テリー・ギリアムのドン・キホーテのレビュー・感想・評価
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ラ・マンチャで迷子
変てこな映画を作ることでは人語に落ちない監督だし、苦節ン十年の末完成した作品ということなので大期待していたのだが、何か終始だらだらしていてこれはという印象に残るシーンもない映画だった。
そもそもセルバンテスの「ドン・キホーテ」自体がひと昔前の騎士道物語に魅入られた主人公が自らドン・キホーテだと妄想するお話なので、その映画化作品の役者がドン・キホーテと思い込むとなると、屋上屋を重ねるだけになってしまう。メタメタフィクションというか。
テリー・ギリアムが長年熱望していた映画の完成形が本当にこれだったのだろうか。撮れないまま過ぎ去った歳月の間に、何かが失われてしまったのだろうか。おそらくこの企画はギリアムにとって、スタンリー・キューブリックの「ナポレオン」、小林正樹の「敦煌」のようなものだったのだろう。“見果てぬ夢”のままにしておいた方が美しかったのかもしれない。
俺は負け犬、なんで殺さない?
延期に次ぐ延期の話ばかり聞いてネガティブな想像していたけど素晴らしく美しくクレイジーだった、アダムドライバーの熱演も素晴らしくこのために長年延期してきたのでは?となるくらい、アダムドライバーはこういう抜けた役が一番似合う。ギリアム知らない人にもオススメ出来ギリアム好きには酔いしれれる素晴らしい内容と美術と狂った世界でした。
【テリー・ギリアム御大 30年という積年の想いを炸裂させたファンタジー大作。アダム・ドライバーのコメディアンとしての資質に驚いた作品でもある。】
- 冒頭、流れるテロップが少し笑える。-
テリー・ギリアム御大の今作品に対する複雑な思いが容易に伺えるからである。
スペインで映画制作中、スランプに嵌まった映画監督トビー(アダム・ドライバー)は学生時代に撮った作品の舞台が近くにある事を知り、バイクでその田舎村を訪ねるが・・・・。
靴職人で、トビーが口説いてドン・キホーテを演じたハビエル(ジョナサン・プライス)は、今や自分をドン・キホーテと信じ込んでいた・・。
又、可憐な少女アンジェリカ(ジョアナ・リベイロ)はかつてのトビーの言葉を信じ都会に出たが、今は強欲で、サディストのウォッカ王の情婦になっていた。
後悔の念に駆られるトビーがドン・キホーテに取り付かれたハビエルに”業者”サンチョと勘違いされ、摩訶不思議な冒険の旅に出る事に。
前半は、荒涼としたスペインの田舎の広大な風景を背景にドン・キホーテとと”業者”サンチョのアドベンチャー要素も少し盛り込まれた行脚シーン
そして後半は、アルハンブラ宮殿か!と思うような豪華絢爛な宮殿の中で繰り広げられる可笑しくも恐ろしくもある不可思議なシーンの数々に
呆けた表情でついつい引き込まれてしまう・・。
アダム・ドライバーのコメディアンとしての資質に驚き、
ジョナサン・プライスの虚構の夢を生きる老人の姿に敬服し、
強かなスポンサー、ボスを演じるステラン・スカルスガルドと男好きジャッキを演じたオルガ・キュルリレンコの不思議カップルに呆れ、
サディストのウォッカ王を演じるジョルディ・モリャの悪人面に”納得”し
ロッシ・デ・パルマの見事な鷲鼻に惹きつけられる・・。
今作に対しては色々な意見が渦巻いているようであるが、
私はテリー・ギリアム御大ワールド満開で、破綻しかけながらもしっかりと繋がる荒唐無稽なストーリーの、”映画館の大スクリーンでの見応えある作品”を堪能した。
〈ドン・キホーテに取り付かれた二人の男の壮大なファンタジー世界に魅了される。この二人の男の姿がテリー・ギリアム御大の姿とだぶって見えた作品でもある。〉
テリー・ギリアム版『81/2』⁈
夢と現実が行き交う世界
夢から覚めようと思えば現実のトラブルが迫って来て、また夢の中に逃げ込み
夢の世界にまで現実の人間が紛れ込んだり
最後は現実に疲れて夢を追いかけはじめたのか
ストーリーを追いかけようとすると難解に感じるかもしれないけど
単純に現実の問題に行き詰まった人間の
頭の中を覗き見する気持ちで見れば
純粋に楽しめると思う
映画もおとぎ話みたいなもんだから
屈折したテリーギリアム愛溢れる傑作。
自らをドンキホーテと信じる男と、彼に巻き込まれた映画監督の遍歴の旅を描いた物語。
構想30年、企画頓挫9回の末にやっとこさ完成となった。
テリーギリアム待望の今作!数年前に、ジョニーデップとその前妻のバネッサ・パラディの夫婦主演も期待されていた作品であったが色々あって頓挫。詳しくは「ロスト・イン・ラ・マンチャ」で見れるのでそちらで!
