「彼らは腹黒くなかったから、偉人になれなかった!」ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
彼らは腹黒くなかったから、偉人になれなかった!
凄く面白かったです。
ある意味「エジソンズ・ゲーム」より面白かった。
それはタイトルで書いたように、アントンは天才なのに良い人すぎるし、
ヴィンセントは一人で仕事を抱え込みすぎていた。
(もう少しだけ時間とお金が続けば、2人は後世に名を残した筈です)
株の大量取引で、0・001秒速くすると、年間に500億件の儲けが出る。
トレーダーだったヴィンセント(ジェシー・アイゼンバーグ)と従兄弟で天才プログラマーのアントン(アレクサンダー・スカルスガルド)は、証券会社を辞めて、
新しい事業に乗り出します。
なんとNYからカンザスシティまで1600キロ。
直線で地下ケーブルを、人家の下、湖、沼、花崗岩盤の山の中まで、
ひたすら工事して穴を掘り木を伐採し・・・引くのです。
たった30センチの巾だけど、直線距離はホント、1600キロなんですよ!!
その作業は超人手と機械と費用のかかるトンネル掘り。
(結局3千億円・・・か、それ以上のお金と2年間の歳月)
そして間には、証券会社の元上司・エヴァ(サルマ・ハエック)の妨害と脅し。
CIAにスパイさせてアントンにダメージを与えるやり口は、非常に恐怖でした。
罪無き人を罪人にするなんて、エヴァにかかれば朝飯前なんですね。
(この辺りスリラー映画です)
サルマ・ハエックの抜け目ない凄腕ぶりと悪役ぶりが、映画を引き締めます。
トレーダーのヴィンセント役のアイゼンバーグは機関銃並の早口で、
まくしたてます。
彼にも説得出来ない地主が居たり、地下ケーブルの貫通は困難を極めます。
電話線やインターネットも一番速くて、耐久性に優れているのは海底ケーブルだそうです。
ヴィンセントとアントンの狙いは、凄く良かったんですけどねー。
この映画は0・001秒を争う映画なのに泥臭いですし、鈍臭いです。
ジェシー・アイゼンバーグの道化師ぶり、
天才アントンのアレキサンダー・スカルツガルドは、驚きのまるハゲの大変貌。
「ターザンREBORN」のイケメン・ナイスバディはどこ行っちゃったんだ!!
イケメン封鎖です(でもお目々が優しくて素敵でした)
《ジンバブエのレモン農家》のエピソードが一番心に響きました。
株の利益は、レモン農家の労働者には一円も還元されない・・・
そんな当たり前なことに気づく映画でした。
お金も大事ですが、それだけではない・・・
0・001秒の攻防。
結果は是非映画をご覧になって下さいね。