「切なかった」黒い司法 0%からの奇跡 ツネミさんの映画レビュー(感想・評価)
切なかった
・あいつが犯人にとって都合がいいから犯人っていうあり得ない事が司法の世界に適用された悲劇と絶望が切なかった。これも冤罪というのだろうかと思えるほどお粗末な行為が怖かった。なぜこうなってしまうんだろう。
・一番印象深かったのがジョニー・Dの監獄の隣に入っていたベトナム戦争のPTSDから爆弾を作ってしまい子供を殺してしまった事を含めて気に病んだハーブという名の男が執行差し止めを棄却されて電気椅子に連れていかれるシーン。ハーブはずっと何でこんな事をしてしまったんだと終始泣きそうな顔と声で結局、死刑になった。具体的にどういう事件を起こしたのかがわからなかったけど、遺族から見れば死刑じゃなくなるのは理解できないだろうとは思う。とはいえ、国のために戦った末に国に捨てられて天涯孤独の末に電気椅子は悲しすぎる。そんな中で監獄でようやくジョニー・Dなどの人間関係ができるというのが更に泣けてきた。弁護士のブライアンが会いに行った際に、ベトナムの方がここよりは全然良いみたいなことを言った後、希望した曲を流れている中、監獄に入ってる他の囚人が音を立ててハーブに最期のエールのようなものを送っていたのが、とても切なかった。ハーブの命をあそこにいる人たちは何も思ってないんだなと思ったら泣けてきた。誰もハーブの苦悩を共感しようともしないのが苦しかった。しかし、刑の後、最初、怠惰そうで冷たかった白人の若い刑務官も気持ちが変わったのが、とても良かった。偽証をさせられた男も、ブライアンも電気椅子の光景を観て考えが変わったというのが少しでも共感できると思える名シーンだった。
・偽証させた保安官がラスト、結構長い間現役で活動していたらしいのが怖かった。
・デトロイト、ドリーム、ジャンゴとか黒人差別がテーマの映画ってアメリカではどういった受け取られ方をしているんだろうと疑問に思った。