おかあさんの被爆ピアノのレビュー・感想・評価
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若い世代が戦争や被爆の記憶に触れる扉となり、響きとなりうる一作
この映画では題名にもある「被爆ピアノ」やその「響き」を媒介に、若きヒロインがこれまで知らなかった祖母の経験を自らの意志で知りたいと望む。とはいえ、記憶を直接語って聞かせてくれる当人はもうこの世にいない。両親も進んで教えてくれようとはしない。大学生という大人でも子供でもない時期、胸の中では過去の思い出と将来への期待や不安が入り混じる中、いつしか彼女は頭で考えるのではなく行動力で「広島行き」を決める。それを無理強いすることなく、諌めながらも導いていく調律師役の佐野史郎の抑制された存在感がいい。親と子以上に年齢の離れた二人がこうして各々に使命を感じながら何かに打ち込んでいく姿に、思いがけないロードムービー感覚と、フレッシュな語り口を感じた。「おかあさん」側の葛藤や、ピアノを愛した祖母の人生など、もう少し詳しく知りたかった点も多いが、若い世代が戦争の記憶に触れる「扉」となりうる大切な一作かと思う。
子供たちにも見るように勧めた
実際に被爆ピアノを使って全国を周る矢川さんの実話。素晴らしい活動です。
自分の子供には劇場での鑑賞を強制してしまいました。繰り返してはいけない戦争の記憶
若い世代に伝えたいことがこの映画に凝縮されています。
久々にみんなに勧めたい映画に出会えました。
被爆二世の心境
被爆三世である菜々子は祖母のピアノが「被爆ピアノ」として調律師の矢川光則に預けられたことを新聞の切り抜きから知る。母親久美子はそれを菜々子には秘密にしていた。菜々子は経緯を知るために久美子の制止を振り切り矢川のトラックで広島に向かう。
なぜ久美子は菜々子を広島から遠ざけようとしているのか。被爆二世の複雑な事情がそこにはあるのだということが暗示される。長い間、偏見や差別にさらされていたのだろう。今でも自分が被爆二世であることを隠している人は多く、被爆二世の健康被害については科学的な分析も進んでいないという。
真面目な、いい映画でした。ベートーヴェンの悲愴は名曲ですね。
しかし武藤十夢はひどい大根だ。でも顔もスタイルもいいから許す。
脚本が今一なのが残念です
広島のことがよくわかる素晴らしい話ですが、脚本が残念。
なんで今どき主人公、ピアノ練習を机上で暗譜するかな、簡単な電子ピアノ位、二十歳の娘で、反抗して一人で広島行っちゃうくらいなんだから、頭使えば簡単に手に入るでしょう。
おかあさん、娘のお陰で最後にやっとおばあちゃんとピアノと被爆に向き合え、満足げなんだけど、主役はだれなの。主役がストーリーの最後でコケてはだめ。話の主軸が弱い。作り込み不足。このシナリオでよく映画化できたと思う。
おかあさんと連弾してきれいに終わらせればよかった。
誠に脚本が残念。
後半50分はドラマティック。前半がいろいろ惜しい。
TVドキュメンタリーの制作が主軸の五藤監督の最新作。突如ハリウッド化粧品のプレスリリースでイオンシネマ広島西風新都と茨城県(過去作の舞台)守谷で2週間上映(セカンドラン?)との情報を目にして見逃してたので守谷で鑑賞。
作品が伝えたい思いは広島へ移動してからの後半50分に凝縮されており、戦火(原爆)を生き延びたピアノに引き込まれる感はあった。
その一方、前半部分は走る場面でのブレ、若手キャストの台詞のぎこちなさなど前作「美しすぎる議員」に続いて目立ち、かなりの場面で逆光などによる照明不足でキャストの表情がくすんで見えてしまった(そもそも顔アップの場面が少ない)ことは致命的で、テーマは良いが演出が惜しい。
