ドクター・スリープのレビュー・感想・評価
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不快感
内容はともかく冒頭で大の大人(悪魔?)が大勢で幼い少女に襲いかかろうとする場面を観て開始早々嫌悪感を少し感じた。
そして中盤またも大勢の大人が野球少年に襲いかかる場面を観て気分最悪。マジ引いた。
その後掘り起こす場面を観てもう胸糞悪くなった。今のこのご時世、アウトでしょ。
ホラー映画だからとか関係なく、ずっとこの不快な気持ちが最後まで残った。
きっとこの不快感は自分だけではないと信じている。
なぜPG12指定?R18でもきつい。
40年も経ってわざわざ続編作った割には倫理観に欠けませんかこの場面?
子供を殺すなんて。人には勧められない。
あまりにも
シャイニング のジャック・ニコルソンの顔芸が怖すぎて、ユアン・マクレガーの優しい顔では、あの恐怖は再燃できず。可愛いダニー坊やが、その後もお母さんと
暮らせていけたことは良かったんだけど、父さん同様アルコール依存症に陥ったりと、あまり幸せな人生ではなかったのですね。今作で救われた感はありますが、ホテルの恐怖感があまり表現されておらず残念でした。
というか、シャイニング の続編ではなく、別話しでもいいんじゃないかと思うような作品でした。
「シャイニング」見てから!
鑑賞後に前の席の人が「シャイニングを見てくれば良かった…」てボヤいてた(笑)。
●内容としては普通のモンスター対決ものだけど、ところどころ「シャイニング」萌があるから楽しめた。逆に言えば「シャイニング」知らない人にとっては退屈かも。
●ホテルの再現や空撮カットなどそこまでやるならかつてのキャラもCGで作った方がよりツボっただろうな。あのジャック・ニコルソンが登場するとか、そこまでやったら萌たろうなぁ。昨今、CG再現キャラが流行っていて、ウケ狙いにしては浅はかと思うんだけど、この映画の場合はやって欲しいと思ってしまった。想像するに肖像権が降りなかったんじゃないかな?ニコルソンなんか絶対、許さない気がする。
傑作「シャイニング」と比べちゃいけないんだけど、キューブリックが撮っていたらと考えてしまう。まあ、宿命だよね。「シャイニング」みたいな映画を期待しなかっただけに、ファンムービーとして楽しめたけどね。
え?
映画館から出る時、前を歩いていた男性の「思ってたのと違い過ぎて…」という言葉に同感です。
シャイニングの続編という言葉にだまされました。
最初と最後は、まあ確かにシャイニング的な、ファンには喜ばしい感じでしたが、途中、なんだこりゃ?え、シャイニング…?
なんか悲しかったです。
あー、キューブリックはもういないんだな、と改めて実感しました。
そして、ホテルの住人?ゴーストたち、あんなキャラでしたっけ?
