「神のジレンマ」魂のゆくえ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
神のジレンマ
かつて自分を救ってくれたはずの神は、人々の未来を救えないのか。
ノアの方舟なのか。
人類は、ノアの方舟の物語から、自分達で解決することを学んだのではないのか。
ノアは方舟は方便なのか。
宗教は一体、何のための、誰のためのものなのか。
きっと多くの人が思う疑問だと思う。
映画は、古い映画のような色合いで、画面も心持ち狭く、未来が明るいものだという印象は与えない。
環境破壊についても、それ自体について、のめり込んだ情報は少なく、どちらかというと、環境破壊に対する神の手段の無さに、ジレンマに、神父の精神が崩壊していく姿が中心だ。
映像も象徴的なものが少なくなく、何を言っているのか逡巡することも少なくない。
ただ、エンディングに向かう中で示唆されるのは、環境破壊を、爆破などの破壊で解決することは出来ず、人間を救うことができるのは人間だけなのだというメッセージのようにも思える。
トラーの病気の治療には現代医療が必要で、神父であるトラーの精神を癒すのは、もはや神や教会ではなく、メアリーだけになってしまったのだ。
これも神から人間社会に向けたメッセージなのだろうか。
宗教と現代社会のあり方についても考えさせられる作品だと思った。
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