主人公に友達や彼氏といった男性が皆無で(女性配役重点)ピアノを介したヒロシマへの情念と重い雰囲気が終始漂い、スタッフロールの文字が極小すぎたことはメジャー映画との隔たりを感じてしまった。
ピアノ輸送の休憩時に通りがかりの若者がジャズを弾いたら調律師役の佐野史郎がブチ切れて追い退けるシーン、先に「優しく弾いて」とか世代的に一言言わないと通じないでしょう(平和ボケが顕著なので)。
被爆者や二世は放射能の影響や風評被害を恐れてる
大学で幼児教育を学んでる菜々子がお母さんに来てた被爆ピアノのコンサートを知り、聴きに行き、自分のルーツを探しに広島へ行く話。
おばあちゃんがピアノを弾いていて、原爆投下の時に比治山とピアノのおかげで命が助かった事。
その被爆ピアノをお母さんが調律師の矢川さん(佐野史郎)に寄贈した事などを知る。
お母さん(森口瑤子)が広島を避けていた理由、被爆者や被爆二世は放射能の影響が完全に解明されて無いので影響を恐れ、また風評被害も有る為、極力言わないようにしていたと聞く。結婚にも影響が有ったらしい。
そんな被爆者達の苦悩を知るきっかけになる作品です。
調律師矢川役の佐野史郎の広島弁は上手かった。
森口瑤子はお母さんの心境の変化を素晴らしく表現されてた。
ジャズも素敵だけどな
三世代に渡る被爆ピアノの物語。東京で生まれ育った江口菜々子は幼児教育を学んでおり、試験にはピアノが必須であることから慣れないピアノを学んでいる。ある時、祖母が住んでいた広島にあったピアノを母・久美子が寄贈したことを知り、被爆ピアノで全国各地でミニコンサートを開いている矢川を追いかけるのだ。
久美子は被爆2世。3世である娘には原爆に関わってほしくない、就職や結婚もあるのに余計な知識を持たないでほしいと願っていた。2世、3世が受けるであろう差別や偏見の犠牲とならないでほしい気持ちもよくわかる。しかし、おばあちゃんのピアノが無くなった今、菜々子自身のアイデンティティ、ルーツを探す上でも重要なテーマとなってくる。
ピアノ運送のトラックに乗り広島を目指す序盤はロードムービー風。各地のコンサートではプロのピアニストやソロ歌手も登場し、休憩したパーキングでも若者がピアノに触れる。そこで、「バンドやってたんだ」と言う若者がジャズを演奏したため、矢川は「乱暴に扱うな」と叱りつける。いい感じだったのに・・・この人石川県出身のポセイドン石川という人のようです!
ベートーベンの「悲愴」がメインとなりますが、コンサートでは童謡なども演奏され、原爆投下された広島を想うときにはこっちの方がいいかな~と感じます。おばあさんのピアノ、そして一人訪れた実家。祖母への想いが原爆の悲惨さも伝えてくれます。また、岩井さんの強烈な反戦メッセージに心打たれます。さらに母の愛情を感じる終盤へ・・・
実在する被爆2世であるピアノ調律師の矢川さん。被爆ピアノの音色を聴いてもらい、それによって原爆を伝えていく。体験者が徐々にいなくなる中、貴重な活動を続けているのです。映画では彼の実際に使ってるトラック、ピアノを使用し、リアルな音色で再現しています。
母と娘の成長物語
被爆したあとの広島では、被爆者に対する差別が酷かったらしい。差別は戦後も続き、被爆二世と呼ばれる被爆者の子どもたちにも及んだと言われている。知っている広島出身者は原爆について話したがらないし、有名な反戦歌である「原爆を許すまじ」や「死んだ男の残したものは」を歌いたがらない。原爆は街や人の生命だけでなく、人の心も破壊したのだ。
ピアノの調律師役の佐野史郎は名演だった。広島弁のイントネーションも完璧で、広島人らしい優しさと磊落さがとてもよく出ていた。穏やかな父母を演じた森口瑤子と宮川一朗太もよかった。特に森口瑤子は被爆二世が味わされた微妙な差別がうっすらと感じられ、嫌な思いをしたことを娘に伝えたくない母の気持ちが十分に伝わってきた。
