火口のふたりのレビュー・感想・評価
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身もふたもないけど
瀧内さん演じる女の方は、最初から婚約者と別れるつもりで柄本くん誘ったんじゃないかな。
柄本くんが秋田に帰って来てるって聞いて、ふと思いついたのか、タイミングは分からないけど。富士山の件も既に知ってて、本当に好きな人と一緒にいたいと思ったか。
女の方は一回関係持ってしまえば、いくら一日だけとか言っても男が絶対に食いつてくる自信があったと思う、ゲームみたいな感覚で。あれだけ魅力的な美人はそうはいないよ。
最初からえらい薄着だし、結婚直前に自分の生活圏内でいとことは言え男と親密に出歩くのはあんまりしないよ…田舎だと(都会でも)人の目が一番怖いから。
とにかく柄本くんは瀧内さんの想いに全て絡め取られた感じはした。
大体、あんな写真大事に取っててアルバム作ってる女なんてめちゃくちゃ怖いよ。本当に結婚するつもりならもっと前に捨ててる。忘れられない男だとしても、普通の女なら割り切って捨てると思う(私なら捨てる)。
でも魅力的なんだよな。不器用だけど自分の欲望が分かってる。自分に出来ないから憧れるのかも知れない。
「忘れてはないけど思い出すこともない」
原作は未読。印象的なキービジュアルがそそり、鑑賞意欲が湧いた。鑑賞前に付近で開催している関連写真展を覗く。出典数は少なく、内容もこれといって気を惹く印象は薄い。かなり振れた画像もあり、この辺りも何か意味付けしているのだろうと予想はつく。
二人劇で進行する本作は、一言で言えば“ダメな男女の爛れた5日間の会話と性愛”という事に凝縮される。従兄妹という関係性、羞恥プレイ、野外プレイ、そしてハメ撮りと、セクシャリティの度キツさが目立ち、そしてオチがあまりにも素っ頓狂な、富士山爆発という設定の乱暴な飛び方が風味を濃くしているが、実は話す内容は明け透け無い本音の気持のぶつけ合いである。他人ではなく、一時期は兄妹同然に育ち、きっかけは分らないが男女の関係に陥る。その中で感じてきたお互いの思いを、その後のそれぞれのついてない人生を経てやっと語ることができたというストーリーなのである。通常モードならば、5日間若い頃の自分達を振り返りながら、諦めながら、そして期間限定の恋愛というか労り合う行為を享受しながら、けじめをつけるラストなのだが、突然の状況変換に於いて、自分達が一番自然でいられる居場所がお互いの隣だった事に覚悟を決める展開はかなり斬新であり、原作に於いてもレビューでその辺りは相当叩かれているのを調べると出てくる。確かに今作品は、真面目で誠実な性質の保守系からすれば決して赦される人物ではない。そこには感情移入も共感性も微塵もない。スクリーンで描かれているのは官能的とは言い難いリアルを表現しようと努力している俳優達だけである。恋人通しの肌の重ね合いというより、兄妹での悪戯が度を超してしまい、人間にとって通常備わっている生殖本能、それを補完する“快楽”機能の扉を開いてしまった雰囲気を漂わせているのである。いわゆる“立ちバック”での挿入シーンのオーバー演技(あんなまるで銛で魚を突き刺すようなリアクションならばお互い怪我するだろうw)の真意も多分、同意を基での近親相姦ならばこうなのではないかという表現なのだと思う。すっかり歳を取ってお互いが空気みたいな存在の倦怠期の夫婦の枯れ方に相似していると感じる。それより遙かに若いのだから、性欲に対してはどん欲であることのバランスの悪さがこの作品の居心地の悪さに由来しているかもしれない。そう、この作品は観客に敢えて負のイメージを投げかけることでそのアンバランスさを印象付けるアトラクションなのである。メッセージが強烈な程、印象度も又高い。一種の炎上演出とまでは言わないが、表現の自由を保つにはこれも又総合芸術なのである。兄妹ではなく従兄妹という絶妙な立ち位置の中で起きる奇妙な“繋がり”はそれでも家族としての“繋がり”を大事にしたいこの二人にとって自然な成り行きなのであろう。東北大震災の際にそれ程天災を被らずに済んだ“秋田”、富士山が爆発しても火山灰の被害は最小限で済む“秋田”、そんな微妙な立ち位置の地元住民達は、そんな中途半端さに苛まれつつ、それでもうらはらであるその隠さねばならぬ“幸福”を密かに愉しんでいる逞しさを感じさせる、そんな作品であった。ちなみに原作での舞台は九州とのことなので、また意味合いも違ってくるのであろう。自分は舞台設定の変更は正解だと強く思った次第である。
50代以降にはどう見えたか?
