「ハラハラドキドキ、胸が温まり苦しくなる映画」フォードvsフェラーリ ささみさんの映画レビュー(感想・評価)
ハラハラドキドキ、胸が温まり苦しくなる映画
ル・マンというフランスで行われる24時間レースでの絶対王者フェラーリに、唯一、欧米人が作った車が勝利した話。
◎元ル・マン優勝、心臓病のため車販売会社経営にシフトしたシェルビー(マット・デイモン)
商売に関してズルいところがあるが口が上手い。
◎自らレースに出る整備士のケン(クリスチャン・ベール)
整備もレースの腕も抜群だが、思った事をそのまま言ってしまい社交的ではない。
2人の車にかける情熱(?)、いかに車を速くする事が出来るのか常に思考し続けることと、その行動力が見ていてとても気持ちがいい。
車が好きで好きで好きで、走ることも好きで、というのがハッキリと伝わる。
企業という組織に属して車を改造していくことの不自由さの中で見える絶対的な信頼関係の2人が良くもあり、でも企業に負かされてしまう悔しさ、それでもすぐに切り替えて挑戦する前向きさが堪らない。
干渉されやすいので負の気持ちを引きずってしまうけど、この映画はあまりの切替の速さにビックリしていい意味で拍子抜けしてしまった。
走行シーンはBGMも相まって良い緊張感がある。
エンジントラブルが起きるのでは、ブレーキが効かなくなるのでは、スリップしてしまうのではないか、と思いながらドキドキするし、ギアチェンジ後の加速のシーンやコーナーを綺麗に攻め続けていくシーンがとても爽快で良かった。
IMAX等で見直したい。
ケンの妻は子供もとても良かったです。
ケンの全てである車や生き甲斐を理解し、応援し続け、ユーモアもある。
あんな奥さん欲しい。
子供は、レースに対する楽しさだけじゃなくて不安も表現されてて良かった。
とっても良い子。
何よりケンの家族との接し方が好き。
何かを追求してる人って結構周りを顧みない描かれ方をしているものが多かったり、家族の事を気にはしてるけど結果的に自分を優先してる事が多いのに、ケンは家族の為に仕事を変えようと考えたり、寝る間を削ってまで楽しそうに連絡してきたり、本当に良かった。
なのに…
実話が元だから結末は変えれないのだろうけど、終わりがどうしても悲しすぎて辛い…
レーサーとか消防士とか自衛隊とか、いつ居なくなってしまうか分からない職業怖過ぎてむり…
観る前は上映時間長いなと思ってたけど、終わってみたらあっという間で楽しかったけど悲しい気持ちが残りました。