劇場公開日 2019年10月11日

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「ど直球だった。」第三夫人と髪飾り waiwaiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ど直球だった。

2019年10月20日
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ズドーンとやられた。映画っていいわと。

女性監督による女性の抑圧と自由への渇望を、19世紀ベトナムの地方の自然の中で、悠然と描いていて力があります。タイトルからありがちなエロとか、女同士の確執とか、想像してしまいますけど、まるで違いました。

セリフがほとんどない中で、自然の中で営まれるベトナムの地方富裕階級の生活、そしてその中で女性たちの感情の起伏を繊細に描いて、そこにドラマがきちんと盛り込まれて、驚きます。
セリフがない分、全編音楽がその代わりをなしていて、これも素晴らしい。尺八みたいな笛もあるみたいで、映像美と共に堪能できる。

自然がすごく近くにあり、動物なしに成り立たない人間の生活を描くことにも監督は相当力を入れていたのでしょうね。遠くから美しく描くのではなく、血の匂いと共に手がくところに女性性を感じます。リアルなんですよね、やはり。

女がずっと味わってきた想いをずっしり感じながら、映画館を後にしたのでした。

waiwai