火口のふたりのレビュー・感想・評価
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新しいアダムとイブの物語
「性欲」「食欲」「睡眠欲」をストレートに描いていて色んな意味で気持ちいい作品でもあり、刹那的で寂しさが残り、見終わったあともずっと2人のことを考えてしまう。
1度は火口で死んだはずの二人が亡者踊りのように死に切れず彷徨い続け、最後は富士山と共に成仏したのか、それとも生き返り新しい命へと繋いだのか。
セックスシーンもリアリティがあって良かった。ここまでセックスの滑稽さも含めて描写するのって珍しく、宣伝文句の印象とは違い、笑えるシーンも多く2人のかけあいを楽しむ映画でもある。
瀧内公美は「彼女の人生は間違いじゃない」「日本で一番悪いやつら」に続いての熱演。ハードなセックスシーンが必要な作品なので、やっぱり瀧内公美ありきの映画と言える。もっといろんな作品に出演しててもよい凄い女優だと思う。
舞台挨拶で拝見しましたが、映画での印象とは少し違う可愛らしい方でした。監督が「人には男、女、女優の3種類がいる」という話をされていましたが、まさに瀧内公美は女優なんだと感じた。
ちなみに監督にお聞きしたところ賢治が実家で読んでいた本は柄本佑の私物でたまたま持っていたジェイムス・エルロイの「ホワイト・ジャズ」とのこと。
ふたりのことが愛おしくてたまらなくなった
一晩だけって言ったでしょ?
【背徳のセックスは蜜の味・・。 現代邦画で、唯一無二の地位を確立した瀧内公美さんの品のある美しさに魅了される作品である。】
ー 人は明日に希望を持てなくなると、野生動物のようにシンプルに、セックス、食、眠りに耽るのだろうか。ー
・荒井晴彦はこの作品にどのような想いを込めたのだろうか。セックス描写と会話だけで、勝負しようとする気概は伝わった。特に、直子の数々の言葉が記憶に刻み込まれた。
・「共喰い」で驚嘆し、「幼な子われらに生まれ」で再度、脚本の凄さに瞠目した荒井晴彦監督・脚本作である。
・瀧内公美は「日本で一番悪い奴ら」で演じた美しい女性警官の妖しい目が印象的であったが、「彼女の人生は間違いじゃない」での、凛とした美しさ、淫蕩な姿に一発で魅了された女優さんである。この作品でも彼女の役者魂は健在であった。
<瀧内公美さんは、邦画女優の中で、独自なポジションを担っているが、是非、トップに駆け上がって欲しい素晴らしい女優さんである。>
■2022年8月26日追記
・誰でも、御存じの通り瀧内さんは、邦画女優のトップクラスに躍り出た。僥倖である。才能ある俳優さんが、その才能を認められたのであるから・・。
やっぱり荒井晴彦監督
荒井氏の80年代「キャバレー日記」(脚本)、にっかつがロッポニカになっての「噛む女」「リボルバー」(脚本)、最近の「さよなら歌舞伎町」(脚本)だって観ようによっては「娯楽」だけど、この作品も「自分もちっちゃな人間だぁ」という共感を感じて、ちょこっと前向きになりました
登場人物は2人だけだから、じっくりと2人の動きを追っていくことができました 瀧内公美さん、一昨年の「彼女の人生は」でも東北の震災を経て、人生が大きく変わった福島の公務員の役、今回は震災の被害が少なかった秋田の住民の役 震災が「東北」と括られても、福島・宮城・岩手の大きな被害の人に対して、秋田など日本海側の被害が少なかった人にとっては、複雑な思いがあるのでしょうか 私も大阪ですが、阪神淡路大震災が関西全体というとらえ方をしないのに、東北には「東北はひとつ」といった気持ちがあるのかもしれません そんな東北の震災の住む人々の背景が「無事でいることが申し訳ない」という思いを持たせ、彼女の人生に影響を与えているのでしょうね
ラストはみなさんが書かれているように、ちょっと希望の持てる内容で、ちょこっと前向きになりました 劇場に根岸吉太郎さんのコメント記事が貼ってあり、あの時代を思いおこさせます(8月29日 シネリーブル梅田にて鑑賞)
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。 物語の根底には、東日本...