白目剥いて人を襲うとか、やめて欲しかった。
白目て…
結局、キューブリックのは芸術作品、今回のはただのホラーだなという感想です。
キューブリックの作品は、例えば、ダニーが三輪車で走るホテルの廊下の絨毯がある所とない所の音さえ芸術でした。
そうゆうのが一切無視されたただのホラー映画。
少年が襲われるシーンも残酷過ぎて最悪…
CM見てシャイニングとかなり違うのか?と思ったけど、ユアンが好きだからつい見に行ってしまった。
ユアンじゃなかったら見なかった。
ユアンは最高。
あと、シャイニングのダニーのお母さん役、似せてましたね。
特に声がそっくりでビックリしました。
そこは良かった。
家帰ってお口直し?にシャイニング見ます。
てかあのお風呂おばちゃん、ホテルだけでなくどこの家でもあのシチュエーションなのね(笑
ヨガパワーバトル9割ホラー1割
まず勘違いしてはいけないのが、この映画はホラーではありません。
ヨガパワーバトルです。座禅を組み精神統一することにより幽体離脱して戦います。
序盤可愛い少女が敵の仲間になり、活躍するのを楽しみにして観ていましたが
残念ながら最後ちょっと活躍するだけで、終始パイ乙カイデーおばさんが活躍します。
おばさんが出演してる時間は主人公と、同じぐらい出てくるのでおばさんがもはやヒロインなんじゃないかって思えてきます。
そして、結局は文明の力に頼り敵を一網打尽にするという映画です。
感想は途中で立って帰ろうか迷うレベルでした。
余計なシーンが多く、テンポの悪さを感じました。
隣の外国人客だったのですが、指の爪を弄っていてすごいつまらなそうにしました。
子供が可哀想なことを除けば面白い映画
子供が思いっきり苦しんで死ぬ映画です。そこだけ本当に嫌でした。
あと娘の父ちゃんすぐ死んでてびっくり。娘を守ってやれよ。
たくさん人が死にホテルは全焼しましたが警察になんて説明するのか気になりました。
序盤は良かったけど…終盤になるにつれ、『シャイニング』のパロディ?という印象
『シャイニング』はキューブリックの映画のみで、ドラマ版・原作は未見。
『ドクター・スリープ』の原作も未見。
よって的外れな感想かもしれませんが、何卒ご容赦ください。
映画版『シャイニング』は原作を大幅改編しており、原作者が嫌っていることは有名です。
後に原作に忠実なドラマ版を作ったとか・・・(見てないけど)
しかしながら、多くの人にとって『シャイニング』とは映画版ではないでしょうか?
叩き割られたドアの隙間から覗き込むジャック・ニコルソンのインパクトは抜群でしたね。
それ以外にも血の洪水やステディ・カムで追いかけていくシーンなど、映像への拘りが素晴らしく、40年前の作品と思えないセンスの良さです。
本作にもそれらのシーンが取り入れられているのですが、何故かパロディ感が否めません…
フィルムとの質感の違いでしょうか?でもレディ・プレイヤー1のシャイニングのシーンでは
そんなに違和感感じなかったのに…
原因を思うに、『ドクター・スリープ』の映画を見る分には、わざわざ展望ホテルに
ローズ・ザ・ハットを誘い込む必然性が全く感じられず、無理やり『シャイニング』のキービジュアルを再現しました!
…という印象から逃れられなかったから、パロディ感を強く感じてしまったのだと思います。
(『ドクター・スリープ』の原作でも展望ホテルに行くんですかね?…『シャイニング』の原作では、展望ホテルは木っ端微塵になると聞いてますが…)
序盤、ローズ・ザ・ハット率いる真結族の邪悪性がこれでもか!と描写され「おっそろしいなぁ…」と思っていたのに、首領のローズ・ザ・ハットは能力勝負で小娘アブラに圧倒されてるし、怪人軍団は「昔、趣味で狩猟やってました」というおっさんと、「昔、ホテルで父親に殺されそうになりました。特殊な能力も持ってます」という元アル中のおっさん、二人の素人に簡単に全滅させられるし…(一矢報いたけど) 真結族、滅茶苦茶弱い…。副幹部ぽい奴は交通事故で死ぬし…。
こんなこけおどし軍団を倒すのに、ホテルの悪霊の力を借りる必然性が『全く』感じられません!わざわざクライマックスを展望ホテルにしたのは『シャイニング』のオマージュがやりたかったから?…としか思えないんです。その結果、オマージュというよりパロディに感じるという悲劇が…
もしかしたら原作でも展望ホテルに行くのかも知れませんが、多分その場合、ホテルに行かないといけない理由があると思うんです。少なくとも映画を見る限りでは、それが全く感じられず、強い違和感だけが残ってしまいました。
ストーリーが面白い。但し、シャイニングの時の怖さは大幅減。
シャイニングという能力にフォーカスして、練り込まれた物語がとにかく面白い。キーワードは、超能力+吸血鬼+幽霊屋敷。そして、プラス、キューブリック。この作品は、キューブリックシャイニングの続編となっています。映画シャイニングの偉大さを感じながら、キングの作家としての力、そして、両者をリスペクトする監督の熱意が生み出した良作である。
予想はしていたが、、、。
大体は予想してはいたがそれ以下だった。
内容は「シャイニング」とは全く別。
スティーブンキング原作と聞いてもしかしたら、と思っていたが、う〜む。
なんか、「シャイニング」で出てきた恐怖のアイテムたちが愉快な仲間に見えてきた。
もちろんだが、キューブリックの世界観には到底及ばず(まあ、切り口も違うが)。
人の褌で相撲とってるようにしか見えなかった。
「シャイニング」を抜きにして観ても出来損ないのX-menみたいな感じで苦笑。
まあ、別物ですからって言っても、あのポスター見せられたら何か少なからずの期待はしてしまう。
もし、キューブリックが撮ったらって思ったのは自分だけだろうか?