ありがちな主題だと思うけど
タイトル前のプロローグがつまんないんだよね。「こりゃ駄目かな」と思ったんだけど、段々と作品に入っていけんの。
この二人、身体が求め合ってるだけじゃなくて、心も求め合ってるよね。特に女の人はそう。
でも『いとこ同士だし、途中からは一緒に住んでたようなもんだし』ってタブー感があったりして、色々考えすぎて、過去には別れましたと。
お母さんが『一緒になれば良いなって思ってた』ってことが解って『なんだよ、別に、タブーじゃないのかよ』って後悔すんの良かった。でも、そんなこと気にしてたから別れたんだろうな。そして「結婚ってタイミングもあるよな」って思ったし、この二人が結ばれないのはしょうがないと思った。
そしたら、ここからドカンといって、なんだか結ばれる話にしてきたね。ここの描き方は小説家はすごいなと思ったよ。
観てて「誰かに対して強い性衝動を抱く」って、別に悪いことじゃないと思った。でも、なんか、おおっぴらにしちゃいけないとこあるよね。
そして、その性衝動と既婚か未婚かってのは、関係ないんだよね。性衝動は人間が本来持ってるもので、結婚制度って後から社会の安定のために作られた制度だろうから。でも制度やそこから導かれる常識にしばられちゃう。
その辺も観てると考えて面白かったよ。
新しいアダムとイブの物語
「性欲」「食欲」「睡眠欲」をストレートに描いていて色んな意味で気持ちいい作品でもあり、刹那的で寂しさが残り、見終わったあともずっと2人のことを考えてしまう。
1度は火口で死んだはずの二人が亡者踊りのように死に切れず彷徨い続け、最後は富士山と共に成仏したのか、それとも生き返り新しい命へと繋いだのか。
セックスシーンもリアリティがあって良かった。ここまでセックスの滑稽さも含めて描写するのって珍しく、宣伝文句の印象とは違い、笑えるシーンも多く2人のかけあいを楽しむ映画でもある。
瀧内公美は「彼女の人生は間違いじゃない」「日本で一番悪いやつら」に続いての熱演。ハードなセックスシーンが必要な作品なので、やっぱり瀧内公美ありきの映画と言える。もっといろんな作品に出演しててもよい凄い女優だと思う。
舞台挨拶で拝見しましたが、映画での印象とは少し違う可愛らしい方でした。監督が「人には男、女、女優の3種類がいる」という話をされていましたが、まさに瀧内公美は女優なんだと感じた。
ちなみに監督にお聞きしたところ賢治が実家で読んでいた本は柄本佑の私物でたまたま持っていたジェイムス・エルロイの「ホワイト・ジャズ」とのこと。
ふたりのことが愛おしくてたまらなくなった
一晩だけって言ったでしょ?
【背徳のセックスは蜜の味・・。 現代邦画で、唯一無二の地位を確立した瀧内公美さんの品のある美しさに魅了される作品である。】
ー 人は明日に希望を持てなくなると、野生動物のようにシンプルに、セックス、食、眠りに耽るのだろうか。ー
・荒井晴彦はこの作品にどのような想いを込めたのだろうか。セックス描写と会話だけで、勝負しようとする気概は伝わった。特に、直子の数々の言葉が記憶に刻み込まれた。
・「共喰い」で驚嘆し、「幼な子われらに生まれ」で再度、脚本の凄さに瞠目した荒井晴彦監督・脚本作である。
・瀧内公美は「日本で一番悪い奴ら」で演じた美しい女性警官の妖しい目が印象的であったが、「彼女の人生は間違いじゃない」での、凛とした美しさ、淫蕩な姿に一発で魅了された女優さんである。この作品でも彼女の役者魂は健在であった。
<瀧内公美さんは、邦画女優の中で、独自なポジションを担っているが、是非、トップに駆け上がって欲しい素晴らしい女優さんである。>
■2022年8月26日追記
・誰でも、御存じの通り瀧内さんは、邦画女優のトップクラスに躍り出た。僥倖である。才能ある俳優さんが、その才能を認められたのであるから・・。
やっぱり荒井晴彦監督
荒井氏の80年代「キャバレー日記」(脚本)、にっかつがロッポニカになっての「噛む女」「リボルバー」(脚本)、最近の「さよなら歌舞伎町」(脚本)だって観ようによっては「娯楽」だけど、この作品も「自分もちっちゃな人間だぁ」という共感を感じて、ちょこっと前向きになりました
登場人物は2人だけだから、じっくりと2人の動きを追っていくことができました 瀧内公美さん、一昨年の「彼女の人生は」でも東北の震災を経て、人生が大きく変わった福島の公務員の役、今回は震災の被害が少なかった秋田の住民の役 震災が「東北」と括られても、福島・宮城・岩手の大きな被害の人に対して、秋田など日本海側の被害が少なかった人にとっては、複雑な思いがあるのでしょうか 私も大阪ですが、阪神淡路大震災が関西全体というとらえ方をしないのに、東北には「東北はひとつ」といった気持ちがあるのかもしれません そんな東北の震災の住む人々の背景が「無事でいることが申し訳ない」という思いを持たせ、彼女の人生に影響を与えているのでしょうね
ラストはみなさんが書かれているように、ちょっと希望の持てる内容で、ちょこっと前向きになりました 劇場に根岸吉太郎さんのコメント記事が貼ってあり、あの時代を思いおこさせます(8月29日 シネリーブル梅田にて鑑賞)
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。 物語の根底には、東日本...