ヒロインの武藤十夢がミスキャストである。演技が学芸会なのだ。この人が演じると主人公が二十歳とは思えないほど子供っぽく、穏やかな両親から生まれたとは思えないガサツな娘になってしまって、序盤から不愉快にされた。ピアノを弾くヒロインなら、もっと繊細な感受性を持っていなければならない。同じ台詞でも話し方次第で上品にも下品にもなる。当方がプロデューサーだったら、モトーラ世理奈をキャスティングしただろう。多分まったく違う作品になった筈だ。
それでもヒロインがおばあちゃんの被爆ピアノとそれに纏わる自分の家族の歴史に触れることで少しずつ気持ちが変わっていくさまは見て取れた。そして森口瑤子が演じた母親も、娘におばあちゃんの思い出を語ることで、長い間抱えてきた苦しみを溶かしていく。本作品の主眼はこの母娘の成長にある。タイトルが「おばあちゃんの被爆ピアノ」ではなく「おかあさんの被爆ピアノ」である理由もそこにあるのだ。佐野史郎の調律師と宮川一朗太の父親がそれを上手に優しくサポートし、物語は穏やかに進んでいく。ピアノを弾かせてほしいという学生たちのシーンは要らなかった。
被爆ピアノで弾かれる曲は冒頭の「アヴェ・マリア」にはじまり、滝廉太郎の「荒城の月」から野口雨情の童謡、それに「ゴンドラの唄」まで幅広く弾かれるが、なんと言ってもベートーヴェンである。特に「悲愴」が何度も繰り返されるが、少しも飽きない。昨秋にサントリーホールでピアニスト及川浩治さんのリサイタルを聞きに行ったが、五大ピアノソナタと「エリーゼのために」はいずれも高山流水というべき名演奏だった。そのときに聴いた「悲愴」がこれまで聴いた中で一番だったと思う。
ヒロインはともかく、人が優しさを獲得していくいい話を佐野史郎や森口瑤子の名演とベートーヴェンの曲に乗って観ることが出来たのはよかった。心がほっこりとする温かい作品である。
【”被爆ピアノが結ぶ、母、娘、孫三世代の反戦の絆” 矢川光則さんを始めとする被爆2世の方々の想いに頭を垂れる。】
ー優しかったおばあちゃんは、幼き時、ピアノの折り紙を折ってくれた・・。-
■印象的なシーン
・奈々子の母、久美子(森口瑤子)が”娘には、広島とは関わらせたくない・・”と口にしたシーン。
-愚かしき私は、”何を言っているのだ?”と思ったのだが、直ぐに真相が明らかになる。被爆された方の子供たちが、”どういう事を経験してきたのか・・”-
・矢川が自らと原爆の関係を語るシーン。彼も被爆2世であった・・。彼の父の命を助けた刀を前に奈々子に言って聞かせたこと。
-矢川さんは実在の人物で、実際に被爆ピアノの音色を全国に届けている。頭が上がらないです・・。-
又、矢川を演じた佐野史郎さんが素晴らしい。
被爆ピアノを運ぶ途中、若者たちがピアノを弾かせてもらうシーンでの、穏やかな表情からフリージャズを激しく弾く若者に”いい加減にしろ!このピアノは・・”と強い口調で窘めるシーンなど。
多才な方で、最近は演ずる姿をお見掛けしなかったが、スコシハラハラした主演女優の方を、しっかりと支える盤石の演技である。
・奈々子と久美子が、おばあちゃんの思い出とともに、少しづつ心を通わせていく広島市内の数々のシーン。
・あの原爆ドーム前での被爆ピアノを使っての演奏会。奈々子が一生懸命練習したが、詰まってしまった”ベートーベンの悲愴”を、奈津子が寄り添い弾くシーン。
■現代日本の右傾化した政治家に見て頂きたいシーン(というか、見るべきシーン)
・原爆を浴び、奇跡的に生き延びた高齢の男性がベッドの上で半身を起こし、血を吐くように叫ぶ言葉。
”戦争はイカンです!。戦争はイカン!”