いやー!ここ最近の映画で近い作品で言えば、タランティーノのワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドと並ぶくらいに映画って良いなぁと再確認出来る作品でとても良かった。
何より、テリーギリアム監督の彼の独自のクセのある世界観と偏屈な性格と馬鹿馬鹿しいけどどこか芯があり愛おしさが滲み出、この映画を本当に作りたくてしょうがなかった熱意と諦めない精神のたまものの結果といえよう想いがひしひしと伝わって、映画を心から大好きとなんだと感じさせられた。
キャストも主演のドンキホーテを演じたジョナサン・プライスの狂気と迫真に満ちどこか憎めない演技の素晴らしいこと!他、ジョニーデップのかわりを務めたSWのカイロレンで有名な役者、アダム・ドライバーも彼ならでわの味を出してて良かった。
ストーリーも映画プロデューサーで監督のアダム・ドライバーが自らのドンキホーテを題材にした作品を撮り、次第にそれに巻き込まれ白昼夢のかと言ったアンバランスさも上手く物語に落とし込まれ、構想の厚みと最後まで練り込まれた大どんでん返しからの凄味!
原題の「ドンキホーテを殺した男」の意味とラスト思わず、テリーギリアムのニヤリと笑った顔が思い浮かんだのは、彼の手腕と構想と頓挫の果てだからと思わされる世界観の余韻にハマった傑作!
題材のドンキホーテも、キチガイで無鉄砲のクレイジーな童話の主人というイメージや印象が強い部分はあたかも、テリーギリアムの性格や行き方生き様を自分自身を主人公にして取り直したかの様にも思えた作品であった(笑)
ひとつだけ心残りと言えば、やはりこの作品をジョニーデップで見たかったと言うifの念だけが悔やまれる作品でもあり、この作品を見終わった後に「ロスト・イン・ラ・マンチャ」を見ればもっと感慨深い作品になる事は間違いないはずである!
アダムドライバーはコミカルな役がいい。
何層にも重なった現実と狂気。時にその境界が滲んでゆくテリー・ギリアムの独特の世界。その世界を槍を携えて突き進むドンキホーテとサンチョと巻き込まれる観客。
ちょっと8 1/2を彷彿させる状況もあり、映画作りに有りがちな苦労談でもあるのだろう。
扱いにくそうなイスラム移民問題までさらっと組み込むモンティパイソン的ブラックもあって期待通り。
まあまあよかった
積年の悲願でとうとう完成したのかと期待して見たのだけど、ちょっと思ったほどではなく、虚構と現実を行き来するような物語もこれまでさんざん見てきて、もはや飽きてしまった。『バロン』の方がずっとよかったみたいな、でも10年以上見ていないからなんとも言えないけど、『未来世紀ブラジル』は近年見直したらセットが安っぽくて驚いた。若い時は一番あこがれた時期もある監督なので、期待しすぎてしまったのかもしれない。
ちょうど現在、松江哲明監督と加賀賢三さんの事件がかなりのクライマックスを迎えていて、この映画も映画で人生が壊された人々が描かれており、映画は危険なシステムをはらんでいる。漫画家でよかったし、自主映画にもどっぷりはまらなくてよかった。
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