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。
物語の根底には、東日本大震災で直接的な被害はなかったが、仕事がなくなり、家庭を失い、という間接的被害を受けた東北の人たちの心の傷があります。
そして、つらいときに誰といたいのか?
生きるとは?
好きって?
愛とは?
結婚とは?
セックスとは?
といった、生と性の根源的なことを問う内容でした。
だから、エッチなシーンが多いのだけれど、エッチではないというか。
ラストの方には、しみじみと余韻を覚えるほどよかった。
しかし、最期のシーンと、エンディングの歌詞とが、ギャグかよ!って突っ込みたくなり、ある種の照れ隠しかもと思いました。
結局
2人はそうなる運命だったのですね。色んな事情を抱えながら、結局、帰る所に帰る。でも、最後の富士山爆発はどうなんでしょう?2人の思いとリンクしているのはわかりますが、少し突拍子も無い気が。瀧内公美さんは、「彼女の人生…」で知りましたが、等身大な感じの綺麗さと艶っぽさがあって好きです。
離れられないと思える相手に出会える奇跡
なかなかの映画!!
いいけど甘い
原作者の世界観
かつては原作の白石一文さんは大好きで、新刊が出ると必ず発売日に本屋さんへ行っていた。読んだ記憶がないので、私の趣味が読書から映画鑑賞にシフトした後の作品なのだろう。
映像はかなりハードで上映館が少ないのも頷ける。もし安藤さくらさんがこの映画を観たら、見境無く嫉妬して、その夜は燃えさかるのではないかというリアルさ、です。
只のセックス賛美、セックス美化ではない仕上がり。
ラストの場面など原作者の世界観はバッチリ表現されていたと思った。
身体的でないと分かり合えないもの
食べて寝てひたすらセックスする映画、というと言葉は悪いが...言い訳しながらもただただ欲求を満たすふたりの物語。
登場人物は本当に柄本佑と瀧内公美しかいない(ただし意外な「声の出演者」がいる。冒頭一発で分かるその演出の遊び)。
ふたりの関係性はもはや、「元恋人」では表現しきれない分かち難いもので、それこそが身体的関係に深く結びついている。身体的関係で繋がっているふたりではなく、おそらく身体的関係「でしか」最終的に繋がれないふたり。
そして究極表現の筈のセックスが美しくないのもこの映画の良さだ。情事に耽るふたりのどことない滑稽さ(実際かなり笑えるシーンもいくつかある)。男女の欲求と、罪悪感と、情念。皆つくりものみたいに描かれていないのが良い。
ふたりに共感できるのかといえばしにくいものがあるが、震災に関するふたりの会話(実はそれがラストに繋がるのだが)がひどく乾いていてよい。人間そんなものだよな、と思うしそれを罪だとも思わない。ただ生きるだけだ。
しかし、原作未読なのだが、あのラストはびっくりした。未来があるのかないのかさっぱり分からないラストだ。普通の作品なら間違いなくラスト手前で切るよな、というくらい微妙といえば微妙なのだが、なぜか、あのふたりなら合うな、と思ってしまった。色々先は大丈夫か?と思うが、それすら考えず日々生きろということであろう。
柄本佑も瀧内公美も生々しかった。台詞が説明的なのはまあそうだが、二人芝居なのでさほど気にならないというか、あのふたりは会話することで生きる気がした。見つめ合って、言葉もなく抱き合うのでは意味がないのだ。
自然体な映画
原作を読んだ事は覚えていたけど内容は殆んど忘れてしまっていて、R18で映画化されると知って驚きつつ、そういえば外でやってたシーンがあったような……?と思いながらタイミングが合ったので見てみました。
面白かったです。
昔に戻ってからのふたりがあまりに普通で、ずっと見てても飽きないくらい、ストレスなく見られました。むしろ面白い。
男が方言で話したり、女がラーメンを続けて食べてたり、殆んど千切っていないレタスを男がバリバリ食べてたり、使いすぎて腫れてしまって濡れタオルで冷やしたり。でも個人的な感覚としては外での(特にバスの中)行為は好きじゃないのでそこはかなり引きつつ、声を押さえられない女にも引きつつ、見ました。
リラックスしながらずっと眺めてられそうな映画だと思ったのに、なんかよく分からない最後のあれ。富士山が噴火すれば東京の都市機能が停止するとかなんとかよく分からないことを言い始めて、確かに原作にもそんなのがあって気持ち悪いなぁって思ったのを思いだしました。
原作にあるから仕方ないにしてもあれは要らないです。私は。
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