テリー・ギリアムのドン・キホーテのレビュー・感想・評価
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さすがテリー・ギリアム、長年待った甲斐があった....
最高ですね、特に(往年の)モンティ・パイソン好きには堪らないテイストです。
アダム・ドライバーって(SWで知って)あんまり好きになれなかったけど、今作の演技で見直したというか、逆に可成り好きになりましたね。
このような(難しい?)役柄をこなせるなんて、素晴らしい役者です。
少し前に観た、デニス・ホッパーの「ラスト・ムービー」にどことなく通じる所もあり、興味深かった。
「ラスト・ムービー」程イッちゃってはいないけど、別の意味でイッちゃってる感あるので、この手のが苦手だったら止めといた方が良いです。
あとの展開が読めないというか、「この先、一体どうなるの?」感でドンドンいっちゃいましたね(自分的には)。
それと、映像や音楽といった全体の構成バランスも気に入りました。
別に、今作に至るまでの(長きにわたる)苦労話を知らなくとも、作品の内容を左右するものでは無いので、興味を持ったら後から見れば良いんじゃ無いかと思います。
ただ内容的に、この映像を(スケール感の無い)小劇場や、自宅のTV画面でが初見だったりしたら、ちょっとキビシイかも知れませんので、出来るだけ早めに大き目のスクリーンでの鑑賞をお薦めしておきます。
因みに私は、関東圏ではスクリーンが一番大きいと思われた、川崎チネチッタの7番で鑑賞することが出来たので幸いでした。
老いによる力の衰え、残念…
少し笑った。感動なし、面白くない。
名を成した人が自由に思うがままに何かを造り上げることは素晴らしいことだと思うけれど、劇場映画という形を取るならば、多くの人を魅了するものを目指してほしい。この作品は・・・面白くしようという試みは伝わってきたけれど、自分にはそれを十分に理解するには至らなかった。ひどい言い方をしてしまうと、贅沢なお遊びに見えてしまい、後半の観賞は辛過ぎた。らしいといえばらしいと思えたわけで、だからこそなおさら、テリー・ギリアム作品すべてが駄作に見えてしかねないような、ある意味結構やばい作品にも思えた。
作らせてもらえなかったものを、ようやく作らせてもらえたのでしょうか、テリー・ギリアムという名のもとに・・・まぁ自分もそれにつられて見に来たわけだから─。
作品の内容を全く記さず締めようと思うのだが、見ようかなと思っている人には、セルバンテスをよく読んで時間が余りに余っている時にこそ見るべきものかもしれないと申しておきます。無理してこの作品を観賞するよりは、原作を丁寧に読むことがよっぽど身のためになると思います。
本当のドンキホーテとは?
そもそもドンキホーテとは自分をドンキホーテと思い込んでいる狂人の話だったと思うので、彼らはまさに本当のドンキホーテと言えるでしょう。当然登場人物たちはそれを認知し得ない存在なので、そこが面白かったです。
現実と妄想がごっちゃになる映画は沢山ありますが、2人の妄想がとろけ合う様に狂っていくところが新鮮でした。
よく分からない状況がよくわからないままどんどん進んでいくので、常にさっき見た映像のことを考えなくてはならない忙しい鑑賞でした。まさに混乱、しっかりと納得できる内容のちゃんと訳わからない映画です。凄く面白かったです。
演技や映像や音楽もハイレベルで楽しめました。
たまにこういう映画を観ると凄く良く思えます。
監督自身がまた一つステージを上げた傑作の誕生
虚実皮膜の職人芸
テリー・ギリアムという人は、現実と幻想の世界を自由自在に行き来できる稀有の才能の持ち主だ。それは、モンティ・パイソン時代から一貫しているし、コメディだけでなく、シリアスな内容の「未来世紀ブラジル」でも、気付いたら現実と幻想の境界が溶け去ってしまう恐怖を描いた。
そんな彼が、ドン・キホーテの続編をテーマに映画を撮ったのだから、これは必見である。そもそも、ドン・キホーテ続編というのは、あの有名なドン・キホーテの物語を、セルバンテス自身がパロディにしたというユニークな作品で、登場人物は、ドン・キホーテの物語を読んで知った上で、生身のドン・キホーテをからかったり騙したりするという入れ子構造の物語である。それを、さらにテリー・ギリアムが、映画中映画という形で入れ子にするのだから、物語は二転三転、どれが現実でどれが幻想かわからなくなっていく。しかも、いつものように迷宮のような、同時に祝祭的でもあるテリー・ギリアムの独特の映像世界が全面的に展開される。そして、最後は、原作とは少し異なる希望を感じさせるエンディング。
素晴らしい傑作です。おススメ!
俺は負け犬、なんで殺さない?
テリー・ギリアム版『81/2』⁈
屈折したテリーギリアム愛溢れる傑作。
自らをドンキホーテと信じる男と、彼に巻き込まれた映画監督の遍歴の旅を描いた物語。
構想30年、企画頓挫9回の末にやっとこさ完成となった。
テリーギリアム待望の今作!数年前に、ジョニーデップとその前妻のバネッサ・パラディの夫婦主演も期待されていた作品であったが色々あって頓挫。詳しくは「ロスト・イン・ラ・マンチャ」で見れるのでそちらで!
いやー!ここ最近の映画で近い作品で言えば、タランティーノのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドと並ぶくらいに映画って良いなぁと再確認出来る作品でとても良かった。
何より、テリーギリアム監督の彼の独自のクセのある世界観と偏屈な性格と馬鹿馬鹿しいけどどこか芯があり愛おしさが滲み出、この映画を本当に作りたくてしょうがなかった熱意と諦めない精神のたまものの結果といえよう想いがひしひしと伝わって、映画を心から大好きとなんだと感じさせられた。
キャストも主演のドンキホーテを演じたジョナサン・プライスの狂気と迫真に満ちどこか憎めない演技の素晴らしいこと!他、ジョニーデップのかわりを務めたSWのカイロレンで有名な役者、アダム・ドライバーも彼ならでわの味を出してて良かった。
ストーリーも映画プロデューサーで監督のアダム・ドライバーが自らのドンキホーテを題材にした作品を撮り、次第にそれに巻き込まれ白昼夢のかと言ったアンバランスさも上手く物語に落とし込まれ、構想の厚みと最後まで練り込まれた大どんでん返しからの凄味!
原題の「ドンキホーテを殺した男」の意味とラスト思わず、テリーギリアムのニヤリと笑った顔が思い浮かんだのは、彼の手腕と構想と頓挫の果てだからと思わされる世界観の余韻にハマった傑作!
題材のドンキホーテも、キチガイで無鉄砲のクレイジーな童話の主人というイメージや印象が強い部分はあたかも、テリーギリアムの性格や行き方生き様を自分自身を主人公にして取り直したかの様にも思えた作品であった(笑)
ひとつだけ心残りと言えば、やはりこの作品をジョニーデップで見たかったと言うifの念だけが悔やまれる作品でもあり、この作品を見終わった後に「ロスト・イン・ラ・マンチャ」を見ればもっと感慨深い作品になる事は間違いないはずである!
アダムドライバーはコミカルな役がいい。
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