「DACAがミュージカルのテーマの一つに。」イン・ザ・ハイツ Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
DACAがミュージカルのテーマの一つに。
このミュージカルは大変深い物語に出来上がっていて、ここで全てのポイントを書き表せない。一言に、ドミニカ、キューバ、プエルトリコなどからの移民や不法移民やラテン系アメリカ人などの民族の人生における挑戦だと言えない。これはコミュニティを通じての個人の挑戦のように思える。主に2世と言えるラテン系のアメリカ人のそれぞれが米国社会の中でどう一歩を踏み出すか?どう決断を下していくがよくわかる。音楽についてはかなりの人がレビューを書いているようなので、私は
私が感じたベストシーンと題して説明を加えて書きたい。
その前に、リン マニュエルミランダに感謝する。この映画で、手押し車のかき氷(Piragua)やで現れるが、原作、作詞、作曲などのヒーローであり、特にニューヨークのラテン系のコミュニティに息吹を与えた。
まず、ブエルトリコからの移民で、タクシー会社を経営しているケヴィン(ジミースミツ)と娘ニナ(レスリー・グレイス)の親子関係。ニナがスタンフォード大学から夏休みで戻ってきた。以前のボーイフレンドベニー(コーリー・ホーキンズ)も町の人々もニナに対する期待感が高くニナは特別な存在でヒーロー扱い。父親は娘のためになんでもするタイプそして娘と会うが娘は授業料が払えないと。父親は心配するなと言って完全に会社を手放す。
ニナは父親にスタンフォードのダイバーシティの食事会に行ったら給仕と間違えられるし、自分と同じ顔の色の人は給仕だけで、自分は給仕のグループなのかそれとも主催側のゲストなのかと自分のアイデンティティに自信がなくなったと父に言う。(私はこれを聞いてこの映画の背景は何年まえか気になった。今じゃないよ!なん年前?) その後、学内で盗難の濡れ衣を着せられて、調べられたと、でも、実はなくしたと思っているパールのネックレスがルームメートのバングの中にあったと。ルームメートに責任があり問題があったのにニナは誤ったと。ニナ自身もなぜと自問自答する。(私にとってみれば、なぜ謝るのと思うが、こういう時謝る日本人を知っている)ニナ自身ラテン系のコミュニティしか知らないという狭い世界から別世界き飛び出ると、マイクロアグレションや差別を受けたりするがそれは時々自分が狭い世界にいるから自分の目が自分の人種にだけ行って、そう感じてしまうこともある。そうでない、差別もある。
父親はベニーに自分がニューヨークに移民した時の話をして高等学校を中退したことを話す。ケビンにとって、ニナは自慢の娘なのだ。ベニーは米国で成功するにはまず学歴をと考えているケヴィンの気持ちを理解する。ベニーにとってニナが好きという自分自身の気持ちとケビンの娘の成功を祈る気持ちに複雑な心境になる。
ここでDACA(Deferred Action for Childhood Arrivals ) 問題が出てきている。ソニー(ウスナビの店で働いているいとこ、彼の父親(歌手のマークアンソニーが出演)はなんとも煮え切らない不法移民のアル中)とニナはDACAのラリーに参加する。、リーダー( メキシコ生まれのNPR のジャーナリスト、 マリア・イノホサMaria Hinojosa)の話を聴きながら(姪はドリーマーで大学に入ったけど、国の奨学金が受けられず、大学に行けなくなったと)ソニー(グレゴリー・ディアス4世)は一言『大学に行けない?』。この言動で、ニナはソニーがDACAだと感じとる。 ソニーはDACA だから、運転免許は取れるが、 大学にはいけないと思っている。私の理解だが、ニナはソニーがDACAだと初めて知ったようで、大学にいけないソニーに気づく。そして、スタンフォードに戻る決心をしたと私は思う。ここの二人の静かな会話のシーンが泣けた。そして、父親に移民のために働くと告げる。
最高だ。
ニナの言葉で、『Listen to my Block(s?』が好き!目を閉じて、耳で感じる通りの音。スタンフォードから戻ってきたばかりのニナはこの通りが懐かしく、目を瞑って聞いた。スタンフォードの戻る決心をしたニナは『Listen to my block(s?)』とベニーに言う。ここをすぐ去っていくから、この通りで起きたこと臭い、など全て、自分に納めておきたいんだと思う。
*DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals ) とドリーマーズが字幕では説明なしに使われているから、ここに簡単に書くのでもっと知りたければ調べてみてください。
DACA:家族が未成年(16歳まで)の子供を米国に連れてきて、様々な理由で、子供(ドリーマーズ)は不法移民扱いになってしまっている。ソニーがドリーマーで、現在では大学には行けるが、就職先がないに等しくなる。そして、大学にいくのに国の奨学金は出ない。それに、聖域とされる地域に住んでいればいいが、テキサス州やジョージ州に足を踏み入れると、強制送還になると聞く。この映画ではNPR(ラティノUSA)のマリア・イノホサがドリーマーズの人権擁護のスピーチをしている。
面倒見のいいロテリーおばさん、はキューバからきた、苦労人で、小さいことにも感謝するスピリットを持っている皆から慕われる人。小さいパワーの大切さ。 ワシントンハイツで3日(?)も停電(パワーがない)していたシーンがあったけど、非現実的に思えたが、これが、ここの住人のパワーに結びついていく終わり方をしている。 停電でパワーがないのを住民のパワー(尊厳) がなと言う掛け言葉にしているがここで、個々のパワーが伺える。
ウスナビ役で登場するラモスはプエルトリコ(アメリカ) の両親を持つ、ブルックリン育ちのアメリカ人である。アメリカのラテン系の俳優。若手のラテン系の俳優はいるが独断と偏見で申し訳ないが、、彼はちょっと近所にいる176センチの背が低めの20代。 また、ステレオタイプであるスターでなく、こういう人がスターダムに乗って、ニューヨークのブロードウェイの舞台に立ったりする。いや、ハミルトンで2役こなす主役的存在で、稀である。
個人的に、ブロードウェーで芝居の特訓を受けるワークションプを観察したことがある。夜はブロードウェーの演劇を見るだけでなく、その周りの喫茶店やレストランで歌っている歌手の卵の歌を聞いたことがある。こんなに才能があるのになぜブロードウィーの舞台に出られないのか不思議に思った。しかし、驚異的な競争率。ラモスはミランダの目に留まったほどのカリスマ性がある。ブロードウェーで活躍できるだけでなく、歌、詩、踊り、でもと、全てが揃っている。それにスペイン語のアクセントで堂々とインタビューに答える。チャーミング。 こういう人が、ラテン系の、また、若者のヒーローになる。
ラモスとミランダの存在で、このニューヨーク、ワシントンハイツが舞台のミュージカルに興味を持った。
P.S. ニナとベニーだけがスペイン語を話してないかも??