もし、スピルバーグだったらと思ったのは自分だけだろうか?
めっちゃ面白い
あの少年がアルコール依存症のワーキングプアになってしまうのが切ない。黒人の女の子が健気にがんばっていてよかった。一緒に戦ってくれた友達が、撃ち合いで自分を撃たされて死ぬところが切ない。素晴らしい作戦だったのに、本当に自分の大切な友達を失ったような気持ちになる。また、女の子がさらわれて主人公が乗り移ってそので能力を発揮して車を事故らせるのが面白い。仲間を失うとバンパイアの女がいちいち辛そうで、彼らは彼らで必死で生きているという背景が偲ばれる。
最後の決戦は能力者VSバンパイア的存在VSホテルの霊といった展開になるのだけど、ホテルの霊がバンパイアを食べていて、急に安っぽくなる。
途中、介護施設で猫が入っていく部屋のおじいさんが亡くなるあたりでウトウトしたのでもう一回見たい。
ちょっと早まったな‼︎
シャイニングは両方とも観たが今作に関して全く予備知識無しで鑑賞。
いったいどちらのシャイニングの続編としているのか楽しみでしたが原作者が失敗作だと認めていない方に寄せるとは…あかんやろ。
itの様にちゃんとやり直したら変に見た目の似た微妙なそっくりさんなんて呼ばなくて済んだのに。とにかく、前作のシャイニングとはうまく切り離していい距離感を保ちながらいい感じで進行していったが、最初のママさんそっくりさんはまだ許せるとしてジャックニコルソンの物真似が出てきて一気に興醒め。何とか楽しもうしたがうーん厳しいな。
ホラーアクションとしたらよく出来てる。
スティーブンキングがやり直したシャイニングを知らなかったら楽しめたかも。
違う怖さ
シャイニングの続編ってことですけど、違った怖さですね。
シャイニングは内面からじわじわ来る怖さで、ドクタースリープはごく一般的なホラー映画かなと。でも恐怖シーンが続くわけではないのでホラーが苦手な僕でも楽しませてもらいました
150分とちょっと長いですが、あんまり長さは感じませんでした。前半は、淡々と物語が進むのですが、中盤から大きく動いてラストまでグイグイ引き込まれます。
原作知らないんですが、敵はバンパイヤなんですかね?結構あっさり倒せるところが少し拍子抜けでした。
ラストでアブラとゾンビが入った部屋はどういうことなのかわからなかった。どういうことなんでしょ?
最後にユアン・マクレガーがオビ・ワンみたいだな~とニヤニヤしてしまったのは僕だけでしょうか?
このセットまたイチから作ったの?!すげえ!
