「最高のレースムービーかもしれない。」フォードvsフェラーリ ちゃーるすとんさんの映画レビュー(感想・評価)
最高のレースムービーかもしれない。
昔から、少しだけレースに携わってきたものとして、感動しきりな映画でした。
レースを見た事のない人にも、レーサーってこんなに熱く、たくさんの軋轢もある中で孤独に戦う存在だと言うことを、この映画を通して知って貰えるとてもいい作品でした。
今のレースはレギュレーションに縛られすぎていて、見ている方もつまらなくなるシーンが多々ありますが、この頃のレースは男臭い、本当の戦いだったんですね。
タイトルには疑問が残りますが、結局はシェルビーとフォードの戦いで、その戦いに巻き込まれ、巻き込まれに行くレーサー、ケンマイルズに感情移入してしまった。
レーサーを支える家族、チーム、スポンサー、マニファクチュア、数えきれない程のサポーターがいるけれど、レースは自分との戦い。ファステストをたたき出して満足し、チームの意見を呑むラストもとてもよかった。
また、レースの過酷さも死やクラッシュシーンで教えてくれる。1966年のルマンは、55台出走で完走は15台。現代では考えられない過酷さ。そのシーンの数々をサルト・サーキットのセットを組んだり、実際のクラッシュや撮影技術であそこまでリアルに仕上げるのは至難の業だったろう…
レース映画は数あれど、レーサーだけに着目するのではなく、レースに関わる様々なシーンに焦点を当てることで、実際にレーサーになったかのような感情になる。
個人的に、ケンマイルズの奥さんが言っていたオイルの匂いやタイヤの焦げた匂い。これが最高なのは非常によく分かる。
社長がGT40に初めて乗るシーン。これも私が初めてレースカーに乗った時の感覚を思い出した。
久々にサーキットに行きたいな…
是非ともスクリーンで見るべき映画。
2020-001