フォードvsフェラーリ : 特集
ただのレース映画ではない…もう一度見たくなる新年最初のマスターピース
Mデイモン×Cベール 初共演のスターが紡ぐハリウッド版「下町ロケット」
破壊的な高揚と感動が吹き抜ける、アカデミー賞有力作を徹底レビュー!
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タイトルとビジュアルから「車やレースの映画か、詳しくないけど大丈夫かなあ」と思わなくもなかったが、本編を鑑賞すると、内容はそれだけにとどまらなかったので非常に驚かされた。上映直後に「……もう一度見たい!」と涙ぐみながら訴えるような作品は、そうそう出合えるものではない。
マット・デイモンとクリスチャン・ベールがダブル主演した「フォードvsフェラーリ」が、2020年1月10日から公開される。逆境からの逆転劇、主人公たちの友情と絆……まるで池井戸潤作品のような熱気を帯びた本作は、単なるレース映画ではない。むしろ、ハリウッド版「下町ロケット」という形容がよく似合う快作である。
逆境、逆襲、大逆転―― 友情、企業戦争、最高のレースシーン――
アツすぎる挑戦の実話、胸を打つ人間ドラマを徹底レビュー!
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物語の舞台は1966年。ル・マン24時間耐久レースにおいて、当時、絶対王者とされていたフェラーリを打倒すべく、すべてをかけて挑戦に身を投じた男たちを映し出す。
本作の最大の魅力は、その鮮烈な大逆転劇にある。鑑賞中、視線はスクリーンに釘付けになり、背中は座席の背もたれから離れっぱなし。破壊的な高揚と感動が胸を吹き抜け、目頭がひたすらアツくなった。そうした体験を味わいたいなら、この映画を見るべきだ。
[アツい] 狙え、大逆転―― 絶対王者に挑む物語に引き込まれる
物語の軸となるのは、失意の底に沈む男たちが、人生の逆転に挑む姿だ。優秀なドライバーであったが病を理由に挫折せざるを得なくなり、今は自動車販売業を営んでいるキャロル・シェルビー(デイモン)。天才的な技術を持ちながら、その気性ゆえに業界から無視を決め込まれているケン・マイルズ(ベール)。そして“時代遅れ”の烙印を押され、フェラーリ社から「醜い工場で醜い車を作ってろ」と面罵されたフォード社。
枕に顔をうずめて絶叫したくなるような屈辱にあえぐ三者が、ル・マンでの勝利をもぎ取ろうと奮起する。シェルビーはフォード社に依頼され、「ル・マンで勝てる車の開発」「優秀なドライバーの獲得」を目指す。そしてマイルズはシェルビーに熱烈に勧誘され、ドライバーを務めることになる。
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プロジェクトが走り出した矢先、即座に困難が降りかかる。限られた時間と予算、フォード社会長のヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)や副社長レオ・ビーブ(ジョシュ・ルーカス)による圧力と妨害工作……。このビーブ副社長の行動は、物語を追うごとにエスカレートし、主人公らと観客の感情を逆なでする。薄ら笑いが張り付いたあの顔を見るだけで、本気でムカついてくるほどに。
しかしながら、シェルビーとマイルズが、努力によって道を切り開いていく姿は、無条件に爽快だ。「下町ロケット」の形成逆転劇や、「半沢直樹」の土下座シーンによく似た無敵感と高揚感が、見る者の全身を貫いていく。
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[とにかく魅力的] キャラクターのクセがすごい
デイモン演じるシェルビーは“頼れる男”だ。上層部と衝突した際には、臆することなく意見を言い連ねたのち「礼はいらない」とピシャリと吐き捨てるなど、度胸と男気にあふれている。多くの観客が、「こんなリーダーがほしい、切実に」と思わずにはいられないだろう。
さらにベール扮するマイルズは、性格に難がある天才ドライバーだ。能力はトップクラスだが、頑固で偏屈で極度の皮肉屋。激高した際にはシェルビーにレンチを投げつけたり(このレンチが終盤で重要な装置となる)、関係をこじらせる天才でもある。