CMを見た時はてっきりキューブリック版の映像をそのまま使っていると思いました。まさか当時のホテルのセットを忠実に再現したなんて。しかも前作の登場人物とそっくりな役者に演じさせる所など「この監督本気だぜ」と思いました。顔を加工するより安上がりなのかもしれませんが。あと尺が152分もあるのですね。そんなに長く感じませんでした。
…と言うことは面白かったのかなあ。セリフもキューブリック版よりずっと親切でわかりやすいです。でも結局のところ寂しい話ですね。ダンがアルコールの依存症になったのはお酒を飲めばシャイニングに鈍感になれるからだと思います。シャイニングを持ち合わせているばかりにみんな不幸になっていてやりきれないです。ラストはハローランのように次世代のシャイニングのために死ぬなんて。これからも命尽きる人の安らかな眠りに寄り添ってあげて欲しかった。
小説版では味方がほとんど死なないのに映画では結構亡くなってます。何度も繰り返し見たいとは思わないので星3にします。
キング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編
1980年の米国コロラド山中にそびえるオーヴァールック・ホテルで起こった惨劇。
生き残った少年ダニーは、母親とともにフロリダで暮らしていた。
黒人ディック・ハロラン(カール・ランブリー)の霊から、「あのホテルのものどものことは頭の箱の中に入れて封印しておけばいい」と助言を受けていた。
それから40年・・・
中年になったダニー(ユアン・マクレガー)はアルコール依存症に苦しみ、また、時折現れる「シャイニング(特殊能力)」がみせる光景にも苦しんでいた・・・
といったところからはじまる物語で、映画『シャイニング』の40年後という設定を活かしている。
映画の続編として成立させ、かつ、小説『ドクター・スリープ』の映画化として成立させるのは、かなり困難、至難の業。
小説『ドクター・スリープ』は未読だが、『シャイニング』の方は小説も映画も幾度か読み、観ている。
『シャイニング』は、小説ではオーヴァールック・ホテルは壊滅しているが、映画版では残ったまま、そこに棲んでいる亡霊たちも遺されたまま。
この違いをどう吸収するのか。
そして、映画版ではあまり描かれなかったダニーの特殊能力「シャイニング」が、どれほどのものなのか、ということにも興味がわきます。
それを、今回の映画『ドクター・スリープ』ではそこいらあたりを充分満足できるところにまで持ってきている。
監督・脚本・編集をこなしたマイク・フラナガンが、小説も映画版も大いに敬愛していることの証だろう。
映画版と同じ構図や編集を挿入し、さらに映画版になかったスペクタクルシーンまで混ぜていますから。
さて、映画『ドクター・スリープ』では、少年少女連続失踪事件の背後に、スーパーナチュラルな集団が居、それを大いなる「シャイニング」を持つ黒人少女アブラ(カイリー・カラン)が察知し、どうにかして阻止したいという、正邪の対決の物語がメインストリーム。
黒人少女アブラを助ける役回りで、中年になったダニーが絡んでくるわけだが、「Ka(運命)」はふたりの関係を、幼いダニーとハロランとの関係をなぞろうとする・・・
また、スーパーナチュラルな集団は、人間の精気(生命の源)を食らい、永年生き続けている人種で、「シャイニング」を持つ人間の精気の効力が最も強い・・・という設定になっており、欧米の吸血鬼物語に通ずるところがあり、同じキング作品『セイラムズ・ロット(呪われた町)』を思い出せる。
で、このキング節ともいえる本質的なチープでベタな設定は映画にすると、本当にチープで安っぽくなってしまうことが多く、そこいらあたりが映画化の際の超難関なのだが、本作ではうまくいっているように思いました。
特に、首魁ローズ・ザ・ハットを演じるレベッカ・ファーガソンが魅力たっぷりなのです。
が、ここいらは映画版『シャイニング』を評価しているひとにとっては、???な感じかもしれません。
ということで、スタンリー・キューブリック監督があえて割愛したキング節を持ち込んでの映画『シャイニング』の続編、かなり成功の部類だと感じました。
面白かったです。
超絶面白い!