<毎年、夏になると、戦争映画が多数上映されることは、とても大切なことだと思います。そして、この作品も今後定期的に、放映されることを望みます。
今年も、現宰相は8月6日、「広島市原爆死没者慰霊式」にて、例年と同じようなコメントを述べたが、”核兵器の無い世界”の実現のために・・と口にするだけで、今年も”核兵器禁止条約”に触れていない。
例年、広島、長崎の方々を始めとした民意を鑑みないコメントには心底、落胆する。今一度、右傾化した政治家の方々は、近代日本の歴史を学んだ方が良いのではないか・・。>
<2020年8月23日 刈谷日劇にて鑑賞>
他人事だから退いて見えることがある
2020年映画館鑑賞54作品目
ピアノの調律師と被爆3世の若い女性そして女性の家族の物語
被爆ピアノってのがインパクトがある
ものにも被爆っていうのね
恐竜戦車とか一軒家プロレスのような意外な組み合わせに驚いている
震災映画にうんざりしていたが被爆先輩という存在を忘れていた
夏が来れば思い出す
僕はピアノ演奏が大好きだ
ピアノの音色が大好きだ
ピアノは全く弾けない愚図の異名だが聴くだけなら無能でもできる
だからピアノ関連の映画が好きだ
原作が最高に面白いのに『さよならドビュッシー』のような失敗作もあるけど
川べりや寺でもピアノは出張して演奏される
返せ返せにはドン引き
舞台演劇が苦手なのはこっちが恥ずかしくなるこの暑苦しさだ
この作品で一番痛いのはヒロインななこ役の武藤十夢の演技が下手くそなこと
彼女なりに頑張ったのだろうし監督さんも熱心に指導したんだろう
でもあの程度だ
鈴木京香だって最初は大根だったのだからそのうち上手くなるかもしれない
だけど今は酷い
小顔で首が長くどちらかといえば美人さんでスタイルもしゅっとしている
演技初経験の広島県出身のカリスマモデルさんかなと思ったが違うようだ
エンドロールによると彼女はAKBらしい
アイドル映画の題材ではない
なぜちゃんとした若手女優じゃなくて彼女が抜擢されたのか理解に苦しむ
原爆については知られたくないという親の気持ちがよくわからなかった
自分が子どもの頃に差別されたからなのか
それとも一人娘がパヨク活動家になって人生を棒に振っては困るからか
そこがモヤッとしている
パターン的にはヒロインが本番にピアノを上手に弾けるのが普通の映画だがこの作品はそうではない
あとお好み焼きうまそう
映画見たあと食べればいいと空腹状態で観てはいけない
切っ掛け
幼稚園教諭資格を取得しようとする折に、母親が祖母の被爆ピアノを支援者に渡したことを知り、それを切っ掛けに祖母や広島を知ろうとする女子大生の話。
気にしてもいなかったのに何怒っているの?な被爆三世の主人公から始まり、三世である旨を告げた時の友人の気を使ったリアクションも、東京で生まれ育った自分には違和感バリバリ。
そして、主人公ぐらいの世代の人は学校の授業等で原爆のことを習ったり考えたりする機会はないのかね…という感覚。
と、とても大切だし、若い人にも知ってもらいたい内容の作品だけど、色々と引っ掛かる。
少なくとも自分は何度か被爆一世の方や二世の方の話を聞く機会もあったし、被爆とは別にしてもその時代を経験した祖父母から経験談を何度も話を聞いたからねぇ。
作品だし演出は大切だけど、主張が強すぎる脚色に却って嘘臭さを感じてしまう。
とはいえ、自分たちには判らない、一見ただのコンプレックスに感じてしまうような、被爆二世の不安や葛藤などを知り、あらためて戦争や核について考えさせられた。
素晴らしい作品です。
感動しました。
ラストシーンは涙です。
矢川さんは凄い人ですね!
今年の夏は、戦争映画がないですよね。不思議です。
監督の舞台挨拶ありましたが、よくわかりました。
この作品の上映館が少ないのが、不思議です。
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