「陽菜は人柱の役割を放棄(笑)」天気の子 細川ゆーさいさんの映画レビュー(感想・評価)
陽菜は人柱の役割を放棄(笑)
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天気を治す人柱たる陽菜が、最後は自分の人生を優先させるんですよね。穂高に誘導されてそうなった面もあるけど、そこがどうも腑に落ちない。その代償として、東京が水没しています。
穂高と陽菜のハッピーエンドが、それと引き換えに世界が破壊されています。これじゃあ利己的なラブロマンスになってしまいかねない。
穂高に焦点を当てると、もっとそれが言えます。自分の勝手な自我で親元を捨て、故郷を否定し、東京では世界を破滅させてまで、好きな女性と一緒にいたいのです。この映画は見方によっては、穂高の利己主義を描いているのです。
曇天の隙間から太陽が輝く東京は神々しく、またおなじみのバンドによる優しい歌声が、そうしたシナリオを忘れさせてくれますが、それに騙されてはいけません。
君の名は、では、利己的な恋愛が犠牲になり、世界が救われました。その上で、二人が東京で一瞬すれ違い、ハッとした。その後は描かれない、だからこそ、観客は涙したのです。
新海さんはあえて、二つの作品を逆に描いたのかもしれません。
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