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注目は、壮絶な役づくりをすることで知られるベールの演技。今回も目を見張るほどの存在感を見せており、“役づくりの鬼”というよりも“役づくりの変態”と称した方がしっくりくる。デイモンの演技も負けておらず、初共演の2人が遠慮なくぶつかり合い、豊かな化学反応を引き起こしている。
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[すさまじく圧倒的] レースシーンの迫力が未知の領域
冒頭、重厚なエンジン音が轟き、劇場全体を包み込む。次の瞬間、流線型の車体が弾丸のような速さで画面を横切り、タイヤがアスファルトを切りつける。迫るカーブをすいつくように曲がっていくさまは、まるで生き物だ。
映画の終盤を彩るル・マン本戦は、人間ドラマによって高揚させられた観客の精神を、さらなる高みへと連れて行ってくれる。座席はいつの間にか運転席へと変化し、爆発的な加速に伴って生じるGすら感じる。スクリーン上のマイルズが罵倒しながらハンドルをねじると、観客は内臓が横Gによって身体の外に振られるような感覚を覚えるだろう。
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[見れば必ず…] 圧巻の高揚感と感動 何度でも見たくなる快作
辛酸をなめた男たちの大逆転劇に興奮し、シェルビーとマイルズの魅力にうっとりとため息をつき、そしてレースシーンでむせ返るような熱気の渦に飲み込まれる――。本作を見る2時間30分、そうした良質の映画体験が押し寄せてくる。
上映終了後、すぐにでももう一度鑑賞したくなった。試写室から出ると、宣伝スタッフから「後日、IMAX版の試写がある」と伝えられた。スケジュールを確認し、ほとんど反射的に予定を調整してしまった。何度でも味わいたくなる快作。公開されたら、劇場でも鑑賞したいと心底思った。
2020年最初の“マスターピース”の1本か!?
インフルエンサー、女性ライター、観客… 各界から相次ぐ称賛&感嘆&絶賛
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一足先に鑑賞した人々からも、絶賛の声が多数上がっている。映画.comに寄せられたレビューや、SNSでの評価を抜粋して紹介しよう。
・インフルエンサー、オスカーノユクエはアカデミー賞を見据え… 一見、アメリカ万歳な娯楽映画に見えるが、わかりやすいアメリカ讃歌“ではない”のが本作のいいところ。同国の問題点を浮き彫りにしつつ、それに立ち向かう人間の素晴らしさを描いている。分断が叫ばれ、迷いと不安のなかにいる今だからこそ、この映画は特に同国内で高く評価されている。半世紀以上も前の話をモチーフにしながら、実はタイムリーなテーマがアカデミー賞受賞を後押しするに違いない。作品賞、監督賞、デイモン&ベールの主演男優賞ほか、多数の部門でチャンスあり!
・女性映画ライター・中村千晶は“主役コンビ”に感嘆 レースや車を知らなくても、この映画はおもしろい。なぜなら最大のキモが主演2人のバディぶりだから。しかもデイモン=いい人、ベール=ヤバい人という定形を微妙に崩し、それぞれに見たことのない顔を見せてくれる。レースを引退し、人生に折り合いをつけはじめたシェルビーと、自分を曲げない天才レーサー、マイルズ。生き方の違う2人が魂レベルで通じ合うさまにグッとくる。レースを見守るシェルビーの思考と、コクピットのマイルズの動作がシンクロし、一瞬のタイミングでコーナーに突っ込むシーンなど「よし!」と興奮しまくりだ。不器用に自分を貫く男はカッコいい。だがそれをフォローし、清濁併せ呑んで生きる男もやっぱりカッコいいのだ。
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・絶対に映画館で――! SNSでも感動の声 Twitterでも、以下の声が上がっている。「一言、見るべきゼッタイ映画館で!」「今年最高傑作なのでは…」など諸手を挙げた大絶賛や、IMAXで堪能した人からは「あまりにエンジン音を聞きすぎて、帰りの電車のエンジン音にまで耳をそばだててしまった」という体験談も。さらには、心から熱くなったユーザーによる「あっという間の2時間半をありがとうございました」という感謝のコメントまであった。
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