劇場公開日 2021年7月30日

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「ラテンのパッション」イン・ザ・ハイツ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラテンのパッション

2021年8月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ブロードウェイでも高い評価を受けた、ミュージカル作品の映画化。

これまでの美しさや華麗さを売り物にしたミュージカルとはひと味違う、ラテンの情熱がほとばしり、熱いパッションが息づく新感覚のミュージカル・ムービー。

個人的には、ミュージカルは苦手な分野であるが、今回の作品は違和感なく受け入れることができた。ミュージカル独特なやたらと歌い上げる感じではなく、ラップのリズムに乗った歌詞が、そのままの台詞として、耳障りなく入ってくるので、構えることなく、自然体で鑑賞することができた。

もちろん、ラップだけでなく、レゲエ、サンバ、フラメンコ、タンゴ等の、ラテンの熱い音楽とダンスが、次々と繰り広げられ、自分も観ていて思わず、足先や指先で、リズムを刻んでしまい、作品の中に引き込まれていた。

本作では、現代のアメリカの非常に根深い問題である、移民問題をテーマとして取り上げているところにも、大きな意義もあり、強いメッセージ性も感じた。今回は、移民側の視点から描かれてはいるが、移民を受け入れる側においても、それぞれ言い分はあり、両者の問題は、なかなか歩み寄ることはできない壁があるのだろう。私達日本も、これから益々グローバル化が進んでいく中では、直面する問題となるのかもしれない。

ストーリーとしては、先が読めるし、それほどのサプライズは感じず、ミュージカルらしい、ハッピーエンドだった。人種の坩堝とも言えるニューヨークで、紆余曲折をしながらも、故国に誇りを持ちながら、ラテン移民の人々の、明るさとポジティブさ、そして逞しさが、軽快なリズムと共に描かれている。

主演のアンソニー・ラモスは、ハリウッド作品にも、数多く出演しているが、女優陣のニーナ役のレスリー・グレイスとバネッサ役のメリッサ・バレラについては、初の映画出演らしい。しかし、とても歌唱力もあり、魅力ある演技で、女優として、これから注目したい2人と言える。

bunmei21