「超絶スマッシュつまらない」天気の子 バクシーシマキさんの映画レビュー(感想・評価)
超絶スマッシュつまらない
この映画を悪くいうと、反論が100倍来そうだから本当に迷った。
しかし、私と同じように「あれ?これつまらないの自分だけ?」と思って低評価を探しまくっているレビュー難民がいるはずだ。そんな人の為に書こうと思う。
最近はちょっとした小遣い稼ぎに、観てもいないのに「最高!最高!」とひたすら褒めちぎる偽物レビューも多いので、決してサクラに惑わされてはならない。
自分の感じたことこそ真実で、それが全てだ。
まず圧倒的に中弛みする。本当にダルダル。
賛否両論だとかそんなレベルじゃない、結末どうのじゃなくて、最後まで観るか悩むほどにダレている。時間の無駄感がすごい。
前半80点中盤評価に値しない後半30点映画。
前半は、日本人のミュージカル好きの心を捉えて、音と映像の融合が素晴らしかったと思う。
雲間から光が差し込んで、東京の街並みや、あらゆる人々の生活を次々と照らしていく様は多少力技と言わざるを得ないが、生理的感動を引き起こすには十分な演出だった。
このシーンは泣いてしまった。
ただ、穂高くんが家出をする意味がわからない。顔に傷があったことから、何か訳あり感をもたせるものの、特にそれについて語られる事もなく…家出をするほどの強い動機は感じられなかった。東京に行き場がなくて、街を彷徨う様も「東京ってこえー」という、一度は口に出したい田舎者の憧れの言葉を繰り返してるだけで、東京の冷たさを表現するのには無理があるか。東京の怖さはその無関心さにあり、チンピラに絡まれる事ではない。
船を上から大写しにする場面は、「血と骨」の朝鮮から出稼ぎにくるシーンが頭に浮かんだけど、まぁ関係ないですね。
後はですね、ここが真の賛否両論なのかもしれませんが、知ってる風景と広告が出過ぎ。本当に出過ぎ。気が散って散って、物語に入り込めない。
映画としてのエンタメ性がないんですよね、つまらない高校生の日記をダラダラと見せられているような。もう少しファンタジーあってもいいじゃん、っていう。
「トランスフォーマー」でも唐突に中国産の牛乳を飲むシーンは、やはり興醒めでしたからね。
これがもしかしたら今時の若者には「あ!ここ知ってる!」って現実とのリンクや身近な感じが刺さるのかもしれません。
西野◯奈の歌詞のように、読書感想文を読んでるようなあの感じが良いのかも。
表現って何なんでしょうね。
個人的にショックだったのは、サリンジャーのライ麦畑でつかまえて、が出てしまったことです。あれを見たら凄く期待しちゃいますよ…
サリンジャーを汚された感さえしました。
中盤に入ると、弛みはじめます。
アパートに遊びに行くシーンで、狭くてもボロくても出来る限り可愛くしている、ささやかな乙女心を表したつもりなんだろうけど、
なぜか下手くそと感じました。同じような描写ですと「ジョゼと虎と魚たち」のようなトキメキといじらしさには敵わなかったな、って感じでした。
弟くんはせっかく良いキャラなのに、途中から「先輩」と呼びはじめて、キャラの押し付けにウンザリしました。
不要な設定が多すぎましたね、「レオン」で殺し屋がミルクが大好きで泣き虫って設定が滑っていたのと同じものを感じます。
後は、私自身が性描写が少し苦手な事もあり、一回だけならまだしも繰り返し繰り返し出現する性描写には、ゲップが出そうになります。
さて、いよいよクライマックスです。
最初に登場したときは「若い子なんだな」ぐらいに感じたヒョロい穂高くんの作画が、更に崩壊していきます。線路を走るところではペラッペラの紙人形のようになった穂高くんがペチペチ走ります。
新海監督の作品は人間に体重が感じられないとは前から気になっていましたが、今回はその極値をいってました。
「トレインスポッティング」や「ミッションインポッシブル」のような強い疾走感が大好きなので、あの吹けば飛ぶよなペチペチ感は見ていて辛かった。実写とはもちろん違いますが、そういうと「トトロ」で、メイがトウモロコシ持って走るシーンはしっかりと体重を感じられましたからね。
あとこれは有名な映画評論家の方も書いていましたが、銃というメタファーって必要だったのか?ってことです。
天候を変えまくったせいで、国家の弾圧で追われる、とかならワクワクもしますが、
銃?銃なの?そこが問題の頂点にあるの?
急に極大から極小の世界に戻されます。
これじゃ焦点が散らばると思われても仕方ない。テーマが置き去り感が凄いです。
ヒロインに会いたいあまりに暴れる穂高くんは、思春期の熱意というより、狂人に見えます。いや、それは狙ったのかもしれません。恋とは狂気なのだと。
でもね、正直引きました。うわぁ…って感じ。
しかし二人が絡まりながら抱き合いながら落ちていくところは素晴らしかったです。
セリフなくてもいいぐらいよかった。
最後、ラストシーンですが「それから3年雨が降り続けた」のとこは、なぜか吹き出してしまいました。しかし、これエヴァを彷彿とさせるな。セカンドインパクト以降、年がら年中夏になってしまった世界、失われた東京。
それでも普通にお花見を楽しもうとしたりする人間の強さ。
ディストピアって、何故か憧れますよね。
この新しい世界のシーンはとても良かったです!
というわけで、散々なこと言ってますが
実は2回目観たら面白いんじゃないかな?と思いました。やはり知ってる街やいつもの広告をダラダラ見せられるのは、気が散ります。
2回目なら慣れて、そこを気にせずストーリーに没頭できるのかもしれません。
ありがとうございました!!