ぱっと見だとポルノっぽいけど、さにあらず。
物語の根底には、東日本大震災で直接的な被害はなかったが、仕事がなくなり、家庭を失い、という間接的被害を受けた東北の人たちの心の傷があります。
そして、つらいときに誰といたいのか?
生きるとは?
好きって?
愛とは?
結婚とは?
セックスとは?
といった、生と性の根源的なことを問う内容でした。
だから、エッチなシーンが多いのだけれど、エッチではないというか。
ラストの方には、しみじみと余韻を覚えるほどよかった。
しかし、最期のシーンと、エンディングの歌詞とが、ギャグかよ!って突っ込みたくなり、ある種の照れ隠しかもと思いました。
結局
2人はそうなる運命だったのですね。色んな事情を抱えながら、結局、帰る所に帰る。でも、最後の富士山爆発はどうなんでしょう?2人の思いとリンクしているのはわかりますが、少し突拍子も無い気が。瀧内公美さんは、「彼女の人生…」で知りましたが、等身大な感じの綺麗さと艶っぽさがあって好きです。
離れられないと思える相手に出会える奇跡
なかなかの映画!!
いいけど甘い
原作者の世界観
かつては原作の白石一文さんは大好きで、新刊が出ると必ず発売日に本屋さんへ行っていた。読んだ記憶がないので、私の趣味が読書から映画鑑賞にシフトした後の作品なのだろう。
映像はかなりハードで上映館が少ないのも頷ける。もし安藤さくらさんがこの映画を観たら、見境無く嫉妬して、その夜は燃えさかるのではないかというリアルさ、です。
只のセックス賛美、セックス美化ではない仕上がり。
ラストの場面など原作者の世界観はバッチリ表現されていたと思った。
身体的でないと分かり合えないもの
食べて寝てひたすらセックスする映画、というと言葉は悪いが...言い訳しながらもただただ欲求を満たすふたりの物語。
登場人物は本当に柄本佑と瀧内公美しかいない(ただし意外な「声の出演者」がいる。冒頭一発で分かるその演出の遊び)。
ふたりの関係性はもはや、「元恋人」では表現しきれない分かち難いもので、それこそが身体的関係に深く結びついている。身体的関係で繋がっているふたりではなく、おそらく身体的関係「でしか」最終的に繋がれないふたり。
そして究極表現の筈のセックスが美しくないのもこの映画の良さだ。情事に耽るふたりのどことない滑稽さ(実際かなり笑えるシーンもいくつかある)。男女の欲求と、罪悪感と、情念。皆つくりものみたいに描かれていないのが良い。
ふたりに共感できるのかといえばしにくいものがあるが、震災に関するふたりの会話(実はそれがラストに繋がるのだが)がひどく乾いていてよい。人間そんなものだよな、と思うしそれを罪だとも思わない。ただ生きるだけだ。
しかし、原作未読なのだが、あのラストはびっくりした。未来があるのかないのかさっぱり分からないラストだ。普通の作品なら間違いなくラスト手前で切るよな、というくらい微妙といえば微妙なのだが、なぜか、あのふたりなら合うな、と思ってしまった。色々先は大丈夫か?と思うが、それすら考えず日々生きろということであろう。
柄本佑も瀧内公美も生々しかった。台詞が説明的なのはまあそうだが、二人芝居なのでさほど気にならないというか、あのふたりは会話することで生きる気がした。見つめ合って、言葉もなく抱き合うのでは意味がないのだ。
自然体な映画
原作を読んだ事は覚えていたけど内容は殆んど忘れてしまっていて、R18で映画化されると知って驚きつつ、そういえば外でやってたシーンがあったような……?と思いながらタイミングが合ったので見てみました。
面白かったです。
昔に戻ってからのふたりがあまりに普通で、ずっと見てても飽きないくらい、ストレスなく見られました。むしろ面白い。
男が方言で話したり、女がラーメンを続けて食べてたり、殆んど千切っていないレタスを男がバリバリ食べてたり、使いすぎて腫れてしまって濡れタオルで冷やしたり。でも個人的な感覚としては外での(特にバスの中)行為は好きじゃないのでそこはかなり引きつつ、声を押さえられない女にも引きつつ、見ました。