今週も余り観るものないと、あきらめていましたが、なんとなく惹かれて鑑賞しました。ホラーは苦手ですが、最後まで緊迫して楽しめました。シャイニングと言うのは、 不老長寿のエキスでした。
最初はかなり判りにくかったけど、アブラとダニーの関係と、半不死一族の立ち位置が判ってからはもの凄く面白くなりました。ホラーですから、血が飛び散ります。気が弱い私は目を瞑ります(笑)。
最後にはアブラが生き残り、ダニーと一族は散ってしまいます。
ハッピーエンドじゃないのですね。これがホラーの真骨頂なんでしょうか?
私的にはキリスト教は基本的に死後はないから、死ぬことを恐れると言うのがこの物語の前提だなと思いました。だから、死にたくないから、生気を吸って長生きしたがるわけです。
一族が死ぬ時のあの凄まじい執着は現世にしか幸せがないと言っているような気がします。
しかし、最後には、それらの現世執着を覆すかのように、ダニーはアブラの所に現れ、命は永遠に続くということを暗示します。あたかも長生きしたい一族の執着が如何に馬鹿げているか、そしてダニーの思考が一点突破したような気がしました。
魅力的な映画でした。
箱の中味はナンですか~
「シャイニング」から40年後、爆走三輪車ボーイのダニーが大人になり、彼の頭の中に話しかけてくる少女が現れると共に。邪に力を使うヤツらと対峙する話。
能力という意味でのシャイニングを持った、人間の生気を吸うことによって不老長寿を得ているローズ率いる集団が、ある少年を襲い、それを能力でみていた少女がダニー=ダンに助けを求めるストーリー。
長年生きてきたローズも驚く高い能力と賢さを持つアブラと、能力を隠して大人になり生きてきたダンが共闘していく展開はスリリングで見応えがあるし、続編という意味では、基本ダンの能力と経験のみを引き継いでいる感じではあるけれど、「シャイニング」では特に能力を使う様なところなかったしw一応件の展望ホテルも絡めてきて、ストーリーもとても面白かった。
原作を知らない自分としては、個人的に「シャイニング」はお化け屋敷と精神崩壊ではあるけれど、何を言いたいのかどういうことか良くわからず大して面白い印象はなかった。
今作はホラーではあるけれど、怖がらせる様なつくりではなくて、超能力による謎解きと懲悪的な感じが強く、ダークファンタジーという印象な上に「シャイニング」の補完と説明も果たしている様に感じた。
エスパー対決?
シャイニングは見ていないが、本編見れば続編仕込みなのはわかる。内容的には同士を得た主人公の新たな敵との闘いという感じ。
ただ、ホラーというにはインパクトはないに等しい。エクトプラズムを我先にと飲み尽くそうとするトゥルーノットのメンバーも、端から見るとやはりいい大人が何してんのって感じにしか見えなく興醒め。ましてや大女優のレベッカがという感じ。それにエクトプラズムをステンレスボトルで保存してるのというチープさ。
唯一冒頭の少女が餌食になるシーンで、トゥルーノットのメンバーが増えながら迫り来るところは不気味感はあるかな。
ホラー分類を仮に超常系とすると、もはやこの手のホラーでは見る側の恐怖心をあぶり出すのは困難。
世の中に霊媒師はいるらしいので、エスパー対決としてみると面白いかも。
ユアンとレベッカの大物共演に一点かな。
全体的にちょっと長いね。シャイニングを見てみようとは思いました。
氷から炎へ
アメリカンホラーの金字塔的傑作『シャイニング』、その続編『ドクター・スリープ』が映画化!
