誠実に話してくれているか」、など自分自身で整理して(誰が正しいかを)判断すべきだ。
真実を見極めるのは本当に難しい。主張している人が自分の利益のためにウソを吐きすぎて何が真実か分からなくなり、本人も分からなくなってしまうこともある。
王様のたくさんの家来の前で、「王様はハダカだ!」と主張することは並大抵の出来ることではない。ウソつき呼ばわりされても動じずに真実を伝え続けることができるか。
見つかれば殺されるなかで、「封印」された土地に潜入し、帰国してただ1人真実を告発するGareth Jonesの真のジャーナリストとしての勇気を讃えたい。
くしくもHolodomorから約25年後に同じ共産国の中国において再び人為的な大飢饉で数千万とも言われる犠牲者を出してしてしまったことは、天国のGareth Jonesもやり切れないことだろう。
作品に関しては、とても秀悦なテーマ設定だったにもかかわらず、ストーリー展開が単調かつ冗長だったことが残念。
スターリンのソ連と言うよりジャーナリストの物語
今でも良くあること北朝鮮潜入取材の様なお話スターリンが金将軍とタブるが対話シーンばかりでテンポも遅く前半からちょっと退屈衝撃の場面もワンカットずつでイマイチ緊張感が伝わらず物足りなさも❗
ジャーナリズムについて
真実は一つかどうかはよくわからない。
しかし、公式な真実だけが真実ではない。
スターリン政権下、1930年代のウクライナの飢饉のことを初めて知ったのはソルジェニーツィンの著書だったと思う。
スターリンお前もか。
ここ数年「ヒトラーの・・・」というタイトルの映画たくさんあったけどヒトラーはほとんど出てこない。この映画もスターリンと名はついてはいるが「ウクライナの飢餓なんか知ったことか」と指示するスターリン出るかなと思ったけどやはり出なかった。真実を探るためとはいえ単身ウクライナに乗り込むってまるで007。ジャーナリストも命懸け。モスクワの繁栄はウクライナを始め地方の犠牲の基にあったのか。
こんな国、今でもけっこうあるかもね。
人為的につくられた情勢だからね…
元英国首相の外交顧問でヒトラーにインタビューをしたこともある、フリージャーナリストのガレス・ジョーンズが1933年にウクライナを訪れてソ連の闇をみてきた話。
母親がウクライナ出身で自身はウェールズ出身の主人公が、世界的恐慌の中でルーブルが値崩れしていないことからスターリンと組むべきだと主張し巻き起こっていく。
訪れたモスクワで、赤組特有の監視と行動制限、及び、飼いならされた外国人記者やエンジニアをみると共に、友人の記者に起きた不穏な出来事を知り…訪れたウクライナはホロドモール下で、結構ショッキングな内容もあるけれど、1エピソードを除いてはあまり凄惨さは感じず物足りない。
ホロドモールを直接見せる映画をみるのは初めてだったから期待したんだけどね。
とはいえ、この主人公のことは知らなかったし、帰国後の苦悩や結末、字幕処理だけど主人公の顛末まで、非常に興味深いものだった。
淡々と進むモノクロ?映画
終始モノクロ基調の薄暗い画面と、やたらアップの描写ばかりで、いまいち何がどうなっているのか分からなく見る者の想像力でストーリーは淡々と進んでいく。
歴史のお勉強をしようとトライしたが芸術的センスに欠けるオイラには正直つまらんかった。
唯一バネッサカービー(出てること知らんかった)を惚れ惚れ見てた感じで終了。
内政干渉
『ジョーンの秘密』をみた後に、第二次世界大戦でのソ連を始めとする各国の死者数を調べて色々と考えさせられました。
この映画では欧米の国家間の力関係や忖度が複雑なことを改めて教えていただきました。
台頭するヒトラーとナチスへの危機感。
力関係のバランスを取るために、たぶんソ連のナチスへの牽制効果への期待や配慮から、スターリン体制への批判を差し控える政治判断(その後の冷戦構造のことまでは、誰も予見できなかった、ということですね)。
政治や歴史についての専門家でないので、よく分かりませんが、ひとつだけハッキリと言えるのは、
内政干渉するな❗️
とトップが声高に言ってる政府や企業やなにがしかの組織があったとしたら、それは自国民や自社の労働者や組織の構成員に対して、堂々と説明できないことがたくさんある、ということだと思います。
全46件中、21~40件目を表示