「TV版の熱量とは異なる雰囲気」宮本から君へ たけはちさんの映画レビュー(感想・評価)
TV版の熱量とは異なる雰囲気
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真利子哲也監督は「ディストラクション・ベイビーズ」で衝撃を受けた。「宮本から君へ」TV版も大好きで、漫画原作者新井英樹の持つ過激でしかも情感ある雰囲気が素晴らしく再現されていた。
TV版はサラリーマン宮本の奮闘と、それを支える柄本時生、星田英利(ほっしゃん)らの魅力溢れる男たちの昭和感に満ちたドラマだった。
とりわけほっしゃんの演技は魅力的で、こんな演技巧者だったとは知らなかった。
映画版たる本作は、原作後半部分の映像化だという。原作は少ししか読んでいなかったので、TV版との違いに戸惑いを覚えた。
この作品は、主演の池松壮亮以上に、その彼女たる蒼井優にスポットが当てられており、2人をめぐる様々な事件と、彼女の奔放な演技を軸に展開する。
確かに、蒼井優と池松壮亮の激しいやり取りは、よくある恋愛映画よりも断然面白く、また映像も魅力的なのだが、凝った時制の扱いと、TV版にあった池松壮亮演じる宮本の突撃営業の面白さはなく、個人的には少し消化不良だった。
尤も、体当たりで激しい濡れ場に挑んだ蒼井優は素晴らしい演技で驚いたし、全体のショットや映像美も冴えていて、観て損はしない。
あとエンディングの佐内正史の写真はそれだけで見る価値はあると思えた。
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