原作は言わずと知れたホラー作家スティーヴン・キング。監督は『オキュラス/怨霊鏡』等で注目され、キング原作の『ジェラルドのゲーム』も見事に映像化してみせたマイク・フラナガン。
なお、今回のレビューは映画のネタバレもですが、原作版『シャイニング』『ドクター・スリープ』両方のネタバレも含まれますので、そちらを読まれる予定の方はご注意ください。
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『シャイニング』と同じホテルを舞台にしたホラーを期待されていた方は面食らったかもだが、原作『ドクター・スリープ』の内容と同じく、本作は限定空間を舞台としたホラーではない。
ダニー/アブラ/“真結族”の三者の視点から描かれるホラー色の強いサスペンス作である。映画版『シャイニング』では描写が薄目だった超能力=“シャイニング”を前面に打ち出し、その能力者同士のぶつかり合いが描かれる。
そうは言っても『X-MEN』のようなド派手バトルや『スキャナーズ』のような念力で殴り合うような闘いが行われるわけではない。相手の意識への潜入を主体にした戦術対決の様相。
アブラの仕掛ける罠やダニー/アブラの意識交換などの戦術はどれも原作準拠だが、意識内での闘いや“図書館”などの映像説明困難に思える内容もフラナガン監督はビシッとビジュアライズ。さらにこれらがキューブリックよりもダイナミック&トリッキーな映像で描かれると、無茶苦茶スリリングで面白い!
“監視塔”からローズがアブラの元を訪れる場面等での重力超越カメラワーク、互いの意識も数百キロ離れた空間も自在に飛び越えるカットバックの巧みさにゾクゾク。いよいよ展望ホテルへ舞台を移す前の空撮再現&重厚なスコアにはニヤニヤが止まらない!
終盤のホテルでの決戦は原作とは異なるが、頭に閉じ込めたホテルの怪異を全開放するという恐るべき切り札にカタルシスを覚えた。
...
しかし一番心に響いたのはやはり、ダニーの成長譚。
死してなおダニーを案じ続けるハローランとの師弟関係や、心に傷を負った息子をどうにか守ろうとし続けた母ウェンディの姿に、開巻早々泣きそうに。
やがてアルコールに溺れた彼が、死の恐怖に脅える人々に安らかな眠りを与える“ドクター・スリープ”として再起していく流れも好き。「あんたはいるべき所にいるんだ」と諭されるシーンや、その不思議な力を活かして善い思い出の中で病人を逝かせる優しさに涙(あとアズリールにゃん可愛い)。
最後にダニーは恐れ続けた父と対峙し、自分を誘惑し取り込もうとする“ホテル”にも打ち克ち、かつて父が成し得なかったこと――家族を守ること――を成し遂げる。
全てを浄化する炎の中で、安らかに微笑み合う母と幼いダニー。あの場面でやっと母と子は、あのホテルの恐怖から解放されたのかもしれない。
...
ここから原作との比較中心で書くが――色々と不満点もあるものの、正直、監督の大胆な試みには恐れ入った。
そもそも『シャイニング』映画版は原作版から相当な改変が加えられており(例えば原作版ではホテルは焼失してしまうので『ドクター・スリープ』原作に展望ホテルは登場しない)、原作者キングは映画版を「温かみがなく冷たい」と長年に渡って批判しているのだが、監督は映画版/原作版の両者をこの『ドクター・スリープ』で巧みに融合させているのだ。
映画版『シャイニング』は、孤独と怪異でジャックが狂気に陥ったという印象がかなり強い。プラス、映画の最後に登場する集合写真やジャックの「ずっとここを知っていた気がする」という発言からも、『ジャックは前世でホテルの支配人もしくはそれに近いポジションで、そのためホテルに再び取り込まれた』=『ホテルの目的はジャックだった』という解釈ができる。
一方、原作版は、その土地に渦巻く死や悪意の集合体である邪悪な“ホテル”そのものがジャックに憑依する展開。“ホテル”の目的はジャックではなく、極めて強い生気を持つダニー少年を取り込むこと。その為に懐柔し易いジャックを利用する、という展開だった訳だ。
実は本作は、冒頭のハローランとの会話で、映画版『シャイニング』の物語を“ジャックの狂気”から“ホテルの悪意”という原作の形にシフトさせているのである。
更に、本作の終盤には仰天! 展望ホテルが登場することは予告編でも謳っていたが、原作ファンの方ならボイラー室が登場する場面で「マジか! それやっちゃうのか!」と興奮したんじゃなかろうか? 僕は興奮しました。めっちゃ興奮しました。
ボイラー室をオーバーロードさせてホテルを“火で浄化”する展開、そして“ホテル”に憑依されたダニーがアブラを襲い、すんでの所で意思を取り戻す展開は『シャイニング』原作終盤をそのまま踏襲したものなのだ。
つまるところ今回の『ドクター・スリープ』は、キューブリック版『シャイニング』の強烈なビジョンと音楽等の演出に敬意を払いつつ、『ドクター・スリープ』原作でのダニーとアブラの絆を原作版のジャックとダニーの絆に置き換えることで、最終的にスティーヴン・キング版『シャイニング』の決着に回帰させるという物凄くアクロバティックな試みをやってのけているのである。
...