リラックスしながらずっと眺めてられそうな映画だと思ったのに、なんかよく分からない最後のあれ。富士山が噴火すれば東京の都市機能が停止するとかなんとかよく分からないことを言い始めて、確かに原作にもそんなのがあって気持ち悪いなぁって思ったのを思いだしました。
原作にあるから仕方ないにしてもあれは要らないです。私は。
女目線から
最後の方のピロトークで、けんちゃんの変態セックスに応じていた直子の本音「けんちゃんの事が好きだったからだよ」に大きく頷いてしまった。
そう、好きな人の要望にはアブノーマルなものにも極力応えちゃうのよね。全ての女がそうではないけど。
セックスシーン満載だけどでもエロすぎず個人的にはとても良かった。
エロと時々笑いって感じかな。
愚かなふたり
冒頭の会話が説明すぎるきらいはあったが、舞台設定をわかりやすく示してくれて親切だとは思った。それでも唐突な変態セックスには、いい歳した大人が何故こんな愚かなことをと思ってしまったが、要するに若気の至りではまり込んでしまった性癖は一生引きずるのだと思った。愚かにも止められないのだ。のちにそれは兄妹同然の従兄妹であることの負い目が根本にあるらしいことがわかってきて、そこで私は、設定こそそうはなっていなかったが、おそらく二人は子供と言えるくらいの頃から睦み合っていたのだろうと想像した。だからこその負い目であり暴走であると。だから善し悪し以前にそういうことは近づいたが最後、近づかないのが賢明なのだと思った。身体の言い分はどうにもならない。身に染みる。
ラストは物悲しいファンタジーで、安っぽい感じはあったけれど、愚かな二人には似合っていると思った。
笑ってしまった
途中から飽きてきました。登場人物が2人しかいないから、基本ツーショットか柄本のワンショットが延々続く、これならもっと尺短くてもよかったかな。あと、ラストの余りの急展開にびっくり、中だしと富士山の噴火をひっかけてかつ、エンディングのあの唄の歌詞、大笑いしてしまった。
素敵な素敵なふたり。
よかった。
とてもとても素晴らしいラブストーリーでした。
ただのセックスシーン満載の作品ではなかった。
大人の、生々しい人間の、弱さを抱えた人間の、人肌のやさしさの伝わる映画でした。
挫折をしたり、心を病んだり、立ち直りかたが見つからなかったり…。
自然災害まで頻発する現代の日本をだらしない愛で生き抜いていく、素晴らしい作品でした。
柄本佑、大っ嫌いでした。理屈っぽくて(笑)
でも、今回ほんとによかった。瀧内公美に感謝しろよ(笑)
瀧内公美、ほんとにかっこよかった。
中年に差し掛かる女性の身体を胸を張ってさらしていた。そして、そこここにいる普通の女性の繊細な心を丁寧に表現していた。妹のようなかわいさと冷めた大人の女性を行ったり来たり、素晴らしかった。実は笑顔がほんとにチャーミングな人だ、と改めて思った。
婚約者がいるのに、とか倫理的にちょっととかそりゃああるだろう。
でも、人のぬくもりがやっぱり恋しいな、って思える素敵なふたり、作品でした。
声の出演、柄本父
ネタバレあります。
自衛隊、震災、戦争、噴火、原発、これらの必要性がそもそものテーマに必要なのか疑問。
結婚を控えた女性が、かつての悦楽の日々を思い出してセックスをする、それだけで映画としては充分成り立つのに。
震災で東北アピールしてるけど、舞台は被害がそれほどなかった秋田県だし、秋田県で高校時代までは過ごしてるのに秋田訛りは出てこないし、舞台を秋田にする意味って?
関東から離れてて震災があった、という設定にしたいなら神戸でも熊本でも良かったのでは?
そしてラストシーンも不快感が胸に広がる。あの子供が描いたような絵はどうなのか?火口のポスターと音だけでも伝わったのでは?
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