劇場公開日 2019年10月4日

「紙一重」ジョーカー おんぷさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5紙一重

2019年10月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

苦しくなる映画でした

母親の面倒をみて、真面目に働き、決して悪いヤツではなかったアーサーが、段々と哀しみに潰されて狂っていく

こらでもかこれでもかと押し寄せる不幸に、狂っていくアーサーを責められるだろうか
その苦しみから逃れるために、善と悪、どちらに転ぶか、人間誰も紙一重なんじゃないだろうか
笑ってほしかった、愛して欲しかった、認めて欲しかった、ただ切にそれを願っただけなのに

もちろん、不幸だからといって、その後の行動は認められない
分かってはいるけど、アーサーの気持ちが痛くて、とにかく苦しくなる
哀しみの中でも、何かを忘れるように、取り憑かれたように優雅に踊るアーサーに涙が出た

アーサーを狂わせたのは私だったのではないか、私はどちら側の人間なのか、と自分自身すら分からなくなりそうだった

清掃局のストライキで、街中にゴミが溜まっている
その風景の中を歩き、画面が絶えずごちゃごちゃとしてるのをずっと見てると、知らず知らずのうちにこっちまで気持ちが荒んでいく気がして、アーサーの気持ちに寄り添いたくなる

全てが良くできた映画でした
演技、映像、音楽、どれも惹きつける

最後white roomが流れたとき、狂っていく気持ちを煽られるというか、破滅的な衝動に駆られました

せめて映画の中ではハッピーでいたい、と思ってるんですがね、、
衝撃的な映画でした

おんぷ