「帆高の愛読書に注目!」天気の子 tktkさんの映画レビュー(感想・評価)
帆高の愛読書に注目!
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冒頭で帆高が読んでる英文小説が「ライ麦畑でつかまえて」。この時点で身の置きどころを求めて都会を彷徨う「少年の自分探しの旅物語」である事がわかる。
経験値の少ない少年にとって都会は酷く乱雑で、大人は自分を利用する俗悪な存在になるのは必然。でも、大人にも少年の時代はあったんだし、必ずしも打算だけで生きている訳ではない。
「ライ麦畑〜」と異なる点は、帆高が苦境の中でも僅かなチャンス(人との出会い)を生かし活路を見出す前向きな少年である事だと思う。
自分が何の為に存在するのか?というのは誰しもが葛藤する。
陽菜は「誰かに喜ばれたい」一心で身を削って晴れ女役を買って出る。
帆高は、そんな真摯な彼女を支えてあげたいと思う。
誰かを幸せにするには、自分が満たされていなければどんどん自分が枯渇していく。
それを「身体が透けていく」描写で表したのだろう。
自分が満たされていないのに、人助けをする事は危険なのだ。
帆高が高校を卒業する迄、ずっと東京は雨続きだったのは陽菜が一切「誰かの為に」身を削らなかった証であり、それは彼女の充電期間だったと思う。
大学生になった帆高と陽菜は、2人で気が向いたら「晴れ女」をやるかも知れない。
それは生活費を稼ぐ為だったり誰かの願いを叶える為ではなく「自分達がそうしたいから」天に祈る行為だと思う。
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