だがやっぱり、原作には登場しない展望ホテルを話に組み込むのは難しい部分もあったようで、そこが今回の主な不満点。
まず、“真結族”はもう少し強力な存在として描いてほしかったなあ、と。
特に原作のクライマックスはローズ・ザ・ハットを含む“真結族”複数人との対決になるので、アブラとダニーだけでは分が悪い展開だったのだが、映画版はローズのみが相手だ。いくら彼女が狡猾で、残りの生気でブートアップしていても、やはりアブラ&ダニーには敵わないと思えてしまい、展望ホテルを利用する根拠が薄弱に感じてしまったのが残念。原作通り複数人でやってきて、一気にホテルの怪異に襲わせるような感じの方が良かったんじゃないかなあ。
クライマックスまでは良かったのだが(原作よりも仲間も容赦なく死ぬ)、むしろ終盤の展望ホテル内が静謐なキューブリック版準拠になってしまったせいで、そこまで感じていたオリジナリティが薄れたのが残念。だがそこはキューブリックへのリスペクトとして致し方無しという気もするし、あのホテルを再び大スクリーンで見られるというだけでもやっぱりニヤニヤしてはしまう。まあ、ホテルの看板幽霊たちがアベンジャーズばりにアッセンブル(嫌過ぎるアッセンブル)して見栄を張るのはちょっとパロディ色が出てしまった気もするけど――。
それと、映画ではセリフにしか登場しなかったアブラの祖母だが、原作では彼女がダニーの“切り札”となる。その展開に自分は鳥肌立ったので、彼女が登場しなかったのもちょっと残念。しかしそこも“箱”を切り札にするという冴えた転換で補われている感じではある。
だが一番悲しかったのは……ダニーの最後。
原作では、ダニーは生還する。そしてアブラと交流を続け、同時に“ドクター・スリープ”として贖罪と救済を続けていくという結末だ。原作『シャイニング』の続編としては『ドクター・スリープ』は薄味と感じたものの、それでも僕はダニーの成長とこれからの希望が見られて嬉しかったんである。
だが映画版はダニーが父ジャックの罪を贖うという形で決着してしまう。いずれダニーの意志をアブラが継いでいくのだろうとは思うけれども……タイトル通りの“ドクター・スリープ”としてダニーには生きていて欲しかったなあ……。
...
しかしながら、良かったです。いや、本当ここまでの作品になるとは予想していなかった。
やや無理を感じたとはいえ展望ホテルを再訪できたのは嬉しかったし、キューブリック版を意識しつつも攻めまくった映像表現、そして原作を見事にビジュアライズした超能力者同士の闘いはムチャクチャ楽しめました。
そしてキング自身も語っていた通り、映画版『シャイニング』が“氷”なら本作は“炎”。キング原作らしい、人の体温を感じさせるドラマになっていた点は何より嬉しい点。大満足の4.0判定で。
<2019/11/30鑑賞>
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余談:
レベッカ・ファーガソンが最高。原作から抜け出したかのような妖艶さと狡猾さ!
Well, Hi there…
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